池田香代子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
心理学者で精神科医であったヴィクトール・E・フランクルが自ら体験したアウシュヴィッツ強制収容所での生活を記録した作品。
フランクルはウィーン大学で医学を学び、1941年には同じ病院で働いていた看護婦と結婚、順風満帆な暮らしを営んでいたが1942年、ユダヤ人であるという理由からナチスに捕らえられアウシュヴィッツに送られた。彼は、まさに地獄のような収容所生活を耐え抜き、1945年4月の戦争終結によって解放されるが、妻や両親は収容所で命を奪われていたという辛い知らせを受ける。
そんな失意のどん底の状況にありながら、並外れた精神力で強制収容所の体験を精力的に綴ったのが本書である。
劣悪な生活環境や過酷 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ小説の形式で哲学を語る、ということがはたして可能なのか? 本作と出会ったとき、最初に胸に兆した疑問がこれだった。
読み始めると、殊の外相性がいい。著者ヨースタイン・ゴルデルの筆力に負うところが大きいのだろうが、日ごろ「哲学」と聞いただけで忌避してしまいがちな人にこそお勧めしたい。
このレビューは、『ソフィーの世界』の上下巻を通読しての感想となる。
著者はノルウェー出身なので、ここで語られる「哲学」は、西洋哲学である。
古代ギリシャのソクラテス・プラトン・アリストテレスと続く哲学に始まり、中世哲学やルネサンス、啓蒙主義などに触れ、近世の合理論や経験論の解説がなされる。最後に近代哲学に分類される -
Posted by ブクログ
_/ 感想 _/_/_/_/_/_/
出版から時間がたっているので、今は状態が変わっていると思いますが、世界に目を向けると、文字が読めないひとがいたり、きれいで安全な水を飲まないひとがいたり、日本での生活とは大きな違いがあることがわかります。
それは、幾度となく聞いていることではありますが、あらためて、100人に置き換えて考えると、その割合には驚かされます。
いま、辛いと思えることは、きっと些細なことでしょう。
もっと、喜びを出していかなければなりません。
そして、できることに、手を差し出していかなければなりません。
この本は、それをわかりやすく伝えてくれます。
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購入済み
「苦しむことはなにかをなしとげること」
はたして自分がその境遇になったときに
そのように境地に達することはできるのだろうか。
解放されずに殺されてしまった人々は、どう思うだろうか。
結論を出せるような問題ではないが
自分にはない視点を得られた。 -
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Posted by ブクログ
読後感の重いものを読むのが好きなので、好みの本の中で、読み終わって幸せな気持ちになる本はあまりないのだが、児童文学の名作は、読むと幸せを感じることがある。それは単に明るく軽々とした気持ちではなく、不幸やアクシデントが人生には必ずあるが、幸せに生きることは不可能ではないという思いが満ちるといった感じ。そしてその中でも特に切ない幸福感を感じられるのがケストナーの作品である。
そのケストナーのその人となりがどのように形成されていったかがわかるのがこの本である。
ケストナー自身が、祖先から始まって、第一次世界大戦までの自分自身のことを書いた、前半生の自伝である。
子どもにも読めるように書かれているが、 -
Posted by ブクログ
存在は知っていたものの未読だった本で、新訳を機に初めて読みました。ケストナーらしい、優しく、たまに鋭く斬り込む文章で、まるで物語を読むのと変わりなく楽しみましたが、奥に秘められた故郷や家族親族への大きな想い、時代に対する深い慈しみと怒りのような、生身の感情が溢れていて、小説とはまた違ったケストナーの言葉を感じました。
タイトル通り、少年時代の終わりと共に終わっていて、あくまでも子どもの目線で見たままの世界がそこにあり、苦しさよりも、生き生きとした少年の日常の印象が強く、戦争の気配はまだないですが、ケストナーが生きた時代をより深く知るなら、この後、終戦日記を読むと、理解が深まるのかなと思っていま -
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