あらすじ
ボクサー志望のマッツ,貧しくも秀才のマルティン,臆病なウーリ,詩人ジョニー,クールなゼバスティアーン.生いたちも性格もまったくちがう少年たちはそれぞれに,悩み,悲しみ,そしてあこがれを抱いています.寄宿学校でくり広げられる,涙と笑いがつまったクリスマスの物語.新訳.
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Posted by ブクログ
明るく飄々としたまえがきから、どんな話が始まるんだろうとわくわく。
ギムナジウムというドイツの寄宿学校での、クリスマス休暇までの出来事。
序盤は登場人物に苦戦しましたが(マルティンとマティアス!)生徒も先生もキャラクターがハッキリしているのですぐに区別できるようになりました。
大人手前の子供たちによるドタバタ、遠い家族への想い、臆病な自分を変えようともがく姿や尊敬できる大人の存在など、思春期ならではの感覚も追体験した感じ。
ケストナーの文体の明るさと当時のドイツの状況が重なって、なんとも言えない気持ちになります。
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大人になって読んでも充分に楽しめるし、先生側の立場で考えると、自分もこんな大人でいたいなあという場面がたくさん。
冬のドイツの情景や、クリスマスの雰囲気にわくわくしつつも、色んな境遇にいる子供たちが描かれていて、奥の深い話だった。結末まで素敵だったな〜。
決して模範的ないい子ちゃんばかりではないけど、個性豊かな子どもたちが可愛らしい。
Posted by ブクログ
ケストナー作品を初めて読んだ。
ギムナジウムを舞台にした少年たちの楽しい日々…的な作品かな?くらいに思って読み始めたら、あまりの素晴らしさに号泣しながら読み終えた…。
まえがきから作者の愛と信念が痛いほど伝わってくる。それぞれにいろんな事情を抱えた少年たちの優しさ、強さ、気高さとそしてなによりも厚い友情。大人である先生たちの大きな愛。
なにもかも本当に本当に素晴らしかった!!!
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『図書室のはこぶね』がケストナーの『飛ぶ教室』をオマージュしていたので、再読。
ケストナーはやはり素晴らしいね。
ユーモアと勇気、そして思いやり。
永遠の青春小説。
訳者のあとがきもよかった。
Posted by ブクログ
クリスマスの物語ということで、この時期まで取って置いた、タイトルだけは若い頃から知る本書を読み、改めてケストナーはいつだって子どもたちの味方だということを、強く実感することができ、それは彼に対する紛れもない信頼度の高さを裏付けるには、充分過ぎる程のものを私に残してくれた。
その根拠の一つに、普段は飄々とした感のある「まえがき」から、既に熱いケストナー節を感じられたことがあり、それは大人も子どもの頃を経て大人になっているはずなのに、時に子どもだからといった見做し方をしてしまう、そんな大人に対する嘆きは言い換えれば、大人と子どもの間に境界線など存在しない平等性なのだと思い、それは本編の登場人物にケストナーが語らせた、『子どものころのことを忘れないでほしい』というメッセージにもよく表れていて、ケストナーの児童書が子どもだけではなく大人が読んでもハッとさせられるのは、そうした忘れかけたものを思い出させてくれるからだと、私は思う。
また、それを裏付けるものとして、『子どもの涙はおとなの涙よりちいさいなんてことはない』や、『生きることのきびしさは、お金をかせぐようになると始まるのではない』があり、子どもだって何も考えず、ただ日々を楽しく生きているわけではないし、寧ろ、大人以上に繊細で脆い部分も併せ持った複雑な一面もあることを、ケストナーは本書の主要キャラクターである五人の少年たちに投影させているのである。
例えば、将来はプロボクサー志望の、喧嘩なら誰にも負けない自信のあるマティアスでも、涙を堪えきれないときがあるということ。
