高橋洋一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
元財務相の官僚であり、以前「霞が関埋蔵金」がどの程度あるかを発表して一世を風靡したころから、この本の著者の高橋氏の本を読んできています。この本は今年(2016)8月に発行された現時点での彼の最新本で、現在の日本の状態を解説しています。
メディア情報によれば、参院選後に憲法改正がしやすくなったような報道がなされていますが、実は容易ではない様ですね。イギリスのEU離脱の影響、マイナス金利が日本経済に与える影響、日本の借金1000兆円と言われていることに対する本当の見方、集団的自衛権とは何かの解説までわかりやすくされています。
新聞やテレビをそのまま見ていても理解できない様な内容が書かれていてためになった本でした。
以下は気になったポイントです。
・公明党は、新たに条項を加える「加憲」を主張、おおさか維新の会は、憲法9条を対象にしていない(教育無償化・憲法裁判所・地方分権を改憲項目)、憲法9条改正は容易でない(p21)
・ユーロ圏でも、シェンゲン圏(国境検査なしで越境を許可する)でもないイギリスは、数々のメリットを享受していたにも拘わらず、離脱派が勝ってしまった(p24)
・脱退する加盟国とEUは、脱退のための協定に合意する必要がある、その期間は原則2年、欧州理事会が全会一致すれば期間をさらに2年延長できる(p25)
・顧客の預金にマイナスの利息をつけることは考えられない、つまり、マイナス金利で個人が損を蒙ることはない(p36)
・マイナス金利の導入とは、250兆円を超える部分に、マイナス0.1%の金利を付けることを意味する(p45)
・経済政策の効果は、GDPや雇用統計で計られるべきであり、一方、株式市場・為替市場は短期的に表れる(p47)
・消費税率の引き上げは、実質的には緊縮財政と同じ効果をもたらす(p47)
・本来なら理系学部に分類されるべき経済学部が文系学部に分類されている理由は、大学の「経済」的な要因による。経済学部を理系に分類してしまうと、大学は受験生を集められなくなり、経営が苦境に立たされる(p69)
・ソ連の統計によれば、1985-1991年のソ連の国民所得成長率の公表値は、現実より1-13%、平均で6.8%も高かった。公表数字では、1989年まではプラス成長で、1990年からマイナス成長に転じたが、実際には1986年からマイナスであった(p78)
・中国が発表する統計の中で、一つだけ信頼できるのは、輸出入統計である。WTO加盟しているので、加盟国が公表を義務付けられている。それによると、中国の輸入額は前年比14.1%減、輸入伸び率とGDP伸び率との間には正の関係があり、それによると「-3%」となる(p81、82)
・中所得の罠(一人当たりGDP1万ドル目安)を突破することは簡単ではない、アメリカ別格として、日本は60年代、香港は70年代、韓国は80年代に突破したが、マレーシアやタイは突破できていない(p84)
・中所得の罠を突破するには、社会経済の構造改革(資本・投資の自由化)が必要である(p85)
・2014年末で、日本国資産は総計680兆円、換金しやすいのは、現預金(28)・有価証券(139)・貸付金(138)・出費(70)の合計375兆円、純債務は492兆円(GDP100%)、日本銀行も含めた連結ベースで考えると、日本政府の純債務は2015年3月末で約100兆円、GDP比較20%(p102)
・小泉政権下では、増税せずにプライマリーバランスの赤字を28兆円から6兆円まで縮小させて財政再建をほぼ達成した。増税せずに量的緩和政策を実施したので(p113)
