あらすじ
デートの経験もある。男と寝たこともある、一度きりだけど。二十五歳の二宮風吹(にのみやふぶき)は「必死」が苦手。恋に餓えた顔を晒(さら)すぐらいなら地味で結構。そんな私が一目惚れするなんて。鍵屋の若旦那を想う気怠(けだる)く、もどかしい日々。攻め手が分からない。そんなときアパートの大家が言った――「好かれようとしないことよ」。
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続きを読みたい!!
一目惚れしてしまったヒロインと、その相手の進展にドキドキしながら読んでいました。鍵屋が不倫しているという場面を読んだ時は、思わず「えっ」と声が出てしまいました。そして、もっと鍵屋とヒロインの会話やデートの様子を読みたい!続きを読みたい!と思う本でした。
私が本に興味を持つ機会を作ってくれた本なので、これから先も大事な作品になると思います。
Posted by ブクログ
鍵屋にぞっこん。ちくしょう、鍵屋が好きだこんちくしょう色男め。吹雪が人に疑問を投げかける時の、「~なのでは?」って言うところ、ちょっとわかるしなんか好きよ。私も頭が固いから大家と山本ふみえに軽口叩かれながら励まされたい日々。
追伸・昨日ふとヒロエ・Oを思い出してギリギリしたから、私の鍵屋へのラブ度異常。
Posted by ブクログ
すごく好きでした。
朝倉かすみランキング暫定1位です。
「おなかの中に食べ物しか入っていない」
赤面症の、25歳のオクテでマイペースな主人公が、
鍵屋さんに一目惚れする話。
朝倉さんのことだから鍵屋にストーカーするホラーな作品かと思いきや、
かなりピュアなラブストーリーでした。
いいな、と思ったのは、
鍵屋の行動に傷ついた主人公がたまねぎを切るところ。
たまねぎによる生理反応でも絶対泣きたくないと、
水泳用のゴーグルをしてティッシュを鼻につめてまな板に向かう。
なんだかもうこのシーンだけで充分感じ入るものがあった。
そして家庭教師先の女子中学生が言う、
両思いになるおまじないはあるけど、コツなんかないんじゃないっていうくだり。
こういう一言がとても好きだなあと思う。
こんなぽつりと落ちるような一言がとても多い。
じーん。
確かに主人公はうじうじしているし、
鍵屋もそんなにいい人には見えないし、
まどろっこしい部分もたくさんあるけど、
もうそういうのは瑣末な問題だと思えるように、染み入る読後感。
恋に傷ついた友達や、
臆病になっている子に贈りたい。
恋愛経験豊富な人にはぴんとこないかもしれない。
それに女性向け。
相変わらず読者は選ぶけれど、
そのとんがりが魅力だし、
心にひっかかるんだなあと思います。
噛み締めて読みたくなる話。
解説の、
「想像力を働かせる余地がまったく無い小説なんて読む価値が無い」
というのが、ぴったり表している。
そう、こういうのが小説のよさなんだよな。
本を読む人でよかったなと嬉しくなる瞬間です。
売れ線の本とは一線を画すこの作風を維持していただきたいものです。
Posted by ブクログ
本屋さんで書店員さんがおすすめしていたので、読んでみた。
大家さんの言葉が素敵すぎる。
いくら好きな相手でも自分を安売りしちゃいけないんだなーと思いました。
Posted by ブクログ
面白かったー!
主人公の風吹に、すごくシンパシーを感じられて。
ちょっと自意識過剰なところとか、評論家目線、とか。
風吹の気持ちがじりじりと痛い程に伝わって心をもみくちゃにされた心地がした。
表現が独特で、馴染んだらくせになる。
いい小説でした。
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白かった。
凄かった。
と、幼稚な言葉しか出てこなかったのが残念なくらい。
何度も何度も表現の妙にページをめくる手が止まったし、
発想力と連想の連鎖に思考を巡らせた。
朝倉かすみの描写の、リアルさと小説らしさ
そのありかたのバランスの取り方、それが非常に好みなのである。
あらすじ。
25歳風吹、何にも必死になろうとはしてこなかった女。
というとやけに嫌な女に聞こえるけれども、いわゆる「必死かっこわるい」というスタンスではなく、「待っていてもいいじゃない」くらいのもの。
その健全な水のような風吹が恋をしたのは、鍵屋だった。
旅行帰り、スーツケースの鍵が開かなくて
大家さんに紹介してもらった鍵屋。
一目惚れだった。
もっと見たい、声がききたい、風吹は彼女なりの勇気をふりしぼって行動を起こしていく。
その一つであるベリーダンス教室に通ったことで
風吹は自分の身体の存在を自覚し、
自分にはない美しさを持つベリーダンスの講師のヒロエ・Oが
自分の片思い相手である鍵屋と特別な関係にあることを知る--。
という感じです。
いやもう本当に、文章だけでも最悪読めちゃいます、
っていう文体フェチの方がどのくらいいらっしゃるか
私にはわからないんですが、
この本はそういう方にもうってつけです。
それでいて物語もおもしろいんだから、たまったものじゃありません。
お手上げです。
「鍵」というキーワードで
鍵を開ける、錠前を閉める、という展開になっていた時点で
もうぞくぞくしてたまらなかったのですが
鍵師の過去が語られるに至って
「ああ、これも鍵がかかっていた部分なのか」と気付きました
どれだけ意味を持たせるのか
どれだけ緻密に構成されてるのか
同じ表現の多用も目立つのですが、それが実に効果的なんです
かれの声を指してオブリカード、ハーモニクス
と風吹は陶酔するのですが、
それが回を重ねるごとに読者にも伝播してくるようで
いつのまにか私も陶然として風吹の前にいる「彼」を思うのです
風吹というのも変わった名前で最初は馴染みにくいな
と思ったんですが
中盤あたり、彼女が奮闘する章を読み終わったところで
「やったじゃないか風吹!鍵屋の錠前の間から風を吹かせたな!」と
彼女を拍手喝采して気付きました
鍵がかかっていても風は入り込むから風吹?
