【感想・ネタバレ】これが世界と日本経済の真実だのレビュー

あらすじ

「イギリスのEU離脱は、世界中で進む右傾化がもたらした最悪の決断だった」
「アベノミクスで恩恵を受けるのはカネ持ちばかりで、格差は広がるばかりだ」
「原発はリスクがあろうとも、経済的に安価なので稼働を続けなければいけない」……
日本のニュースをただ眺めているだけだと、こんな「嘘八百」に騙されてしまう。
これはニュースの主体であるマスコミに「左巻き」(左派)が多く、彼らは概して数字が読めないからだ。日本には、マスコミ、官僚、公務員、大学教員といった既得権にまみれた「左巻き」がはびこっている。彼らが垂れ流す「左巻き報道」に騙されないためには、分析的に、論理的に物事を読む力が必要だ。
そして、政治・経済ニュースを正しく読み解けば、世界と日本の「真実」はこう見えてくる。

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Posted by ブクログ

4年前に購入したのに、読むのが今になってしまいましたが、それでも、当時の出来事を分析して説明した内容は、2020年の現在でも為になりました。一部、原発のコストや郵政に関する話は以前の著者の既刊本と重なってはいましたが。

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2020年05月20日

Posted by ブクログ

今月(2016.10)上旬に発刊された、2008年まで財務省官僚をしていて、埋蔵金(隠れ予算)や日本国全体のバランスシートを作成した功績のある、高橋氏の最新本です。

この本は、巷に流れる、世界や日本の経済報道ニュースについて、彼の鑑識眼によれば誤解を招くものや、明らかに誤った報道がされているとして、それらに対して、彼が入手したデータをもとに、彼の専門である「数学的考察」を加えて、説明しています。

そのように論理的に説明されてしまうと、私としては反論する力もなく「なるほど」と思ってしまいます。誰か本やネットで反論してくれて、そして対談でも実現すると、楽しい番組になりそうですが難しいでしょうかね。

報道は自分の鑑識眼をもって、読むことの大切さを改めて気づかせてくれた本でした。

以下は気になったポイントです。

・トランプ氏の主張は、イスラム教徒やヒスパニックと違って、日本人という民族・人種を攻撃するようなものではない。日本に対しては無思想である(p17)

・トランプ氏が言い続けいているのは、「オバマは交渉が下手だ、俺ならもっとうまくやれる」ということ。トランプの発言は、最後通牒ではなく、交渉の最初のカードに過ぎない(p18)

・ヒラリー・クリントンが大統領になった場合、日本にとっては大きな変化はない、と断言できる(p23)

・パナマ文書の報道が続かなかったのは、日本人・日本企業の名前があまり載っていなかった、せいぜい200件程度。タックスヘイブンは合法、批判しようにも「金持ち優遇だ」という感情論に終始するしかなかった、倫理として批判できる政治家の名前がでないと新聞ネタにならない(p28)

・日本の節税対策に使われるタックスヘイブンの殆どが、パナマではなく、バミューダやルクセンブルクである(p32)

・アメリカにもタックスヘイブン地域がある、デラウェア州である。人口89万人に対して、企業数は94万社ある。アメリカではここが使われているので、パナマ文書はアメリカでも盛り上がらなかった(p33)

・政治家は、自分の資産を政治団体に寄付して、子供などの相続人はその政治団体の資金を使う(p38)

・民主党時代に、トリガー税率を25→20%にした、これは、法人税が20-25%程度の国でタックスヘイブンを使用してくださいと、国が進めたようなもの、トリガー税率を30%(法人税29%)にすると、旨味がなくなる(p40)

・1951年に、石炭鉄鋼共同体(ECSC)ができた、なぜ石炭と鉄鋼かというと、これは戦争に密接に関わる超戦略物質だから。今でいうと、核兵器の開発に利用可能な原子力である(p47)
・今回のEU離脱は、EUが最適な規模へと縮小していく大きな流れの一環として見ることができる(p49)

