朝倉かすみのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ北海道でひとり暮らしのおもちさん、だんだん認知機能が落ちてくる本人の気持ちが見え隠れして、せつない。理解できないけど私はここにいる、いない人扱いしないでほしい。今、介護をしている訳ではないので冷静に感じられるが、当事者なら分かるけどそうもいかないと揺れるだろうな。
今、頭の中を何かが通り過ぎた、楽しい思い出、それがカタツムリの這った跡みたいにキラキラ残ってる
感情のネジ、制御するネジどちらもバカになったようで
そういうふうに感じるんだ。
いい本だったし、読むべき本だった。
それにしても金銭的に余裕がないと何もできないことは痛感する。
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Posted by ブクログ
面白い。迷ったけど星5つ。
そもそも、タイトルと装丁と設定でもう、やられてしまっていた。
読んでガッカリしたらどうしようと思ったけど、そんなことはなく、次々と繰り出されるエピソードを、僕も田村を待ちながら読んだ。僕と同じように、多くの読者が田村を待ちながら読んだことだろう。
登場人物は全員、元こども。中年になった今を描写する言葉たちは辛辣で、決して順風満帆ではない現実を受け止める感情は、それは諦めだったり、達観だったり、未整理の感情だったりするけれど、それもこれも、「田村はまだか」というフレーズに集約されて、エピソードの最後には少しだけ救われていく。見事だ。
田村は来なかった、というエンディングだと予想していたが、裏切られた。予想外の重たい、しかし力強い結末で、作品全体が引き締まり、ただの愉快な小説ではなくなっているところも見事。
マスターの字がきたないところも、見事。 -
Posted by ブクログ
これは面白かった。40歳くらい大人たちが集まる、小学校の同窓会の3次会。最後まで残った5人が遠方から来る田村くんを待つ。待つ間、一人一人の物語が短編小説のように語られるのだが、その内容が「それを言ってしまうのか」という身も蓋もないもの。ある元保健教員は、「30過ぎて未婚。身の程を弁えて悟った態度を取る反面、まだまだ捨てたものではないという気持ちもあるが、それを生徒たちに見透かされ、気安く、あるいは見下されたような態度を取られているが、もしかすると、生徒たちと何かあるかもという希望にも似た気持ちを最後まで捨てきれない」と独白する。こういう個別の物語が、全体のテーマ?である「田村は、まだか」とうまくつながって、読んでいる方も、田村はまだかと思うようになる。同時に、田村がきてしまうと物語が終わってしまいそうでそれは避けたい。最後は意外なエンディングで、一本取られる感じ。他の作品も読んでみたい。
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ネタバレ 購入済み
続きを読みたい!!
一目惚れしてしまったヒロインと、その相手の進展にドキドキしながら読んでいました。鍵屋が不倫しているという場面を読んだ時は、思わず「えっ」と声が出てしまいました。そして、もっと鍵屋とヒロインの会話やデートの様子を読みたい!続きを読みたい!と思う本でした。
私が本に興味を持つ機会を作ってくれた本なので、これから先も大事な作品になると思います。 -
Posted by ブクログ
読んでいて、河をわたったような気分になった。
気付いたら服の裾が濡れていて、
つぎに気付いたらすっかり腰まで浸かっていて、進むしかないという心地がする。
そして物語が進むと、もうすっかり足のつかない深い部分にひきずりこまれていて、どうしようと途方に暮れて、もがいていると、
突然ぐいっと向こう岸に引き上げられる。
そして、その先にはまた河があることを知る。
読んでいるときの感覚を表現すると、
上記のような感じになる。
朝倉かすみは、女性を描くのがうまい。
おそらくどんな女性も感じたことのあるであろう自意識、それを強調して描く。
そこに皮肉なタッチがないので、ついついこちらも
「ああ、こういうことあったな・・」「わかるよ・・」という苦笑いでもって、登場人物たちを受け入れるしかないわけだ。
この物語はすこし不思議で、
母親によって「夢の娘」という妄想を押し付けられた巨躯の娘、セツの視点から物語は始まる。
母親の望みをうけて、自分もそうありたいと願いながらもそうではない自分を痛切に感じている彼女は自分たち二人の思いが自分の体をどんどん膨らませているのだと思っている。
そんな彼女は、同級生の「絵里香」に自分の隠した本性の片鱗を言い当てられ、とことんまで愚鈍を演じることを決める。
その絵里香は、人の気持ちの中にある言葉を舌に乗せる能力を持った女の子だ。
彼女を支配するのは虚栄心、自尊心、嫉妬。
その絵里香がねたみ、
セツが「彼女こそ夢の娘だ」と確信する相手、それが由季子。
誰よりも美しい容貌をもち、理想の娘らしいしぐさをもち、
しかしその実、それはすべて他者の望む像でしかない、空っぽな娘。
彼女は、セツによって自分を「夢の娘」に仕立てあげられることを望む。
しかし、「恋」こそがより少女たちを完璧なものにすると信じたセツが、その思いをうけた由季子が起こした行動によって彼女たち自身に変化がおきる。
タイトルにあるように、それは「連鎖」する。
小説のつくりとしては、二か所ほどにミスリードが仕込んであって読み進めるわくわく感があっていい。
物語がどこに着地するのか、まったく想像できない不気味さもいい。
ああ面白かったなあ、と読み終わろうとしたら、
最後の最後でぞっとさせられる。
このためだけにこの一篇を書いたのでは、とすら思うような。
だから本を読むのはやめられないなと久々に思った一作。