朝倉かすみのレビュー一覧
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ネタバレ6つの短編からなる小説。
表題のとおり、熟年を過ぎて老いを感じてきた頃の男女の日常を描いたまさに『たそがれどき』の話だ。
表題の『たそがれどきに見つけたもの』は、高校の同級生同士で結婚した女性が、フェイスブックで久しぶりに会った女友達に会い、自分の結婚相手を教えたらすごくびっくりされたという話。
またこの短編で印象に残るのが、「人生を80年とし、4で割る。 20歳までが春、40歳までが夏、60歳までが秋、それ以降は冬…』という一節だ。物語の女性は50歳なので『私は、ちょうど秋の真ん中にいる。』と書いてあるが、読者の自分は冬なんだなぁ…とあらためて思った。
『王子と温泉』という話では、真面目に専業主婦をしてきて子どもたちが手にかからなくなってきた52歳の女性が、ファンクラブ会員限定の中年スター(王子)との温泉一泊ツアーにはじめて参加するという内容。温泉地にある旅館につき、初対面の女性らと同じ部屋になって自己紹介したら、実は派手な女性が裏で王子とLINE交換をしているという話を聞いて、落胆する。
これもなんとなくわかるなあ。アイドルに夢中になる女性ファンが、アイドルの恋人発覚や結婚報告で急にロス状態になる。
他の短編はあまり印象には残らなかったので⭐️3とした。
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Posted by ブクログ
ネタバレ3点台前半
・学生時代、恋心を抱き合いながら結ばれなかった青砥健奨と須藤葉子が、50歳になり偶然再会。互いに紆余曲折の人生を経て独り身、金銭的にも裕福ではないながらも、少しずつ友情の枠をはみ出して心近づいていく2人。
・そんな中で須藤は大腸癌を患い、人工肛門装着を余儀なくされるなど生活が大きく変わる。目一杯支えたいと願う青砥に対し、須藤は全てを頼ることをよしとせず、ゆっくりと手探りするような2人の闘病生活は続いていく。
・手術、抗がん剤治療を終えた最初の検診を終えた日、青砥は須藤に「一緒にならないか」と思いを伝える。しかし須藤はそれを受けず、さらにはもう会わないと伝える。青砥はなんとか1年後に温泉旅行で再会する約束を取り付けるが、2人は離れ、以後青砥のLINEにも須藤は反応しない。
・須藤の状況がわからないまま時は流れ、再会を約束した日が迫ったある日、青砥は職場の同僚から須藤が亡くなったことを知る。失意のまま訪れた須藤のアパートで須藤の妹と会い、別れを切り出された日の検診で、実は須藤は癌転移の診断を受けていたことを知る。須藤は青砥への連絡はしないよう、妹に強く言い含めていたという。
・結局、青砥にあてられた遺書も伝言も残っていなかった。青砥はあの日、検診結果をよく確認しないままに求婚を口走った己を悔やむとともに、ただ須藤と一緒に生きていきたかったと振り返り、物語りは終わる。
(感想)
・今(須藤が死んだことを知る)→過去回想(須藤との日々)→今 という形で構成されているが、果たして始めの今の部分が必要だったのか。ネタバレ的な意味合いもあるが、単純に内容がいきなり過ぎて冒頭から読みにくいことに加え、結局この構成の必要性も最後までわからなかった。
・須藤は、青砥に寄りかかることを良しとしないプライドの高さを持つ、少し浮世離れした感じのあるキャラクター。一方で、過去に略奪婚や貢いでの破綻歴を持つなど俗っぽい面もあり、高潔ともまた違う。一抹のかわいらしさがないこともないが、基本的に面倒な独善さを振り回す印象が強く、あまり感情移入できない。あそこまで引き摺り回した青砥に肝心なことは何も伝えず、孤独に死を迎えるのは流石にやりすぎ。
・トータルとしては平均的な小説という評価にはなるが、印象的な一節はいくつかあり、感じ入る場面もあった。あと、中江有里の読後解説の締め部分が素晴らしい。
(印象的な一節)
・「わたし、このこと、だれかに話してみたかったんだ」「おれもそうかもしれない」だれかになにかを打ち明けたい衝動が湧き上がるのは珍しくなかった。愚痴の吐き出したさよりももっと奥から揺すぶってくるものがある。それが自分の暗部ならいっそう鮮明だ。わざわざ言うことではないと知っているのだが、隠しごとをしているような後ろめたさがあった。
・「青砥には充分助けてもらってるよ。青砥は甘やかしてくれる。この歳で甘やかしてくれるひとに会えるなんて、もはやすでに僥倖だ。」
・身の丈で生きるのは決して楽じゃない。大人としての自虐も客観もこれ以上バカげたことをしないための術である。それでも人は人を好きになる。人生の贖罪と残り時間を照らし合わせて、誰かを好きになり、思いが成就したならばそれは幸運と呼べるだろう。
本書は悲恋に終わるが、幸運に見舞われた二人の軌跡でもある。(中江有里の読後解説より) -
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ネタバレ『平場の月』を上梓した朝倉かすみさんの短編。
