高橋洋一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
現在大学教授であり、官省での経験から政界とも深いつながりのある著者が日本社会で問題となっている55の項目について著者の観点から答えた一冊。
著者が専門としてきた経済の問題はもちろんのこと政治やビジネスや人生に至るまで本質を捉えた切り口からズバっと答えられていて読んでいて刺激を受けました。
第一線での経験から得られたこともふんだんに書かれており、パチンコ店と警察官僚との関係やインフレと失業率の関係性などが興味深いものでした。
また、マスコミに対する不信感の原因を知ることができ、学歴の著者の解釈が面白いと感じました。
そして、集団自衛権と防衛に関することや年金の財源問題などからみた老後についての考察は参考になりました。
また、著者自身の仕事術やエビデンスやファクトに基づいた著者の本質を捉えたものの見方の作法も書かれており、本書での回答の根拠の裏側も知ることができ、より納得ができました。
マスコミなどのメディアから伝わっていることと本書で書かれていることの相違が多くあると感じ、本書を読んで経済政策において失業率についての考えが変わりました。
物事の本質を捉えるために自分で考えることが大事だと改めて気付かされた一冊でした。 -
Posted by ブクログ
今年(2017)の流行語大賞の候補に間違えなく挙がるのは「忖度(そんたく)」なんでしょうね。かなり前に安倍首相は記者との質疑応答で「空気読めよ!」と言っていましたが、同じようなモノと思っていましたが、ネットでのやり取りを見ると、「行間を読んで、さらに適切と思われる行動を取る」までがその意味の様ですね。
忖度の話はこの程度にしていて、この本ですが、今までに何冊もお世話になってきている、高橋洋一氏が今年夏頃に出版された本です。大手メディア・テレビは、真実というよりは、報道しても自分たちに害のない内容を報道すると、ある時期に悟ってから、彼らの流す情報は、ある程度冷静に見る癖はついてきましたが、では果たして事実はどうだったのかは、高橋氏のような解説を読むのが参考になります。
官僚が国民を欺いてきたのは、先の戦争の情報統制、自分が実際に経験したものでは、阪神大震災・東日本大震災での情報統制を見ていればわかります。未だに官僚(国家公務員試験を合格した人)には、一般国民には理解できないものがあると思っているようですね。
とは言え、官僚にも言い分があると思うのですが、この本では、その官僚を実際に経験された高橋氏に書かれた本で、官僚の真実が書かれていて大変興味深く読ませていただきました。
以下は気になったポイントです。
・そもそも森友学園問題とは、大阪市の学校法人「森友学園」が、大阪府豊中市の国有地を小学校の用地として、評価額より大幅に安い価格で取得したこと(p18)
・年間4000万円の金額は、収益還元法を使った土地評価額10億円に対応する数字(p32)
・近畿財務局の最大のミスは、地中にごみが埋まっていることを隠して(正規の手順を怠り)森友学園と随意契約をしたこと(p37、38)
・一般的な面会等の記録は歴史公文書等にあたらないので、保存期間は1年未満でよいことになる(p43)
・議事録は、誰がどういう発言をしていたかのみを書けと言われた、概要では書いた人の主観が入り込むとしては、資料としては二次情報の可能性があり、情報価値としては二流品となる(p50)
・議会において法律を成立させるかどうかの決定をする(立法権)は国会にあるが、その法案のドラフトを書いているのは、ほぼ官僚である(p70)
・議院内閣制では、立法権のある国会で多数を占める与党の議員たちによって、行政権を行使できる内閣ができる。この段階で、与党および内閣に2つの権力が集中する。大統領制の場合は、立法権のある議員たちは、行政府の要職を兼務できない(p73、74)
・法律を書くには膨大な知識と技術が必要とされる、過去の法律と矛盾してはいけない、条文としての言葉遣いが適切であるかも問われる、そして規制対象について精通していなければならない(p76)
・国が新たな政策を実施するには、財源と法的根拠が必要である(p77)
・民営化には3つの意味がある、1)民間が所有し運営する、完全民営化、2)政府が株式を所有し、経営を民間にする「特殊株式化」、3)政府が根拠法を持っている、特別民間法人化、従って、完全に民営化、というと、完全を期して民営化する、という意味になる(p80)
