宇野利泰のレビュー一覧
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本屋で、Wカバー(カバーの上にさらにカバー)がかかった本が平積みされていたので、思わず手に取りました。
――“ミステリの一部界隈では「とある理由」でよく名が知れているものの、絶版で長らく入手困難になっていた作品です。”
表紙に書かれたこの一文に、完全にやられました。
一体どんな内容なんだ?!と、期待が一気に膨らみます。
しかも「とある理由」を知っているのと知らないのとでは、読み味がまったく違うというのです。
この作品が発表されたのは1917年。
その時代に、あのトリックや表現方法を用いて作品を創り上げていたとは……本当にすごいことです。
物語は、仮面舞踏会の夜に殺害された女優をめぐる事 -
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旅行先で、表紙タイトルが隠された状態で激推しされてたので買った本。
昔の、それも翻訳本ということでやや読みにくいが、結構面白かった。
いわゆるナードぽい主人公が奔走する話。元カノが殺されて、BSS(僕の方が先に好きだったのに)の女性が第一発見者で、容疑者は元カノを寝とってBSSの女性と結婚した友達らしい。
話が込み入ってるし、なんかもう誰が誰だか?ってなる。それに、主人公もよく言えば好きな人のために頑張ってるけど、悪く言えば空気読めない事するし……(婚約者もいるのにね)
内容文体トリック含め、良くも悪くも昔っぽいけど、でも100年以上前の作品らしいから、その当時の衝撃過ごそう。 -
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ネタバレ売り方が面白くて購入。表紙が見えないようにカバーの上から更にカバーがされ、売り文句が書いている。「とある理由」で有名な小説であり、それゆえに前情報なしで読むべしとのこと。あらすじも表紙も装画も見ずにに買うことはなかなか無いので、新鮮な気持ちで作品に触れられる良い企画だと思う。少なくとも電子書籍では出来ない。
しかし、ある程度読み進めると犯人に気づく。古典と言ってもいい作品なので、現代の感覚で読むとわかる人はわかるだろうが、なによりもカバーの売り文句によって「仕掛け」があることが明かされてしまっているからだ(何を言ってもヒントになってしまうので、仕方がないとは思う)。しかし仕掛けに気付いた -
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この手の名作がいつだってそうであるように、この本は数十年前に出版された昔の本にもかかわらず提起される警鐘は今でも通用する。「本」が許されない世界。本作では、本が消されていた理由は、思考を促すため。本は政権に、社会に、歴史に、批判的な思考を促してきた。現代社会を映すように「」に入る単語を変えるのであればなんだろうか。独裁政権では分かりやすい。「」に入るのは情報。インターネットが普及した現在では本が担ってきた役割がインターネットによって一部置換されている。そのインターネットが運ぶ情報の内、独裁政権では都合の悪い部分を検閲している。民主主義社会はどうだろうか。あからさまな検閲はないにせよ、現代では逆
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我らが貴族探偵・ピーター・ウィムジイ卿が、様々な謎を解明する探偵譚、短(中)編七話が収録されております。
先日長編シリーズをコンプしてしまった私としては、ピーター卿に再会できて嬉しく思いながら読みました。
怪奇風味なものからサイコサスペンスチックな話、そして王道ミステリ等々・・各話、毛色の異なる謎解きモノで、何故かどこにでも現れるピーター卿が謎や事件を解決していく展開なんですけど、長編の時よりピーター卿の引用癖といったクセツヨな部分は控えめな印象です。
個人的に好きな話は、“ちゃんとミステリ”していた「盗まれた胃袋」、「完全アリバイ」ですかね。
加えて、「ピーター・ウィムジイ卿の奇怪な失 -
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収録されているのは1928年から1938年にかけて発表された、ドロシー・L・セイヤーズのウィムジイ卿シリーズの短編。
セイヤーズはどうもアガサ・クリスティと双璧のイギリスのミステリの女王とされているそうだが、やたら古めかしい『ナイン・テイラーズ』はさほど面白くもなかったし、どうなんだろう、と思っているところ。
こちらの短編集も、古典的な本格推理小説としてはディクスン・カーのそれよりはかなり劣るし、そもそもセイヤーズの持ち味なのかサスペンスフルな急展開がなく遅いテンポでのんびり進んで行くし、それぞれそれなりに興はあってもとりわけ優れている感じがしない。
そんな牧歌的な印象が強かった作品集 -
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ネタバレ1917年、スウェーデンのドゥーセによるミステリー。探偵カリングとある事件の助手をしたスミルノ法医学博士。ある夜、仮面舞踏会の帰りに女優が射殺され、その嫌疑が元恋人にかけられたことにより、そのいきさつをスミルノ博士が日記にしたためる。感想としては、古典らしく、仮面舞踏会など馴染みのない設定もあり、なかなか没入しにくかった。あと、(個人的に苦手な)◯◯トリックであることを目にしてしまったせいもあるし、日記内のスミルノ博士が明らかにおかしいので、途中から興ざめしてしまった。ただ当時は斬新だったのかな?というのは想像できる。並べて語られるクリスティの「アクロイド殺し」(スミルノ博士より後らしい)は読
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イギリスの作家アガサ・クリスティの長篇ミステリ作品『ポケットにライ麦を(原題:A Pocket Full of Rye)』を読みました。
アガサ・クリスティの作品は、4年半くらい前に読んだ『予告殺人』以来なので、久し振りですね。
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投資信託会社社長の毒殺事件を皮切りにフォテスキュー家で起こった三つの殺人事件。
その中に、ミス・マープルが仕込んだ若いメイドが、洗濯バサミで鼻を挟まれた絞殺死体として発見された事件があった。
義憤に駆られたマープルは、犯人に鉄槌を下すべく屋敷に乗りこんだ。
マザー・グースに材を取った中期の傑作。
解説:大津波悦子
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今となってははるか昔のミステリを読み始めたころ、ミステリの紹介本ー特にトリックなどを説明するものーがあって、この本の一番肝のところを、スウェーデンの作家の作品であること(今のように北欧ミステリ隆盛の時代ではなく珍しかった)と共に知ったのだった。
ただ、その頃は既に本書は新刊書店では手に入らなかったので、そんな本があるのだくらいで終わっていた。
それか何と新刊で、しかも文庫本で出た!これは読むしかない。
いろいろなミステリを読み慣れた今から見ると、作者のやろうとしたことは比較的早く分かるが、犯人候補が次々に変わって来るなど工夫があり、全体的には結構楽しく読めた。
60年前の翻訳だ