高橋洋一のレビュー一覧
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数年前に住宅ローンを払い終えたのですが、その時、肩の荷が下りた気がしました。借金はできればしたくないものですが、住宅などを購入する場合には避けては通れません。これと同様に、日本政府も必要な予算を組んで足りない資金については国債という形で借金しなければならない状況も分かっているつもりです。
しかし私が社会人になったころから騒がれていた、累積国債の量はとうとう1000兆円を超えたとか言われています。国債の利子も払えなくなり国家破産に至ると言っている人もいれば、この本の著者の高橋氏のように、問題ないという主張をされる方もいます。
国債についてずっと観察していて言えることは、この5年間でそれまで国債を保有していた民間金融機関が放出しているのに対して、日銀が一手に引き受けていると見られる点です。この変化の狙いは何か、銀行が放出する決断をしたのはなぜかを、自分の言葉で言えるように、今後も勉強していきたいと思いました。
以下は気になったポイントです。
・政府が国債を発行するのは、企業が金を借りるのと基本的には同じである(p19)政府が使う金は、国内に出回るお金である(p21)
・国債を発行するとき、財務省が民間金融機関に伝えるのは、1)利率は何%か、2)いくら発行するのか、3)いつ償還される(元本が戻ってくる)のか(p28)
・利子は額面満額に対して付くから、最初にいくらで買おうと、受け取る利子の額は変わらない。(p29)
・今後、金利が下がるだろうと予想すれば、入札額を少し高くする(p30)
・日銀は何かを受け取るのと引き換えにお金を刷る、その「何か」が民間金融機関が政府から買って保有している「国債」である(p35)
・日銀が得る国債の利子収入を「通貨発行益」といい、日銀はそれを丸々国に納める、これを「国庫納付金」=税外収入と呼ぶ(p39、44)
・もともと日銀券は、金本位制だった時代に、金や銀に交換できる「証文」として発行された。なので日銀は、つねに日銀券の発行額に見合う、金や銀を保有しておかなければならなかった。日銀券は、交換を保証する「債務証書」であったが、今はその役割は失われている(p42)
・日銀券には本来利子がつかないが、白川総裁時代に、日銀当座預金に0.1%の利子をつけることが常態化してしまい、完全無利子の状態でなくなっている(p42)
・マイナス金利(0.1%)になったのは、日銀当座預金のごく一部で、大部分についてはまだ0.1%の利子がついている(p44)
・国債は、金融市場において「お金」、あるいはかつての「コメ」のような役割を果たしている。国債と株、国債と社債を交換するという取引が基本である(p59,60)
・政府から日銀へは国債の利子が支払われるが、それは納付金として戻ってくるから、財政上の負担にならない、つまり、日銀への国債の利払いは、最後にはプラスマイナスゼロになる。支払い義務がないのではなく、支払い義務はあるが、財政負担にならない、が正しい(p70)
・国債の外国人保有比率が高いと国がデフォルトになる確率は、世界各国の200年以上のデータ分析によれば、けして高くなるわけではない(p79)
・経済成長でも予算は増えるが、増税であれば増加分は財務省のおかげとなって、財務省はその分の予算配分をするとき各省庁に恩を着せられる(p84)
・金利が上がったときの価格下落率は、国債の償還年限に依存する。金利が1%から5%に上がった場合、償還年限が5年なら20%、10年なら40%、20年なら60%である(p91)
・10年以内に日本は財政破綻するなら、10年契約の日本国債のCDSを買えばよい。しかしCDSの保証料率は年0.3%と低い、10年満期まで払っても3%。保証料を払うのを投資とすれば、10年で3万円払って100万円かえってくる33倍という投資効率になる(p100)
・政府の連結バランスシート(日銀除く)では、負債が450兆円多いが、日銀を入れた統合政府バランスシートでは、償還不要の日銀券を債務と考えなければ、50兆円の債務超過であり、ほぼイーブンである。徴税権(750兆円)を加えると資産超過となる(p109、114)