いや考えすぎかなあ
これは誰にでも勧められる本だな、と私は思います。
読んでいて静かに恋心に浸るとか、しんみりするとか、そういうのとは逆!
どんどんテンションが上がっていくんですね。
そうだよねそうだよねわかるよ!って、叫びだしたくなってしまう感じ。
とびきりのガールズトークを聞いているような感じでもあり、
王道の少女漫画を読んでいるようであり、
そのくせきっちり文学作品しているのですから、
ノックアウトされない筈がないですよね。
この本、ピカイチです。
朝倉かすみの中でも一位か二位を争うほど好きです。
Posted by ブクログ
「好きになるってなんだっけ?」と思った時に読んでとても大切にしていた作品。恋愛に一生懸命だなんて女優か詩人がすることよと言ってた風吹がもどかしい片想いをしてしまう。それに助言してくれる大家さんの言葉がどれも意外なようで的を得ていて、勉強になった。「周りがどうこう、条件がどうこう、落とす技がどうこうってゆう話じゃないのだ、恋愛は!」となるため、恋愛離れしていてわからなくなった人にオススメ。
Posted by ブクログ
私は同時に何冊かの本を並行して読んだりするのだけど、気が付いたら長い間放っておきっぱなしになってしまう本がある。
この「好かれようとしない」もそんな一冊で、それというのも最初の方は、肌触り?はいい、というか、読んでて特に嫌な感じはないけど特にドキドキもしない展開だったから。
それが昨日、そういえばアレ途中だったなと、ふっと思った。
(貫井徳郎の「殺人症候群」という重い話を読んだ直後だったせいもあるかも)
そうしたら、なにこれ、おもしろい!
「あれこれ思うは人の心、ふっと思うは神の心」
なんだそうな。
エジプト旅行から帰ったらスーツケースの鍵が開かないことに気が付いた25歳、二宮風吹は、大家の紹介でやってきた鍵屋にひとめぼれしてしまう。
最初のグダグダな風吹に自分を重ねて、「そうそう、そんなことあるよねー」なんて若干上から目線でみてたのに、あれよあれよという間に鍵屋に近づいていくもんだから、最後は尊敬。
「あなたに用がある」の章の風吹はとてもかっこいい。
言葉のセンスがいいな、と思う。
小説として、話の深みや盛り上がりが重要な人には物足りないかもしれないけど。
あとがきで杉江松恋さんが挙げた三つの魅力のうちの一つに納得した。
「プロットの省略がしばしば行われ、その箇所では発想の飛躍が楽しめる。行間を読む魅力。」
Posted by ブクログ
うーん、いいっすねぇ!