表紙絵が懐かしい…小学校の作文とかに、先生がこんなスタンプ押したりしていたなあ…
何かしらに頑張っている人を応援するような話かな…タイトルから想像したこんな内容とはちょっと違う。
7編の短編集なのだが、それぞれ登場人物は何の関連性もない。
『森のような大きな生き物』では、オリンピックに登場した前髪をカラーゴムでゆわえた小柄の女の子選手…これは誰のことか想像つくだろうが、さまざまなスポーツに登場する人気のある女子選手を応援する普通人の話。この話だけが、タイトルに合っている。
「地元裁判」…その小さな町だけのルールがあり、それを守れない家族が排除されていく話。
『相談』…部下から相談を持ちかけられ飲みにいくが、全く予想しなかった展開をみせていく話。こういう勘違い上司は結構いるんだよなあ。
『あなたはいなくなってはいけない』
…はこれまでの波瀾万丈な半生を女性が振り返る話。これまで何でも『飽きちゃった』という理由でやりすごしてきたが、これからもそうやって過ごしているだろう自分を客観的に想像している。深いなあと思った。
ちょっと表紙に騙された感じ。まあ話としてはどれも面白かったけど。
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びっくりした。想像してた短編集と全然違った。
全然違って、想像より面白かった。
「頑張るあなたに届けたい、勝手に応援短編集」と帯にあったので、例えば友人だったり子どもだったり、アイドルだったりを応援する人達が主役の、爽やかな物語たちなんだろうなと思っていた。
物語の幕開け『森のような、大きな生き物』でまず、「誰かを応援すること」で元気を貰えることは確かだし、自分の心の支えにもなるし、自分も頑張ろうと思える、尊い行為であると同時に、他人の人生を消費する行為であることや、垣間見える暴力性、身勝手さをも暴いている。私たちは誰かを応援するとき、往々にしてその誰かに勝手に期待をして、そこから外れた言動を目にすると勝手に失望する。他人の人生を消費しているという自覚を持たなければいけない、と、突然切っ先を向けられた気分になった。
全編が想像と違ったけど、「がんばれ」って、「応援」って誰のどんな人生にもあるし、決してひとつじゃない。それが個人的に面白かった。
あらすじからは全く想像できないので、もしかしたら好き嫌いはわかれるかもしれない。 -
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この、同窓会後のBAR。あるあるやな。
で、遅れてくる誰かを待ってるって、私の中の同窓会ながれにもそんなシチュエーションあったような。雪も降り始めた時期だったなあとか。誰かが「夜空ノムコウ」歌ってたなあとか。その誰かから思い出が広がるんだな~とか(笑)
まあ、このお話ほど凄い話はないけど。
田村に昔の同窓生を重ねて読みました。
私の中の田村くんとは違うけど(笑)
愛されてるな田村。いや、話のネタがきれると「田村はまだか?」になるのか。。。
田村は深い。「どうせ死ぬから生きてるんじゃないか」
「どうせ小便になるから、水飲まないか?」の下りのセリフガ深い。
田村ずっと元気でいろよ。
また同窓会で合おう
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世評の高い作品ですが、どうも合いませんでした。
小樽の喫茶店で月に一回開かれる読書会。メンバーの平均年齢が85歳の超高齢読書サークル。そこに加わったのが伯母の跡を継いで喫茶店の雇われ店長になった主人公の若者やっくん。新人賞を得たものの次作が出せない小説家であるやっくんは、なかなか達者な老人たちに振り回されつつ・・・。
朝倉さん、初読みだと思い込んでいたのですが、『田村はまだか』の作家さんでした。16年も前の感想には「なんだか不思議な魅力のある作品」とか「ちょっと独特の文体」と言った言葉が見えます。
この作品も同じ感じです。ストーリー自身はなかなか魅力的(老人たちの生態も面白いし、途中参加するマシンガントークの釈明が特徴の主人公と同世代の女性のキャラも可愛い)な気がもするのですが、なぜか歯車が合わない。普通は読み進めるうちにどこかで「噛み合った」と感じて一気に進む事が多いのですが、この作品はまた歯車が外れる。それでも終盤は良くはなったのですが、どうも「ちょっと独特の文体」に振り回された気がします。 -
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後期高齢者による小樽の読書会に、小説を書けなくなった作家が参加し、支援したりされたりするお話。
北海道弁の響きが面白い。会話はフランクで軽妙で、その分、深く考えずに口に出しているような印象を受ける。
そして、登場する後期高齢者たちは実際に、思ったことをすぐに口に出してしまう。
おまけに、皆わがままで辛抱が出来ない。
要は老人なのだが、しぐさや表情の描写、そして、シルバニアやマンマ、蝶ネクタイなどキャラ付けが上手く、愛らしくさえ感じてしまう。
老人たちの描き方が秀逸でした。
