宇野利泰のレビュー一覧

  • 思考機械の事件簿1

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    代表作「十三号独房の問題」を含まない短編集
    書かれた時代を思えば仕方ないかもしれないが
    標準作であるもののそれ以上ではなく
    これ以上が前記ひとつでは埋もれてしまうのもいたしかたなしか

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    2019年01月11日
  • ドルリイ・レーン最後の事件

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     X・Y・Zの悲劇に続く最後の悲劇はドルリー・レーンの死で終わる。名探偵役ドルリー・レーンが最後の真犯人だった。
     全てはラストページ、ベンチに座り首をもたげ冷たくなっているドルリー・レーンのワンシーンのためにあった――と解説にあるが、これは納得だ。確かにそのシーンはきれいである。でもあまりにそのシーンを重要視したせいか、幕切れはあっけないし消化不良な感だ。

     本作は紙魚殺人事件の邦題もあったらしいが古書を扱ったミステリー小説である。古書に隠された1枚の紙片は、貴重なシェイクスピアの自筆かつ、彼の死が他殺であり殺人犯の告発も行っていた。あまりに貴重な一片を保管しようと殺人まで犯すドルリー・レ

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    2021年09月20日
  • 寒い国から帰ってきたスパイ

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    スパイ小説の古典的名作。
    WW2後の東西冷戦時のベルリン、ロンドンを舞台にイギリス諜報部のスパイを描いている。

    時代のせいか、ちょっとわかりにくい箇所が多いと感じたが、後半の疾走感や緊迫感はさすがと感じた。ジョン・ル・カレ氏の作品は初めて読んだが、他も読んでみたいと思う。

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    2018年10月18日
  • 華氏451度

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    本が禁じられた近未来の世界の話。
    その世界では、本は焚書官によって焼かれるのです。
    「焚書」なんて言葉は、
    中国・秦の時代に行われた焚書坑儒を習ったとき以来に
    目にしました。

    解説によれば、
    華氏451度は摂氏233度にあたり、
    紙が自然発火する温度だそう。
    ある意味、主人公ガイ・モンターグの中で
    何かが自然発火することの暗喩のようにも読めたりしそうです。

    主人公モンターグは焚書官であり、
    本を焼く仕事をしているのですが、
    ひょんなきっかけでそれまで見えていた世界がぐらつくんですね。
    そして痛みを伴いながら、
    個人のあたまのパラダイムがシフトしていく。
    そして、あるとき、本を手にしたことで

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    2018年02月22日
  • 華氏451度

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    1953年作品。本の中に50年前のV2ロケットの映画・・・という文章があるところを見ると、舞台はほぼ今の時代ということになる。
    著者が想像した現在の姿は、海の貝と呼ばれるイヤホン型ラジオを常時耳にさし(ウォークマン?)、低俗なテレビに一日中見入り、若者は面白くないことがあるとスピードに酔いしれ(暴走族?)、無意味な殺人を行う。見事なほどの現在のカリカチュアである。
    その世界を舞台に進められる話は、最初は面白い。しかし、後半になるにつれやや冗長で、時代の古さを感じさせる。また、SF詩人ブラッドベリ特有の文章が鼻についてくる。長篇ではなく、中篇レベルにすればもっと迫力が出るのにとおもえた

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    2017年11月16日
  • ポケットにライ麦を

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    アガサ・クリスティーの作品は初めて手に取った。非常に読みやすい印象。訳が素晴らしいからなのかな…。

    ストーリーや犯罪動機、トリックは特段目を見張るものではないが、読んでいるだけでなんだか優雅な気持ちにさせてくれる心地のよい作品。

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    2017年04月25日
  • Yの悲劇

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    ネタバレ

    Xの悲劇の次に読んだ。Xの悲劇はとても面白い作品だったがYの悲劇は事前評価の圧倒的な高さのわりに、読み終わると不満点が多々あった。
    最も大きい不満点は犯人である13歳の少年が小説の筋書き通りに犯行をすすめるため、ヴァニラの匂いのする軟膏を自分の手首に塗る、という場面。13歳の知能ならこれがヨーク・ハッターを示す手がかりであり、塗ることの無意味さを自覚できるものだろう。でないとしたら、ジャッキーが並外れてバカなのだろうか?

    この行動は「真の犯人は死んだヨーク・ハッターでありジャッキーが傀儡である」という解釈を成り立たせるためなのだろうか。そうすると、作品を入れ子構造に持ち込んだがために13歳の

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    2017年01月26日
  • 寒い国から帰ってきたスパイ

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    ネタバレ

    スパイ小説の古典的代表作。

    イギリスのベテラン諜報員、アレックリーマスは敵対国の凄腕諜報員の手により、敵国内のスパイを皆殺しにされてしまい、失脚した。
    リーマスは個人的に復讐を誓い、非公式に敵対する諜報員を破滅させる作戦を上司と計画し、実行に移した。
    それは自らのキャリアを捨て、人生を代償にした作戦であった。

    スパイ映画なのにアクションはほぼ皆無。主人公もめちゃめちゃ強いわけでもない。
    そして、3/4読み終えるまで何が起きてるのかもよく分からない。
    ただし最後のネタが判ると、組織同士の恐ろしく複雑な騙し合いが恐ろしくなる。
    実際のスパイはこんなかんじなのかな?
    それにしても何もかも信じられ

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    2017年01月20日
  • Xの悲劇

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    ミステリ。ドルリイ・レーン。
    非常に濃密な本格ミステリ。
    探偵が犯人を知っても言わないのは、少しイライラ。しっかりとした理由があるのは凄いのですが。
    第二幕最後の法廷と、最後の謎解きはやはり圧巻。
    やはりインパクトは『Yの悲劇』のほうが大きいな。
    森博嗣『χの悲劇』他、多くの作家に影響を与えたのは納得。

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    2017年01月14日
  • 寒い国から帰ってきたスパイ

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    他の作品の評価見るに、ジョンルカレの作品では一番面白いんじゃなかろうか。「我らが背きしもの」とか割りと早い段階で挫折したし。
    そこまで場面の切り替えや登場人物の視点入れ替えは激しくない。ほとんどリーマス一人の視点に寄ってるから話が分かりやすい。のかもしれない。
    カーラは登場せず。変なリアリティあって何か凄い。TTSSよりこっちを映画にするべきでは?