・日本政府の資産の大半は、金融資産である。しかし、実は天下り先への出資金、貸付金が非常に多いので売りたくないという事情もある(p122)
・投資で重要なのは、どちらかというと元本よりも、利子である(p131)
・国内で金融緩和が行われなければ、国内金利が高くなることが予想され、日本に資金が集中・結果として円高となった(p138)
・今のような低金利では、政府需要の押し上げ効果が足りないので、国が国債を増発し、政府需要を高めるという財政政策と、日銀が民間金融機関から国債を買うという金融政策の「合わせ技」が必要である(p146)
・減債基金に毎年繰り入れるのは、国債残高の1.6%と決められている、60分の1、つまり60年で償還するという、60年ルールがあるから。日本だけが例外的にある。理由は国産償還というよりも、予算のカサ増しのため(p178)
・利払い費として、国債発行額の1~1.5%で計算しているが、実際には0.1%程度で足りる。日銀からの国庫納付金と政府資産の利子収入でまかなえるので。従って国債費(債務償還費+利払い費)の、23.6兆円のうち、10兆円程度は計上する必要がない(p180)
2017年10月9日作成 -
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思いの外面白かった(*´∇`*)
2人はもちろん別々の経験を積んできているんだけど、同じ視点で捉えているからかな、お互いに興味をもって話をしている風で、こちらとしても「それ、知りたかった!」を自然と引き出している感じだし、読みやすかった。
実際に働いていた時の事や、その当時から日々考えている事など、特に人間関係は関わった人ならでわのリアルな話が興味深かった。
どんなバックグラウンドを持つ人かによって経済に与える影響は大きいなあ、と改めて重要性を感じた所だ。
高橋さんは学者視点で、グッチーさんはビジネスマン視点なんだろうけど、高橋さんもビジネスマンよりなのかな。良いか悪いか、損か得か、数字でハッキリと答えを出す。それがその人の立場によっては都合が悪い場合もあるかもね。
グッチーさんのことは知らなかったので調べたら色々悪い話も出てきたけど、実際のところがどうなのか分からないし、高橋さんだって沢山出てくるだろうから(笑)そこはあまり気にせず、本中に書いてある事だけに集中する事にした(´ω`)
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高橋洋一さんとぐっちーさんの対話。メディアに騙されないためにはどうあるべきか。
アメリカのドナルド・トランプや日本の安倍さんに対する評価が高い。トランプさんは過去に4回会社を倒産させたことが彼のハングリー精神を強くしていると高い評価。安倍さんに対しては野党時代に意気投合して、当時の民主党には金融政策をけちょんけちょんに駄目出しされたけど、唯一安倍さんだけが面白がってくれたみたいな。
勢いのある時って色々なひとが寄ってくるけど、そうでなくなった時ひとは去っていくと言うのは良くある話。損得よりも面白いか面白くないかで
結局エコノミストでもメディアでも、どこに依っているかで見方や発言が変わる。まぁ当たり前か。 -
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ニッポン放送 ザ ボイス で解説されていた内容と ほぼ主旨は重なるが、
本書は より明示的に、より詳細に
外交 安全保障 マクロ経済 社会保障 等々の イシューにおける課題解決の論理を知ることができる
戦争リスクの下り、
〜集団的自衛権の行使によって日本の戦争リスクは最大40%下がる〜
という防衛大教授書籍からの引用には 、
ハッとさせられる
あとがき に記された
〜データとロジックがあれば、安倍首相に媚びることも、王様を恐れることもない。「それは違ってます。これが正しいてす」とはっきりいえるからである〜
これぞ高橋節 炸裂である
経済数量学者である
高橋さんならではのメッセージであり
かなり痛快!!
