宇野利泰のレビュー一覧
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大富豪ヨーク・ハッターの死体が港で発見されるところから物語は始まる。何度も命を狙われる盲目で聾唖の長女ルイーザ、そしてハッター家の支配者であるエミリイはマンドリンで撲殺される。
ドルリー・レーンを探偵役とする「悲劇」4部作のうち、前作『Xの悲劇』に続く第2部。
以前読んだことがあるが、凶器がマンドリンということしか覚えていなかったので再読。
ドルリー・レーンが警部と検察官に事件の概要を説明している時の悲痛さが徐々に増していく雰囲気がとても印象的。『Xの悲劇』の続編だから『Yの悲劇』と言うタイトルなんだろうけど、物語に出てくる「これはまさに『Yの悲劇』だ」というレーンの言葉に深く頷いてしまう。 -
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クラスメイトが貸してくれた2冊目のラヴクラフトですが実はもう1冊ラブクラフトを読破しています。
全ての全集を読んだ訳ではありませんのでお詳しいファンの方に怒られるかもしれないですがお話のパターンが見えて来ました。
①海から異形の者がやって来て、それを見た人間の気がおかしくなってしまい周りも巻き込んで最終的にはドギャーン!!
②異形の者に出会ってしまったり儀式に出くわして気がおかしくなり精神病院に入れられる率が高い。
③身内とか知人の遺品の中に訳の分からない文献を見つけてしまい、気になって調べてるうちにドギャーン!!
④怪しい建物の地下や未開の地の奥はろくな事がない。
⑤何パターンもある呪文が、イアー!とかテケリ・リ!!とかどれもちょっと笑える
⑥ラヴクラフト氏、恐らく犬好き。
⑦船乗りはたいていろくな目に合わない。
これだけではあまりにもクトゥルフ神話に失礼なので、ざっと簡単にクトゥルフ神話の触りだけまとめてみました。
異形のものは太古に地球を支配しており、現在は姿を消しています。滅多に現れないのですがたまに人類と接触してしまい、その人や周りにいた人を狂わせてしまいます。
クトゥルフ神話と言えば邪神と呼ばれる異形の存在が欠かせないらしいのですが、神話の名を冠した「クトゥルフ」が有名だそうで、彼(彼女かも)はかつて地球を支配していたのですが、すったもんだあって(邪神同士の戦いとか)今は南太平洋の海中深くに沈んでいる古代都市『ルルイエ』でおやすみしています。
クトゥルフさんはタコの頭にイカの足が生えた顔、カギ爪の付いた手足にぬめぬめした鱗が身体にビッシリというお姿。このクトゥルフさんの思念派に当てられて、悪夢を見たり精神錯乱を起こした人が現れてどギャーン!となるみたいです。
お仲間の邪神にかの有名なニャルラトホテプさんがいらっしゃるようですが、3冊しか読んでいない私の理解はここまでです。
ラヴクラフトの作中ではこれらに当てられたり、出会ってしまったり、未開の地でうっかり古代都市に足を踏み入れたりしてしまったり、クトゥルフを神とするクトゥルフ教団の儀式の痕跡を見つけてしまったりして大変な目に合っているようです。
さて、軽く前知識も入ったのでこれでお世話になっているultramanさんに教えて頂いたクトゥルフ神話をベースにした『魔界水滸伝』をより楽しめます!
実は並行して読んでいたのですが、もう面白くてワクワクしてます。
いあー!!! -
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『思考機械(シンキング・マシーン)』は、本名を「オーガスタス・S・F・X・ヴァン・ドゥーゼン」といい、哲学博士(PH.D.)、法学博士(LL.D.)、王立学会会員(F.R.S.)、医学博士(M.D.)、そして歯科博士(M.D.S.)といった、肩書きと名前とでアルファベットの殆どを使ってしまうという、驚くべき人物である(それにしても、長い名前だこと)。
1887年に誕生した、シャーロック・ホームズの人気を皮切りに、各国から、それに続けとばかりに現れた個性的な推理ものの中に於いて、この思考機械シリーズは、1905年の『十三号独房の問題』で初登場し、その彼自ら刑務所の独房内に入り、そこから見事に脱出してみせるといった、彼自身の知識の豊富さに基づく観察眼と発想を転換させる天才ぶりに、サバイバル要素も加わったストーリー展開が斬新で、それは、本書の「《思考機械》調査に乗り出す」にも感じられた、探偵自身が窮地を脱するようなワクワクさせる面白さがあった。
しかし、そのイメージがあまりに強すぎたのか、本書の短編十一作を読んだ率直な印象としては、割とオーソドックスな型に感じられ、誰にも解けないような謎に興味を持つ思考機械が、時に新聞記者の「ハッチンソン・ハッチ」(彼も思考機械の魅力に取り憑かれた内の一人)を情報収集役にし、安楽椅子、フィールドワークとやり方は様々でありながらも、やがては論理的思考によって、事件を解明していく、よくあるパターンといえばそうである。
また、謎の中には彼の肩書きを象徴するような、理系のそれの分かりづらさや、中には、伏線に無い後付けしたようなものもあって、読者が共に読みながら謎を解明していくには、やや合わないかもと感じたが、それでも1900年代に、このような今でいうところのオーソドックスな型を作り上げた功績は、凄いと思う。
