上田秀人のレビュー一覧
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下巻は「帰郷奔走編」と名付けられている。1860年代の目まぐるしい動きの中、仙台の伊達家中に召し抱えられた玉虫左太夫の奔走、<奥羽越列藩同盟>の戦いという話しだ…
本作で、左太夫が諸外国を見聞して考えること、「新しい知識を有する者」として家中に抱えられたは善いが抱え込んでしまう妙な苦労、「仙台伊達家」の成り立ちに起因する体制の不自由さの故の苦労…こういうモノが「多少、気色悪い」とさえ感じる程度に「今のこの国でも???」という側面が在った…
「時代をリード」という知識を得ていながら、「時代に翻弄」という具合に散ってしまった男…玉虫左太夫の物語は実に読み応えが在った!!そして、本作を通じる等して、 -
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宇喜多直家…“梟雄”と呼ばれる人物だが、その生き様は清々しい感さえする。「悪名で死ぬ訳でもない」と言い放ち、生き残りのために手段は選ばない。他方で、「食うや食わず」の状況の頃から苦楽を共にした間柄の者達を大切にする姿勢を見せている。諸勢力の争いの谷間という備前で、概ね備前一国を勢力下に治めることに時間を要し過ぎたことから、「新たな“天下人”による秩序の下での宇喜多家の生き残り」を晩年は主眼に置いていた…
“梟雄”と呼ばれ、「宇喜多秀家の父」として名前は聞く感の宇喜多直家だが、その“輪郭”は余り判らなかった。小説の故の脚色が在るにせよ、その生涯は実に劇的である…そういう物語を楽しめる本作!!お -
購入済み
いやおもしろい
私は吉川栄治と柴田錬三郎の作品が大好きです。どちらの作家もエンタティンメントに徹していて、金出して買ってくれた読者に作品を楽しんでもらうことに徹していますね。
作者が出てきて長々と説教垂れるようなタイプの作品は大嫌いです
妾屋昼兵衛リーズは剣豪小説ではないのでチャンバラの分量もほどほど、妾屋といいながら濡れ場は全くなし。それでも登場人物たちが三つ巴で繰り広げる手に汗握る虚々実々の駆け引きとか、とても楽しめました。
読みだしたらあっという間にシリーズ全巻購入してしまいました(あぁ -
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面白かったです! 江戸時代、綱吉が将軍になって間もないころの話。矢切良衛という、今で言う外科医が主人公です。先祖は足軽で戦場剣術に秀で、矢傷の手当てをしていたということ。良衛自身は外科と内科双方を学び、町医を開業するかたわら江戸城へ登城し、医師溜で待機する日々を送っています。表御番医師、というそうですが、奥医師以外にお城に医者がいたと初めて知りました。その良衛がある日、大目付の腰痛の手当をしたことがきっかけで、とんでもない事件に巻き込まれることに…。医師であり、きわめて実践的な剣の使い手でもある良衛の活躍に引き込まれ、一気に読み終えました。