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Posted by ブクログ
元財務省の役人であったころに、日本の財務諸表を最初に作成した方で、今まで執筆された本も多く読んでいますが、その高橋氏が今年(2017)GW頃に出版した本です。
日本経済は瀕死である、素晴らしく世界で勝者になる、と世の中には両極端の意見が溢れています。半世紀以上も日本で暮らしてきて、外資系会社に入って、時々海外へ出張に行くこともありますが、個人的には日本へ帰ってくると、ほっとすることが多いです。
ところが事実として、平成の時代になってから、数字の上での成長は微々たるもので、中国にGDPを抜かれたと思ったら、今では大きな差がついていて驚くばかりです。
そんな中、この高橋氏は、実際に手に入るデータを根拠にして、日本の力強さ・魅力をこの本で紹介しています。やはりデータで説明されると納得感があります。この高橋氏の考え方に、データで反論される本が出れば面白いと思うのですが、そんな日が来たら喜ぶべきか微妙なところですが、日本経済について多くの視点から考えてみる良い機会いなると思っています。
以下は気になったポイントです。
・アメリカの大統領に認められいる権限はそれほど多くない、日本の首相や地方自治体の首長が持っている議会への予算提出権・法律提出権はない。議会の多数派である共和党から提出してもらう必要がある、選挙期間中には議会承認を必要としない大統領でできることを公約に掲げていた(p29、92)
・イギリスはECに加盟した2年後の1975年に、EC離脱を離脱をめぐって国民投票が行われている(p33)
・EU圏で自由貿易の恩恵を受けながら、ユーロ圏でもシェンゲン協定圏でもないイギリスは「いいとこどり」をしてきた国であった。EU加盟して7年経った国の国民は、EU内部での労働移民が認められる。シェンゲン協定に入っていないイギリスにも、ポーランド・ブルガリア・ルーマニアから大量の労働者が流入、イギリス国民が職を奪われた(p36)
・日本の場合は、電力・鉄道貨物・融資と、GDPの相関には整合性があった。中国は輸入も輸出も2016年9月には前年我となり、内需・外需ともに不振である。輸入は基本的に可処分所得に左右され、その動向はGDPの動きと連動する(p44)
・中進国には2種類の相手との競争がある、1つは背後から追い上げてくる途上国、輸出品では賃金の安さで競争力がある。もう一つは先進国、技術力・開発力では先進国の後塵を拝することが多い。中進国の壁と言われる(p46)
・早すぎる脱工業化は経済成長の息切れを引き起こす、このままでは中進国の壁を越えられなかった、マレーシア・タイ・アルゼンチン・メキシコといった成長停滞国の二の舞になる確率が高い(p48)
・中国が経済的な自由を認めるのは容易なことではない、なぜなら為替の自由化は資本取引の自由化と表裏一体であり、国有企業の全面的な民営化につながり、やがては政党選択という自由を国民は求めるようになる。(p50)
・AIIBの設立は一大経済圏の構築を狙ったものだが、2015年末の発足当初に発行した債券は「格付け無し」というスタートとなった(p50)
・宇宙空間では、すでに2011年7月から、日本を含む15カ国(米ロカ日英独フ伊蘭西べスデ・スウェ・ノ)の共同で国際宇宙ステーション(ISS)が稼働している(p54)
・戦争を回避するための条件として、1)民主主義の成熟、2)国際的組織への加入、3)経済的相互依存、がある(p66)
・辺野古埋め立て承認を翁長沖縄県知事が取り消したのは疑問を感じる、安全保障は国政レベルの問題であり、国政に物申すのであれば国政に打って出る必要がある。2016年7月の都知事選で落選した、鳥越氏が「脱原発」「消費減税」を訴えて失笑を誘ったのと大差ない(p78)
・2016年12月に沖縄県内の北部訓練場の半分を日本へ返還し、沖縄県内になる在日米軍基地の割合は74.5→70.6%となった(p78)
・犯罪白書によれば、米軍関係者の犯罪率は0.11%、これに対して一般県民の犯罪率は0.27%@2011である(p79)
・沖縄米軍基地に配備されるオスプレイの事故率は1.93(10万飛行時間辺り)であり、民間航空機の事故率:0.07より高いが、米軍海兵隊軍用機の平均値:2.45より低い(p81)
・2016年7月12日に、中国の南シナ海における暴挙(岩礁の埋め立て)に対して、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所(PCA)は中国の主張を認めない(九段線の法的根拠も)と裁定した(p85)
