高橋洋一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大阪府知事だった橋下氏が、大阪市を改革するために現職の大阪市長を破って現在に至っているのは事実ですが、大阪市議会議員の協力無しに、大阪市民の支援を受けて大阪市長になったことは凄いことだと思います。
但し最近電車のつり革広告で、橋下氏を批判しているような記事を見かけることがあります。彼がやろうとしている改革を阻止(骨抜き)するために、背後で動いている人がいるのでしょうか。
この本では元財務省の官僚で、彼らのやり口を十分に理解している高橋氏が、橋下氏のやろうとしている改革について解説してくれています。
日本はもう20年以上も停滞を続けてきていて、特に大阪ではかなり厳しい状況になっているようです。日本を活性化するためにも、私が青春時代を過ごした関西圏を盛り上げてほしいと思いました。
以下は気になったポイントです。
・道州制とは、国・都道府県・市区町村となっている現在の国の構造を、既存の市区町村を再編した「基礎的地自体」、その集合体である「道州」、そして「国」という三層構造にすること(p16)
・最初に基礎的自治体が仕事を取り、残りが出たら道州に任せるという考え方が道州制の基本、規模が大きい方がうまくいくものは、都道府県に任せ、市は市がすべきというのが大阪都構想の基本的考え方(p21、48)
・大阪市の人口は267万人、これを30万人程度からなる7-9の基礎的自治体に分割して、さらに大阪都を含む関西州を構築するのが大阪都構想(p23)
・東京都23区の区長は区民から選ばれる公選制だが、大阪の24人の区長は大阪市長が選んだ役人(p25)
・行政を国から道州にすれば国の権限は減り、成長を阻害するものがなくなるので、規制緩和も同時に達成できる、経済成長のためには役所は「何もしないこと」(p30)
・小さい港をたくさん作ったのは、国が地方を上から目線でとらえて、全国平等にやるという思想があるから(p33)
・脱原発がしにくいのは、原発を使わなくなると原発が不良資産になるから(p34)
・安倍政権時代には、日銀にお金を刷らせ、円を安くして名目GDPを増やし、株価を上昇させていた、簡単だからできるのがポイント(p38)
・仕事が国から道州政府機関に移れば、国交省・農水省・文科省・経産省はいらなくなる(p54)
・地方分権の定義は、三ゲン:権限、人間、財源を中央から地方へ移すこと、具体的には中央の出先機関から「3ゲン」を全部地方に移すのが、いちばん簡単な地方分権(p59)
・地方交付税の内訳は、所得税・酒税の32%、法人税の34%、消費税の29.5%、たばこ税の25%である(p63)
・きめ細かくやると総務省が反発するのは、総務省に「裁量」の余地ができることを意味する(p65)
・消費税5%のうち、4%は国税、1%は地方消費税、1%はそのまま自治体の税収となるが、4%のうち3分の1程度が地方交付税になる、さらに一部が国の一般会計に入り、そこから国庫支出金という形で地方に回る(p70)
・生活保護者の増加率とインフレ率には逆相関がある、インフレ率が1%下がると生活保護者は5%(10万人)増える(p91)
・歳入庁とは、国税庁と日本年金機構を一体化し、税と保険料の徴収インフラを整えるシステムのこと(p94)
・ベーシック・インカムとは、生活保護などの社会保障給付を統合して、すべての国民に所得に応じて一定額を支給する仕組み、収入がある人は現金給付以上の所得税を納めるため、実質的には給付を受けたことにはならない(p98)
・国民背番号制を導入して、全ての口座を管理すると金融資産が把握でき、ストックを総合課税に変えることも可能(p105)
・知事は、政令に定めるところにより・・・という文言を入れることで、政令に従えばできるし、従わなければできないということになる(p120)
・戦前の軍国主義教育の反省から、政治が教育へ過度に口出しできないようにしたので、教育委員会は市から隔離されている(p126)
・大阪維新の会には、脱藩官僚がたくさんいるので、法律を出して骨抜きにされることはない(p142)
・知事就任2年目で、赤字続きの府の財政を黒字転換させたが、国から臨時財政対策債を国から割り当てられて、借金が増えていることになっている(p156)
・大阪維新の会のメンバーは公開性と論理性のほかに、自身でビジネスをしている人が多いというのが特徴(p178)
・橋下市長は大阪市職員の政治活動を禁止する条例をだしたが、それは国が禁止しているからというのが論理(p183)