一方で、もう一つの柱である、本が書けなくなった小説家の話は、少しおざなりな印象を受けましたので星3つとさせていただきます。 -
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ネタバレ一言で言うなれば、「人生」
個人的には、田村のひと言が良かった。
「どうせ死ぬから、今生きてるんじゃないのか」
結末や先のことを考え、今を無意味に感じるのではなく、
今、この時に全力を尽くすのが人生だなと感じた。
最初の登場人物がいいちこの人、腕白な人とかなのに、
読み終える頃にはそれぞれ名前がつく。
その人の人生を知ることで、
ただの他人から一人の登場人物に変わる感覚。
ただの三次会の一場面が、
よりリアルなものへと変わる感覚。
素敵な小説体験だと思う。
ただ、物語の起伏が少なかったり、
場面転換が急だったりと読みにくさはあるので、☆3。
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先日のお茶会で、「雨の日の心理学」と共におススメいただいたのがこちらの小説。
ここ数年、心のホームグラウンドのように通う読書会のお話を契機に、「そう言えば読書会の素敵な小説がありますよ」と教えてもらったのが、
朝倉かすみさん著「よむよむかたる」。
朝倉かすみさんは、昔、タイトルに惹かれて読んだ「田村はまだか」以来の2作目。本当にずいぶんと昔に読んだきりなので、ちゃんと覚えていないんだが、思ってた感じと違った!という印象の残る作家さんだった。
さて、今回の物語。
小樽にある喫茶シトロン。
再婚で小樽を離れるここのオーナーである叔母から、雇われ店長としてお店を任され、主人公の安田は埼玉から昔住んでいた小樽へと移住する。
叔母から任されたのは、喫茶シトロンだけでなく、ここで毎月第1金曜に開かれる「坂の途中で本を読む会」と名付けられた平均年齢85歳という超高齢メンバーが集う読書会もだ。
お年寄りメンバーに対する安田目線のモノローグと、少しお芝居じみた登場人物たちの会話劇が物語を運ぶ。
(この会話劇で進む感じは田村はまだかを思い出させた)
超高齢者メンバーの読書会が物語のキモになるという、ちょっと浮世離れした設定なのかなと思いきや、ふわふわっと柔らかいだけでなく、
妙に地に足がついた印象と、
ギリギリの俗っぽさもある。
フィクションじみたドラマティックさの一方で、どことなくリアリティも感じさせる絶妙な塩梅。
群像劇をスッキリ綺麗に見せるというより、カオスはカオスのまま、
俗世のネガティブな雰囲気を取り繕ったりしないでそのまま描きながらも、
読んでいくうちになんだか大団円になってしまう、ちょっと摩訶不思議な感覚がある。
ひとつの物語を、みんなで朗読し語り合うシーンを重ねながら、いろんなシチュエーションで、もしくは会話の中で、
ポロポロっと溢れる「誰かの不在」。
時に謎を呼び、心配のタネになり、驚きを生み、哀愁と涙とを誘う、物語として最後まで飽きさせない秀逸な構成だった。
今回も会話劇の側面も強く感じたせいか、読み終えて心に残るセリフも結構ある。
語ること、続けること、老いること。
誰かや何かの不在は、どうしたって必ずいつか起こる現象だからこそ、
何かを読み継ぎ、何かを語り継いでいく尊さを改めて感じた。
面白かったー。
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Posted by ブクログ
78歳から92歳の読書会に参加することになった、
28歳・安田のやっくん。
読書会の名まえは、坂の途中で本を読む会。
朗読から始まるのが、なんかいいなーと。
メンバーに聴かせるために練習してきて、
メンバーはそれを味わうように傾聴する。
みんなで受け止める雰囲気が生まれている感じ、ほっこりする。
課題本の「だれも知らない小さな国」は、子どもたち向けのお話だけど、
メンバーたちに語らせると、
死が差し迫ったお話になる。
人生経験豊かすぎる解釈だなーとこちらも興味深い。
朝倉かすみさん、初読みでしたがワードセンスがツボにはまる。
「リアルでピュアでトゥルーなフェイス」
「わたしの怪しさをかたちづくる一因になってる」
「『マイ』すぎないマイペース」
これがお気に入り~。 -
Posted by ブクログ
後半、青砥が、あの時どうしたら良かったのか、相手がどういうふうに思っていたのか、とぐるぐると考えながら時を過ごす描写がリアルだった。
悩んでいる間に現実は着々とすすんでいる。そういうことって、よくある事だけど人は悩んでしまう。
青砥の目線から描かれているが、須藤はもっと切なかったのではないかと思う。本当は青砥の申し出を受け入れたい、生きたいと。でも叶わないことがわかっている。自分がいままでの人生であんな悪いことをした、だからこういう辛いことになった、と他人から見ればそんなわけないと思える発言も、無理やりにでもそう思わなければ「なんで私がこんな事に?」って、もう崩れてしまうような絶望感だったんだと思う。大人になって残された時間も体力も僅かになっていく寂しさも感じた。