朝倉かすみのレビュー一覧

  • 田村はまだか

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    要約すると、田村が同窓会に来なくて、バーで待ってる旧友達がちょっと思い出を振り返る連作短編集です。

    要約しても何も面白くありませんでした。この作品で面白いのは、ストーリーではないからです。この作品で面白いのは、心の動きの機微であり、そのリアリティであり、その不純さも認める美しさであるからです。

    人間を描くのが小説ならば、この作品こそが、小説。若き日の、純粋さの塊としての田村。そして、その田村を見た当時の自分の不純さを認める、いま一瞬、田村を待っているこの瞬間の純粋な目。

    大好きな作品です。

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    2021年03月24日
  • 乙女の家(新潮文庫)

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    付和雷同型のことなかれ主義な若菜。グループの中でもぱっとしない自分を変えたくて、レジェンド(?)づくりの家出を企ててみたり、誰かの輝く脇役として奮闘してみたり。
    家族のあり方、あるべき「親子」像に悩んだり。
    青春時代だからこそ抱える自分のアイデンティティへの悩みに、共感するところがあった。
    また、個人的には女子校出身ということもあり、曾祖母、祖母、母、若菜のかしましいコミュニケーションも好感が持てた。

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    2020年03月29日
  • 好かれようとしない

    ネタバレ 購入済み

    続きを読みたい!!

    一目惚れしてしまったヒロインと、その相手の進展にドキドキしながら読んでいました。鍵屋が不倫しているという場面を読んだ時は、思わず「えっ」と声が出てしまいました。そして、もっと鍵屋とヒロインの会話やデートの様子を読みたい!続きを読みたい!と思う本でした。
    私が本に興味を持つ機会を作ってくれた本なので、これから先も大事な作品になると思います。

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    2019年10月23日
  • 満潮

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    多少現実離れしているように見えてどの人物もリアル。一見過剰で極端に見える眉子についても「いるいるこういう子」と思わせる。なんなら自分と重ねて読んでしまった。

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    2019年07月17日
  • 遊佐家の四週間

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    静かな狂喜。
    どうしようもない読後感。
    タイトルからは想像できなかった。
    忘れられない一冊になりそう。

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    2019年06月24日
  • 肝、焼ける

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    自己中心的・自惚れ・自意識過剰・コンプレックス・頭でかち
    愛情不足・恋愛下手・言葉遊びな感じ。

    「田村はまだか」にもハマったが、こっちに鞍替え。
    言葉のチョイスがとても面白い作者さんだと思う。

    伊坂とか村上とかの「センスに自信ありです皆も感じ取って!」のと違って、
    スッと自然にコトバが頭に響く。

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    2016年12月06日
  • 幸福な日々があります

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    爽快感とか高揚感とか、そういう感覚とは無縁の物語だとはおもうけれども、不思議と引きずられるように読み進めてしまった感じ。

    大きな不満があるわけでもなく、夫として好きではなくなったゆえに離婚を思い立つ、それも嫌いになったというわけではなく、好きではなくなったということをもって。

    ネットのレビューを見るとネガティブなものが思いの他おおくて、すこし「あれ?」って思う反面、そのレビューにも一理あるかなと納得しないでもない。

    不思議と自分の周波数にあってしまったかして、一気に読めてしまった感じ。融通の利かない愚直さ?

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    2015年11月03日
  • 感応連鎖

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    それぞれの話を読んでる時点ですごいと思ってたけど、最後のページでは気持ち悪くなるほどだった。女子の自意識こわい。夢の娘ってこんな恐ろしいのか。でも自分にも大なり小なり当てはまる部分はあるから気持ち悪くなったんだと思う。

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    2013年07月03日
  • 感応連鎖

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    ネタバレ

    久しぶりの朝倉節が効いていて満足。
    初期の『ほかに誰がいる』のような激しい感じと
    最近の奇妙な雰囲気が相まって3人の女を、まるでそこにいる人物に
    言葉を紡ぐようにして描いている。
    朝倉さんファンとしてはとっても安心する一冊でした。

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    2013年03月26日
  • 感応連鎖

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    読んでいて、河をわたったような気分になった。

    気付いたら服の裾が濡れていて、
    つぎに気付いたらすっかり腰まで浸かっていて、進むしかないという心地がする。
    そして物語が進むと、もうすっかり足のつかない深い部分にひきずりこまれていて、どうしようと途方に暮れて、もがいていると、
    突然ぐいっと向こう岸に引き上げられる。
    そして、その先にはまた河があることを知る。

    読んでいるときの感覚を表現すると、
    上記のような感じになる。

    朝倉かすみは、女性を描くのがうまい。
    おそらくどんな女性も感じたことのあるであろう自意識、それを強調して描く。
    そこに皮肉なタッチがないので、ついついこちらも
    「ああ、こうい

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    2013年03月03日
  • ともしびマーケット

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    その名のとおり、ひとの心に火を灯すともしびマーケット。読んでいるうち、登場人物と次々顔見知りになっていくようなあたたかい不思議な感覚にとらわれた。

