宇野利泰のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
近所の本屋でカバーを完全に隠したブラインド商品として売られていた、100年以上前に書かれた古典ミステリー小説。アガサクリスティよりも前らしく、本当にミステリー小説というジャンルが出来て初期の作品なのかもしれない。
寡聞にして事前にこの本のことを全く知らなかったので、完全に前情報無しの新鮮な気持ちで読めたのは非常によかった。これがアガサクリスティくらい有名な作家の作品であれば、読んだことなくてもネタバレにどこかで触れてしまっている可能性もあったかもしれない。少し話は逸れるけどことミステリー小説に関しては帯に『衝撃のラスト』とか『あなたは絶対に騙される』とか絶対に書かないでほしいといつも思う。その情報だけで読者は騙されるものかと構えてしまうのでちょっとしたネタバレのようだと感じる。
なのでこの本を真っ新な状態で読めたことは本当に良かった。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ本屋でのカバー表紙に惹かれて購入。
ミステリーということしか分かっていない状態で読んだ。
1917年に出た本ということで、100年以上の時を経てから読むことになる。普段はあまり海外作家の本を読まないので分からないが、読点が非常に多くてその点が読みづらかった。そういうものなのか?
犯人がずっと分からない状態で進行していき、個人的には最後まで誰なのか分からなかった。
スミルノ博士が犯人と言ってもアリバイがあるじゃないかと思ったが、カリングがそれを崩して見事に見抜いていて流石だった。
登場人物への感情移入は正直難しかったが、この時代に出されたミステリー小説としては非常にクオリティが高かったのではないか、と思う。
-
Posted by ブクログ
古典ミステリでしか摂取できない良さってあるなぁ。
この燻ったような雰囲気がいい。
書き尽くされた叙述的なトリックでありながら、とても新しいような気持ちにさせる。
スミルノ博士の理性的でありながら、どこか狂気を感じさせる日記がおもしろい。人の日記を盗み読むのって、読んでるこっちもどこか遠慮のようなものを感じるし、スミルノ博士がすごく詳細にその日の出来事を書いてくれるのでワクワクもする。
出てくる人物がみんな胡散臭くて怪しくて、しかしスミルノ博士自身も酔っ払って警官に絡んだりだいぶ変。
ラストまで読み進めるとなんだかいろいろわかるのだけど、この薄気味の悪い不信感がたまらない。
スウェーデンミステリといえば、名探偵カッレくんとミレニアムが1番に上がってくるのだけど、ドゥーセ氏は初めて読んだ。 -
Posted by ブクログ
この手の名作がいつだってそうであるように、この本は数十年前に出版された昔の本にもかかわらず提起される警鐘は今でも通用する。「本」が許されない世界。本作では、本が消されていた理由は、思考を促すため。本は政権に、社会に、歴史に、批判的な思考を促してきた。現代社会を映すように「」に入る単語を変えるのであればなんだろうか。独裁政権では分かりやすい。「」に入るのは情報。インターネットが普及した現在では本が担ってきた役割がインターネットによって一部置換されている。そのインターネットが運ぶ情報の内、独裁政権では都合の悪い部分を検閲している。民主主義社会はどうだろうか。あからさまな検閲はないにせよ、現代では逆にSNSのショート動画に依存させる事で、思考を促す力が奪われているような気がする。この本が繰り出すディストピアは決して身から離れた遠い世界の話ではない。自覚を持っていきたい。
-
Posted by ブクログ
我らが貴族探偵・ピーター・ウィムジイ卿が、様々な謎を解明する探偵譚、短(中)編七話が収録されております。
先日長編シリーズをコンプしてしまった私としては、ピーター卿に再会できて嬉しく思いながら読みました。
怪奇風味なものからサイコサスペンスチックな話、そして王道ミステリ等々・・各話、毛色の異なる謎解きモノで、何故かどこにでも現れるピーター卿が謎や事件を解決していく展開なんですけど、長編の時よりピーター卿の引用癖といったクセツヨな部分は控えめな印象です。
個人的に好きな話は、“ちゃんとミステリ”していた「盗まれた胃袋」、「完全アリバイ」ですかね。
加えて、「ピーター・ウィムジイ卿の奇怪な失踪」も、事件の異常性(犯人がサイコすぎて何気に一番怖いかも?)と、ピーター卿が仕掛けた解決方法のトリッキーさのコントラストが印象に残りました。
あと、しょーもない事なんですけど、ピーター卿&ハリエット夫妻に第一子が誕生した日に起こった不可解な出来事を描いた「幽霊に憑かれた巡査」」では、何故かこの話の時だけピーター卿の台詞の語尾が「~だぜ」とスギちゃんみたいになっていたので、「どうした?」と気になってしまった私です~(^^;)