・2015年12月、慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されたことを確認する、という日韓両政府の合意ができたこと、これは安倍首相の外交手腕が発揮されたといえる、その中、釜山に慰安婦少女像が新設されたことに韓国政府の外交部当局者も頭をかかえている。国際法であるウイーン条約違反でもある(p86、89)
・先進国のなかで真っ先に当選後のトランプ氏と会談することに成功できた理由は、日系三世の村瀬氏(トランプファミリーと親密)が、成蹊中・高時代に留学していて、安倍首相と旧知の仲であったから(p93)
・仕切り直しとなったTPPは、中国抜きの自由貿易を二国間で締結するスタイルになる可能性が高い、すでにまとまったTPPを原案としてアメリカと交渉すればよいだろう(p103)
・エクソンモービルのCEOだった、ティラーソン氏は、プーチン大統領から外国人への最高栄誉として授与する「友情賞」を受賞した人物で、2014年のクリミア危機の際、オバマ政権の対ロシア経済制裁に反対したとして知られる、トランプ政権は経済制裁解除というカードを切って、ロシアとの良好な関係を築くだろう(p115)
・ドイツのヒトラーも、日本の高橋是清も、積極財政と金融緩和をいち早く行い、早期のデフレ脱却を成し遂げたが、その後の両者の人生は対照的である。高橋は軍縮へと動いて、暗殺された(p123)
・日本政府の借金が増えた理由は、日本政府には世界でもトップクラスの資産があるから、これはバランスシートを見ればわかる単純な理屈。これがわかると困るのが官僚、筆者が作成した政府のバランスシートは2006年まで公表されなかった(p126)
・政府の資産として、貸付金(138兆円)、出資(70兆円@2014)があるが、大半は特殊法人などの政府関係機関=天下り先であり、民営化や証券化により売却可能(p127)
・政府の連結対象となる日銀の資産・負債を考慮すると、日銀のマネタリーベース(日銀券100、日銀当座預金300:合計400兆円)は、原則的に無償還・無利子なので、実質的な債務からは除外可能。すると、本当の国の借金は100-150兆円(表面負債:1172、政府資産:680兆円)そこそこ、GDP比率で20%程度となる、日本の稼ぎ(GDP:526兆円)は借金の5倍もある(p131)
・政府の持っている徴税権は少なく見積もって毎年30兆円、割引率5%として、資産価値は600兆円、これを加味すると資産超過とも言える(p132)
・マイナス金利導入前の日銀当座預金残高は、約250兆円あり、この大半に0.1%の金利がつく(2008年に補完当座預金制度を導入)ので、銀行は何もせずに、年間2200億円の収益を上げられた。一般企業が銀行に当座預金を持っていても金利ゼロ、なのでそれに対して、マイナス0.1%の金利をつけることになった(p137)
・失業率も企業の倒産件数も史上最低水準に達している、デフレ脱却のための雇用環境改善という日本経済の大命題において、アベノミクスの金融政策は成果をあげている(p167)
・国税庁が把握している法人数は、約280万社に対して、日本年金機構が把握しているのは、約200万社、差引80万社が社会保険料を取りこぼしている企業数、年間10兆円とも言われる、これを解決するには、歳入庁を創設して、税金と社会保険料の徴収を一元化すればよい(p192、193)
・GPIFは2015年度には株価下落で5兆円を超える損失を出したが、、累積利益は40兆円ある(p195)
・五輪終了とともに景気が落ち込むのは、新興国のパターン、東京都には売却できる資産もたくさんある、民営化した地下鉄等、五輪経費の投入は一種の景気刺激策と思えばよい(p217)
2017年7月2日作成 -
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元財務相の官僚であった、「埋蔵金」を発掘したり、日本政府のバランスシートを初めて作成した、高橋洋一氏による、年金問題を解説した本です。
この本の結論は「年金は破綻しない、しかし現時点でもらっている人のように貰うことはできない、破綻をさけるためには、年金を支える人たちの保険料(給料天引き)を増やす、年金支給時期を減らす、年金額を減らすしかない」ということです。また、年金は政府が半額、さらに企業も負担しているので、国民年金を未納している人は不利であることも強調されています。
私も50歳を超え、年金定期便に、65歳以降に貰える見込み額が記載されるようになりました。その額を見ていると、十分とは言えませんが、生活費の足しには十分になるなというものでした。