    最後のネタバラシは外事警察を思い出させる。
    ラストは「人狼」みたいな感じ。まあ、そうなるよな……あの女が脱出出来た時点でそもそも存在している事がサーカスにとってのリスクだし。

    「はかがいかない」ってどこの方言なんですかね…

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    2016年12月18日
  • Yの悲劇

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    Xの悲劇に続いての再読。
    こちらも内容を完全に忘れていた。
    Xに続いて読んだこともあり、Xとの比較してしまうが、自分としてはXの方が面白く読めた。

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    2016年06月06日
  • ラヴクラフト全集2

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    TRPGで有名らしい「クトゥルーの呼び声」を筆頭に収録。

    他の巻に比べ、怪異に直接対峙している(というか、対峙している描写が比較的正気のまま書かれている?)作品が多いのが特徴。幻想的な雰囲気を楽しめる「エーリッヒ・ツアンの音楽」がこの間の中ではお勧めか。

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    2016年05月28日
  • Yの悲劇

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    ううう。ううう。
    レーンを好きになれそうでなりきれない、、、のは訳のせいなのか、そういうものか。。。。
    同じ判のXの悲劇が無い。。。のでカドカワのを購入。ちょっと時間あけて読もう。

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    2016年03月01日
  • 華氏451度

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    ぞっとした。

    政府によって本の所持が禁止され、イヤホンから流される放送と壁一面のテレビと『家族』に夢中にさせられて、考える時間を奪われた人たち。

    今、現実の世界で私たちは、自ら読書を避け、インターネットやスマートフォンの世界やゲームにのめり込み、自ら考える時間を放棄している。

    ほんと怖いです。

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    2015年10月10日
  • アデスタを吹く冷たい風

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     7編収録の短編集。

     前半の4編は軍人のテナント少佐が活躍する
    短編。架空の国が舞台で将軍の圧政や革命など
    ところどころ不穏なその国の空気が描かれている
    のが上手いです。


     またテナント少佐の軍隊の権力や派閥に縛られず、
    自分の正義と思考に愚直に行動する姿がとても男前
    です。

     テナント少佐ものがこの短編だけなのが残念…
    この国の政治をもっと掘り下げた長編があったら
    間違いなく名作になりそうな予感がします。


     他3編は歴史ミステリにブラックユーモア、奇妙
    な雰囲気のものとバリエーションが豊か。特に自分
    が好きだったのは、
     被告の無罪を勝ち取った弁護士がその友人の
    大学教授に被告

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    2015年07月26日
  • 華氏451度

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    本を見つけたら焼く仕事をする焚書官のモンターグ。消防士の格好でホースから火を吹かせるのだ。不思議な少女との出会いから、本を焼く為に出動した先での老婆の自殺からモンターグは始めて自分や妻の事を考えるようになって…
    無知を生産する世の中で、知識人は頭の中に本の内容を暗記するようになり、人々に伝えていく決意をするラスト。本は物事の本質を知る手段であり知的好奇心を満足させるものでもある。自分は無知だと気付く事が大事だ。

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    2015年06月15日
  • ポケットにライ麦を

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    中盤まで主役を務めるマープルの登場はないが、故に警察官の活躍が際立つ。

    ここ最近放送されていた、深夜のミステリチャンネルでのTV版では二時間で解決されるという仕様だったので、所々不明が残ったものだが、こうして文字を追ってみると、犯人が判明した際に、成る程。と思うところが多々あった。
    要するに、TV版よりも文字の方が、時系列がはっきりと覚えていられる。

    覚え書き。
    投資信託会社を経営する男が、自社の社長室で毒殺される。その男の上着のポケットには、ライ麦が一杯に詰められていた。
    その後、男の若い後妻、屋敷に勤めていたメイドが連続で殺害され、このメイドの行儀見習い先の主であったミス・マープルが新

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    2015年01月23日
  • ポケットにライ麦を

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    読む前から、マザーグースの一節のタイトルが気になっていた一冊。
    最後の締めくくりがとても切なくて印象に残る。

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    2014年12月28日
  • ラヴクラフト全集2

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    全集2巻目は3作品が収録。世界は安定したものではなく、辛うじて危ういバランスの上に存在している。ふとしたきっかけからそれを認識してしまう恐怖と絶望。この世界観は好きだけど、文章が華美でくどいのよね。あと7冊?読めるかな。

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    2014年09月15日
  • ラヴクラフト全集2

    Posted by 読むコレ

    前巻より読み易かった。
    今巻の秀逸な点は、悪魔や怪物という人外の存在を題材にしているにも拘らず、実際に怪物そのものや残酷な描写が少ない点でしょう。
    あくまでも扱っているのは興味と恐怖と狂気の境界線におけるせめぎ合いという人間らしい部分であり、故に容易に想像が可能であり怖気を誘います。
    中でも「チャールズ・ウォートの~」は珍しく長編で、それだけに主人公の狂気への過程がじっくりと描かれ、読み手の中の恐怖も醸成させられる体で世界観を堪能できます。
    にしてもラスト付近の老医師の胆力には脱帽。
    僕なら瞬間発狂ものでしょうね…

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    2014年07月05日