・日本の報道自由度ランキングが低いのは、記者クラブ制度があるから。会員制だが、会員以外の報道機関の入会は事実上、拒否・制限される(p121)
・海外では、社会保険料と税金は、歳入庁という一つの機関が纏めて徴収している。法人数280万社で、日本年金機構が把握している法人数は200万社なので、未収金は約10兆円と推計されている(p125、126)
・昨今注目を集めているのは、共有型経済(シェアードエコノミー)で、提供者が所有するモノやサービスを、利用者が共有することで成立する市場経済で、配車サービスの「ウーバー」が代表例(p149)
・戦争を避けるための3つの条件、1)民主主義の成熟、2)国際的組織への加入、3)経済的相互依存(p162)
・日本国内の施設を使用できる地位協定を結んでいるのは、アメリカ軍と国連軍のみ、横田基地以外には、キャンプ座間・横須賀海軍基地、佐世保海軍基地、嘉手納空軍基地、ホワイトビーチちう、普天間海兵隊基地が指定されている(p177)
・現在の在日米軍をすべて自衛隊に置き換えたら、おそらく25兆円程度の防衛予算と日本経済の損失に備えるコストが必要になる、現在の防衛予算は5兆円程度、日米同盟のコストが1.7兆円なので、合計6.7兆円(p196)
・集団的自衛権の行使メリットは、個別的自衛権に比べて、1)抑止力が強く戦争に巻き込まれるリスクが減る、2)安全保障コストが安い、3)侵略戦争のブレーキになる(p200)
・トランプ氏とクリントン夫妻はいい関係である、トランプ氏はクリントン夫妻に寄付をし、クリントン夫妻はトランプ氏の結婚式に出席した過去がある(p208)
2016年8月28日作成 -
Posted by ブクログ
今年(2016)初めに出版された、高橋洋一氏の新しい本です。その一か月程前には「地政学入門」という本も出されていますから、凄い執筆活動をされていますね。
出される本が私の興味をそそるものが多く、この本もその一つになります。帯に書かれているコピーに思わず惹かれました。高度経済の要因は殆どが為替であり、通産省の指導はあまり関係ない、バブル期には物価は上昇しておらず、していたのは資産価格のみ等、彼の根拠には実際のデータの裏付けがあって、私としては納得できるものが多かったです。
真実が分かられば、現在日本経済が低迷していて、それに対する解決策を官僚が示すことができないのも理解できますね。この本を読んで、これからは益々、誰か(年金等も含めて)に頼ることなく、自分の将来は自分で責任を持って設計する必要性を感じました。
以下は気になったポイントです。
・高度経済成長は通産省の指導のお蔭というのは「嘘」、高度経済成長を支えたのは主に為替要因。1ドル=360円の圧倒的に有利な為替レートが輸出産業と高度経済を支えた(p13)
・1ドルが360円から前後しそうになったときには、日本政府が猛烈に為替介入した。円を刷る必要があり、日本国内はインフレ基調になっていた(p14)
・狂乱物価の原因は石油ショック、これは理由の一つ、固定相場制から変動相場制に変わる時期で、為替維持のためにマネーが大量に市中に供給されていたので、物価が上がったことが原因。狂乱物価は主に貨幣現象により起きた(p15)
・プラザ合意以降に円高誘導したのではなく、それまでこっそりやっていた「円安誘導にするための裏介入をやめた」だけ(p16)
・バブル期に異様に高騰していたのは、株価と土地価格だけ。一般物価は健全な状態であった(p20)
・傾斜生産方式は、アメリカからの援助を引き出した点で政治的な意味では成功であったが、経済的には殆ど効果無かった(p34)
・戦後のインフレを脱するための方法はシンプル、工場を復活させれば良い。生産手段が復活して供給量が増えれば物価は落ち着く(p38)
