宇野利泰のレビュー一覧
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大富豪ヨーク・ハッターの死体が港で発見されるところから物語は始まる。何度も命を狙われる盲目で聾唖の長女ルイーザ、そしてハッター家の支配者であるエミリイはマンドリンで撲殺される。
ドルリー・レーンを探偵役とする「悲劇」4部作のうち、前作『Xの悲劇』に続く第2部。
以前読んだことがあるが、凶器がマンドリンということしか覚えていなかったので再読。
ドルリー・レーンが警部と検察官に事件の概要を説明している時の悲痛さが徐々に増していく雰囲気がとても印象的。『Xの悲劇』の続編だから『Yの悲劇』と言うタイトルなんだろうけど、物語に出てくる「これはまさに『Yの悲劇』だ」というレーンの言葉に深く頷いてしまう。 -
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クラスメイトが貸してくれた2冊目のラヴクラフトですが実はもう1冊ラブクラフトを読破しています。
全ての全集を読んだ訳ではありませんのでお詳しいファンの方に怒られるかもしれないですがお話のパターンが見えて来ました。
①海から異形の者がやって来て、それを見た人間の気がおかしくなってしまい周りも巻き込んで最終的にはドギャーン!!
②異形の者に出会ってしまったり儀式に出くわして気がおかしくなり精神病院に入れられる率が高い。
③身内とか知人の遺品の中に訳の分からない文献を見つけてしまい、気になって調べてるうちにドギャーン!!
④怪しい建物の地下や未開の地の奥はろくな事がない。
⑤何パターンも -
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『思考機械(シンキング・マシーン)』は、本名を「オーガスタス・S・F・X・ヴァン・ドゥーゼン」といい、哲学博士(PH.D.)、法学博士(LL.D.)、王立学会会員(F.R.S.)、医学博士(M.D.)、そして歯科博士(M.D.S.)といった、肩書きと名前とでアルファベットの殆どを使ってしまうという、驚くべき人物である(それにしても、長い名前だこと)。
1887年に誕生した、シャーロック・ホームズの人気を皮切りに、各国から、それに続けとばかりに現れた個性的な推理ものの中に於いて、この思考機械シリーズは、1905年の『十三号独房の問題』で初登場し、その彼自ら刑務所の独房内に入り、そこから見 -
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ジョン・ル・カレを読まずして旅立つことはできないのだよ諸君
ただ、ひとつだけ告白しておこう
ずっとジョン・カレ・ルだと思っていたよ
バーモントか!
はい、スパイ小説の教科書と言っても過言ではない『寒い国から帰ってきたスパイ』です
1961年刊行でイギリスとアメリカの最優秀ミステリー賞を同時受賞した傑作であります
いやー、こっち側もいいですなぁ
巻末の解説にもありますがいわゆるスパイ小説というのは「超人的な能力の持ち主である主人公が、《手に汗握る危機一髪》的な事件で活躍する《神話》であった」のに対して本作は圧倒的なリアリズムを持ってスパイの世界を描いているんですな
そしてもちろん、それだ -
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ノン・シリーズも異色短編として悪くはないが、水準作(「玉を懐いて罪あり」を除く)。やはり読みどころはテナント少佐シリーズ。フランコ独裁政権下のスペインをイメージした架空の共和国で、かつては反将軍派でありながら、今はその将軍に仕えなければならないテナント少佐の、面従腹背を地で行く苦闘が描かれる。テナントの闘いは単に謎を解いて、犯人を捕まえれば良いと言うものではない。ときにおぞましいとも思える命令に従いながら、自らの矜持や正義を守り抜くためのパズルを、テナントは解かねばならないのだ。
実は数十年ぶりの再読なのだけれど、びっくりするくらい覚えてましたね。これは傑作。