例えば、普段は真っ直ぐな性格のウーリが、時に理解を超えるような行動に出ることだってあるということ。
例えば、頭の切れる皮肉屋で、どこか他人を見下したような態度を見せるゼバスティアーンにだって、内心は異なる気持ちを持つことだってあるということ。
例えば、母親に出て行かれた父親に厄介払いされたジョニーにだって、知識欲や将来の夢があるということ。
例えば、成績が最も良く正義漢も強くて頼りになる、非の打ち所の無さそうなマルティンであっても、決してそうではないということ。
といったように、子どもというのは、時にどうしようもなくなる瞬間が訪れるときもあって、そんな時に寄り添える人が、もしいてくれればという願いを物語の中で具現化しているのは、単なるケストナーの優しさだけではなく、それがそのまま彼自身が過去に体験した学校での辛い思い出とも重なっているからであり、そうした納得できない過去に対して何とかしたいと人一倍思う、彼の願いがそれだけに留まらないのは、本書を執筆した時代とも大きく関係しているからだと思う。
その1933年という年が、訳者の池田香代子さんのあとがきによると、ドイツがナチス政権の手に落ちた年であることを知ることで、ケストナーがまえがきに書いた、『勇気ある人びとがかしこく、かしこい人びとが勇気をもつようになってはじめて、人類も進歩したなと実感されるのだろう』という言葉が腑に落ちるようでありながら、おそらくそう思った根拠は、『平和を乱すことがなされたら、それをした者だけではなく、止めなかった者にも責任はある』に表れているようで、そこにはまさに当時の現場で体験した、ケストナー自身の率直でやるせない悲しみや怒りが色濃く滲み出ていながらも、実際に彼の本が燃やされた出来事を物語に反映させていることには、彼のユーモラスで強かな反骨精神が表れているようで、私は心から尊敬の念を覚える。
そして、その最たるものとして、おそらく他の作品のレビューでも書いたのかもしれないが、そうしたナチス政権化の時代に執筆したとは到底思えない、子どもたちにささやかな幸せを運んでくれるような牧歌的で明るい雰囲気が、彼の作品中には始終漂っていることがあり、この人は作家という仕事に、どこまでも忠実で正直で、そして堂々と絶望的な時代に立ち向かっていたのだということが、ありありと目に浮かぶようで、それは本編でも、自然と私の頬を涙が伝い落ちていく場面を何度も見せてくれたように、子どもたちの心からの叫びを伴った痛みに比べれば、彼のそれなんてと思わせる程の、彼自身の人の良さが何よりも物語っていながら、そうした純粋な気持ちというのは、たとえどれだけ時を隔てようが確実に物語から伝わってくるからこそ、こうして私も何とかして、彼の作品の素晴らしさを伝えたくなるのである。
Posted by ブクログ
ケストナーの書いた少年たちのいきいきとした様子が目に浮かんで、彼らの喜怒哀楽が全て詰まってて最高だった!
正義さんと禁煙さんという大人も凄くいい。
ヨーロッパの人にとってクリスマスって凄く特別のものなんだな〜。
幸せな気持ちになれた。
Posted by ブクログ
舞台はクリスマス間近の男子寄宿学校。わんぱくで個性ある少年達が、様々な出来事に直面しながら友情を交わしていく。その目一杯、懸命な日々が眩しく、切なく、愛しい物語。
子どもも大人も変わらず、本気で悩み、怒り、悲しみ、思いやり、喜び、感動し、そうして成長していくのだ。
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素晴らしいの一言。ケストナーの他の作品も読み返す。ハンブルク、ベルリン、のワードにキュンとする。映画も観てみたい。夏休みに岩波少年文庫を読むのっていいな。当時の気持ちに戻りつつ、視点はどちらかと言えば、先生方の方が近いっていう感じ。全く新しい物語を読んでいるような気がした。
Posted by ブクログ
いろんな方のオススメで出てくるし、雑誌の名前にもなってることから一度は読まねばと思い購入。