私は会社員なので未納することは不可能ですが(天引きなので)、二十歳を超えている学生である娘の国民年金の年額を一括する払いすると、ため息がでます。でも私も学生時代に親に払ってもらっていたことを思うと、これも親の義務なのかなと思います。この本を読んで、日本の年金はある程度、しっかりと書かれて設計されているけれども、消費税を上げてそれを手にしたい財務省や多くの関係者の思惑で、議論が変な方向に行くことが理解できました。
以下は気になったポイントです。
・年金については3つのポイントを知っておくこと、1)年金は保険、2)40年間払った保険料と、20年間で受け取る年金額がほぼ同じ、3)年金定期便は国からのレシート、年金保険とは、長生きした場合の保険である、早死にした人が長生きした人を支えている(p18,19、27)
・リスクとは、危険という訳よりは、「わからない」」という意味でとらえるべき(p28)
・死亡保険とは、年金保険とは異なり、無事に満期まで生きることができた人が支払った人が、亡くなった人の遺族に支払われる早死にするリスクに備える(p29)
・2017年8月から施行される、改正年金機能強化法によれば、10年支払っていれば年金がもらえるようになった(p33)
・平成26年の公的年金加入対象者は、6721万人、それに対する未納者は、約224万人、未加入者は9万人、本当に払っていない人は全体の3%(p36)
・納めている年金保険料は月給の2割くらい、しかし労使折半なので、保険料納付金額に記載されている金額は1割程度、年金額はその2倍=4割程度となる(p45、53)
・消えた年金の7割くらいは、会社が厚生年金保険料を国へ納めていなかったケース(p50)
・厚生年金のバランスシート、資産として、将来保険料(1470)、国庫負担(390)、積立金(170)、負債としては2030兆円(p92)
・保険料引き上げが本来のやり方であるのに、それができないのは反対する勢力=経済界、があるから(p120)
・所得を完全に捕捉して所得税でとることができれば、法人税をとると二重課税となる。法人税下げの趣旨は、国際競争力強化のためではなく、二重課税をなくすため、同様の理由(所得の捕捉ができれば)で相続税もゼロにできる(p123、125)
・いつもでも働けるというのは、とても大事なことである(p184)
2017年4月23日作成 -
Posted by ブクログ
2014年10月〜2016年1月までに「現代ビジネス」掲載された著者の連載コラムを抜粋してまとめたもの。と言うことで、タイトルから予想していたのとは違って、主にアベノミクスの財政政策や日銀による金融政策について、統計データに基づいて議論しているというものでした。著者によると、データから言ってアベノミクスの政策は概ね正しく、野党や主要(左派)新聞の反アベノミクス論調はデータに基づかず的を射ていないし不勉強とのことです。著者は東大理学部数学科と経済学部経済学科を卒業して2008年まで大蔵省・財務省に勤務していただけあって、個々の政策に対する数字データを用いた説明に説得力はある。日本政府の借金(負債)が1000兆円を超えていて増税しないと国債が暴落して破綻するというのは嘘であり財務省のプロパガンダであるとか、日銀まで連結すれば既に国債発行なしに財務は成り立っている(プライマリーバランスは達成されている)とか、なかなか興味深い指摘だった。本書は基本的にコラムを集めただけで全体を見渡した易しい解説があるわけでもないので、ある程度の金融や財務に関する知識、それに統計データとかグラフを読み解く知識が無いと著者の説明を理解するのは難しいとは思う。本書最後の今年2016年1月のコラムの内容では2016年を占う内容となっていて、もちろん現実の世界と日本の経済状況(大きな円高や景気の悪化など)を完全に予測できているとは思わないが、少なくとも日本政府と日銀の政策(消費税延期、マイナス金利の導入)などは的確に予言できていると思う。
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Posted by ブクログ
ネタバレ2016年、58冊目です。
日本は、深刻な財政状態ではないとの主張が基軸になっています。
借金は、実質100兆円であり巷間言われている1100兆円ではないとも。
日本は様々な資産を保有しており、なおかつ日本銀行は政府の銀行であり、
会社で言えば子会社に相当するという考え方(国際的にはそう見られる)でバランスシートを作成するとそういう数字になるとのこと。著者は元財務官寮でであり、実際にそういった資料を作成していたと書かれています。
しかしこのままでは日本の財政状況は悪化していくことは分かっている。
