朝倉かすみのレビュー一覧

  • 平場の月
    もし病気になったのが自分だったら、須藤のように強く生きられただろうかー。

    しかし、健康だったら難なく飛び込んで行けたであろう青砥のもとへ病気になった須藤が頑なに行かなかったことは、そんな気持ちになるだろうなと想像はできる。
    でもやっぱりどこかで甘えてしまう気がするから、青砥を愛していながらも突き放...続きを読む
  • 少女奇譚 あたしたちは無敵
    ただの不思議な短編の集いではない。漫然とそう感じるのではなく、少女性やその周辺の共通項にも思いを巡らせたい。
  • 田村はまだか
    面白い。迷ったけど星5つ。
    そもそも、タイトルと装丁と設定でもう、やられてしまっていた。
    読んでガッカリしたらどうしようと思ったけど、そんなことはなく、次々と繰り出されるエピソードを、僕も田村を待ちながら読んだ。僕と同じように、多くの読者が田村を待ちながら読んだことだろう。

    登場人物は全員、元こど...続きを読む
  • 乙女の家(新潮文庫)
    個性豊かな登場人物たちに飽きることなく読み終えました。
    物事を俯瞰してみるというのは中々難しいこと。自分として生きている限り、フィルターはかかるしおじいちゃん曰く目が近くもなる。
    私の場合、学校の先生を「先生」っていう、人間とは別の生き物のように捉えていて、あるきっかけで先生の私生活を知り、あぁ私と...続きを読む
  • 田村はまだか
    同窓会2次会の場面。登場人物達の半生が紹介される。とても気持ちいいのいい気分になった。
    同級生のこと、自分のことを少し思い出した。
  • 平場の月
    中学校までの同級生だった青砥と須藤は、時を経て50歳を過ぎてから再会します。
    会わないでいた年月は長く、その間に、ふたりは苦労や失敗や過ちも重ねながら大人になっていました。
    辛酸をなめた過去を他人に知られたくないという気持ちと、誰かには話したい、聞いてもらいたいという気持ち、両方が存在しています。
    ...続きを読む
  • 平場の月
    予想に反して中年のラブストーリーだった。
    文章や言葉選びが独特で、「いったい何を言ってるの?」と文章が宙に浮いたり、佐藤錦、オリンピックやメトロポリタンなど唐突に固有名詞が現れ、知らない人には戸惑われると思う。しかし、話はどんどん読者を作中に引き摺り込み、最後は冒頭の章を忘れて、「須藤よ、生きていて...続きを読む
  • 平場の月
    世代がピタリ。
    登場人物に独り身の友人を重ねた。

    読後すぐに2度目を読んだ。
    TWO DOTSは今でもハマり続けてる。


    映画化は石田ゆり子じゃなくて永作博美にして欲しい
  • 平場の月
    なんとはなしに手に取ったのは、母の癌の治療後のこと。同世代の病院での中学時代の同級生との出会い、リアルな治療、闘病、家族や相方との関係、とても身につまされる。近くても遠い当事者との思い...冒頭で最期を知らされているのに、そこまでの道のりを辿っているうちに物語の境界線が滲んで最後の数ページはどちらの...続きを読む
  • 田村はまだか
    これは面白かった。40歳くらい大人たちが集まる、小学校の同窓会の3次会。最後まで残った5人が遠方から来る田村くんを待つ。待つ間、一人一人の物語が短編小説のように語られるのだが、その内容が「それを言ってしまうのか」という身も蓋もないもの。ある元保健教員は、「30過ぎて未婚。身の程を弁えて悟った態度を取...続きを読む
  • 平場の月
    幼馴染の男女が50歳を過ぎてから再会し、愛を落ち着いた描写で綴った大人向けの恋愛小説。大人とは⋯? これが 大きなテーマなのだろう。男女間の落ち着いた心の葛藤、友情、そして愛が描かれる。人生で育まれた考え方、行動、見栄、誠など、若い時分とは明らかに異なる行動と人生観を大人は自然と抱けるようになるのか...続きを読む
  • 田村はまだか
    この歳になったからこそ楽しめる作品だった。

    成人するまでの思い出や仲間、集まれる地元。
    人生を豊かに感じれるかどうかは思い出次第。
    いい思い出を作るために生きていると考えると生き方も変わってくるかもしれない。
  • 平場の月
    中学3年の時に想いを寄せていた女性に30何年ぶりに再会したが、亡くなった知らせを受け取るところから話がはじまる。
    2人が再会した1年前に話は遡り、いわゆる大人の恋愛というものの話になっていくのだが、やはり50歳台に病気はつきもの。そういうものと付き合いつつ、絶妙な距離感を取っていく。
    話自体はふわっ...続きを読む
  • 平場の月
    この作者の作品は初めて読んだ。装丁と作者名と帯の感じから、勝手に「真面目な感じのお行儀のいい、言葉遣いもていねいな感じの」大人の恋愛小説かと思っていた。
    大人には違いないんだけど、不完全な大人の、失敗もたくさん経験してなんなら、闇もいくつか抱えている平場の大人の物語で、中学の頃の同級生だったからか、...続きを読む
  • 幸福な日々があります
    50前の夫婦の妻のほうが、夫のことを夫として好きではなくなったと言って別居し始めるお話で、二人の出会いから別居しての生活の様子が時間軸を行き来して語られるのだが、とても心に響く。自分自身が同世代で離婚したということもあるのかもしれないが、読み終わるのが名残惜しくて、少しずつ読んだ今年一番の本。
  • 田村はまだか
    要約すると、田村が同窓会に来なくて、バーで待ってる旧友達がちょっと思い出を振り返る連作短編集です。

    要約しても何も面白くありませんでした。この作品で面白いのは、ストーリーではないからです。この作品で面白いのは、心の動きの機微であり、そのリアリティであり、その不純さも認める美しさであるからです。

    ...続きを読む
  • 平場の月

    最後の恋

    同世代で深く深く深く共感しながら読みました。
    私には夫がいます。中学の時、同級生に恋をして今でも思い出します。もし、私だったら、重ねて想像しながら、ドキドキできる傑作ですね。
    映画化されるといいな。
  • 乙女の家(新潮文庫)
    付和雷同型のことなかれ主義な若菜。グループの中でもぱっとしない自分を変えたくて、レジェンド(?)づくりの家出を企ててみたり、誰かの輝く脇役として奮闘してみたり。
    家族のあり方、あるべき「親子」像に悩んだり。
    青春時代だからこそ抱える自分のアイデンティティへの悩みに、共感するところがあった。
    また、個...続きを読む
  • 好かれようとしない

    続きを読みたい!!

    一目惚れしてしまったヒロインと、その相手の進展にドキドキしながら読んでいました。鍵屋が不倫しているという場面を読んだ時は、思わず「えっ」と声が出てしまいました。そして、もっと鍵屋とヒロインの会話やデートの様子を読みたい!続きを読みたい!と思う本でした。
    私が本に興味を持つ機会を作ってくれた本なので、...続きを読む
  • 満潮
    多少現実離れしているように見えてどの人物もリアル。一見過剰で極端に見える眉子についても「いるいるこういう子」と思わせる。なんなら自分と重ねて読んでしまった。