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    2013年01月27日
  • 好かれようとしない

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    鍵屋にぞっこん。ちくしょう、鍵屋が好きだこんちくしょう色男め。吹雪が人に疑問を投げかける時の、「~なのでは?」って言うところ、ちょっとわかるしなんか好きよ。私も頭が固いから大家と山本ふみえに軽口叩かれながら励まされたい日々。

    追伸・昨日ふとヒロエ・Oを思い出してギリギリしたから、私の鍵屋へのラブ度異常。

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    2012年08月10日
  • 好かれようとしない

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    ネタバレ

    すごく好きでした。
    朝倉かすみランキング暫定1位です。

    「おなかの中に食べ物しか入っていない」
    赤面症の、25歳のオクテでマイペースな主人公が、
    鍵屋さんに一目惚れする話。

    朝倉さんのことだから鍵屋にストーカーするホラーな作品かと思いきや、
    かなりピュアなラブストーリーでした。

    いいな、と思ったのは、
    鍵屋の行動に傷ついた主人公がたまねぎを切るところ。
    たまねぎによる生理反応でも絶対泣きたくないと、
    水泳用のゴーグルをしてティッシュを鼻につめてまな板に向かう。
    なんだかもうこのシーンだけで充分感じ入るものがあった。

    そして家庭教師先の女子中学生が言う、
    両思い

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    2012年02月14日
  • 肝、焼ける

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    ネタバレ

    「肝、焼ける」と「春季カタル」が好き。
    自分ではおよそ体験しないようなストーリーなのに、どの主人公の女性もなんとなく感情移入させてくれるのが面白い。認めたくないけどちょっとわかるよーその気持ちー。

    ほわほわキラキラした飾り付けの無い、残暑のような恋愛小説だった。

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    2012年03月20日
  • 好かれようとしない

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    本屋さんで書店員さんがおすすめしていたので、読んでみた。
    大家さんの言葉が素敵すぎる。
    いくら好きな相手でも自分を安売りしちゃいけないんだなーと思いました。

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    2011年11月02日
  • 好かれようとしない

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    面白かったー!
    主人公の風吹に、すごくシンパシーを感じられて。
    ちょっと自意識過剰なところとか、評論家目線、とか。
    風吹の気持ちがじりじりと痛い程に伝わって心をもみくちゃにされた心地がした。

    表現が独特で、馴染んだらくせになる。

    いい小説でした。

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    2011年03月25日
  • 好かれようとしない

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    めちゃくちゃ面白かった。
    凄かった。

    と、幼稚な言葉しか出てこなかったのが残念なくらい。
    何度も何度も表現の妙にページをめくる手が止まったし、
    発想力と連想の連鎖に思考を巡らせた。
    朝倉かすみの描写の、リアルさと小説らしさ
    そのありかたのバランスの取り方、それが非常に好みなのである。

    あらすじ。
    25歳風吹、何にも必死になろうとはしてこなかった女。
    というとやけに嫌な女に聞こえるけれども、いわゆる「必死かっこわるい」というスタンスではなく、「待っていてもいいじゃない」くらいのもの。
    その健全な水のような風吹が恋をしたのは、鍵屋だった。
    旅行帰り、スーツケースの鍵が開かなくて
    大家さんに紹介

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    2011年02月17日
  • 平場の月

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    ネタバレ

    聞き慣れない「平場」という言葉の意味が観終わった後に効いてくる作品であった。
    青砥、須藤は、まさに一般的な中年の男女で中学の同窓であった。
    それぞれに人生の辛酸を経験して再会した時から始まった不器用な二人の関係がいじらしくもあり、歯がゆかった。
    最後は悲しい結末とはなったが、青砥の愛を感じながらも天へ召された須藤。須藤への想いをぶつけながらも思うようにいかず、約束を待ちながらも彼女の死を後日知った青砥。
    それぞれ相手の事を考えた上での行動であっただろうが、あまりに切ない結末となった。
    でも、二人が過ごした時間はお互いにとって「宝物」であったと私は信じたい。

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    2025年12月21日
  • 平場の月

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    『よむよむかたる』から5ヶ月ぶりの、朝倉かすみさん。
    映画の予告で知りつつも、ラジオで星野源さんの歌う映画の主題歌で観に行きたいと思い、原作を読みたいと思いました。

    地元で再会した須藤と青砥。お互い中年の50代での恋愛。中年世代でもある自分だが、こういった恋愛は憧れる。が、須藤の我の強さ、青砥の自分の気持ちを表に出すことのできないもどかしさが目についた(それがお互いの繊細な気持ちが緻密に描かれている)。

    特に過去の出来事(家族関係・結婚・離婚・恋愛)が性格を生成されていくこと、お互いの気持ちを紡ぎ合うことの難しさを痛感する部分。そして自分の体の変化や家族のことなどと課題が広がっていき、心が

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    2025年12月21日
  • たそがれどきに見つけたもの

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    とても面白く読めちゃった。それはわたしがたそがれどきにだからなんだな
    裏表紙に切なく優しいって書いてあるけど、決して優しくないからね

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    2025年12月18日