あらすじ
天才法医学者ワルター・スミルノはある晩、女優アスタ・ドゥールの殺害事件に遭遇。容疑者として、かつての恋人スティナ・フェルセンが挙げられる。名探偵レオ・カリングの手を借り、不可解な謎に挑むのだが……。
本作はかつて小酒井不木訳で「新青年」に掲載されるや、江戸川乱歩・横溝正史ら戦前の日本人作家にも多大な影響を与えた。世界ミステリ史上にその名を刻む、探偵小説ファン必読の傑作本格推理長篇。
〈解説〉戸川安宣
【目次】
第1章 発端
第2章 糊づけにされたページ
第3章 警官第三一七号
第4章 偶然
第5章 尋問
第6章 「あなたの奥さんです」
第7章 犯行の時刻
第8章 三人目の客
第9章 新しい事実
第10章 レオ・カリング援助を求める
第11章 第二の銃弾
第12章 犯人の名
第13章 意外な展開
第14章 深夜の冒険
第15章 厚かましい侵入者
第16章 新しい証拠
第17章 手紙
第18章 犯人はだれか?
第19章 告白
第20章 レオ・カリングの付記
ドゥーセ今昔(宇野利泰)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ネタバレなしで読んだ方がいいです‼️‼️‼️
本当に本当に本当に面白かった。私は事前情報無しに読んだけど、それが幸運だと気づいた。有名な本は何で有名かも入ってきちゃうからね。無知でよかった。そのくらい、読んでる間楽しめた。だから、ちょっとでもネタバレになりそうなのでネタバレ感想に設定しておく。
あと、あとがきとか解説も面白かった。無知ゆえに江戸川乱歩の名前出てきて「!!」となったし、影響を与えた本だとは、、、勉強にもなりました。
有名なトリックの有名な本だとは、、、感嘆するくらい見事なものでした。
以下ちゃんとしたネタバレ↓↓↓
本の中で、ただ叙述トリックを使うだけでなく、普通のトリックもいくつかでてきて、手抜きされている感じやこれ出しときゃいいんでしょ感が無かった。(叙述トリックが手法として確立する前だからかもだけど。)やっぱり納得感が違いました。あとがきを見て叙述トリックの秀逸さはどこに出るかを知ったばかりなので、読後すぐはこの感想は出てこなかった笑笑
あと、なんとなく口調とかも意外と読みやすかった。昔のお話だし外国のものだし翻訳も前のことなのに。あの大仰な言葉遣いが、作品という感じがして、かと言ってしっかり作られた世界観なのでその世界に入り込める感じもあって、とてもいい塩梅で好きだった。
最初の方に博士がすでに亡くなっていることが書いてあって、博士に同情しかけてる後半でそれを思い出した時は悲しくなった。けど、トリックがわかってからは、博士はやっぱり日記の中に書かれてるだけの「普通の人」ではなく、レオが言ってるように本物の天才なんだな、と分かり(それまでは、ホントにこいつ天才と言うまでなんか?と思ってた^^;)それが嬉しかった。私は見事に騙されていた、感服です。情を感じて好きになりかけていたキャラが、その情を越してくるくらい魅力的なキャラだと分かってとても嬉しかった。散りざまも流石でした。
まあ、1個気になってるとすれば、こんな本物の天才さえ揺らぐような強迫観念や魅力的な女性って実在するのかな?そういう事ってあるのかな?という疑問。いつか私もなれるなら、誰かにとって自分より大切で命含む全てを投げ出せるくらいの魅力的な女性になりたいな。
Posted by ブクログ
日記をもとに事件を見ていく。
最初からどこか違和感を持ちつつもどんどん晴れていく感覚があり、最後明かされたときにはスカッとした。
途中から勘づいてしまうくらいにはありきたりな構成なのかもしれないがやはり最後には心がスッキリするため、ミステリーはやめられない。
Posted by ブクログ
主人公が悪役として見るとすごく良かった。偏屈で他人を下に見る言葉はすらすらと、そして頭が良い。職業医者。金のために婚約をするものの、既婚女性に横恋慕しその恋心は伝えて、あわよくば、を狙っている。とても変態な性格だと思っえいたら、最後に主人公は強迫的で変態な人物と探偵が語っていて、そうそうそう!と納得した。いままで頭のおかしい主人公の一人称だったから、一般的な思考の側に立つ人間のオチの語りがしっくりときた。面白い。
Posted by ブクログ
当時何も知らずに読んだ人はどえらい衝撃を受けたことでしょう(°▽°)
現代社会はネットであらゆる情報をすぐに見ることができて便利なのですが、昔もいまも推理小説を読むときはなるべく情報は遮断しておいたほうがいいと思います(°▽°)
「あまり知りたくなかった前情報」「不意打ちのネタバレ」など…あるあるではないでしょうか…(°▽°)
情報なんて仕入れようとしなくても、とりあえず何も考えずに読み始めて、作者の仕掛けた罠に思いっきり嵌っちゃって、「あー騙されたー!」って言いながら天を仰いだり思わず笑っちゃったりする、そんな読書体験のほうが楽しくてイイな、と思うのです(°▽°)
1917年(大正6年)に発表された作品(°▽°)
リアルタイムで読めた人はラッキーだなあ(°▽°)
そういう作品です(°▽°)