2012年10月21日作成 -
Posted by ブクログ
小泉政権下で竹中平蔵のブレーンとして知られた高橋洋一氏が、確率・統計的な思考について解説する。
本の構成としては、前半が統計と確率についての基本的な考え方の解説。後半が東電問題や復興政策についての話。
読んだ感想を一言で表すと「前半部分を掘り下げたほうが面白いのでは?」というものだ。
特にベイズ確率やモンティ・ホール問題の話などは、日常的に生活していて「八割がた大丈夫」みたいな言葉の理論化という意味でとても興味が湧いた。今、日本で確率や統計について、一般の人々にも皮膚感覚で分かりやすく解説できる希有な存在だと思う。
一方、おそらく著者の主眼であると思われる後半については、著者がいろいろな媒体で語っていることをまとめたもので、あまり新鮮味が感じられなかった。統計や確率をからめて書いてはいるものの、ちょっと主題から外れているようだ。ネット上でも『現代ビジネス』などで東電問題や復興政策について慧眼を語られているので、著者の東電問題や復興政策についての提言を知りたければ、そちらを読んだほうが経済的にも優しいかと。
評価的には星3が妥当なところか。考え方の訓練として面白く読むことができると思う。 -
Posted by ブクログ
第1章で、確率・統計の基本的な考え方をベイズ理論をメインに説明している。
ただ、本のタイトルのうち、前半部分とマッチするのはこの章だけ。
ベイズ理論は主観確率をその中心におくが、伝統的な統計学に馴染んでいるとやや頭の中を整理するのにワンテンポ必要かもしれない。
第2章以降は東電問題や復興財源の話など、どちらかというと政策論に近く、タイトルの後半部分に相当するのだろう。
ただ、第1章と第2章以降のつながりが見えにくいのは残念に思う。
政策論のことは、著者が従来より主張してる内容をより一般向けにしたものといえる。
多くの部分で賛同できるところもあるのだが、自身の他の著書を参考にすべしというような、いわば宣伝が文中に多々出てくるのは、読んでいて決して愉快な気分にはならない。
新書であることを考慮したとしても、ちょっとやり過ぎなような感じがした。
ただ、シミュレーションの重要性や特性を述べているあたりは、マスコミ等を含めてあまり理解されていない所で、自分も実際にやっていてもどかしく感じる部分でもあったので、このような書籍のなかで述べてもらうことは非常に助かる。
また、補講で述べられているよくある誤解と間違いは、経済学の知識をあまり有していない一般の人たちが陥りやすい内容を指摘しているので、こういう形での啓蒙がもっとあっていいのではと心強く感じた部分でもある。 -
Posted by ブクログ
最近テレビや新聞のニュースを見る機会が減ってきている私にとって、「日本の大問題」は何なのか、また、その「解決策」が何なのかがあまり認識できていません。この本の著者は以前に「さらば財務省」という本も書かれた財政通でもあり、難しい問題を分かりやすく解説しています。
難しい問題を難しく書くのは多くの人がやっていますが、易しく解説するには本質が分かっていなければできないと思います。この本は普段、新聞だけを読んでいては認識することのできない視点で書かれていて、私にとってはためになる本でした。特に、日本政府がドル買いをするという具体的な内容(=短期国債を発行)は初めて知ったこと(p79)でした。
以下は気になったポイントです。
・アメリカの高速道路が「フリーウェイ」と言われるのは、立体交差になっていて交差点等でストップすることから解放(フリー)されている意味であり無料ということではない(p21)
・最後には予算は必ず仕上がる、その手段は、1)赤字国債、2)埋蔵金使用、3)予算の組み替え、である(p27)
・政治主導と、前政権のシーリング(予算の上限)否定にこだわった民主党の姿勢は、タガの外れた予算という大失点となった、さらには過去最大の国債発行額の抑制や事業仕分けにおいて財務省に大きく依存するようになった(p32)
・児童手当の廃止で大喜びしたのは、都道府県と市場村、年間7000億円の負担から解放された(p36)
・雇用保険で巻き上げたお金は、雇用能力開発機構等の天下り団体で無駄使いされた、581億円の建設費をかけ、毎年10億円の赤字をだして6年で閉鎖した「私のしごと館」が典型(p45)
・日本の電波利用料収入が653億円、その大半は携帯電話キャリアが負担していて、テレビ局はわずかに38億円、周波数オークションは携帯電話、テレビ業界ともに反対している(p50)