・国会の各委員会での法案修正についても、総務会の承認を受けるようにしたので、国会に提出される法案の最終判断は、原則として自民会の総務会が取り仕切ることになった(p100)
・法案が与党の政策審議機関に承認された後は、党議拘束がかかる、この段階で与党からは反対意見が出なくなる(p106)
・課長まで昇進するノンキャリは限定されていて、かなり多くの人が課長補佐のままで退官する、しかしキャリアと違って定年まで勤務できる(p131)
・アメリカで予算編成権を持っているのは、政権内の行政管理予算局だが、最終的な予算案をつくりあげるのは議会なので、予算局にはそれほどの権限はない(p139)
・主計局の力が予算編成権であるのと同様に、主税局の力の源泉は徴税権である(p141)
・大臣官房は、部局間の調整、省内取りまとめをするので、基本的には他部局よりも格上である、人事課(秘書課)、会計課(予算課)、文書課(法令審査)が省内をコントロールしている(p148)
・官房副長官は定数は3名で、1)財務省出身の内政担当、2)外務省出身の外政担当、3)警察庁か防衛省出身の、安全保障・危機管理担当、であるが、内政担当の影響力が最も大きい(p153)
・日本政府の実質的借金(負債-資産)は400兆円程度で、日本GDPの8割程度、これは他の先進国の対GDP比率を比較して高い水準ではない(p162)
・2017年5月1日の国債売買不成立は、日銀買い入れの影響により金融市場で国債品不足となったためで、国債暴落ではない(p164)
・民主党政権は、30歳程度の若手職員を民間企業に出向させるという、現役出向制度を、退職間際の人にまで拡大して、天下りを減らしたことにした(p167)
・国税庁が歳入庁にかわり、内閣府の中に置かれてしまうと、財務省は国税庁のポストをすべて失う、なので財務省としてはなんとしても潰しておきたい(p174)
・経済産業省、農林水産省も不要であろう、地元に任せるべき、法務省の地方に置かれている法務局は地方に移管すべき、文部科学省の各地方にある教育委員会も、地方に移譲すべき(p180)
・大阪都構想は、大阪府と政令都市である大阪市を統合して、5つの特別区の設置を想定している。行政機能と財源を大阪都に、地域行政にかかわる部分を5つの特別区に移譲するとしている、メリットは二重行政を解消できること、これは道州制にもつながる(p183、184)
2017年11月26日作成 -
Posted by ブクログ
タイトル通り、やったら数字やデータに基づいて、経済や社会を論ずる。
面白いのだが、その数字データの部分が面倒で全部ぶっ飛ばして検討も理解もしてないので、正否は全く判らない。
この本だけでのことではないが、マスコミとか、官僚とか、ついでに言えば教育とかその辺の怖さは充分に感じる。
意図的な言葉の選び方や誘導、民主主義だからこそ、誤った情報を効果的に根付かせれば、どうにでもなる怖さ。
この人の主張が是なのか否なのか、ネットちょっと見ても色々あるのは承知しているが、色んなニュースに触れた時の感覚を納得させてくれるところも多いので、しばらく追いかけてみたいと思う。 -
Posted by ブクログ
10年程前に新聞の宅配サービスを辞めました、妻に提案されたときは驚きましたが、あまり紙ベースのニュースを家では読んでいないこと、新聞は会社で数種類置いてあるので、必要な時はそれを読めばよいと思ってそうしました。
ところが今年4月に末娘が文系の大学に入学したのを機会に、日経新聞を宅配してもらい家に新聞がある生活になりました。毎朝少しの時間ですが、日経新聞を目に通すようになりました、そんな私ですが、この本のタイトルの一部にある「日経新聞には絶対に載らない」ネタが一杯の本、というコピーに惹かれてこの本を手に取りました。
日本経済の現実について、55の質疑応答に応える形で、「埋蔵金発掘」で有名な高橋洋一氏が解説しています。大変勉強になった本でした。
以下は気になったポイントです。
・2017年3月、ノーベル経済学賞を受賞した、スティグリッツ米コロンビア大学教授が来日したときの提言のポイントは、1)消費増税を行うと景気が悪くなる、2)日本は財政危機ではない、ということであったが、マスコミは報道していない(p17)
・日経新聞に利用価値があるとすれば、財務省と日銀の事務方が何をどう考えているかを知れること(p18)