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この作品の名前は何かで知っていて、読むことが出来ずにいて数十年。まさかの、カバーを隠した状態で発売されていて、狂喜乱舞でした。
しかも、オリジナル訳。
「とある理由」をあらかじめ知っていて、それでも面白かった!そして、これをリアタイで読みたかった、と切に思います。
昨今の倒叙作品に慣れた読者には、もしかしたら、「なんだぁ」と思われるかもしれませんが、同トリックの、かの有名作品よりも以前に書かれたものである、ということを考慮に入れると、この作品がいかに当時、驚嘆に値するものだったのかが理解できるでしょう。
倒叙法にととまらず、登場人物の心の動きと、探偵が犯人を絞っていく過程の描写に優れていて、表面上はフーダニットを柱にしていても、そしてまた読み進めるうちに、こいつ犯人だよなとわかっても、サスペンスとして完成度の高い作品だと思います。
ところで最近、手に入りにくかったクラシック作品を、各社、再発売してくださったり新訳を出してくださったり、本好きには嬉しい傾向。昔読んで家に積み上げられてるバーコード無し本が、新しい装丁で書店に広げられていて、ついうっかり買ってしまってます。もちろん最近の作品も読むので、嬉しい出費が続いてます。
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1917年、大正6年に上梓された本作品は、日本の推理小説ファンの間では知られたものだったようです。
江戸川乱歩、横溝正史らにも影響を与えたそうです。
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全く知らなかったのだがだいぶ古い著書のようだ
あえて表紙を隠したカバー付きの文庫本は数ある平積み本の中で異彩を放っていた
内容は登場人物もそんなに多くなく(海外文学はその名前や地名だけで頭が混乱してしまうが)わかりやすく読み進められた
誰がどんなトリックでと私なりに考えてはいたが結末はなかなかおもしろかった
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本屋で見つけて、つい気になって手に取りました。
原著は100年前だったのか!!と驚き
昔の本だからか、展開として読んでて気になるところは色々あったけど…
昔の本を読む時って、その当時の歴史に触れるような不思議な感覚があって、「当時はどんな風に読まれたのかな…」とか思いを馳せながら読むのが楽しかったりする。
こんな風に受け継がれていく本って凄いな!って感動
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面白かった!
良い意味でひねくれたミステリファンなら途中で色んな真相に気付くだろうけど、博士の日記の構成や細々とした証拠品のピースが綺麗にはまっていく様が気持ちがいい。
第2のホームズと言っても過言では無いカリングのニヒルな推理に痺れました。
しばらく新規開拓をしていなかったけど、特殊な装丁で手に取らせてくれたことに感謝を。
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翻訳本ということもあり、僕には読みづらかった。100年以上前の本という所にロマンを感じる。この手のトリックはここから始まったのかと思うと、読んで良かった本になった。
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ダブルカバーに惹かれて購入!
語り手が犯人だったパターンは今でこそ珍しくないケースですが、「スミルノ博士の日記」はいわば草分け的存在のようですね。
途中である程度結末が予想できてしまったのはやや残念ですが、100年ほど前なら突拍子もないストーリーだったのだろうと予想できます。
ところで、ダブルカバーの「とある理由」とはなんでしょう?
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ミステリの古典。
トリックというか、なぜこの日記を書いたのか。それを念頭に置いて読み進めると謎がまた一気に近づいてくる。
結末は想像できたが、「まさかね」と思わせる文才に惚れ惚れする。
Posted by ブクログ
本屋で、Wカバー(カバーの上にさらにカバー)がかかった本が平積みされていたので、思わず手に取りました。
――“ミステリの一部界隈では「とある理由」でよく名が知れているものの、絶版で長らく入手困難になっていた作品です。”
表紙に書かれたこの一文に、完全にやられました。
一体どんな内容なんだ?!と、期待が一気に膨らみます。
しかも「とある理由」を知っているのと知らないのとでは、読み味がまったく違うというのです。
この作品が発表されたのは1917年。
その時代に、あのトリックや表現方法を用いて作品を創り上げていたとは……本当にすごいことです。
物語は、仮面舞踏会の夜に殺害された女優をめぐる事件。
犯人は誰なのか?
