池田香代子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
本書は「哲学者からの不思議な手紙」とサブタイトルがあるように、哲学について書かれたファンタジー小説です。
哲学というと何やら小難しい印象がありますが、小説の形式をとったストーリー仕立てで、物語を楽しみながら読み進めることができました。
とは言え、上巻と下巻の両方を通して読み終えた時の感想は、ただストーリーをなぞり、それを楽しんだだけで、何か大切なものに気づかず通り過ぎてしまっているような気がして、続けてもう一度読み直しました。以下は上下巻を通して再読しての感想です。
主人公は「ソフィー」という名の14歳の普通の女の子。そんな彼女のもとに、
「あなたはだれ?」
とだけ書かれた差出人不明の手 -
Posted by ブクログ
本書は「哲学者からの不思議な手紙」とサブタイトルがあるように、哲学について書かれたファンタジー小説です。
哲学というと何やら小難しい印象がありますが、小説の形式をとったストーリー仕立てで、物語を楽しみながら読み進めることができました。
とは言え、上巻と下巻の両方を通して読み終えた時の感想は、ただストーリーをなぞり、それを楽しんだだけで、何か大切なものに気づかず通り過ぎてしまっているような気がして、続けてもう一度読み直しました。以下は上下巻を通して再読しての感想です。
主人公は「ソフィー」という名の14歳の普通の女の子。そんな彼女のもとに、
「あなたはだれ?」
とだけ書かれた差出人不明の手 -
Posted by ブクログ
タイトルは聞いたことがあったが、読んだことがなかった本書。読書会に参加してくれた方の話題提供が興味を誘い読んでみることに。精神科医でもある著者が実際に体験したナチスの強制収容所での体験を綴った本書。正直読み進めるのが辛いぐらい人間の怖さが深く刺さる。この局面で自分自身は死を選ばずに生を選び続けることができるかどうか常に問われている感覚。そして人は「生きる意味」と言えるような何かがあれば、絶望を生き抜くことができる。その点において本書は希望の書であると受け取りたい。生き残ってこの本を残してくれたフランクルさんに感謝。まぎれもなく死ぬまでに一度は読んだ方が良い一冊。
-
Posted by ブクログ
人間が人間としての自由や権利や意思を奪われること。
奪われた者たちは初めは混乱し、抵抗するも、やがて順応してしまうこと。
しかしながら、人間として決して奪われないものもあるということ。
奪われたものが返ってきても、もはや受け付けられなくなってしまった者もいたということ……。
ホロコーストの当事者であった筆者が綴る強制収容所での体験は凄絶だ。同時に、人間や生きることについての分析や考察がユーモラスに綴られてもいる。ちょっとしたおかしみが最後まで読み通す活力となり、また事実の惨たらしさを明らかにしてくれていると思う。
かつて人類が犯してしまった大きな過ち(残念ながら現代でも根絶しきれてい -
Posted by ブクログ
若い頃に読んで衝撃を受けてかなり久々の再読。昔読んだ時は、絶望の中で人間性が変容する様や、自身の未来の捉え方の記述などから人の心の在り方がこれほどまで晒される環境に影響されるのかと驚いた。今回読んで改めて著者の精神性の崇高さと、その結果この本を残せて自分が手に取り、強制収容所のあり様を読む事ができているという事実に感じいった。
自分の未来を想像して絶望しかない極限状態では何のために生きるのか?という未来志向の問いではなく、まず生きる事が前提としてあり、生きている事にどういう意味づけをするのか?という問いに変える必要がうまれる。そうする事で病にふせる事にも死ぬ事にも意味が生まれる。この考え方はド -
Posted by ブクログ
本著は、著者のフランクルが長期間にわたって収容所に入れられている人間の特徴を心理学者の観点から記述したロングセラー作品である。
読み始めたきっかけは、友人の勧めである。自分は人生で何を成し遂げたいのか、頭で考えるほど迷走し始め、もはや、今まで何に対してワクワクした気持ちを持っていたのかも分からなくなった結果、生きる意味について考えていた故である。
全章それぞれで感想を書きたいところではあるが、
収容所生活中のことが記載されている第2章の感想をメインに書きたいと思う。
フランクルは収容所生活にて、多くの被収容者と関わっていくなかで、精神の自由の普遍性を見出した。置かれている環境は、ある一定 -
Posted by ブクログ
気が落ちる話しなので人にお勧めできる本では無いが、社会的価値があり高評価。
第二次世界大戦下のナチスドイツ、アウシュビッツ収容所に入れられたユダヤ人心理学者の実体験記。
人が人を虐げ、その極限状態では何が起き、どう感じ、事後にどう分析したのか。
【頭に残った言葉】
生きること自体に意味があるのなら、苦や死も生きることの一部なので意味がある。
逆に考えれば、生きることから我々は何かを期待されている。
外的影響はどうする事も出来ないが、内的影響は自分次第である。
内的自由を失う事、未来に希望を持たずに諦めた時、人は死ぬ。
これは精神的な死では無く、物理的に。未来への希望を失うと、ギリギリ -
Posted by ブクログ
パレスチナ問題について改めて考えたくなったため再読。
改めて読んでみて、人間の残酷さと尊さの両面を強く感じた。フランクル氏の体験を追体験する中、アウシュヴィッツが記録ではなく、自分の問題として迫ってきた。苦境の中にある人間の心理や尊厳を考えさせられ、今の時代の出来事ともつながって見えた。
後半で出てきた「境界線は集団を超えて引かれるのだ」「不正を働く権利のある者などいない。たとえ不正を働かれた者であっても例外ではないのだ。」という言葉が今の当事者にはどう響くのだろうと考えさせられた。
読んだ後に浮かんだ疑問→
「苦境にさらされたとき、報復ではなく正義を選べるだろうか?」
「苦しみや怒りを抱え -
Posted by ブクログ
200ページもないのに、内容が非常に濃い。自分が一生かけても到底たどり着けないであろう思考領域からなされた人間の生物分析や、生きる意味の結論が記載されていて、心から「買ってよかった」と思える一冊になった。
収容生活の体験談だが、ただ生活を描写しているだけでなく、過酷な環境下で筆者が見出す人間心理の変化や、生への哲学が記載されていて、非常に面白い。
監視者の残虐性や被収容所の感情やモラルの消失が凄惨に描かれている一方、内面性を深めて道を開いていく内向的な者や、密かに著者への恩義を伝える監視者の姿など、実話ならではの人間の善や純真さも見られる。苦悩から衰弱し、ガス室送りになる者が多いなか「自分が -
Posted by ブクログ
学生の時以来の再読です
久しぶりに読みましたが相変わらずわかりやすくて面白いなぁと感じました
哲学について全く知識がない人でもすんなり読むことができると思います
むしろ全く知識がない人の方が楽しめるまであるかもしれません
ミステリ要素もあるので物語としても楽しめます
多くの日本人がうっすら抱いている宗教への嫌悪感について、本作を読むと違った見方ができるようになるかもしれません
宗教と哲学は切っても切れない仲なのだということを教えてくれます
下巻もこのまま読みます!
❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀
いま、ふたたび自分の存在を問い直すときがきた
14歳の少女ソフィー -