・2016年12月期の日経グループの連結バランスシートによれば、負債は総資産から純資産を差し引くと、3201億円、従業員3000人なので、一人当たりの借金は6000-1億円となる。これと同じことを、日本政府に当てはめて騒いでいる(p18)
・デフレは「マネーの量が少ないことが原因」と明言している、その理由は世界中のデータからマネーの量とインフレ率は関係があると証明されているから。日本では、近年の金融緩和政策によりデフレが解消されているから、その正しさが証明されている(p23)
・人口と経済成長には相関関係がない、という正しい前提のもので考えるべきである、移民の受け入れは関係ない(p25)
・マクロ経済政策については見るべき指標が決まっている、雇用(職があるかが経済の根幹)と、GDPである。最も重要なのが雇用である(p33)
・現在の当座預金残高260兆円のうち、マイナス金利になっている政策金利残高は、実は10兆円程度。法定準備金を含む「マクロ加算残高」と呼ばれるゼロ金利も40兆円程度、残りの約210兆円には、0.1%の金利(2008年に導入)ついている。全体でならすと、0.07%である(p38)
・ヘリコプターマネーとは、国債発行プラス金融緩和、のことで、一定のインフレ率を達成したら、そこでやめること。定義を明確にして使うべき(p45)
・先進国(日本、アメリカ、EU)が考えている自由貿易と、中国が言っている自由貿易は異なる。中国は「モノ」の自由貿易(FTA)、先進国の場合、モノの話は終わっていることが多いので、モノに加えて金融・資本取引も含めて自由化(EPA)をする、その違いの背景として、中国には知的財産の概念がほとんどないから。EPAを受け入れるならば、模倣する修正をやめなければならない、また資本取引も許されていない(p51、52)
・トランプ大統領は、多国間でやるのが嫌であり、二国間交渉なら乗るはず。従って、日本はTPP11という枠組みと、日米二国間自由貿易協定(FTAかEPA)という二本立てで交渉することになる(p56)
・ふるさと納税で官僚が文句をつけているのは、官僚による税金の差配ができなくなることが気に入らないから。この制度の趣旨は、税金を官僚による差配から、納税者による差配に変更することにあった(p66)
・パチンコが「遊戯」とされているのは、客がパチンコ店から出玉相当分の景品を受け取り、店のすぐそばにある景品交換所で換金する「三店方式」と呼ばれるシステムになっているのでギャンブルとされていない。パチンコは法的には風営法で規制されており、犯罪予防という名目で警察の所管=天下り利権。カジノ法案により国内にカジノが開業すれば、街中のパチンコ屋は一気に衰退するだろう(p70)
・日本人の成人の4.8%がギャンブル依存症とされている、米国の1.6%、韓国の0.8%と比較して高い(p71)
・アメリカでは学校の認可申請すると、教員とお金さえあれば、とりあえず認可がおりるが、これは運転免許による「仮免」のようなもので、本認可がおりるまでは何年か実績を上げる必要がある。日本では一発免許だから、森友学園のように慎重になりすぎる(p78)
・英語を自国の教師が教えているのは、世界中でほぼ日本だけ。論理的に導かれる教育の未来像は、英語教育の充実ではなく、文科省の方針に沿って英語を頑張っても、ほとんど意味がないということ(p81)
・ゆとり教育は最悪、そもそも教育というものは、強制性が伴わなければ意味がない、特に幼少時の教育は、ほとんど「躾」のようなもの(p83)
・最近では、一定の社会資本が整備されたので、コストはかかるが成果が乏しい「無駄な公共事業」が増える傾向にある。いまでは、教育や科学技術分野への投資が良い(p91)
・豊洲で問題になっているのは、環境基準=井戸水が飲めるかどうか、である。これを安全の基準にしてしまうと、東京の大部分の土地がアウトになる(p101)
・防衛には、自国防衛か他国と組むかがあるが、歴史データが明らかにしているのは、最も強大な軍事力を持った国と同盟を組んでいた国は、他国からの侵略を受けにくい、そして集団的自衛権の行使容認による日米同盟の強化となる(p105、106)
・実は、戦争の犠牲で最も多いのは、前線での同士討ちである(p106)
・コンサートの市場価値は、あくまでファンの主観的評価で決まるもの、チケット転売が起こるのは、定価が市場価値を反映していないことの表れ(p120)
・学歴とは、そいつが従順かどうか、尻を叩かれて頑張れるかどうか、18歳までどんな生活をしてきたかについての証明書のようなもの、スクリーニング手段としては未だに有用(p127)
