池田香代子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
物語は、大金持ちの娘「点子ちゃん」と、病気の母を支えながら学校に通う、今で言うヤングケアラーの「アントン」の素敵な友情に加えて、点子ちゃんの家族のあり方を、ユーモラスながら、とても真摯に描いているのが印象的で、これだけでも充分楽しめるところに、本書では、作者「エーリヒ・ケストナー」自身が、各章毎に書いた『立ち止まって考えたこと』が合わさることで、実はフィクションとして存在していた物語が、現実の世界を救うノンフィクションのような存在へと立ち替わる、この作り方には、最初、作者が物語に介入してくるような面白さを演出しているのかと思っていた自分が、思わず恥ずかしくなるくらい、直向きで切実な思いが宿って
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Posted by ブクログ
ネタバレ戦慄のミステリーでしょうか、哲学史の指南書としても秀逸ですし物語としてもぐいぐい引き込まれていきます。ヒルデとソフィーの交錯がなんとももどかしい。
キェルケゴールあたりの実存主義は全くノータッチだったので、大前提としてそこにあるのであって、生きる意味といった根本的な真理は存在しない、個々人がそれぞれに見出さなければならないのだといった思想の到達点だと知れただけでも有意義。そこに暗澹たる雰囲気とシュールレアリズムが内包されているけど、どうも自由を付与されたことでがんじがらめになって指針を無くした個人主義たる現代に通ずる空気をびしびし感じます。
占いや霊媒師やらなんやらのオカルト物に関する痛烈 -
Posted by ブクログ
サスペンスミステリー調のストーリーにも引き込まれることはもちろん、ソフィーに対する哲学講義が非常に筋道だってて哲学の系譜があらあらっと理解増しました。
序章で哲学者とは白兎の毛の先っぽで踏ん張り奮闘する知的好奇心オバケなんていう、哲学者の心得みたいなところから始まり、まだ手をつけていなかった自然哲学者から古代ギリシャ三代哲学者なんかをさらってくれて(プラトンのイデアとアリストテレスの経験主義的な対比なんかも)、18世紀イギリス経験主義まで駆け抜けてくれてます。個々の哲学者の思想と、前時代とのつながりを拾ってくれてるので、体系だった学習としても最適ではないでしょうか。
ソフィーの気だるいツッ