宇野利泰のレビュー一覧

  • 華氏451度

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    ネタバレ

    「ご存知かな?書物はすべて、ナツメグのように、異国から招来される香料のにおいがします。わしは子供のとき、書籍のにおいを嗅ぐのが大好きだった....」(p.165) ※この一文、自分がナツメグ好きなこともあって、ドンピシャに刺さった。

    ディストピア小説で名高いだけあって、文句なしに面白かった!唯々諾々と受動的に生きてきた主人公が、ある少女との何気ない出会いで認識が一変し、自分の正気を保つために行動し...という話。自分が正気=世界が正気ではない、世界が正気=自分は狂気、という0か100かというとんでもない緊張を突きつけられ、人と出会い、一歩を踏み出していく、希望はあるエンディングだった。自分は

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    2020年12月30日
  • 華氏451度

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    素直に面白かった。物事を考えるのに必要な知識と閑暇(ヒマ)を人間に与えるのは本ではなく、自分以外の人間である他者との関係性なのだろう。

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    2020年06月20日
  • ポケットにライ麦を

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    ポアロよりもマープルの方が人間味が強い印象をこの作品で持った。愚かで悲しいお話。
    最後までアイリーンに期待してたんだけど回収がなかったから少し残念。

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    2020年05月17日
  • 華氏451度

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    集中力がいる作品だが、今年一ワクワクして面白かった。

    思想の統一 が焚書という非現実的な設定でまとめられているが、遠い未来こうしたことが起こらなくもないかもと思えた。
    ネットで情報が拡散される今の世の中を舞台とした物語も読んでみたい。
    映画版も観ようと思う。

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    2019年07月18日
  • 華氏451度

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    全ての教育者は読むべし!!「本を読まないとバカになる」のは本当なんだな、と思わせる1冊。(3-5-2010)

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    2018年10月08日
  • 華氏451度

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    本が禁止となった世界で本を燃やす仕事をしている主人公が自らの仕事に疑問を抱き始める。
    現代のスマートフォンのようなものに人々は夢中であり娯楽はあるが空虚なディストピア的世界観。

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    2018年08月09日
  • ラヴクラフト全集2

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    元となった「ラヴクラフト傑作集2」は、
    ボロボロになるまで読み込んでいました。
    なのでこの本は再読の再読。
    ・クトゥルフの呼び声
    大伯父の残したものを調べることで、
    知ってしまった宇宙からきた恐怖の神々の存在。
    未知なる名状しがたきものから追われる恐怖!
    ・エーリッヒ・ツァンの音楽
    禁断の曲を奏でたことの悲劇か?
    それとも、その演奏を未知なるものに愛でられたのか?
    ・チャールズ・ウォードの奇怪な事件
    不可思議なる先祖を調べることにより、
    後戻りできない運命となる青年と、救おうとする医師。
    クライマックスの対決は息をのむ!

    作者の創造力が毒々しく花開く作品集です。
    風景や人物の描写の素晴らしさ

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    2017年12月04日
  • 寒い国から帰ってきたスパイ

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    ネタバレ

    ル・カレ初のベストセラーで,古典的名作との触れ込みだが,その評判に違わないおもしろさで,むさぼるように読んでしまった.
    派手さの全く無い地味な諜報戦をメインに据え,騙す,騙し返すの応酬で攻守は二転三転し,驚きの背景が明らかになったあとに,後味の悪い結末を迎える.
    やはりスマイリー三部作も読まざるをえないな,これは.

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    2017年11月05日
  • 寒い国から帰ってきたスパイ

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    スパイ小説。と言っても一般的なスパイ小説の定義はわからないんですけど、ミステリー小説でもあります。
    ミステリーである以上、何か謎があり、それを解明しないといけないのですが、本作では主人公のスパイ、リーマスの立場に立って、「自分は本当に大丈夫なのか。」ということが謎になります。
    著者のルカレは元々スパイだったこともあり、「自分は本当に大丈夫なのか。」という謎を考えつつも、同時にその緊迫感がリアルに伝わってくる記述で、ハラハラする面白い小説です。

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    2016年03月07日
  • Yの悲劇

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    個人的にはすごく面白かった。
    おかしな一族とか、古典的なのが好みなので笑

    病気の扱いとか、時代遅れな感じはした。
    というか、一族で老婦人だけ陽性で、他はみんな陰性なのが不可解だった。
    病気は持っているのに、陰性なのか?