それを回避するには、「増税を実施し、社会保障や地方交付税の大幅削減」しかないというのが財務省のシナリオだそうです。ビックリしたのは、財務省のウェブサイトに財政改革ゲームなるものがあり、財務大臣になって財政改革をします。しかし、このシュミレーションゲームは、増税と社会保障費の大幅削減をしなければクリアーできない。こうやって国民への刷り込みを進めているとのこと。
滑稽な気もするが、ちょっと恐ろしい企みのような気もしますね。
もう一つ面白かったのは、選挙がなく民主主義がない中国に、AKB48の選抜総選挙を広めて、選挙の価値を知らしめるというアイデイアです。そうか、かの国には、確かに選挙が無いんだな。AKB48はマスコミより平和へ貢献できる!ということです。 -
Posted by ブクログ
今月(2016.10)上旬に発刊された、2008年まで財務省官僚をしていて、埋蔵金(隠れ予算)や日本国全体のバランスシートを作成した功績のある、高橋氏の最新本です。
この本は、巷に流れる、世界や日本の経済報道ニュースについて、彼の鑑識眼によれば誤解を招くものや、明らかに誤った報道がされているとして、それらに対して、彼が入手したデータをもとに、彼の専門である「数学的考察」を加えて、説明しています。
そのように論理的に説明されてしまうと、私としては反論する力もなく「なるほど」と思ってしまいます。誰か本やネットで反論してくれて、そして対談でも実現すると、楽しい番組になりそうですが難しいでしょうかね。
報道は自分の鑑識眼をもって、読むことの大切さを改めて気づかせてくれた本でした。
以下は気になったポイントです。
・トランプ氏の主張は、イスラム教徒やヒスパニックと違って、日本人という民族・人種を攻撃するようなものではない。日本に対しては無思想である(p17)
・トランプ氏が言い続けいているのは、「オバマは交渉が下手だ、俺ならもっとうまくやれる」ということ。トランプの発言は、最後通牒ではなく、交渉の最初のカードに過ぎない(p18)
・ヒラリー・クリントンが大統領になった場合、日本にとっては大きな変化はない、と断言できる(p23)
・パナマ文書の報道が続かなかったのは、日本人・日本企業の名前があまり載っていなかった、せいぜい200件程度。タックスヘイブンは合法、批判しようにも「金持ち優遇だ」という感情論に終始するしかなかった、倫理として批判できる政治家の名前がでないと新聞ネタにならない(p28)
・日本の節税対策に使われるタックスヘイブンの殆どが、パナマではなく、バミューダやルクセンブルクである(p32)
・アメリカにもタックスヘイブン地域がある、デラウェア州である。人口89万人に対して、企業数は94万社ある。アメリカではここが使われているので、パナマ文書はアメリカでも盛り上がらなかった(p33)
・政治家は、自分の資産を政治団体に寄付して、子供などの相続人はその政治団体の資金を使う(p38)
・民主党時代に、トリガー税率を25→20%にした、これは、法人税が20-25%程度の国でタックスヘイブンを使用してくださいと、国が進めたようなもの、トリガー税率を30%(法人税29%)にすると、旨味がなくなる(p40)
・1951年に、石炭鉄鋼共同体(ECSC)ができた、なぜ石炭と鉄鋼かというと、これは戦争に密接に関わる超戦略物質だから。今でいうと、核兵器の開発に利用可能な原子力である(p47)
・今回のEU離脱は、EUが最適な規模へと縮小していく大きな流れの一環として見ることができる(p49)
・EUに加盟して7年が経過した国の国民は、EU内での労働移民が認められている、そのためイギリスには、2004年加盟のポーランド、2007年加盟のブルガリア・ルーマニアの移民が大量に流入して、賃金が下がり、イギリス人の働き場が奪われていた(p52)
・EU脱退を通知して2年後に、EUと離脱国との条約が停止されることになっている。いつ通知するかがわからない以上、イギリスの離脱はいつかわからない(p55)
・中国が経済成長できない理由として、一人当たりGDP1万ドルの壁(中所得国の罠)に中国がぶち当たっているから(p62)
・世界200か国のGDP成長率において、変化率の少ない国の上位には、社会主義国が並ぶ、バングラデシュ・ラオス・ベトナム・中国(p65)
・2012年の18回中国共産党大会で、習近平は「偉大な中国の夢」として、2020年にはGDPと国民平均収入レベルを、2010年比較で、それぞれ2倍にするとした。その達成に必要なのが、年平均7%(p66)