・EUに加盟して7年が経過した国の国民は、EU内での労働移民が認められている、そのためイギリスには、2004年加盟のポーランド、2007年加盟のブルガリア・ルーマニアの移民が大量に流入して、賃金が下がり、イギリス人の働き場が奪われていた(p52)

・EU脱退を通知して2年後に、EUと離脱国との条約が停止されることになっている。いつ通知するかがわからない以上、イギリスの離脱はいつかわからない(p55)

・中国が経済成長できない理由として、一人当たりGDP1万ドルの壁(中所得国の罠)に中国がぶち当たっているから(p62)

・世界200か国のGDP成長率において、変化率の少ない国の上位には、社会主義国が並ぶ、バングラデシュ・ラオス・ベトナム・中国(p65)

・2012年の18回中国共産党大会で、習近平は「偉大な中国の夢」として、2020年にはGDPと国民平均収入レベルを、2010年比較で、それぞれ2倍にするとした。その達成に必要なのが、年平均7%(p66)

・2015年成長率の産業別データによれば、農林畜産漁業が3.6%、工業が6.0%、主要27製品の生産量データでは、2015年上半期に6%を達成していているのは、4製品のみで、13製品ではマイナス、全平均は1%程度。生産量が伸び悩んで、産業全体が伸びることはあり得ない(p68)

・中国の輸入統計は信用できる、それによると輸入統計は、およそマイナス15%、GDPはマイナス2-3%になるのが普通である(p70)

・安倍総理は、早期にデフレ脱却を達成すると公約している。デフレ脱却とは、潜在GDPと実質GDPのギャップをゼロにすること、失業率は構造失業率2・7%を達成して、インフレ率を2%にまで高めること(p100)

・日本政府資産の中身は、比較的換金可能な金融資産の割合が極めて大きい。貸付金や出資金として、各省庁の天下り先になっている。(p111)

・日銀も含めたネット国債は、150兆円程度であろう。実質的に借金が150-200兆円ということは、GDP比較で30-40%、アメリカの60-85%、イギリスの60-80%と比べても少ない(p112)

・日本の場合、どんなに小さく見積もっても毎年30兆円の税金徴収が可能、将来割引率4%として、現在価値が750兆円、徴税権抜きの連結バランスシートで150兆円の債務超過なので、徴税権750兆円を加えると、600兆円の資産超過となる(p114)

・社会保障の財源は、「社会保険料+所得税」、本来であれば消費税がでてくることはない。日本の場合は、社会保険方式でありながら、税金が半分近く投入されているので、世界の常識から外れている(p116)

・国税庁が把握している法人数と年金機構が把握している法人数は、80万件も異なる。保険料の徴収漏れが12兆円という推計もある(p119)

・アベノミクスの採点基準は、1)金融政策による失業率の改善、2)財政政策によるGDP成長、の2つである(p123)

・新聞社の株式が譲渡されないと、日刊新聞紙法によって定められているので、買収されないということ。その新聞社がテレビ局の株を持つ(p133)

・日刊新聞紙法、再販制度、軽減税率と、新聞は既得権の塊である(p143)

・国会議員は誰でも、文書通信費を毎月100万円支給されている、これは領収書さえいらない(p152)

・犯罪白書によれば、2011年の犯罪率は、沖縄県民が0.27%に対して、米軍関係者は0.11%(p155)

・アメリカと同盟を結ぶと戦争の確率が減るという理屈の最もわかりやすいことは、「世界一の軍事国であるアメリカから攻撃されない」ということ(p161)

・国連軍について、日本は、オーストラリア・カナダ・フランス・ニュージーランド・フィリピン・タイ・トルコ・アメリカ・イギリスの9か国と、国連軍地位協定を締結しているので、米軍横田基地(国連軍後方司令部)には、日本とアメリカの国旗とともに、国連旗が立っている(p170)

・郵貯は今後、貸出先を開拓するか、自分で貸出の体制を整えないと、金融機関として吸収合併される可能性もあるだろう。2010年くらいから貸出をする想定であったのに、5年経過してもできていないので(p208)

2016年11月13日作成

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2016年11月13日

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