ファンタジーと思って読んだら違った。寄宿学校の中で少年達が自分の持つ問題や傷と共に大きく成長していく話。
仲間や先生との雑だけど愛があるそんな関わり方を現代で経験出来るだろうか、夢物語ではないのか、でも確かにあったし今もあるのだと思う。本当は無いものだと諦めてはいけないようにも思う。
こういう事を知ることができるのがまさに児童文学であると思った。
Posted by ブクログ
ドイツのクリスマスの話
五人の子どもたちの仲間を思いやる気持ち、家族への思い、大人への思い
たくさんの思いがこの本にぎっしりつまっています
どの時期も大切ですが、思春期を迎えはじめる時期というのは、かけがえのない時期です
周りの大人がどう導いていけるのか
子どもは何を学んでいくのか
大切なことが、厳しくも優しい言葉で書かれています
この本を読むときは、書かれた時代を思い浮かべながら読むことをお勧めします
Posted by ブクログ
勇気とかしこさについての物語
寄宿学校で生活する個性豊かな少年たちのクリスマスのお話。悲しみを抱えながら一生懸命生きている少年たちや、彼らに寄り添う素敵な大人たちに出会えます。先生は「正義さん(ベク先生)」が好きで好きでたまりません。作家ケストナーの熱の込もった珠玉の言葉の数々も心の奥底を響かせます。何度読んでも味わい深い、先生の大好きな本です。
「人生、なにを悲しむかではなく、どれくらい深く悲しむかが重要なのだ。誓ってもいいが、子どもの涙はおとなの涙よりちいさいなんてことはない。」
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友達を救出するために「無断外出」した少年たちに正義さんが話をする場面、ウーリが名誉のために飛び降りる場面、正義さんと禁煙さんが再会をする場面、きっぷ代がなくクリスマスに帰省できないマルティンに正義さんが手を差し伸べる場面、そしてマルティンが家の呼び鈴を鳴らし両親に会う場面など、いくつもの大好きな場面がある。
登場人物もみんな魅力的。粗暴に見えて、ウーリをいつも気にかけているマッツは優しい心根をもっているし、正義先生の話を聞いて心を打たれたかっこつけテーオドールなんか、物語の序盤は憎いやつだったのに、後半はすごく可愛く思えた。不幸な境遇にいるはずのジョニーが「心配するな。ぼくはすごくしあわせってわけじゃない。そんなこと言ったらうそになる。でも、すごくふしあわせってわけでもないんだ」と言って、マルティンを安心させられるのはすごい。尊敬する。家に帰ったマルティンが両親に真っ先に言った言葉「帰りのきっぷ代ももってるよ」には、じーんとした。
大人も最高。正義さんみたいに信頼できる大人になりたいと思うし、禁煙さんみたいに「正義さんには言いづらいけど、禁煙さんには言える」と思われるような大人にもなりたい。司書としては、禁煙さん的な存在を目指したい。最近は、そんなふうに、先生に言えない話や相談をしてくる子もちらほら現れるようになってくれて、少し緊張するがうれしい。
ケストナーの心のこもったメッセージもたくさん入っていて、少し教訓的で苦手な人もいるかもだけど、自分は好き。この物語の大きな魅力だと思う。ケストナーは、「子どもたちに届けたいメッセージ」をストレートに伝えてくれる大人で、それを楽しい物語の中に散りばめることができる稀有な存在だ。ナチスの時代に書かれたという背景を知って、その思いがさらに強まった。本当にすごい。
大学生のときに初めて読んで以来何度も読んでいるが、そのたびに心が揺さぶられる。クリスマスのたびに読みたいと思える作品。
Posted by ブクログ
なんでもっと早く読んでいなかったのだろう。
登場人物が素晴らしい。熱くてあたたかい。
人は誰かのために生きることに喜びをもつ生き物だったから進化してきた。と思い出した。最後は涙が溢れた。本を閉じて拍手をしたい気持ちだった。
Posted by ブクログ
毎年クリスマスの時期になると読みたくなります!