・ブラック企業が跋扈するのは、失業率が高いことの証明、人手不足になれば条件の悪いブラック企業で働く理由がなくなるので自然淘汰される(p146)
・年齢を重ねるほどに同年代との差が開いていく理由は、現役時代の地位・収入がダイレクトに反映されるから、老後の格差はどうしようもない、自分で金を稼いで、あまり公的なところに頼らないほうがイイのが基本(p165、167)
・インフレ目標を設定するのは、失業率を下げるため、失業率とインフレ率は逆相関がある(フィリップス曲線)、2%のインフレが3%の失業率に対応する。失業率を下げようとして、金融緩和をしてインフレ率が上がりすぎるのを防ぐために、インフレ目標を設定している(p185)
・年金が保険である以上、保証額の大小は、掛け捨てになる人がどれくらいの割合いるかによって決まる。年金の保険料と給付額は、「40年間で払った額を、20年間で受け取る」ように設計されている、これは保険料=給付額になるように、保険料が設定されている(p189、190)
・公的年金加入対象者:6721万人のうち、実際に保険料を払っていないのは、たった3%。学生など支払を免除されている人を対象にしていくと、未納率4割という数字がでてくる(p191)
・人口が減っても、それを上回る経済成長があり所得が伸びれば、頭数はさほど問題にならない。過去には6-7人で一人を支えていた時期もあったが、それは単に現在よりも所得水準が低かったからに過ぎない(p195)
・AIの進歩が止まることはないので、アイデア力を磨く、あるいはAIを使う側に回るなど、何等かの対策を建てるのが必須(p199)
・人が仕事を熱心にできるのはせいぜい30歳から50歳の間であろう、人生の充実期は体力と脳の衰えが多少あっても、それまで積み重ねた知識や経験が衰えたところを補完しながら活動できる、30-40代であろう。50代になると、なかなか気力も体力も持続しずらくなり、全体的にフレキシビリティは失われている(p202)
・ビットコインと、従来の電子マネーとの違いは、管理コストが格段に低いこと、管理者を必要としない、世界中にいるユーザーのだれかに見られている(p209)
2017年7月9日作成 -
Posted by ブクログ
ネタバレ日本のマスコミは日本社会は景気低迷が続き、財政破綻の危機に曝されているとか、中国政府の発表する事を鵜呑みにするような論調で日本が世界から取り残されているようなニュアンスを与えたり、いろいろと心配させるような言葉を新聞紙上に振りまいているが、そのような不安を一掃してくれる内容の本です。
以下文中からのエッセンスです。
○金融市場の関係者も、株価や為替相場の短期的な動きだけで政策の効果を論ずることがしばしばある。彼らには本来、政策を語る資格はない。市場の短期的な動きで政策効果を考えることは基本的に間違っている。
経済政策の効果はGDPや雇用統計などで計られるべきで、各種統計を、第2次安倍内閣の発足前と発足後を比較すると、日経平均は8000円が2倍以上。
為替の年平均レートは2012年の1ドル=約80円から2015年は120円。
完全失業率は4.3%から3.2%に低下。
有効求人倍率は0.8倍から1.36倍に改善し、就業者数は100万人以上増加。
2015年には大企業、中小企業ともに過去最高の利益を上げている。
但し景気のスピードは落ちてきている。その原因は消費増税だ。
そもそも消費税の増税は何かと言えば、税収を増やすことだ。しかしこれまでの歴史を振り返ってみると、増税は必ずしも税収アップに結びつかないことが分かる。税収の増減は、その時点の経済情況に大きく依存する。
○中国が発表する統計の中にも、一つだけ信頼できる統計データがある。それは「輸出入統計」だ。この数字だけはごまかすことができない。なぜなら輸出入には相手国が必ず存在するからだ・・・その数字を見ると、2015年の中国の輸入額は前年比14.1%減だ。これは衝撃的な数字である。輸入の伸び率とGDPの伸び率との間には、正の関係がある。この相関係数から推計すると中国のGDP成長率は「-3%」である。
中国は「中所得国の罠」にはまりこんでいる。