そして、そこにフットレルならではのストーリーテリングが加わることで、事件の謎を解く物語としての面白さは充分に感じられ、特に、同じ叙情的文章を二度掲載したこと自体が伏線となっている、「完全なアリバイ」や、金庫破り専門の男ドーランが妻の為に、警察が押し掛けてくるまでに如何にして大金を隠すかといったスリリングさも読み所の、「茶色の上着」は良かった。
更に、フットレルの描き方で印象深かったのが、犯人の中にある人間の汚さや真意の読めない恐ろしい部分であり、その、時に思い切った非情なさまは如何にして、心の中で形成されたのかといった点に惹かれたのが、「情報洩れ」や「余分の指」であり、特に前者の、他人の信頼をいいことに飄々と日常生活を送っていた、その心理状態は全く理解出来ないものがあったが、そうしたものも含めて人間の複雑さなのかもしれないと、思わせるものがあったのも、確かであった。
それから特筆すべき点は、ホームズとはまた異なる、思考機械の探偵像であり、その興味のある謎の話を聞いている時の彼独特の仕種、椅子に座りながら細長い指の先をつき合わせ、斜視ぎみの目を天井に向ける様子や、スティーヴン・スピュリアによる表紙の彼の絵もそうだが、中でも、彼の生き様を表しているものとして、『二プラス二は四であるのは、つねにそうである』の台詞に裏付けられた、論理的思考に対する絶対的な自信であり、時にはそれによる頑固な一面も見られたが、『想像だけで論理操作の半ばが達成される』や、『あらゆる疑問点の答えを得るまでは、謎が解けたなどというべきでない』といった、考える事や、どこまでも丁寧に手抜かりなく一つ一つ追っていく事の大切さを唱えており、決して自信過剰なだけでは無い、直向きな真面目さこそが、彼の真の持ち味なのだと感じ取れた。
そして、それは物語で依頼人から届いた小切手も、身体障害児童収容ホームへ送付させる、彼の、謎自体が報酬であると認識している、その優しい人柄からも感じられて、そんな彼の人柄はそのまま、タイタニック号の遭難事故で、妻を救命艇に押しやり、自分自身は船に留まって海底に没した、フットレル自身のそれを表しているようで、なんだか切なくなってしまったが、おそらく確固たるものを内に抱いていた方なのだろうと思わせる、彼の人間性があったからこそ生まれた物語なのかもしれないと考えると、また違ったものが見えてくるような気がしてならない。 -
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"クトゥルフの呼び声"というタイトルは有名だが、話自体はさほど長くない割に読みずらかった。叔父の資料を中心とした情報収集の話が主で、退屈に感じた。悪魔的儀式のシーンや、終盤の石柱の台座の扉を開けてからの話は面白かった。他者が死んだり狂っていく中で、ヨハンソンの行動力が凄まじい。
"エーリッヒ・ツァンの音楽"は映像化して欲しあくらい光景がありありと思い浮かべられ、奇怪であり、読みやすかった。
"チャールズ・ウォードの奇怪な事件"は落ちが分かってしまっていたので微妙。しかし、医師の根気というか、活躍が凄すぎて笑った。
フングルイ・ムグルウナフー・クトゥルフ・ル・リエー・ウガ=ナグル・フタグン
(死せるクトゥルフが、ル・リエーの家で、夢見ながら待っている。)p28 -
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ジョン・ル・カレを読まずして旅立つことはできないのだよ諸君
ただ、ひとつだけ告白しておこう
ずっとジョン・カレ・ルだと思っていたよ
バーモントか!
はい、スパイ小説の教科書と言っても過言ではない『寒い国から帰ってきたスパイ』です
1961年刊行でイギリスとアメリカの最優秀ミステリー賞を同時受賞した傑作であります
いやー、こっち側もいいですなぁ
巻末の解説にもありますがいわゆるスパイ小説というのは「超人的な能力の持ち主である主人公が、《手に汗握る危機一髪》的な事件で活躍する《神話》であった」のに対して本作は圧倒的なリアリズムを持ってスパイの世界を描いているんですな
そしてもちろん、それだけでは英米同時受賞なんてことにはならないわけで、とんでもないどんでん返しとスパイの世界を象徴するような結末が待っているわけです
いやー、ジョン・カレー・ルー(開き直った)おもろいわ!
スパイ小説、どっち側もおもろいわー! -
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ノン・シリーズも異色短編として悪くはないが、水準作(「玉を懐いて罪あり」を除く)。やはり読みどころはテナント少佐シリーズ。フランコ独裁政権下のスペインをイメージした架空の共和国で、かつては反将軍派でありながら、今はその将軍に仕えなければならないテナント少佐の、面従腹背を地で行く苦闘が描かれる。テナントの闘いは単に謎を解いて、犯人を捕まえれば良いと言うものではない。ときにおぞましいとも思える命令に従いながら、自らの矜持や正義を守り抜くためのパズルを、テナントは解かねばならないのだ。
実は数十年ぶりの再読なのだけれど、びっくりするくらい覚えてましたね。これは傑作。