朝倉かすみのレビュー一覧
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読み進めにくい本だなあと思っていた。お年寄りが集まった読書会のお話。お年寄り特有のすぐに昔話になったり、話が脱線して収拾がつかなくなる様子が繰り返されて、最後まで読み終えられるかなあと思っていた。
『井上さん』が出てきたあたりから急に色々なことが展開し始めた。もやもやとしていたことが急にはっきりとしてきておもしろくなった。まちゃえさんとシンちゃんが生きているうちに少しでも早くこのことを知らせてあげてほしいという気持ちでいっぱいだった。
高齢のまちゃえさんか、入院を繰り返す会長が先にお空に旅立つのかと思ったら意外な会員がお空へ召され、予想はしていたけれどみんなの落ち込みようといったら…。でもやっくんと井上さんの加入でこの会ももう少し先まで続いていけそうだ、やっくんも胸につかえていたものがとれて新しい物語を創作できそうだという希望が生まれ安心できた。続編があったら読みたいと思う。
お年寄りの北海道弁が生々しい。ほんとこんな感じ。 -
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しょっちゅう小説を読んでいると、こうなればこう感じてこう行動する、みたいな定型、クリシェによく出会う。少しずつ表現を工夫して変化をつけても、どっかで読んだな〜と思うときがある。でもこの短編集には、予想に裏切られどう展開するのか全く見えない新奇さがある(特に『もう十分マジで』)。だから時間を費やして消費した以上の果実を手にした感じがある。結局コロナ禍って前代未聞の経験を私たちみんなに与えたのだなと実感する。細部がとってもリアルで、どうやって資料集めしているのだろうか。軽いトーンで書かれていても、内容はずっしり重たかったりして、不穏な時代の空気を反映しているようだ。
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5篇の短編集。
特に好きだったのは『令和枯れすすき』と『非常用持ち出し袋』の2篇。
『令和枯れすすき』はシニアの派遣労働者の「わたし」が主人公です。コロナ禍で仕事を首になった主人公は、日雇い派遣で働くことになります。毎週金曜日に派遣事務所から現金で給料を受け取るのですが、いつも事務所に周りから浮いているひとりの女性がいることに気づきます───
老人に対する世の中の冷たい眼差しをこれでもかと突きつけてくる小説でした。
ひとは老化とか貧困、病気から目を逸らしたいものなんだろうな…と思いながらも苦しくて堪らなくなります。
自分の中にある、自分でも気づいていなかった老人への差別心にも気付かされました。
今までぼんやり「老人」と、ひとまとめに見ていたひとたちの姿が一人一人個性を持った姿として見えてきたとき、自分がその中のひとりになっていることに気づく描写には身につまされるものがありました。そうだなぁ、そうやって、自分も老人になっていくんだろうなぁと。
胸がギュッと締め付けられるような作品でした。 -
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秋に朝倉かすみ『平場の月』の映画が公開されるのでそれまでに読もうと思っていたのだけれど、同作者の今作も積読のままになっていたので、先に発表されているこちらから読むことにしました。
最初、文庫表紙のイラストが麒麟の田村に似ていたから物語の田村を何となくイメージしていたけれど、表題作である第一話「田村はまだか」を読み終える頃には全く違うイメージを抱いていた。読み終えて改めてこのイラストを見ると、多分スナック・バー「チャオ!」のマスター花輪春彦だろうと分かる。
連作短編集とは知らずに読み始めたけれど、第二話でそれがわかると、「チャオ!」に集まった面々のそれぞれの人生に思いを馳せられることを嬉しく思った。
まだ来ない田村を登場人物たちと待ちながら、どんな再会を果たせるのだろうとワクワクしながら読み進められた。
僕の記憶にも深く刻まれている、今はもうなくなってしまったBAR雫の夜を思い出しながら、人の来し方の機微を思わずにはいられない作品でした。 -
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上品な白い装丁に惹かれて何気なく手に取ったのだけど、予想外に良かった。
6つの短編、いずれも主人公は50代。まさに人生の「たそがれどき」に差し掛かっている。老いをひしひし感じつつも、まだ現役としてもがいているのだ。
作者自身が投影されているような『その日、その夜』が面白かった。結末は悲しいけどユーモアがあり、独身あるあると言おうか、独り生活が長いと身につまされるのではないか。
『ホール・ニュー・ワールド』と『王子と温泉』の50代はどちらもちょっとイタい。自分は十分若いつもりでも、周りからは完全にオバサンに見えていることを忘れてはいけない。
最後の『さようなら、妻』では、夫が妻と出会った若い日からの回想を延々と続ける。ラストでようやく「さようなら」の事情が判明するが、それまでの妻の描写が上手くて、妙に納得感があった。 -
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ネタバレ田村はまだか
札幌のススキの路地裏にあるバーに同窓会の三次会として集った5人の中年男女とバーのマスター。
5人は各人各様の人生を振り返りながら、われらがヒーロー田村を待っている。
ジャージに虎刈りの冴えない容貌の田村は、心に響く言葉で1人でつっぱって孤立していた少女を救った。その彼女は今は田村の妻で、田村は苦労した末に豆腐屋の主となった。
時は過ぎ、もう午前3時を回り5人の物思いと会話も尽きてきたが、田村は未だ来ない。
”田村はまだか!”
第一話を読んだときに”これは当たり!”と思いました。が、読み進むうちに中年男女のぐだぐだに巻き込まれてしまい少しがっかり。”これもクライマックスに向かった著者の作戦かと思いましたが、最後までまとめきれないまま、凡庸な話で終わってしまいました。
それでも、竹蔵は★4つをつけます。それだけ、第一話は素晴らしかった。竹蔵も田村に会いたかった。
同窓会が多くなる年頃になりましたが、皆さんにとっての田村はいますか?
人間中年を過ぎればいろいろありますが、それをずばっと解決してくれる田村を竹蔵も待っています。
”田村はまだか!”
竹蔵 -
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私にはまだまだ分からない世界だ!!
やはり歳を重ねると、人生の深みが増すのかなぁ
田村を待ち続け「チャオ」で飲み続ける
6人の人生奮闘記。
小学校の同窓会で集まって、クラスの三次会で集まった池内、永田、坪田、千夏、祥子、そして彼らを見守るチャオオーナー花輪。
彼らの仕事での話や恋愛話、それぞれ重ーく終わりが見えないと思いきや、とある人が宝物のような言葉を遺していく。
そして永田の合いの手「田村はまだか」
このなんとも言えないストーリー展開が
とても気持ちよくて、好きだ。
果たして田村は来るのか、彼らのこれからはー。
彼らと同年代になったら必ず読みたい1冊!!
そして私も言いたい!!「田村はまだか」