○財務省が主張している約1000兆円の借金は「粗債務」と呼ばれるもので、バランスシートでいう資産を考慮していない。資産を粗債務から差し引いた数字を「純債務」という・・・2014年度末時点で、国の負債は1172兆円。このうち国の借金と呼ばれる「公債」と「政府短期証券」「借入金」の計は1013兆円。粗債務から資産を差し引いた純債務がいくらになるかと言えば「1172兆円-680兆円」で約492兆円だ。この数字をもとに、日本銀行も含めた連結ベースで国家財政を考えると、日本政府の純債務は約100兆円ということになる(2015年3月末)。GDP比で言えば20%程度で、財務省やマスコミが喧伝するほど日本の財政状態は悪くないのである。ちなみに中央銀行と連結した場合の純債務をGDP比で見ると、アメリカは65%、イギリスは60%程度である。「日本の財政は火の車で、今にも破綻する」という主張の滑稽さが分かるだろう。
以上が本の中で気になった部分のエッセンスです。面白いと言えば面白いのですが、どうも著者の傲慢さがチラチラ見えるのが気になります。 -
Posted by ブクログ
焦点になるのは9条だとは思いますが、日本では憲法を修正することは難しいとされています。本当にどの程度難しいかは、それらに関連する法律を知らないのでわかりませんが、今から70年前の状況に即して決めた規則(憲法)は、その状況が変わればそれに応じた対応が必要なのではないでしょうか。
そんな状況な中、昨年(2015)9月に、安保関連法が可決されたようで、多くの改正がなされたようです。最も話題になたのは、いわゆる「集団的自衛権の行使」ですが、この本の著者による高橋氏によれば、同法施行の3月29日からは、戦後日本の安全保障政策の転換点となるようです。
この本では、それらのポイントを25枚の図解を通して解説してくれています。日本は戦争に巻き込まれてきませんでしたが、それ以外の地域では絶えず、戦争(紛争)が起こっていた事実、今後はそれらに巻き込まれる可能性も高く、その場合にどう対処すべきか、米国の状況も変わってきている中で、私達が下した決断は正しかったと思いたいです。この点はこれ以降も興味を持ち続けたいと思いました。
以下は気になったポイントです。
・第二次世界大戦後、2007年までに地球上であった戦争(1000人以上の戦死者を出した軍事衝突)は、38回ある(p16)
・民主度の低い国ほど戦争を起こしやすい、中国・北朝鮮・ベトナム・ロシアの民主度が低い。ロシアは開放的な権威主義体制に分類されているが、プーチン大統領の独裁傾向、野党政治家やジャーナリストの不審死、クリミア・ウクライナ・シリアへの軍事介入があり、民主度が低いとされる(p34)
・自衛隊のスクランブル回数は、以前は対ロシアのみであったが、平成24年に逆転し、対ロシア・中国ともに増加している(p36)
・2016年6月の伊勢志摩サミットで、中国はG7共同宣言(力による現状変更)に反対し、名指しされなかったにも拘わらず、自ら名乗った形となった(p41)
・軍事力に関するリアリズムの要素として、1)有効な軍事同盟を結ぶ、2)相対的な軍事力、リベラリズムを代表するカントの三角形として、3)民主主義の程度、4)経済的依存関係、5)国際的組織への加入、がある(p45)
・周辺の状況が緊迫してきたので、現実にあわない国内向けの時代遅れな説明を解釈変更で一部変更し、アメリカとの同盟関係がより実効的になるよう、法整備を行ったのが、2015年の安保関連法の本質(p57)
・東京都の米軍横田基地内には、国連軍後方司令部が置かれていて、オーストラリア・カナダ・フランス・ニュージーランド・フィリピン・タイ・トルコ・アメリカ・イギリス・イタリア・南アフリカの11か国が日本と国連軍事地位協定を締結、8か国が司令部としての使用を続けている(p66)
・朝鮮戦争については、朝鮮半島での機雷掃海の歴史もある。交戦中の国の領海での機雷掃海は、国際法上はれっきとした敵対行為であり、交戦行為である(p69)
・国際法上の自衛権は、刑法の「正当防衛」と類推される。英語では、自衛にも、正当防衛にも同じ言葉(self-defense)が使われる(p73、74)
・正当防衛(自衛権)の条件は、緊迫性・必要性・相当性、の三要件である。国際法における「集団的自衛権」では、刑法の正当防衛よりもさらに条件が厳しくなり、「他国の要請がある」ことが追加の条件となる(p76)
・日本の憲法9条の戦争放棄は、1928年のパリ不戦条約を源流とする規定で、これに類似する条文は、韓国・フィリピン・ドイツ・イタリア等の憲法に盛り込まれている(p81)
