宇野利泰のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
正直途中で中だるみしたけど、普通に楽しめた。
ドルリー・レーンのようなユニークな紳士の探偵は好きだし、もっとテンポよく物語が進んでいけば面白かったかもしれない。
描写が細かく説明されているところと小説的な風景描写…?のバランスが変だったかな…読まなくても良いところとしっかり読むべきところの見分けはすぐにつくけど、読まなくて良いところの文章が多すぎて、読むべきところで目が滑ってしまう…
ただトリックはミステリに求めている意外性と面白さもあったので、そこはよかった。
エラリー・クイーンの作品は初めて読んだけど、他にも良作がたくさんあると思うので、引き続き読んでいきたいな。 -
Posted by ブクログ
アメリカの作家「レイ・ブラッドベリ」の長篇SF作品『華氏451度(原題:Fahrenheit 451)』を読みました。
ここのところSF作品が続いていますね。
-----story-------------
焚書官「モンターグ」の仕事は、世界が禁じている“本”を見つけて焼き払うことだった。
本は忌むべき禁制品とされていたのだ。
人々は耳にはめた超小型ラジオや大画面テレビを通して与えられるものを無条件に受けいれ、本なしで満足に暮らしていた。
だが、ふとした拍子に本を手にしたことから、「モンターグ」の人生は大きく変わってゆく―SFの抒情詩人が、持てるかぎりの感受性と叡智をこめて現代文明を諷刺した不朽の名作。
-----------------------
1953年(昭和28年)に発表され、1966年(昭和41年)に「フランソワ・トリュフォー監督」によって『華氏451』として映画化された作品、、、
本の所持や読書が禁じられた、架空の社会における人間模様が描かれており、タイトルは(本の素材である)紙が燃え始める温度(華氏451度≒摂氏233度)を意味しているそうです。
■第一部 炉床と火トカゲ
■第二部 ふるいと砂
■第三部 火はあかるく燃えて
■解説 佐野眞一
舞台は、情報が全て超小型ラジオや大画面テレビによる画像や音声などの感覚的なものばかりの社会… そこでは本の所持が禁止されており、発見された場合はただちにファイアマン(焚書官)と呼ばれる機関が出動して焼却し、所有者は逮捕されることになっていた、、、
(表向きの)理由は、本によって有害な情報が善良な市民にもたらされ、社会の秩序と安寧が損なわれることを防ぐためだとされていた… 密告が奨励され、市民が相互監視する社会が形成され、表面上は穏やかな社会が築かれていた。
だがその結果、人々は思考力と記憶力を失い、わずか数年前のできごとさえ曖昧な形でしか覚えることができない愚民になっていた… そのファイアマンの一人である「ガイ・モンターグ」は、当初は模範的な隊員だったが、ある日「クラリス」という女性と知り合い、彼女との交友を通じて、それまでの自分の所業に疑問を感じ始めた、、、
「ガイ」は仕事の現場で拾った数々の本を読み始め、社会への疑問が高まっていく… そして、「ガイ」は追われる身となっていく……。
SNSや動画配信サービスにより過去の文化が破壊されつつある現代文明を予見していたような作品でしたね… これが70年近く前に描かれた作品なんですからねー 驚きです、、、
活字が、本が、スマホにより駆逐されつつある社会に警笛を鳴らす作品ですね… 現代文明に対する鋭い批評を秘めた名作でした。
以下、主な登場人物です。
「ガイ・モンターグ」
主人公。焚書の仕事をしているファイアマン(焚書官)
「クラリス・マックルラン」
モンターグ家の隣に引っ越してきた少女。17歳
「ミルドレッド」
モンターグの妻
「ビーティ」
モンターグの上司で署長。
「フェイバー」
元カレッジの英語教師の老教授
「老女」
本を隠し持っていたため、隣人の密告により処罰対象となる
「ストーンマン」
モンターグの同僚のファイアマン
「ブラック」
モンターグの同僚のファイアマン
「フェルプス夫人」
ミルドレッドの友人
「ボウルズ夫人」
ミルドレッドの友人 -
Posted by ブクログ
ネタバレALTER EGOのエスが勧めてくれたので読んでみた。
本が禁止され焚書される世界の話で、紙の発火温度がタイトルになっていることにセンスを感じて読み始めた。
正直物語は面白くない。描写が詩的で仰々しいため進むのが遅い。350ページ近くあるが短編小説でも消化できるほどの物語しかない。しかも最後は戦争がすべてリセットしてぶん投げエンド。
ただ問題提起は凄まじく正しい。現在の人々の殆どが直面している課題に直撃している。
受動的にダラダラとインプットされる情報、思考する暇のない絶え間ない情報とそれに対する中毒、人生において死ぬまでにすべきこととはなにか。
まさしく今私がどうにかすべきと思っていた課題であり、その解決策として本を読むことと記録を付けることが提案されている。
私はまずは読書を始め、簡単なアウトプットを行うこととする。 -
Posted by ブクログ
アメリカの作家トマス・フラナガンの短篇ミステリ作品集『アデスタを吹く冷たい風(原題:The Cold Winds of Adesta)』を読みました。
ここのところ、アメリカの作家の作品が続いています。
-----story-------------
復刊希望アンケートで二度〈第1位〉を獲得!