・GDPギャップが40兆円もある状態では、デフレが続くのは当たり前、「デフレは安くなっていい」というのは大きな誤解、良いのは3~5%程度のマイルドインフレ(p55)
・中長期の為替の動きについては、説明可能、長期の動きについては「購買力平価=ビックマック指数」という物価から、中期については「金利差」から可能(p67)
・リーマンショック後の2008年10月、日本は欧米の中央銀行による0.25%協調利下げに参加しなかった、これにより日本の金利は相対的に高くなったと判断されて、円高・株安となった(p75)
・2003年から2004年にかけては大規模な円売りドル買いが行われた、実際には、アメリカ国債(ドル建て)を買う、そのために財務省は外国為替資金証券という短期国債を発行する(p79)
・国際収支の常識方程式:経常収支+資本収支(民間がもつ債権)+外貨準備(公的機関が持つ債権)の増減=ゼロなので、経常収支の黒字は、資本収支か、外貨準備のマイナスとなる(p84、86)
・国債金融政策において、1)固定相場制、2)独立した金融政策、3)自由な資本移動、のうち同時に2つしか実現できない、多くの先進国では2)と3)を守るために1)を放棄、中国では、1)のみを選択、2)3)を放棄している(p89)
・日本のバランスシートによれば、800兆円の借金と同時に、500兆円の資産がある、そのうち300兆円は赤字国債(特殊法人への貸付金、出資金)、200兆円は道路や役所の建物である(p120)
・300兆円の債務超過となるが、国の場合には債務を返済できないことを意味しない、それは国には「課税金」があるから(p121)
・歳入=税収等+国債発行額、歳出=国債費+一般歳出、歳入=歳出なので、税収等-一般歳出=国債費-国債発行額=プライマリーバランスである(p124)
・日本がノーマルな成長をすれば(名目GDPが4%程度)、国債金利もその程度(4%)になる(p133)
・多くの国で法人税を下げているのは、ITや法の整備によって、個人資産や個人所得の精度の高い捕捉が可能になってきたから(p166)
・地方分権のスタートとしては、特別会計の地方移管が望ましい、例えば、国交省の社会資本整備事業特別会計の中の空港整備勘定を分割して地方へ移譲するなど(p190) -
Posted by ブクログ
ネタバレ本書のタイトル通りなら1章だけでいいかと…
1章に書かれている事はわかっていても忘れてしまう、つい勘違いしてしまうようなこともある。例えば統計の取り方、質問の仕方で結果が変わっちゃうとか。
うっかりどんな質問をしてその集計結果が出たのかまで頭が回らずに、結果だけ見てその解説を読んで「そうなのかー」って思いこんじゃうことはありがち。
「増税に賛成ですか?」と「復興のための増税に賛成ですか?」では集計結果が異なるだろう。でもどちらも「増税に賛成か?」なんだからグラフタイトルはそうなっちゃうとか。
「可能性は極めて低いが0ではない」が「ないとは言えない」と結論付けられたり。
1章はベイズ統計以降も面白く良かった。
しかし、2章以降は東電と政府の問題とか復興財政案とかのお話。一章でも原発事故の話は引き合いに出されているが、2章以降はタイトルにあり、1章で色々な事例を出して説明している統計や確立の話はほぼ関係ない。
この本のタイトルなら別の本にした方が良いのでは?
と思える。内容の良し悪しと関係なく。
2章以降の復興案なども同意できるかどうかは兎も角、著者の考え方がわかりやすく説明してあり文としてはいいのだが、いかんせん本書のタイトルを考えるとちょっと…
上述より、タイトルに対する内容からすると★2つとしたいが、1章の内容が面白かったので★3つ。 -
Posted by ブクログ
放射線散布におけるシミュレーションデータの重要性、主観を考慮に入れた「ベイズ確率」の意義、政府、日銀や財務省の発言のカラクリなどを実例を交えつつ解説。
お上が述べる理屈の根拠になってる数字が、何を基準にして何を対象にしてるかを確かめろ、というのはよく分かった。
景気の伸び率や、対GDP比でカネがいくらか、などと言った話しはその典型例。
一方で、後半半分は確率云々の話と言うより、日本の財政や政策の話に終始してた。
4%成長の必要性、日銀直接引き受けの話、各種埋蔵金の活用など、話自体はとても面白かったが、それは本を改めて語って欲しい。
統計・確率のもっと突っ込んだ実例や、扱い方を知りたかった。