宇野利泰のレビュー一覧
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・クトゥルフの呼び声
これに出てくるクトゥルフという単語から、クトゥルフ神話と呼ばれるようになったらしい。地球規模で複数の人間に似たような恐怖の夢を見させることができる存在。それが海底のル・リエーの家で眠っていると。なかなか壮大なスケールの恐怖感がよい。
・エーリッヒ・ツァンの音楽
呪いの旋律とでもいうべき音楽を奏でるエーリッヒ。実はその旋律で魔物と闘っていたのだろうか。短いながらも印象深い話。
・チャールズ・ウォードの奇怪な事件
ネクロマンサーが一般社会に暮らしていたらどうなるか、という話。長い割にはインパクトがなかった。魔術師対決が見られるとは思っていなかった。そこだけが目が覚め -
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ネタバレアガサ・クリスティーがすごいのは、読者の犯人探しの視点を完璧に捉えていることだと思う。
この事件の中心は複雑な家族関係を抱えた豪邸水松荘。けれど冒頭は被害者の職場にあるタイピング室から始まる。結論から言うとタイピング室は事件に無関係で、冒頭以降の物語はすべて水松荘で展開される。
だけど、だからこそ、ミステリ好きの読者はその導入部分が気になってしまうのでは。タイピング室の人間関係や描写が軽快でわかりやすいのもそれを助長する。あのタイピング室は一体? 美人秘書のミス・グローブナーは事件後なぜ辞めたのか? もしや犯人はタイピング室に… と考えてしまう。
ミステリのトリック・種明かし自体はちょっと -
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米国のSF・幻想文学作家のレイ・ブラッドベリによる1953年発表の作品。
ジョージ・オーウェルの『1984年』などと並び、代表的なディストピア小説のひとつと言われる。ディストピア小説とは、SFなどで空想的な未来として、理想郷(=ユートピア)の正反対の社会(=ディストピア)を描いた小説で、その内容は政治的・社会的な様々な課題を背景としている場合が多い。
華氏451度とは、摂氏では233度にあたり、紙が自然発火する温度というが、本作品は本の所有や読書が禁じられた近未来の物語である。
主人公は「焚書官」として、人類の叡智の結晶である本を焼き尽くす仕事をしているが、その一方で人々は超小型ラジオや家の大 -
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ネタバレ華氏451度とは摂氏233度で紙が燃え始める温度。
この物語の主役は昇火士(ファイアマン)ガイ・モンターグ。彼の仕事は政府が禁止した書物を発見し次第焼きつくすこと。しかし、彼は風変わりな少女との出会いや、本とともに自爆してしまう老女を目撃することで、禁止された本の中には何があるのか興味を持ち始め、こっそり本を集めるようになり、ひいては社会のゆがみを認知するに至る。
焚書が公然と行われる世界、というとどんな強権的な政府があるのかと想像するが、この作品世界の興味深いところは、民衆が自ら本のない世界を選んだことになっている点だ。禁止された本の中には聖書すら含まれているのだが、人の心を思索へ向かわせ -
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ネタバレ焚書官ガイ・モンターグは密告をうけて本を焼くことを仕事としていた。ある日、隣に住むクラリスという少女と話をする。そこで問いかけられる。「あんた、幸福なの?」と。それ以降、身の回りの出来事に違和感を感じ始める。テレビに夢中になる妻、本のために自殺する老女、現状を肯定し知性を批判する上司、そして戦争に向かいつつある世界。
老女のもとから本を一冊だけ持ちだしたモンターグは元大学教授フェイバーに会いに行く。フェイバーは過去、政府による焚書に至る経緯におもてだって反対しなかった。結果、現在の状況を激しく後悔していた。そこで、モンターグに協力し焚書係の力を削ぎ、ほんの印刷を始めることに協力することにした -
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ネタバレ『黒い怪獣』
古代の魔法使いトゥグラ・コタンの墓に忍び込んだ盗賊シェヴァスタ。南から進撃するナートク率いる軍隊の驚異にさらされたコジャの国の王女ヤスミナ。ミトラ神のお告げによりコナンをコジャ軍の指揮官に。ナートクとの戦い。
『月下の影』
アムトラ王からオリヴィアを助けたコナン。ヴェラット内海の島に流れ着く二人。無人の島で飛んでくる岩。島の中心の宮殿。鉄の像。ヒルカニアの海賊船を奪い脱出をはかるが逆に囚われるコナン。夜中に宮殿で起きる惨劇。
『魔女誕生』
妹であるサロメに幽閉されたコーランの女王タラミ ス。タラミスになり済まし愛人であるコンスタンチウ スと彼の部下たちを国内に引き入れたサロ