・第二次世界大戦後にアメリカが関与した戦争は、2007年までで、8つある。朝鮮、後期ベトナム、後期ラオス内戦、カンボジア内戦、湾岸、コソボ紛争、アフガニスタン紛争、イラク戦争(p92)
・ベトナムのように個別的自衛権だけで、集団的自衛権を活用していないと、戦争を仕掛けられることが多くなり危険性が高まる。徴兵制になる可能性も高くなる(p105、115)
・自主防衛の場合のコストは、24-25兆円で、日米同盟のコスト(1.7)に、現状の防衛関係費(5兆円)を加えても、圧倒的に安い(p122)
・集団的自衛権の行使が望ましい理由として、1)戦争リスクを減少、2)防衛費安上がり、3)個別的自衛権の行使より抑制的(p135)
・日米同盟というれっきとした軍事同盟を結んでいながら、集団的自衛権の行使について議論してきたこと自体、非常識であり、諸外国からは「不思議な国」として思われてきただろう(p138)
・日本ではミサイル防衛を、1)イージス艦に搭載するSM3ミサイル、2)拠点防衛用のPAC3パトリオットミサイルの、2段構えで整備している。アメリカは、その間の部分を担当する、THAAD(サード)というミサイルも完備している(p153)
・日本は核兵器の材料となるプルトニウムを、合計48トン所有している、国内には10.8トン。世界で5位(p158)
・日本が提唱する、セキュリティ・ダイヤモンド構想(日本・アメリカ・オーストラリア・インド)、ハブ・アンド・スポークス体制がある(p172)
2016年10月10日作成 -
Posted by ブクログ
今年(2016)1月に我が国でもマイナス金利が導入されました。日銀のとったこの措置に対しては世の中では様々な議論がなされている様ですね。
この本を書かれた、元財務相官僚で「霞が関埋蔵金」を発掘したことで有名な、高橋氏によれば、新聞などで書かれている内容には正しくないモノもあるようです。この本は、世の中にはどのような俗論があって、それに対する「真論」が何かという解説からなっています。
高橋氏は現在進行中の、新アベノミクスを支持しているようです。現在の日本に活気を与えるためには何かをしなければならないのは事実ですが、批判は楽ですが、今までとは違った方策を考えて、実行して成果を得ることは大変な事のように思います。平成30年を過ぎて、東京五輪が終わった頃にアベノミクスの結果が明らかになると思いますが、その経過をしっかりと見ておきたいものです。
以下は気になったポイントです。
・個人向け国際「変動10」は、一度購入したら中途解約しない方がいい。10年間手を付けずに済む資金で購入すべき(p28)
・国債の利回りが低下するという事は、国債の価値の上昇を意味している。国債の利回りがマイナスになるとは、価値が高まっていることに他ならない(p31、40)
・GPIFの資産運用によって賄われる年金は、全体の8%程度。9割以上は、将来の現役世代からの保険料収入と国庫負担によって賄われる(p34)
・中国の民間消費はGDPの4割にも達していない、この構造は中国の政治体制が一党独裁であることが根本的な原因(p46)
・政策効果の分析は、長期的指標である、GDPや雇用から測定するもので、そうした経済指標が変化するまでの副次的な指標として、株価や為替の話がある(p51)
・日銀が導入したマイナス金利は、2016.2.15以降に新たに預け入れした資金が対象、それまでに積みあがった当座預金250兆円には0.1%をつける。民主党政権時代に、臨時かつ時限的な措置として導入された(p57、58、119)
・EU圏でマイナス金利を採用しているのは、ECB(欧州中央銀行,-0.4%)、スイス(-0.75%)・デンマーク(-0.65%)・スウェーデン(-1.1%)である((p69)
・アベノミクス以降(白川→黒田総裁)は、失業率も減少し、労働力人口は増えている(p87)
・買いオペ(国債減と日銀券の増加)は、有利子の国債から無利子の日銀券への転換を意味する。この転換が、通貨発行益(=運用益)という利益を発生させている(p91)
・日銀のバランスシートでは、国債という資産が増えて、当座預金という負債が増えるが、政府と日銀を連結させたバランスシートでは、資産は変化なし、負債は国債が減り、日銀券が増えることになる(p93、96)
・国債が売られない理由は、国債が金融市場において品不足であることに加えて、デフレ下での財政ファイナンスには、リスクがないから(p100)