子どもだろうが大人だろうが、抱える悩みや苦しみに小さいも大きいもない。というケストナーさんの考え方に読み返す度心が暖かくなります。
生活を送る中で直面する様々な問題に、自分で考えたり周りと議論したり、皆で協力して乗り越えたり時には大人の力を借りたり…沢山頭を悩ませたりしながらも健全に成長していく様子が読んでいてとても眩しく素敵で思わず笑顔になる場面が多かったです。
メインの5人も他の登場人物達も、きっとこれからも逞しく生きていくんだろうな。
Posted by ブクログ
不朽の名作
小学生の冬休みの読書感想文で読んで以来、ずっと心に残ってる作品。
ナチス政権下で出版を禁じられても子供達のために小説を書き続けたケストナー。
子供達にどんなメッセージを伝えたくてこの物語を書いたのか、
大人になってあらためて買って読んでみると、胸に込み上げてくるものがある。
誰か映画化してください。
(ケストナーの)
クリスマスが近づくとまた今年も読みたくなる。
Posted by ブクログ
この本に登場する先生に自分も教えてもらいたいと思いました。
自分に自信をもって生きていくことの大切さに気付かされました。
また子どもがときに不幸になることを忘れずに生きていきたいと思いました。
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ナチスドイツ時代に描かれた小説。筆者の理想を描くとともに時代への警鐘を鳴らした作品。
平和を乱すことがなされたなら、それをしたものだけでなく、止めなかった者にも責任がある。
世界の歴史には、賢くない人々が勇気を持ち、賢い人々が臆病だった時代がいくらでもあった。これは正しいことではなかった。
Posted by ブクログ
独特の言い回しがちょっとくどい気がしてたんだけど、
話はいいねー
「平和を乱すことがなされたら、それをした者だけでなく
止めなかった者のも責任はある」
ちょうど、ナチスが政権をとった年に書かれたんだとか。
時代を超えて伝えたいメッセージがあるから、いつまでも読まれる古典なんだろう。
Posted by ブクログ
わー、子どもの頃に読めばよかった! でも男子の学園物語だから、女子的にはいまいちだったかな? とりあえず面白かった、少年たちの友情や、喧嘩や、よくわからん意地の張り合い、周りの大人たちの温かな目線。昔のお話だからテンポは速くないけど、その方が心地よいよねー
Posted by ブクログ
最初の読み始めはよく分からなかったけど、素敵な大人がいっぱい出てきて、世の中捨てたもんじゃないなと、読後感がとにかく幸福だった✨ あとがきを読むと、一種の作者の理想、憧れではあるみたいだけど。。また時を置いて読み直すと感想が変わるかも。やっぱり岩波少年文庫は良い。
Posted by ブクログ
大戦以前の幸福なドイツの一教室が舞台の児童文学。
子どもたちはジムナジウムという宿舎付き学校に友人たちと一緒に暮らしながら学んでいる。
幼い彼らの生活の中にも様々な事件が起こる。
それは小さな出来事であったり、他校との小競り合いだったりするのだが、それらの日々を通して子供たちは逞しく成長していく。
そして話の最後は幸せなクリスマスを迎えて終わる。
戦前のドイツと言えば、ナチス台頭や戦争の足音が近づくなど暗いイメージが多いのであるが、この本は子供たちの健全な成長がほほえましく読めて良かった。
特に出てくる大人が魅力的で、ベク先生と禁煙さんの子供への向き合い方、掛ける言葉を見ていると、果たして自分はこのような大人になり得ているのかと自問したくなる。
良い本でした。
Posted by ブクログ
中学生の頃、実家に置いてあった。あの頃にこの本を手に取ったが、魅力をあまり感じること無く、20~30ページ読んで、退屈になり諦めた記憶がある。単なるやんちゃな男の子達の学校生活を描いたものとしか受け止めていなかった。
今回はしっかり読んで、ようやくこの本の魅力を堪能することができた。
確かに冒頭は場面が変わり、状況がつかめず、どこから教室が飛ぶのか、予想できなかった。他学校とのトラブルにケリをつけていくあたりから、「そうか、これは教室が飛ぶ話ではなくて、ギムナジウムに通う少年たちの成長の物語なのか」と、遅ればせながら理解した。ページを重ねて海外文学特有の訳文に慣れてきたこともあり、読むスピードが上がった。
表裏が無くて純粋な少年たち(5人組)が、体を張った無謀なチャレンジを繰り返しながら大人になっていく過程を思い出した。主人公マルティンの両親や、ギムナジウムの友人、先生達など、決して物質的に豊かではないが愛にあふれている環境だと思う。私自身も、酸っぱい、そして恥ずかしい思い出のある中高時代の学校行事を思い出した。終盤、先生からの次の言葉が印象的だった。「若い時の思い出を忘れてはいけない」とのこと。かっこ悪くても泥臭く全力で過ごした少年時代の思い出は、大人になった今を精一杯明るく生きるためのエネルギーになる。