と、いうことで久々のピーター卿節とバラエティーに富んだ謎解きを楽しませて頂きました♪
(バンターの出番が少ないのが寂しかったですけどね)
因みに、本書の解説もピーター卿とセイヤーズのまとめサイトみたいな感じで(?)何気に情報満載でしたので、こちらも興味深く読ませて頂いた次第です~。 -
Posted by ブクログ
収録されているのは1928年から1938年にかけて発表された、ドロシー・L・セイヤーズのウィムジイ卿シリーズの短編。
セイヤーズはどうもアガサ・クリスティと双璧のイギリスのミステリの女王とされているそうだが、やたら古めかしい『ナイン・テイラーズ』はさほど面白くもなかったし、どうなんだろう、と思っているところ。
こちらの短編集も、古典的な本格推理小説としてはディクスン・カーのそれよりはかなり劣るし、そもそもセイヤーズの持ち味なのかサスペンスフルな急展開がなく遅いテンポでのんびり進んで行くし、それぞれそれなりに興はあってもとりわけ優れている感じがしない。
そんな牧歌的な印象が強かった作品集だが、最も長く巻末に収められた「不和の種、小さな村のメロドラマ」が中では一番面白かった。 -
Posted by ブクログ
イギリスの作家アガサ・クリスティの長篇ミステリ作品『ポケットにライ麦を(原題:A Pocket Full of Rye)』を読みました。
アガサ・クリスティの作品は、4年半くらい前に読んだ『予告殺人』以来なので、久し振りですね。
-----story-------------
投資信託会社社長の毒殺事件を皮切りにフォテスキュー家で起こった三つの殺人事件。
その中に、ミス・マープルが仕込んだ若いメイドが、洗濯バサミで鼻を挟まれた絞殺死体として発見された事件があった。
義憤に駆られたマープルは、犯人に鉄槌を下すべく屋敷に乗りこんだ。
マザー・グースに材を取った中期の傑作。
解説:大津波悦子
-----------------------
1953年(昭和28年)に刊行されたミス・マープルシリーズの長篇6作目となる作品……マザー・グースの童謡の歌詞どおりに殺人が起きるいわゆる「見立て殺人」をテーマにした作品です。
ロンドンの実業家レックス・フォテスキューが何者かに毒殺された……ロンドン警視庁のニール警部が捜査の指揮を執ることになり、解剖の結果、死因はイチイの木から取れる毒性アルカロイドであるタキシンの中毒であり、レックスは朝食とともにこれを摂取していたことが判明する、、、
また、衣服を調べた結果、彼の上着のポケットから大量のライ麦が見つかる……それは、恐るべき連続見立て殺人の端緒だった。
レックスの妻アディールが第一容疑者となるがアディールも自宅で毒殺され、さらにフォテスキュー家の小間使いのグラディス・マーティンが洗濯ばさみで鼻をつままれた絞殺死体で発見される……グラディスを知るミス・マープルは義憤に駆られ、犯人探しに乗り出す! マザー・グースに材を取った多くの作品中で燦然と輝く中期傑作長編。
レックスの子どもたちや、その妻、家政婦 等々、身近に怪しい人物が複数人いて、徐々にそれぞれの性格や過去が明らかになりますが、そこに東アフリカの「ブラックバード(クロツグミ)鉱山」での採掘において、レックスのビジネスパートナーだったマッケンジーが死亡した事件が絡んできて、さらに容疑者の幅が広がるという展開……ここまでが長かったですね、、、
終盤、ミス・マープルが推理を披露し始めてからの展開は一気読み……意外な人間関係や、予想外の真相が明らかになります。
印象的だったのはエンディングでセント・メアリ・ミードの自宅に帰ったミス・パープルに届いた手紙が披露されるシーンですね……差出人はグラディスで、彼女は自分がしたことを全て説明し、マープルの助けを求める内容、、、
そして手紙には彼女とある人物の写真が同封されていました……思わずホロリとなったし、犯人を特定できる唯一の物的証拠でしたからねー 全体的にはまずまずの面白さ というところだったかな。
以下、主な登場人物です。
ジェーン・マープル
探偵好きな独身の老婦人。
レックス・フォテスキュー
投資信託会社社長。
アディール・フォテスキュー
レックスの後妻。
パーシヴァル(ヴァル)・フォテスキュー
レックスの長男。
ジェニファ・フォテスキュー
パーシヴァルの妻。
ランスロット(ランス)・フォテスキュー
レックスの次男。
パトリシア(パット)・フォテスキュー
ランスロットの妻。
エレイヌ・フォテスキュー
レックスの娘。
エフィ・ラムズボトム
レックスの義姉。
アイリーン・グローブナー
レックスの秘書。
ヴィヴィアン・デュボア
アディールの男友達。
メアリー・ダブ
フォテスキュー家の家政婦。
クランプ
フォテスキュー家の執事
クランプ夫人
クランプの妻。フォテスキュー家の料理人。
グラディス・マーティン
フォテスキュー家の小間使い。
ニール
警部