・インフレ率2%を目標にしているのは、フィリップス曲線(インフレ率と失業率は逆相関にある)から設定している。インフレ率が2%程度になると、失業率が2.5-3.0%となり、完全雇用が達成されている状態とみなされる(p107)
・マイナス金利を導入した日銀の狙いは、手数料(マイナス金利)を払いたくない銀行が、民間企業への貸出に回すようにすれば企業の設備投資につながり経済活動が活発になることを狙っている(p120)
・日銀を加えた連結バランスシートによれば、資産は政府単体の資産(出資金・有価証券・貸付金・土地=500兆円)に加えて、日銀が保有する国債300兆円、負債は、政府が保有する国債1000兆円および日銀券300兆円(国債と異なり無利子なので債務とは言えない)となり、実質的な借金は200兆円であり、GDP比較では30-40%であろう(p177)
・通貨発行益を1年で全額貰うか、毎年小分けにしてもらうか(金利相当の1000億円)の違いはあるが、政府紙幣と量的緩和は巨額な通貨発行益(10兆円)が発生する(p190)
2016年8月28日作成 -
Posted by ブクログ
今後の経済を見ていくために、歴史をしっかり振り返る必要がある。
そのような視点で、これまで当たり前に思っていたような戦後の経済史の実態を著者の視点で解説していきます。
本文では、いかについて、すべて間違っているとしています。
・高度成長は通産省の指導のおかげ
・1ドル=360円時代は為替に介入していない
・狂乱物価の原因は石油ショックだった
・「プラザ合意」以降、アメリカの圧力で円高誘導するようになった
・バブル期はものすごいインフレ状態だった
一面的にみてしまうと、信じてしまいがちなことが、よくよく見てみると、異なっていた、そんな話はたくさんあるものです。
報道もそういう面があるかもしれません。
そのあたりしっかり見抜く必要があります。
<目次>
プロローグ 経済の歩みを正しく知らねば、未来は見通せない
第1章 「奇跡の成長」の出発点に見るウソの数々
第2章 高度経済成長はなぜ実現したのか?
第3章 奇跡の終焉と「狂乱物価」の正体
第4章 プラザ合意は、日本を貶める罠だったのか?
第5章 「バブル経済」を引き起こした主犯は誰だ?
第6章 不純な「日銀法改正」と、痛恨の「失われた二十年」
終章 TPPも雇用法制も、世間でいわれていることはウソだらけ -
Posted by ブクログ
日本のGDPが中国に抜かれてからかなり経過しましたが、一部には中国のGDPは多目に発表されているという話もあります。この是非はともかく、私が明らかに記憶しているのは、あの崩壊したソ連も長らく、アメリカに次いでGDP(当時はGNP)が世界二位でした。
それがロシア連邦になった後には何位になったのでしょうか。あのころのデータはインターネットを見る限りありません。この本の帯に書かれていますが、旧ソ連のGDPは発表値の半分程度だったそうです。
中国の本当のGDPがどの程度か分かりませんが、発電量が伸びていないなか、経済成長がいまだに6%を超えているのは、本当なら驚きです。
ただし、中国を実際に足を運んでいる知り合いの話では、中国の一部のエリアでは発展が続いている様ですから、今後も中国からは目を離せないと思いました。
以下は気になったポイントです。
・ソ連が崩壊したのは、その経済停滞が大きな要因だが、ソ連を間違った方向に導いたのが偽造統計である。公表していたGDPも実際はその半分以下程度。1928-85年まで国民所得の伸びはソ連の公式統計では90倍だが、実際は6.5倍。平均成長率は、8.3%としていたが、実際は3.3%(p2、28)
・ソ連も市場経済への移行とともに、1990年にIMFや世界銀行などの国際機関による調査団を受けいれ、これをきっかけに統計を正常化させた歴史がある(p3)
・ギネスブックで世界最高の王家は日本の天皇家であると認定されている(p21)
・温家宝首相は、ダボス会議の会食にて、信用してチェックしている統計数値は3つ、電力消費量・鉄道貨物輸送量・銀行融資額、とオフレコ発言した、これはアメリカ国務省内の部外秘であったが、2010年ウィキリークスにより暴露(p40)
・中国の公式失業率(4%程度)は、調査対象が、失業率が低い都市部の戸籍をもち、職業安定所に登録した労働者を対象(p42)
・世界の先進国のデータから推測すると、中国の輸入伸び率からGDPの伸び率を算出すると、2015年は6.9%成長どころか、マイナス3%である(p44)