ざっくり言えばそんな話なのですが、読み進めていくうちに犯人像が二転三転し、読者はどんどん混乱の渦へ。
そして、ついに訪れる“犯人の告白”。
この告白まで導く探偵・レオ・カリングの技法が実に見事なんです。
ラストで、犯人の弱点を巧みに突いた“芝居”によって真相を引き出す――まさに舞台のような見せ場。
今ではよく見かける手法かもしれませんが、それを1917年の時点でやってのけたという事実に驚かされます。
このトリックを原型に、数々の作品が生み出されてきたと言われているのも納得。
初めて読んだのに、どこか懐かしさを感じたのは、その影響ゆえかもしれません。
著者ドゥーセの他の作品にも、カリングとゲオルグ・トルネのコンビが登場するとのこと。
まるでホームズとワトソンのような二人。
――これはぜひ、他の作品も読んでみたい!
……と思い検索してみたのですが、残念ながらほかの本は見つけられず
Posted by ブクログ
表紙を隠されてて買ってみたものの、推理小説はそんな好きじゃないかも。
日記を読ませる部分が多いのだけど、その著者が犯人、というのが当時のサスペンス業界では画期的であったらしい。
Posted by ブクログ
旅行先で、表紙タイトルが隠された状態で激推しされてたので買った本。
昔の、それも翻訳本ということでやや読みにくいが、結構面白かった。
いわゆるナードぽい主人公が奔走する話。元カノが殺されて、BSS(僕の方が先に好きだったのに)の女性が第一発見者で、容疑者は元カノを寝とってBSSの女性と結婚した友達らしい。
話が込み入ってるし、なんかもう誰が誰だか?ってなる。それに、主人公もよく言えば好きな人のために頑張ってるけど、悪く言えば空気読めない事するし……(婚約者もいるのにね)
内容文体トリック含め、良くも悪くも昔っぽいけど、でも100年以上前の作品らしいから、その当時の衝撃過ごそう。
Posted by ブクログ
期待しすぎた。本屋でカバーまで隠してあんな大口叩いたけど、いわゆるアガサクリスティーのアクロイド殺しと同じパターン。翻訳にしては読みにくくはないが、アガサの方が楽しませてくれた。
Posted by ブクログ
売り方が面白くて購入。表紙が見えないようにカバーの上から更にカバーがされ、売り文句が書いている。「とある理由」で有名な小説であり、それゆえに前情報なしで読むべしとのこと。あらすじも表紙も装画も見ずにに買うことはなかなか無いので、新鮮な気持ちで作品に触れられる良い企画だと思う。少なくとも電子書籍では出来ない。
しかし、ある程度読み進めると犯人に気づく。古典と言ってもいい作品なので、現代の感覚で読むとわかる人はわかるだろうが、なによりもカバーの売り文句によって「仕掛け」があることが明かされてしまっているからだ(何を言ってもヒントになってしまうので、仕方がないとは思う)。しかし仕掛けに気付いたとしても、探偵と犯人の緊張感のあるやり取りや、複雑な人間模様も相まって最後まで飽きさせないよく出来たミステリ小説だった。解説でもこの「仕掛け」のアイデアの大元であることや翻訳の経緯などに加え、この作品が「仕掛け」だけではないことの説明がある。
となると最後の謎は、隠されていた表紙である。前情報になってしまうような表紙とはどんなものだろうとめくってみたら、なんと壺である。この壺がどんな前情報なのか少し考えてしまった。裏のあらすじにも特にネタバレになるような文言はない。それでは、この売り文句のカバーが無い方が、よほど前情報がないのでは?と思ったが、この売り文句のおかげで手に取ったのは事実なので、どこかでネタバレされる前に読むことができて結果良かったと思う。少し愚痴っぽくなってしまったが、素晴らしい小説と出会え、企画も含めて楽しめたので、とても満足しています。ミステリ入門としてもお勧め!
Posted by ブクログ
幻のミステリ!とか伝説の!とかいう話を聞いて読んでみました。
・・・・んん-、そんなにか?もう序盤からスミルノ博士がわかりやすい犯人ムーブというか・・・別に何の意外性もと思ったら。出版年が1971年?!50年以上前なの?