風が吹き荒れる中、闇を裂いてトラックがやってきた。商人が運ぶのは葡萄酒か密輸銃か?
職業軍人にして警察官のテナント少佐は強制的に調べるが確証を得られず、トラックは通過してゆく。
謹厳実直の士、テナントが起こした行動とは?
「復刊希望アンケート」で二度No1に輝いた七篇収録の名短篇集、初文庫化。
-----------------------
日本で独自に編纂され1961年(昭和36年)に刊行された短篇集を文庫化して2015年(平成27年)に復刊された作品で、トマス・フラナガンのミステリ作品が全て収録された唯一の作品のようですね。
■アデスタを吹く冷たい風(原題:The Cold Wind of Adesta/1952年)
■獅子のたてがみ(原題:The Lion's Mane/1953年)
■良心の問題(原題:The Point of Honor/1952年)
■国のしきたり(原題:The Customs of The Country/1956年)
■もし君が陪審員なら(原題:Suppose You Were on the Jury/1958年)
■うまくいったようだわね(原題:This Will Do Nicely/1955年)
■玉を懐いて罪あり(『北イタリア物語』を改題)(原題:The Fine Italian Hand/1949年)
■解説 千街晶之
最初の4篇はテナント少佐シリーズの作品、残りの3篇はノンシリーズの読み切り作品です。
テナント少佐シリーズは、クーデターで王政を打倒した無慈悲な将軍が国の全権を掌握し戒厳令下にある地中海の共和国の職業軍人・テナント少佐を探偵役にした独特の雰囲気を持ったシリーズ… そんな中でも印象に残ったのは『獅子のたてがみ』と『良心の問題』の2篇かな、、、
被害者?加害者?どちらも意外などんでん返しが愉しめましたね… 構成の巧みさが味わえる秀作でした。
その他の作品では、『もし君が陪審員なら』と『うまくいったようだわね』の2篇が印象的でした… いずれも弁護士が主人公で夫婦間での殺人がテーマとなっているのですが、どちらも弁護士に訪れる意外な結末が用意されていて面白かったです、、、
どちらも弁護士に同情しちゃいましたね… 世にも奇妙な物語 的な展開でしたね。
好みは分かれるところかもしれませんが、まずまず愉しめましたね。 -
Posted by ブクログ
ネタバレアメリカで放送された人気ラジオ番組≪エラリー・クイーンの冒険≫の脚本を「エラリイ・クイーン」自身が編集する月刊誌≪EQMM≫向けにカレンダー仕立てにして小説化した作品で、本巻には前半の六編が収録されています。
■1月 双面神クラブの秘密
■2月 大統領の5セント貨
■3月 マイケル・マグーンの凶月
■4月 皇帝のダイス
■5月 ゲティスバーグのラッパ
■6月 くすり指の秘密
-----story-------------
1791年2月、初代大統領「ワシントン」は、ある場所に密かに記念の品を埋蔵した。
そして一世紀半後 「エラリイ・クイーン」がその場所の割り出しに挑戦する!