・2008年の4兆人民元(68兆円)はその後の続き、2009年から4年間で、110兆円(1900兆円)の固定資産投資が行われた(p47)
・2011年に浙江省温州で発生した事故は、40人死亡、高架から落ちた車両をすぐ土中に埋めるなど批判を受けた、あれは特別快速列車で高速鉄道ではないので、新幹線を海外に売り込むときには無事故と主張する(p60)
・中国株式市場で儲けているのは10人に一人、その一人が官僚であり共産党幹部という点が、自由経済市場と異なる(p71)
・2011年から2013年の3年間で中国が使用したセメントの量が、アメリカの20世紀の全ての使用量を上回っていた(p84)
・中国のGDP成長率に占める不動産投資の割合が高いのも問題、土地の販売額のうちかなりの部分が役人の懐に入る。そのために地方の役人は建設ブームを過熱させてきた(p86)
・中国は2008年リーマンショック後に4兆元(68兆円)の景気浮揚策を行ったが、中央政府分は0.2兆元のみ、残りは地方政府や国有企業に資金調達させた、そこで登場したのがシャドーバンキングである、2010年末には政府計画の4兆元をはるかに超過して、10.7兆元となり、不動産投資や公共事業へ流れていった。最近の公式発表では、30兆元(510兆円)を超えたことが明らかになった(p91、92)
・GDP一人当たり1万ドルを突破するには、これまでの先進国の例を見ると、社会経済の構造改革(資本・投資の自由化)が条件である(p108)
・いまのTPP(12カ国で2016年2月4日に署名式)に中国が参加できない理由として、TPPは貿易だけでなく投資の自由化も含まれる。ISDS条項はこれまで何度(20件以上)も日本の投資協定に入っていた、日本が相手から行使されたことは一度もない(p117)
・2015年9月の、中国主催の抗日戦争勝利70執念記念軍事パレードは、かつて日本と戦った、アメリカ・イギリスなどの西欧諸国は出席を見送った(p123)
・インドネシアの新幹線受注を中国が取れた決め手は、事業への全額融資、政府の債務保証なし、という破格条件を提示したから、しかしインドネシアの国営4銀行が中国の銀行から借り入れをすることになっている(p138)
・中国から提出された提案書には、日本の提案書を下書きにした跡があったらしい、日本側が数年かけて行ったボーリング調査、地質調査のデータがあった(p140)
・中国の刑務所で死刑囚を収容できる上限は、400万人で刑務所は、満員御礼の状況が続いている、監獄生活か海外労働のどちらかを囚人に選択させてタダ働きさせる(p146)
・一人っ子政策を管轄する国家衛生計画生産委員会はなかなか、是正に応じなかった。50万人もの職員を抱え、かつ莫大な罰金収入が利権の温床となっていた。2003年には2億人いた農村の余剰人口はゼロで人手不足になっている。2014年から、夫婦どちらかが一人っ子なら、第二子を認めるという緩和策を打ち出した。毎年200万人の新生児を予測したが、実際には50万人以下(p155)
・2016年2月1日、それまで7つの軍区があったが、これを5つの戦区に再編、東部(南京)、南部(広州)、北部(瀋陽)、西部(蘭州)、中部(北京)(p185)
・2016年に戸籍制度を緩和した、都市定住者のうちには戸籍を取得できるケースも出てきたが、地方出身者は出稼ぎすらできないことも推定される(p192)
・国内の治安維持費は、軍事費を上回っている、中国には警察とは別に武装警察がある(p199)
2016年5月5日作成 -
Posted by ブクログ
インフレ率=-2.1+0.62✕2年前のマネーストック増加率
この相関係数は0.89
物価連動債でマインドを可視化できる。
2年位のタイムラグがある。
ハイパーインフレは、お金の量に関係なく、財不足、生産能力不足でおこる。
オイルショックのときは、為替介入を不胎化しなかったため狂乱物価になった。
デフレ時は、マイナスのインフレ率より賃金の下落時が大きい。80年代のインフレ時は逆であった。
BFI(ブレークイーブンインフレ率)
デフレは賃金が決める。は因果関係が逆。
日本のCDSは上がっていない。10年国際利回りは上昇していない。
マネタリーベースの増減で、マネーストックのコントロールが出来るか。
マネーストック=信用乗数(k)✕マネタリーベース
Kは、倍くらい変動する
戦前の国債日銀引受は、9割を市中で売却。戦後インフレの原因ではない。戦後インフレは、物不足と復興金融債の引受。