そりゃ当時は画期的だろうしびっくりもするし伝説にもなるよなあ・・・そりゃそうだ。なんの情報も入れずに適当に読み始めたもんだから変なところにびっくりしてしまいました。
よくある展開、じゃなくて「始祖」だったわけかー。
Posted by ブクログ
本屋さんの指示通り全ての先入観をなくして読んでみた
スミルノ博士が犯人ではあって欲しくはなかった。
隠し子までいた アスタ ドゥールとの間に
第一章の事をすっかり忘れていた
探偵レオ カリングの事件簿シリーズだった
Posted by ブクログ
ネタバレになるから詳しく書けないけど、推理小説を読んでる人なら、最初からトリックはわかってしまうと思う。
緻密な論理展開も自分には今一つパッとしなかったかな。
ただ、おそらく100年以上前の当時としては画期的で、推理小説史上では重要な位置づけなんだろうな、という気はする。
Posted by ブクログ
1917年のスウェーデンの作品。推理小説が好きな方には有名な作品とのこと。当時としては斬新で後々影響を与えたものと思います。歴史的な作品を読めたことは貴重な体験でした。
しかしながら…。何となく途中でわかってしまいました。やはり現代のミステリーを読んでいると少し物足りない気もします(生意気で、ごめんなさい)。
登場人物が「さけんだ」という記述が目立ち、やや違和感。スウェーデンの(当時の)人はよく叫ぶのか?それとも、大きな声を出すくらいの意味なんですかね?
Posted by ブクログ
序盤も序盤、第二章~第三章あたりで、オチ、すなわち犯人が誰か、がわかってしまう。
本作に類する作品は既にそれなりに読んでしまっているため、文章の違和感、内容の違和感からわかってしまう。
これ系の作品を全く知らずに一番最初に読んだのが本作だとしたら非常に楽しめる作品であると思う一方、これ系の作品を読んだことがあるとすぐ真犯人に辿り着けてしまう。
感想として「面白くなかった」というのは適切でなく、「知ってしまっていた」というのが正確か。
構成が酷いとかオチが納得できないとか文章が読みづらいといったことは全くない。
Posted by ブクログ
1917年、スウェーデンのドゥーセによるミステリー。探偵カリングとある事件の助手をしたスミルノ法医学博士。ある夜、仮面舞踏会の帰りに女優が射殺され、その嫌疑が元恋人にかけられたことにより、そのいきさつをスミルノ博士が日記にしたためる。感想としては、古典らしく、仮面舞踏会など馴染みのない設定もあり、なかなか没入しにくかった。あと、(個人的に苦手な)◯◯トリックであることを目にしてしまったせいもあるし、日記内のスミルノ博士が明らかにおかしいので、途中から興ざめしてしまった。ただ当時は斬新だったのかな?というのは想像できる。並べて語られるクリスティの「アクロイド殺し」(スミルノ博士より後らしい)は読んでみたいと思った。
Posted by ブクログ
スウェーデンの作家、サムエル・アウグスト・ドゥーセの1917年の作品。私立探偵レオ・カリングシリーズの一作。
死亡した細菌学の権威、スミルノ博士の手記を読み解く、というのがストーリーの根幹。
意外な展開、というか出版された時期からして、ラストの展開の先行作品なのではないかと。クリスティより早いか。
ただいかんせん、流石に古く。
読みやすいのだけど、だから仕掛けもなんとなくわかってしまう。
シリーズものとのことで、他の代表作も出版してほしい。
Posted by ブクログ
今となっては、大半のミステリ読者が読みもしないうちに、犯人の見当を付けてしまうだろう。それはまあ仕方のないことだが、だからといってつまらないわけではない。フーダニットの愛好家なら愉しい読書になると思う。しかし主人公の奇行というか、乱暴さには呆れる。こんなことをして当時は大丈夫だったんですかね?
Posted by ブクログ
今となってははるか昔のミステリを読み始めたころ、ミステリの紹介本ー特にトリックなどを説明するものーがあって、この本の一番肝のところを、スウェーデンの作家の作品であること(今のように北欧ミステリ隆盛の時代ではなく珍しかった)と共に知ったのだった。
ただ、その頃は既に本書は新刊書店では手に入らなかったので、そんな本があるのだくらいで終わっていた。
それか何と新刊で、しかも文庫本で出た!これは読むしかない。
いろいろなミステリを読み慣れた今から見ると、作者のやろうとしたことは比較的早く分かるが、犯人候補が次々に変わって来るなど工夫があり、全体的には結構楽しく読めた。
60年前の翻訳だが訳文の古さはほとんど感じられず、読みやすい。解説も、小酒井不木や乱歩などによって本作が紹介された経緯など、簡にして要を得た内容で、とても興味深い。