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    2016年02月14日
  • 華氏451度

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     この作品が六十年も前に書かれたことがまず驚き。
     作品内で描かれている書物、テレビ、広告、ラジオ、選挙などと人間との関係性は、現代において全てフィクションとは言いきれないほどにリアリティーがある。娯楽の洪水に溺れて"考える"ことをやめてしまうのは簡単で楽だけど、本当にそれでいいのか。携帯やパソコンなしでは生活できない自分に、遠い昔から作者が問いかけてきたようだ。

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    2015年12月08日
  • 華氏451度

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     本の所持が禁止された世界を舞台に、見つかった本を焼き払う”焚書官”の仕事をするモンターグの姿を描いたディストピアSF。


     以前NHKの「クローズアップ現代」で読書について取り上げられているのを見ました。その番組の中の実験で普段読書をする学生としない学生でレポート課題に取り組む際どのような違いが見られるか、ということが実験されていたのですが、それがこの本の内容とシンクロしているような気がします。

     モンターグはふとしたきっかけから衝動的に一冊の本を持ち帰り、その本を読み自分の仕事に疑問を持ち始め元大学教授のフェイバーに話を聞きにいきます。

     フェイバーが語る書籍のない社会に欠けているも

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    2015年07月30日
  • アデスタを吹く冷たい風

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    面白かった!久しぶりに外国人の書いた作品を読み切った。所々わからないところはそのままにしても充分楽しめる。

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    2015年07月10日
  • アデスタを吹く冷たい風

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    ずっと読みたかった作品がようやく文庫化、噂に違わぬ傑作揃い。ハードボイルドな雰囲気が漂う中、独裁国家の軍人という設定を活かしたトリッキーな解決が冴え渡るテナント少佐シリーズは必読もの。

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    2015年06月20日
  • 華氏451度

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    書籍を持つことが禁じられた世界。書籍の一切を焼き払う「焚書官」という仕事に就くモンバーグは、近所に越してきた不思議な少女クラリスと出会い、また書籍とともに命を落とす老婆の存在を目の当たりにし、本を忌むこの世界に疑問を持ち始める。

    思考すること・物事に疑問を持つことの重要性、思考の時間を奪われることの恐怖と弊害、さらには人間らしさとは何かを問う作品だと思う。
    耳にはめた超小型ラジオや大画面テレビから、引っ切り無しに流れてくる情報の海。書籍から知識や思想を学び感じ取ることを禁じられ、物思いにふける時間すら悪とされる。
    徹底的に思考を管理された世界は、確かに人と衝突することなく一見平和かもしれない

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    2015年07月30日
  • ラヴクラフト全集2

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    ネタバレ

    『肉体器官の作用が極度に均衡を失って…』『見る者をして、部屋の隅々から妖気の立ち昇る思いを感じさせるのだった』だの持ってまわった小難しい言い回しが多いのが著者(翻訳?)の特徴。おかげで「古風」で「変に不気味」で「妙なシズル感」がある文章。
    その上長編でサラッと読むめない、序盤で何となくオチの予想が付く。けれど何回も読み返してしまう「チャールズ・ウォードの奇怪な事件」。
    特に後半のドロンドロンな展開が同じく後半の主人公であるウォレット医師の勇気と行動によって思わず読み進めてしまう展開にしているのがなんかいい。

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    2014年12月06日
  • 華氏451度

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    「火の色は愉しかった」
    この冒頭の一文に惹かれ、一気に読みました。自分から何も考えずただ刺激的な快楽を受け取るだけの未来は、もう現在のことになっている。壁一面のテレビはスマートフォンに、テレビ中の「家族たち」はSNSの繋がりに姿を変えて。

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    2014年09月26日
  • ラヴクラフト全集2

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    クトゥルフの呼び声の壮大な宇宙観に、悪夢でたまに感じる、あの全身が総毛立つようなゾッとする根源的な恐怖心が蘇ってきた。

    ラヴクラフトの一人称で淡々と語り続ける作風が好きだ。神秘学や黒魔術に彩られた重厚な宇宙的ゴシック小説。

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    2018年12月17日
  • ギリシャ棺の秘密

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    ネタバレ

    国名シリーズでは個人的に一番好きな作品。論理的になるほどと思わせる推理が三つも構築されていてボリューム感がある、かつ本格ミステリとしての針の穴ほどの誤りも許されない厳しさもあらわしている。

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    2014年01月09日
  • ラヴクラフト全集2

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    ネタバレ

    「クトゥルフの呼び声」始まり、短編「エーリッヒ・ツァンの音楽」をはさみ、長編「チャールズ・ウォードの奇怪な事件」で終わるこの第2巻はこれぞラヴクラフトという感じがした。

    ちなみに、今のところラヴクラフト全集1~4巻までしか読んでいなく全部読んだわけではない。各話の軽い感想を書いていく。

    「クトゥルフの呼び声」はまさにクトゥルー神話の原典ともいうべき話でクトゥルフを始めとする地球上に潜む人間をはるかに凌駕する者達の存在や、それを示唆する魔導書の存在、海底に沈む古代都市など、クトゥルー神話にとって重要な物々が一つにまとまった話である。地球に潜む秘密のあまりの大きさにSFでありながら、頭がクラク

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    2013年06月28日