朝倉かすみのレビュー一覧
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ネタバレ12人の女性作家などの酒に関するエッセイです。「泥酔懺悔」、2016.9発行(文庫)。面白かったです。①三浦しをんさん、30代から泥酔すると記憶を失う。朝起きると下半身裸で便器を抱いた形で寝ていたと。飲酒の習慣に並ぶのは読書ぐらいとか。②角田光代さん、飲み始めたら途中でやめられない。とことん飲んで記憶がなくなる。覚えていない泥酔時間、角田さんはどうなっているのか?w。③大道珠貴さん、女のひとのグラスについた口紅を指二本で拭うしぐさ、あれ。あの指をあとどこへなすりつけるんだろう、すごうく、気になる。
12人の女性作家の酒にまつわるエッセイ集。「泥酔懺悔」、2012.11刊行、2016.9文庫 -
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ネタバレ短篇集。
「森のような、大きな生き物」オリンピック代表の彼女を応援する“わたしたち”のお話。
「ニオイスミレ」“志願母”スミレのお話。
「あなたがいなくなってはいけない」ガンになった彼女の人生と、チョピンの話。
「地元裁判」望月姉妹を怪しむ亜子ちゃんと、異質なものを許さない地域のお話。
「相談」若い波多野の相談で、色々妄想してしまう50代独身課長さんののお話。
「ムス子」小説家で生計を建てられそうな加賀谷の恩人?ムス子。彼女は息子を亡くしていた。
「お風呂、晩ごはん、なでしこ」愚鈍を思われながらも、マイペースな、フージコさんの日常。 -
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どうしてこんなに朝倉かすみは…。
解説が、この短編集に収録された作品の主人公たちをうまくまとめていた。
“〈名前のイメージと自分の容姿とのずれなど承知していると表明したほうがらくになれる〉と考える内海さんをはじめ、かつては美少女だったのに〈一世を風靡した子役の成れの果て〉のような大人になってしまった「どう考えても火夫」の〈わたし〉、美人と言われた経験がないのは〈気がつくひとがいなかったからだ〉とずっと思ってきた「いつぞや、中華飯店で」の朔子、心延えがよくないと自分を叱ってきた両親から、あっさりした目鼻立ちと短い顎を受け継いだ「ちがいますか」の〈わたし〉。”
とにかく、自分の思っている自分 -
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豊﨑由美の書評を読んで、何が心に引っ掛かったのかは忘れたけれど、名前だけは忘れずにずっと気にしていた本を、やっと読んだ。
うん。やっぱり読みたかった本だ。
主人公はどれも30~40代の独身女性で、結婚をするかしないか、職場の位置関係(お局さまとの関係)で悩んでいたりするのだけれど、そういう表面的な部分ではなく、内側の形がすごく私に似ていると思ったのだ。
後ろ指を指されまいと善を身体じゅうに巻きつけて鎧にしているところ、こちらから頭を下げるなんてというプライド、誰かわかってくれる人がいるはずだという受け身で傲慢な自信。
いや、これ、私だわ。
特に、北海道新聞文学賞を受賞した「コマドリさんの -
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『田村はまだか』の朝倉かすみさんの、短編5作を含む処女単行本。表題作の「肝、焼ける」とは激しいじれったさを表す北海道方言。31歳の真穂子は、遠距離恋愛になってしまった24歳の彼・御堂くんのいる稚内の気持ちを確かめたくて、唐突に彼のいる稚内に訪ねてきてしまう。ところがいきなり行ってもすぐに会えるわけではなく、彼の部屋のポストに「電話下さい」とか突っ込んではうろうろ、また手紙いれてはうろうろを繰り返す。 「肝、焼ける」と言ったのは真穂子ではなく、彼女を轢いてしまいそうになったトラック運転手が言った言葉だが、もちろん彼女自身にもこの言葉が反芻されていくわけで。いろんな種類の「じれったさ」が錯綜してい
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「田村はまだか」で魅了され、以来、ずっと追いかけている、札幌在住の朝倉さんの近著。なんだか、抱きしめたくなるような小説です。
朝倉さんは端正な文章を書く作家ではなく、どこか素人っぽさを残しているのが持ち味でしょう。肩の力がいい感じで抜けていて、読む方も構えずに、朝倉さんが拵えた物語の世界に没入できます。
「抱きしめたくなるような」感慨を持ったのは、登場人物たちが、とても身近に感じられるから。主人公の清茂はもちろん、直、素子、光一郎、その他大勢。
いずれも、どこにでもいるような普通の人々ですが、それぞれに秘密、というほど大げさではありませんが、心にやっかいなものを抱えています。
その心の中のやっ