何がといいますと、人物の会話の言葉のセンス。
ボクトツな!?主人公が、じっくりと恋を進めていく様。
何気に、人妻から相手を勝ち取っていくところ。
作者、勝手に若い人なのかと思ってたら自分の親とさして変わらないご年齢であられた。
言葉のセンスとか好みって、案外、歳関係ないのかもねと思った夜。
さっ、次の朝倉かすみ文庫は何読もうかな♪
Posted by ブクログ
途中まで、ああ、よくある、ダメな女の空回りかなあ、とおもったのですが、なにこれ!ときめくじゃない!!こんな小説も書けたんだ、このひと。ときめきました。
Posted by ブクログ
田村はまだかでも思いましたが、著者独特の空気感が非常に読んでて心地よいです。何処にでもいそうな平凡な人々をごく普通に書いてるだけなのに、ちゃんと一人一人が嫌味なく主人公としての輝きを持ってる。
Posted by ブクログ
各章の最後に、風吹視点じゃなくて彼視点のブロックがあって、そのやり方がなんだか好きでした。本当に短くて「匂わせる」くらいのものなのでそれでよりドキドキ出来たというか。
Posted by ブクログ
「好かれようとしない」っていうタイトルが今の自分にはピッタリ。本の内容とは全く状況は違いますが(苦笑)
主人公に共感できる部分がたくさんあって、読みながら応援(笑)
朝倉さんは文章のテンポがいいので読みやすいです。
Posted by ブクログ
すごいドロドロの話でした。内気な女子は共感するのかもしれませんが、50代男の自分としては全然よくわかんない世界でした。こんな風に考える人もいるんだなぁということで学び。
Posted by ブクログ
各章のタイトルは秀逸。
主人公の女性にはなかなか感情移入できず「拗らせてんなあ〜」という導入後からの、愛嬌チラリで「でも、可愛いのかも?」と思わされ、「ふーん、可愛いトコあるじゃん」と、少し歩み寄ったかと思うと女同士のマウント合戦を見せられて「うわ……地雷案件」と距離を取りたくなる。
読み手によってかなり印象は変わる作品。
主人公が一目惚れする鍵屋の男も最初はさっぱりとした爽やかさ、途中から狡猾な色気、そして「うへぇ」というなんとも落ち着きのない、実に人間臭い部分を見せつけられて、この「カッコいいじゃん」と「は? なんだ、コイツ」を行き来させられる。
途中から「なるほど」と納得も行くし、コミカルな部分も多くて、ちょっとしたラブコメ映画が脳内再生される感じ。
個人的には大家さんが素敵だと思ったけど、よく考えてみると大家さんは自覚して、自白しているし、過去の話だからなんとなく受け流せるけど、なかなかにえぐい色恋の流れがあって、登場人物はほどよく美しく、愛らしく、忌々しく、哀れ。
大きくネタバレではないと思うけど、最終的には全てが落ち着くところへ落ち着いていく感じ
同作家さんの他の作品を読んだことがないので、手探り感だけど、呼吸とリズムは自分とは馴染めた。
表示と内容から若い女性向け作品かなという感触で、どこかそわそわする、落ち着かない作品だった。
Posted by ブクログ
なかなか読み進められなかったけど、
読み終わったら「あーあっというまだったなー」となった。
最初は麻里も大家も落合もヒロエも嫌な人ーとおもってたけど、
読み終わるころには、なんか好きになっていた。
最後がよかったなー
最後の鍵屋の言葉がよかった
Posted by ブクログ
同じ作家の本ばかり読んでいるせいかもしれないけど、最初はすごく読みづらかった。言い回しがすっと頭に入ってこないし、何度読んでも理解できない文があったりした。
それでも最後まで読んだのは、主人公の性格や振る舞いが自分と似ていたからだと思う。最初はだらだら読んでたけど、話が進むにつれ、わくわくしながらページをめくっていた。終わりはすっきりしていて、読後感もよかった。
Posted by ブクログ
2012/6/10
ちょいとニヤニヤする本。
自分が”女の子”するのがとてつもなく恥ずかしいというのに共感。
私ごときを好きになるような男は嫌だっていうのも非常によくわかる。
ヒロエ・Oと鍵屋の関係は理解できん。
「あれこれ思うは人の心、ふっと思うは神の心」は実践したい。
ふっと思ったことはやろうぜ!私。
Posted by ブクログ
主人公と同い年。わたしも頭で考えることが多いなーと感じながら読んだ。
深く考えるのも大事やけど、ふっと思ったことも大事にしたい。
恋愛だけじゃなくって、それ以外のときも。
頭で考えがちな私が、もうちょっと自分の好きなようにしてみようかなぁと思えた一冊。
Posted by ブクログ
タイトルの「好かれようとしない」とは主人公・風吹の大家による恋の格言で、要するに惚れるより惚れられろってことかな?
顔がすぐ赤くなる風吹は、男から見るととてもかわいい。きっと国友くんとはいい恋愛が出来ると思う。
「あれこれ思うはひとの心、ふっと思うは神の心」大家さんの言葉は、いちいち深い。
Posted by ブクログ
タイトルに惹かれて買った。
途中から面白くなったけど感情移入は出来なかった。
『好かれようとしない』理由を自分なりに見付けたかったんだけど
なるほどねぇ。にはならなかった。
Posted by ブクログ
この作者独特の行間を読ませる描写に慣れなくて前半難しい小説だなと思ったけど、後半はテンポよく話が進んで面白かった。
「好かれようとしない」
今の自分に突き刺さるような言葉でした。
Posted by ブクログ
タイトルがセンスなさすぎる!
奥手で赤面症の主人公の行動にはわりと共感できた。
相手が鍵屋っていう設定をもっとうまく活かせるんじゃないかなー
なんかもったいない感じ。
最後の山本ふみえとにこぽんのエピソードは蛇足な気がする。
全体的になんとなく先が読めちゃうというか、
気になってぐいぐい読ませるパワーがもうちょっと欲しい。
映像化するなら風吹は蒼井優
Posted by ブクログ
p.278「好かれようとしないこと、と、嫌われるようなことをする、のとは全然違う。」
『813』のメモが、おまじないだったのか。←そういうのは嫌いじゃない。