大統領と名探偵の、時空を超えた頭脳対決を描く「大統領の5セント貨」をはじめ、本巻には1月から6月までの六篇を収録。
-----------------------
カレンダー仕立てというコンセプトは月刊誌ならではのアイデアですが、、、
欧米人にとっての歴史… 特にアメリカ史に関する題材により各月の特色が出してあるので、日本人の我々にとっては馴染みの薄い行事が多く、正直なところ、あまり季節感(月感?)を感じることはできませんでしたね。
(4月のエイプリルフールと6月のジュンブライドは馴染みある行事でしたけどね… )
≪以下、ネタバレあり≫
元来、ラジオ番組用の脚本のせいか、全体的に軽い感じはしますが、自然死か殺人か最後まで迷わせ、意外な人物が犯人の『ゲティスバーグのラッパ』や、依頼人が犯人の『マイケル・マグーンの凶月』、「エラリイ・クイーン」が大掛りな芝居を見事に暴く『皇帝のダイス』は、短編映画に出来そうな物語で好みでした。
(もともとラジオ番組用の脚本だから、当たり前か… )
『くすり指の秘密』は、「エラリイ・クイーン」が犯人に出し抜かれて、結婚披露宴で花嫁が毒殺されてしまい、、、
さらに事件の解決にも失敗してしまうというストーリーで、ある意味、意外で先が読めませんでしたね。
ミステリー小説にしては、珍しい展開でしたね。
そこそこ楽しく読めましたが、、、
やっぱミステリーは長編の方が楽しめますね。 -
Posted by ブクログ
これぞ「ザ・クリスティー!」といわんばかりの事件(笑)
毒殺された金持ちの亭主、事件の捜査が進むごとに浮かび上がるドロドロの人間関係。金目当て、遺産目当ての殺人か、はたまた痴情のもつれか。と思っている間に、第二・第三の殺人が起こり……
そして、殺されたメイドがかつてミス・マープルのお屋敷でも働いていたことから、マープルも自ら事件のあったお屋敷に乗り込み、推理に挑むます。
推理としては、もうちょっとカチッと嵌めてほしかった感や、もっと展開を転がせたのではと思ったところ、
また、証言と登場人物の行動を追っていくミステリなので、全体的に地味といったところもあったのだけど、クリスティーらしい人物描写の妙は、今回も見事でした。
怪しい人物は徹底的に怪しいし胡散臭い。それがほぼ全編にわたって描かれます。その胡散臭さにまかれて、いつの間にか植え付けられていた先入観。
ミス・マープルが犯人を指摘したとき、「おお、そうきたか」と思ったのですが、
動機であったり、いかにもな行動を取っていたりと、よくよく考えるとまったく意外な人物ではないのが、自分で自分のことを不思議に感じてしまいます。
どこで、そういう思考回路になってしまったのか……
いつの間にか物語の雰囲気に流され、犯人候補から無意識的に遠ざけていたのだと思います。
そのように、物語の雰囲気と人物描写で、読者の思考を騎手のごとく操り、そして生まれた隙を確実に突くのが、クリスティーの真骨頂なのだろうなあ。
ポアロにしろ、ミス・マープルにしろ、あまり義憤に駆られるタイプの探偵というイメージはなかったのだけど、この『ポケットにライ麦を』はそれが良い意味で裏切られました。
マープルの元に最後に届いた手紙。それは愚かといってしまえばそれまでなのだけれど、その愚かさが哀しく、そして憐憫の情を感じてしまいます。
マープルも被害者への憐憫や、犯人への憤りを感じるあたり、やっぱり人間だったのだなあ。でも、最終的に勝利の歓びを感じて終わってるから、結局のところ探偵の血は争えないのかもしれないけれど。 -
Posted by ブクログ
X・Y・Zの悲劇に続く最後の悲劇はドルリー・レーンの死で終わる。名探偵役ドルリー・レーンが最後の真犯人だった。
全てはラストページ、ベンチに座り首をもたげ冷たくなっているドルリー・レーンのワンシーンのためにあった――と解説にあるが、これは納得だ。確かにそのシーンはきれいである。でもあまりにそのシーンを重要視したせいか、幕切れはあっけないし消化不良な感だ。
本作は紙魚殺人事件の邦題もあったらしいが古書を扱ったミステリー小説である。古書に隠された1枚の紙片は、貴重なシェイクスピアの自筆かつ、彼の死が他殺であり殺人犯の告発も行っていた。あまりに貴重な一片を保管しようと殺人まで犯すドルリー・レーンと、殺人犯の子孫であり先祖の罪を永遠に闇の中へ葬ろうと動く犯人。この動機を納得できるのか、その謎が魅力的であるのか、わたしはあと一歩魅力的な謎に及ばなかったと感じた。
登場人物の魅力が足りないのもあるし本人が双子であるというのもあまりにあからさまに告げられているし、それなのに冗長なやり取りが延々と続くのに飽き飽きした。
4部作を振り返ってみればXが大傑作で、他は別に読むほどのこともなかった。Yが人気なのはなぜなんだろうか?