・預金封鎖は財産税のためであった、当時の猛烈なインフレのために、財産税はあまり意味がなかった、インフレによる増収の方が大きかった(p46、47)
・農地改革は経済的には大した効果はなかったが、地主層が増えて共産化を防ぐことができたことは良かった(p52)
・GHQがドッジラインにより金融を引き締めてしまったため、復興しかかっていた日本経済は深刻な不況になったが、朝鮮戦争による特需のおかげで助かった(p63)
・業界を保護してほしいときは、通産省に「指導」を頼むが、それが気に入らない時は「カルテルを心配して公正取引委員会に駆け込む」という使い分けをする(p79)
・銀行、証券の相互参入は、ずっと前からやっていたこと。迂回して持っていた株をダイレクトで持てるようになっただけ(p137)
・日本のバブル崩壊による損失は、世界の平均的な数字、財政コストはGDPの14%(世界:13%、日本:14%)、生産損失(世界:20%、日本:18%)であり、歴史的なバブルとは比較できない普通のレベル(p149)
・この20年間に他の先進国がGDPを伸ばしているのに対して、日本だけがGDPを伸ばしていていないので、不良債権が早期に片付かなかった(p173)
2016年2月11日作成 -
Posted by ブクログ
面白かった。政治の裏舞台をここまで赤裸々に語って大丈夫なのか!?とハラハラしてしまうような一冊。
ハトに餌をやりに行くという表現が印象的。ハト=マスコミ、餌=官僚にとって都合の良い情報。官僚は自分の進めたいシナリオに導くべく情報操作を意図的に行っている、マスコミはこれを鵜呑みにし、拡散する。かくして、日本は一部の官僚の描くシナリオに沿って進む、とか。うーん、ってことは、この本自体も、実は二人のシナリオの基にかかれてたりするのか?と逆説的に考えてみたり。
とにもかくにも、何が正しいかをキチンと自分で考えることが大事。考えるときには視野を広げ、比較軸を持ちながら客観的に考えるべき。突き詰めて行くと、基本とされているものに立ち戻ることが大事であることが多い。 -
Posted by ブクログ
この手の本を読むのは初めてだったので、今まであまり本を読んでこなかった私にはなかなか読みごたえがあった。
内容はアベノミクス肯定派の意見である。といっても、ただひいきにかかれているわけではない。著者も自身で述べているが、立ち位置云々ではなく、「論理的」にかつ丁寧に論述されている。
今までは私自身も、メディアの意見を鵜呑みにしてきてしまったが、この本を読んで、今回の政策がこれからの日本を変えていく上で、また、デフレから脱却するためにはいかに重要であるかを理解した。
私のような初心者でも、アベノミクスとそれに関する内容を学ぶには必ず頼りになる一冊であるのは間違いない。 -
Posted by ブクログ
元財務官僚の高橋洋一氏のアベノミクス解説本。
本書は3部に分かれており、1部はリフレの誤解を解くためのQ and Aで16答。2部は、本書の根幹になりそうな著者のアメリカでのリフレと政策の出会いと帰国してから政策提言の実情や説明、3部がアベノミクスの死角となっている。
高橋洋一氏の本は何冊か読んでいるが、数学科卒の人間からすると、文系の法学部出身が多い官僚は、ロジックよりもシンパシーを大切にする人間が多く見えるのだろうなと思った。個人的には、経済学は理論通りではなく、生ものの面があるとは思うが、著者の考えに沿えば、日本の狭いスタンダードに惑わされるのはよくないと思った。 -
Posted by ブクログ
借金1000兆円というが、その実体はどうなのか?
どういう対応が良いのか?