・2015年成長率の産業別データによれば、農林畜産漁業が3.6%、工業が6.0%、主要27製品の生産量データでは、2015年上半期に6%を達成していているのは、4製品のみで、13製品ではマイナス、全平均は1%程度。生産量が伸び悩んで、産業全体が伸びることはあり得ない(p68)
・中国の輸入統計は信用できる、それによると輸入統計は、およそマイナス15%、GDPはマイナス2-3%になるのが普通である(p70)
・安倍総理は、早期にデフレ脱却を達成すると公約している。デフレ脱却とは、潜在GDPと実質GDPのギャップをゼロにすること、失業率は構造失業率2・7%を達成して、インフレ率を2%にまで高めること(p100)
・日本政府資産の中身は、比較的換金可能な金融資産の割合が極めて大きい。貸付金や出資金として、各省庁の天下り先になっている。(p111)
・日銀も含めたネット国債は、150兆円程度であろう。実質的に借金が150-200兆円ということは、GDP比較で30-40%、アメリカの60-85%、イギリスの60-80%と比べても少ない(p112)
・日本の場合、どんなに小さく見積もっても毎年30兆円の税金徴収が可能、将来割引率4%として、現在価値が750兆円、徴税権抜きの連結バランスシートで150兆円の債務超過なので、徴税権750兆円を加えると、600兆円の資産超過となる(p114)
・社会保障の財源は、「社会保険料+所得税」、本来であれば消費税がでてくることはない。日本の場合は、社会保険方式でありながら、税金が半分近く投入されているので、世界の常識から外れている(p116)
・国税庁が把握している法人数と年金機構が把握している法人数は、80万件も異なる。保険料の徴収漏れが12兆円という推計もある(p119)
・アベノミクスの採点基準は、1)金融政策による失業率の改善、2)財政政策によるGDP成長、の2つである(p123)
・新聞社の株式が譲渡されないと、日刊新聞紙法によって定められているので、買収されないということ。その新聞社がテレビ局の株を持つ(p133)
・日刊新聞紙法、再販制度、軽減税率と、新聞は既得権の塊である(p143)
・国会議員は誰でも、文書通信費を毎月100万円支給されている、これは領収書さえいらない(p152)
・犯罪白書によれば、2011年の犯罪率は、沖縄県民が0.27%に対して、米軍関係者は0.11%(p155)
・アメリカと同盟を結ぶと戦争の確率が減るという理屈の最もわかりやすいことは、「世界一の軍事国であるアメリカから攻撃されない」ということ(p161)
・国連軍について、日本は、オーストラリア・カナダ・フランス・ニュージーランド・フィリピン・タイ・トルコ・アメリカ・イギリスの9か国と、国連軍地位協定を締結しているので、米軍横田基地(国連軍後方司令部)には、日本とアメリカの国旗とともに、国連旗が立っている(p170)
・郵貯は今後、貸出先を開拓するか、自分で貸出の体制を整えないと、金融機関として吸収合併される可能性もあるだろう。2010年くらいから貸出をする想定であったのに、5年経過してもできていないので(p208)
2016年11月13日作成 -
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元財務官僚であり経済学者である高橋洋一氏のマイナス金利の解説。
リフレ派なのでマイナス金利について積極的推奨側のスタンスであることを差し引いても、詳しい実情やはじめて知ったことなど学べることも多数。
読んでいるとマイナス金利(をはじめとした日銀政策)によって上手くいくと錯覚してしまいがちですが
「実は、これまで解説した債務の解消のプロセスは、デフレが前提条件となっている。デフレ下でのみ、機能する話なのである。」(P.181)
ここが読み終えてもどうしても気になって仕方がない。
P.35では賦課方式なのだからGPIFの運用は不要と切り捨てているのも、少子化に進んでいることと積立方式も平行している現状を見ると話は簡単ではないな…という印象です。 -
Posted by ブクログ
戦後荒廃後も民生工場が多数残存し、資本主義の土壌があったので原材料があれば復興できる状態であった。経済成長は民間主導、自由貿易によっていた。民間躍進も技術力だけではなく、固定相場制の為替による高レートの恩恵を受けていた。固定相場制の維持のために政府によるドル買い円売りは金融政策を封じることになる。ニクソンショックは金本位制の限界から予想された話しで急なインフレはオイルショックで始まったわけではない。バブル経済は一般物価の高騰は顕著に見られず、株、不動産のみの値上がりだった。デフレの今は、金融政策によりマネーサプライを充実させてマイルドインフレを目指し、需要を拡大する必要がある。