本書が出版された当時のドイツは、第一次大戦の敗戦後の混乱からナチスの政権掌握、そして第二次大戦へと向かう、歴史上最も過酷な時代であった。その中で「平和で明るい未来」を次世代の児童達に訴えた、90年前の筆者の「勇気」に思いを馳せてみると、ボケーっと無難に生きていて良いのかと考えさせられる。例えば、マルティンの描いた「10年後の家族の絵」に関する描写があるが、この絵の発想は称賛すべきものだと思う。大人たちが政治的判断を誤っている一方で、これだけ聡明な10代前半の少年が沢山いることを、筆者は訴えたかったのかも知れない。まさにこの本は「90年前から飛んできた教室」なんだと思う。
Posted by ブクログ
中学生くらいで読んだときにはあまりピンとこなかったが、大人になってから読むと本当に沁みる…
皆それぞれにプライドがあり、情があり、それを見守る大人たちも元は同じ少年たちだったということ…
Posted by ブクログ
主に、子どもたちとかつて子どもだった大人たちの、ある年のクリスマスまでの数日間の話。少年たちだって、それぞれ悩みや悲しみを抱えていて、それを仲間達には見せないように強がってたりするんだよなぁと思う。仲間との絆とか、大人よりよっぽど強いんじゃないかとすら思うよ。あと、理解ある大人が近くにいる大切さも痛感するな。
私は子どもの頃にこの本を知らないでいたのだけど、大人になってから読むのでも響く言葉は色々あった。
ナチス政権下の時代に書かれた作品と聞くと、作家の非常に強い意思を感じたりもした。
Posted by ブクログ
冒頭はケストナーのエッセイ、そして少年たちの物語へ。
ギムナジウム5年生の少年たちがクリスマスを迎えるまでの物語…というと萩尾望都的美少年が出てきそうだが、1933年に出版された本作はまったくそんな内容ではない。背景にナチス政権の暗い世相を感じさせつつ、物語は少年たちの争い、友情、見栄、大人(先生)との関係を描く。
私は女で、子供も娘しかいない。もし私に息子がいたら、この話はもっと自分に近寄せて読めたのかもしれない。それでも読後感は心がほんわか温かくなった。いい話だった。
最後に、もしかしたら「私」の母親は、ジョニーの船長の姉かもしれない、と思ったのだがどうだろう。
Posted by ブクログ
自分の中高男子校時代を思い出しながら読みました。
この物語に出てくる生徒たちはお互いの性格とか境遇とかをなんとなく理解し合いながら学生生活を送っている。その一方で自分の中高時代は、仲の良い親友とか仲間とかはいたけど、ここまでお互いを思いやる関係だったかというと、そこまでではなかった気がする。その違いはなんだろうと思った。笑いのツボが合うとか、趣味が合うとか、一緒にいるとなんだか楽しいとか、そういうことが仲間となる要素だったように思うけど、その友が何を頑張っていて何に悩んでいるかとかは気にしたことがなかった。ちょっとしたこととか特に理由がない「なんとなく」で仲間の関係が出来たり解消されたりする程度の弱い連帯で、この物語の彼らのように相手の幸せを思うほどの絆は少なくとも当時は意識していなかったように思う。部活でも大学受験でも一緒に頑張って当時はかけがえのない仲間だと思っていたけど、過ぎてしまえばさっぱり会わなくなる関係がほとんどだ。それって自分の時代だからなのかなとか、日本はそうなのかなとか、はたまた自分だけなのかな、とか思った。必ずしも自分の中高時代が不毛だったとは思わないけど、もう少し相手の目線を持って学生生活を送っていたら違った人生もあったかもしれないなと思う。
それと、池田香代子さんという訳者、どこかで聞いたことのある名前だなと思ったら、新訳版「夜と霧」と同じ訳者さんだった。どなたの翻訳かを意識してみるのも面白いかもと思った。
Posted by ブクログ
ドイツの青春小説
クリスマス時期のドイツの寄宿学校の話。
少年期やその時代に想いを持つ人の気持ちを味わえて、名作と言われるのも納得。
ナチス政権時代に書かれたということに驚くとともに、作家魂に感動する。
Posted by ブクログ
先生が人間であるという事、生徒も人間であるという事。この時代にこういう先生や生徒が沢山いたとは思えませんが、だからこそ物語にして理想郷ともいえる世界観を作り出したことに意義があるのかなと。今は先生も生徒も人間である以前にルールを順守する事を厳重に求められる組織人としての素養を求められます。なので分かりやすいドロップアウト風味は今は流行らない。でもいじめやパワハラは形を変えて水面下へ。そのような世界に生きているとこの生き生きした物語が、胸にしみますね。
Posted by ブクログ
SL 2022.1.14-2022.1.16
読後のあとがきで時代背景を知るとまたズンと胸に響く。
これも子ども向けながら大人こそ読んでほしい児童書の良書。