今巷で言われていること(国債が暴落する、日本が破綻するなど)の何処が問題なのか。
日銀の考え方
等々が書かれているが、この著者が言いたいことは次の二つだろうね。
第一には
「言いたいことがあるならデータを示せ!」
データ。つまり、過去の蓄積だ。
現在のシミュレーションも含むと言いたいが、シミュレーションなど過去の蓄積があるから出来ることで、これも過去の蓄積に含むと言うべきだろう。
著者は
「人間は忘れやすい生き物で、そのとき、その場で自分の都合のいいように考えてしまう。今まではそうだったかも知れないが、今回ばかりは違うと思えてくる。そして同じ過ちを繰り返す(本書88ページ)」。
と言う。
この言葉は、一般的には
「過去には暴落したが今回は今までとは違うから暴落しない」と思って損失をかぶるという楽観的行動に対する警鐘としてとられるが、それだけでなく警鐘は理解していても「過去に起きた出来事と今回は違うのだ!別なのだから別の対処をしなければならないのだ!」と言うことも当然含まれるだろう。
どちらにしても、同じ過ちを繰り返すことになる。
しかし、人間の環境は複雑だが、過去の事象が全く当てはまらないような状況などそうそう起きたりはしない。
原爆が投下されるなどの「過去になかった新兵器の登場」だったり、「原発が事故を起こした」などの「過去になかった科学技術の暴走」でもあれば別だが、所詮は人間の営みの延長線上、今まで何度も繰り返してきたことが姿や形を変えて目の前に表われたに過ぎないことが多いはずだ。
だから、過去のデータは役に立つ。
検討はそこから始めるのが一番役に立つし、一番効率的なのは間違いない。
そして、第二点。
それは「定義を示せ」だ。
日本が破綻する。国債が暴落する。と言う場合「なにが起れば破綻なのか?」「暴落とはどれぐらいの期間で何%下落すればいいのか?」などという事が明らかでなければ議論できない著者は言うが、これも当然のことだ。
定義を決めて、データを示さなければ議論など出来ない。
一人の天才がすべてを決めるのでなければ、議論も出来ないのに物事が決まるわけがない。
これは当たり前のことだと思う。
著者は理系と文系で分けているが、それは違う。
文系でも学問をしてきた人間はその程度のことは知っている。
してきた人間が出来ていないというのなら、それは理由があるのだ。
霞ヶ関文学というのだったか、呼び方忘れてしまったが官僚がわかりにくい文章を書く理由と同じだろう。
定義をぼかすことで
データを示さないことで
何かがあるのだ。
著者にはもう少しこのあたりを突っ込んでほしかったなぁ。と言う点が残念だ。
この本は著者の一つの考え方を示したわかりやすい本だろう。
全く知らなかった人はこれを土台に新たに考えてほしいし
知っていた人は、もっといろいろ考えてほしい。
考えるのを止めなければ人間は成長し続けることが出来るだろうから。
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Posted by ブクログ
なかなか自分で考えるということは難しいもので、
考えているつもりになっているだけかもしれません。
読んでなるほどと思うことが
正しいことなのかわかりませんが、
なるほどがいっぱい詰まっている本です。
理系頭の私には
シンプルにコストベネフィット分析というフレーズは
とてもわかりやすい。
コストはいくらですか?
ベネフィットはいくらですか?
じゃぁ比較してやりましょう、
やらんときましょう。
基本的にただこれだけ、
これに反論する余地はないといえましょう。
2010年発行なので
民主党の政策にたいすツッコミなのですが、
だからといって考え方の中身は風化するものではありません。
年金問題に対するツッコミはよくわかりません、
私は今から積み立てを開始する者が納得いくものにすることが第一だと考えます。
それ以外の人たちは泣いてもらおうで良いと思うのです。
それが社会というものだから
失敗したときに国民であったことは仕方がないことじゃないですかと、
思うのですよ。
折り合いをつけるのはそれからだと思うのです。
私の思う年金は
とりあえず今までいれたお金は一括して返してもらって(笑)
全額税金で良いと思うのです。
一括で返してもらえれば年金は当然へります。
それがイヤであれば返してもらわないという選択肢もありですね。
と
私は思う。
国民総背番号制は
しかたがないかなとおもいます。
よりよい社会の為には必要だと思います。
個人的にはいやですが、
社会のためには良いとおもいます。
法人税は基本的にゼロにしたらいいとおもう。
その理由は本書をご覧ください(笑
法人税ってのは二重課税だということですよね。
私もそう思います。
不公平な税制度です。
それらも含めて
国民総背番号制というのは優れているわけですが、
個人的にはいやです(笑
社会的には良いことでしょう。