あらすじ
日本国債暴落説のウソを正す!
日本政府の債務残高は1000兆円に迫り、GDPの2倍もある。やがて日本国債は暴落し、日本の財政は破綻するという説が国民に不安を与えている。しかし、これには大きな誤解や嘘が含まれている。政府や財務省は1000兆円という借金の額のみ強調するが、日本政府の資産は650兆円もあり、諸外国より図抜けて大きい。しかも、そのうち約400兆円は現金化しやすい金融資産だ。
また、国債の保険ともいえる金融商品であるCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の保証料も、イタリアはもちろん、ユーロ圏を牽引するフランスと比べても日本は安く、これは日本国債に対する世界の金融市場の評価がフランスより高いということだ。
このような事実を無視して日本の財政破綻を唱える政府・財務省や、その影響を受けている学者の発言には、世論を増税容認に導く意図があるとしか思えない。その先にあるのは省益や天下り先の確保である。しかし、このデフレ化で増税するなどの愚かな政策を続ければ、日本の財政は本当に破綻しかねない。元・財務官僚のエコノミスト・高橋洋一が、国債を巡る日本経済の嘘と誤解を一刀両断にし、日本が進むべき道を明らかにする。
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Posted by ブクログ
■日本経済
1.日本の借金は1000兆円という捉え方は、そもそもが間違いだ。
国の保有する資産を一切考慮してないからだ。本来は、負債から資産を引いた差額をみなければならない。
普通の国は資産をあまり保有しておらず、借金しかないという事情がある。つまりグロスもネットもほぼ同額である。
ところが、日本国政府は飛びぬけて保有資産が大きい。だから差額で見ないと大きく間違えてしまう。
2.日本国際が暴落するかどうかはCDS保証料をチェックすることが一番正しい。
3.IMFには財務省出向職員がたくさんいて、日本の財政に対する勧告や評論を、まるでマッチポンプのように書いている。
Posted by ブクログ
日本の金融市場の歴史を理解する上で、非常に興味深い
・日露戦争の勝利の要因は、高橋是清の金集め。欧米の金融機関を回った。
・減債基金を毎年10兆円 積まなければ10兆円/年少ない
埋蔵金をこれだけ積み上げてどうするのか?地方も同じ構造
・貸借対照表で比較すると、資産が650兆円有り 借金は差し引きすると350兆円しかない。会計基準が世界と違う
・海外大手格付け会社の評価は当てにならない 発行を取りやめた国債に格付けを付けた前例も有り
説明を求めても、日本のシステムを理解していない
評価基準もオープンになっていない サブプライム問題の時 破綻した銀行に高い格付けを付けていた
・増税の時に、例外措置が有るのは財務省が権限をひけらかすため。天下りポスト等
シンクタンク、証券会社のコメンテーターも要注意
日銀の影響下にいない人を探すほうが大変
・日銀の為替介入 その後ドルを国債に変える。外貨準備高が大きくなる 現在GDPの2割! 米国は支持していない こんな国は無い
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Posted by ブクログ
借金1000兆円というが、その実体はどうなのか?
どういう対応が良いのか?
今巷で言われていること(国債が暴落する、日本が破綻するなど)の何処が問題なのか。
日銀の考え方
等々が書かれているが、この著者が言いたいことは次の二つだろうね。
第一には
「言いたいことがあるならデータを示せ!」
データ。つまり、過去の蓄積だ。
現在のシミュレーションも含むと言いたいが、シミュレーションなど過去の蓄積があるから出来ることで、これも過去の蓄積に含むと言うべきだろう。
著者は
「人間は忘れやすい生き物で、そのとき、その場で自分の都合のいいように考えてしまう。今まではそうだったかも知れないが、今回ばかりは違うと思えてくる。そして同じ過ちを繰り返す(本書88ページ)」。
と言う。
この言葉は、一般的には
「過去には暴落したが今回は今までとは違うから暴落しない」と思って損失をかぶるという楽観的行動に対する警鐘としてとられるが、それだけでなく警鐘は理解していても「過去に起きた出来事と今回は違うのだ!別なのだから別の対処をしなければならないのだ!」と言うことも当然含まれるだろう。
どちらにしても、同じ過ちを繰り返すことになる。
しかし、人間の環境は複雑だが、過去の事象が全く当てはまらないような状況などそうそう起きたりはしない。
原爆が投下されるなどの「過去になかった新兵器の登場」だったり、「原発が事故を起こした」などの「過去になかった科学技術の暴走」でもあれば別だが、所詮は人間の営みの延長線上、今まで何度も繰り返してきたことが姿や形を変えて目の前に表われたに過ぎないことが多いはずだ。
だから、過去のデータは役に立つ。
検討はそこから始めるのが一番役に立つし、一番効率的なのは間違いない。
そして、第二点。
それは「定義を示せ」だ。
日本が破綻する。国債が暴落する。と言う場合「なにが起れば破綻なのか?」「暴落とはどれぐらいの期間で何%下落すればいいのか?」などという事が明らかでなければ議論できない著者は言うが、これも当然のことだ。
定義を決めて、データを示さなければ議論など出来ない。
一人の天才がすべてを決めるのでなければ、議論も出来ないのに物事が決まるわけがない。
これは当たり前のことだと思う。
著者は理系と文系で分けているが、それは違う。
文系でも学問をしてきた人間はその程度のことは知っている。
してきた人間が出来ていないというのなら、それは理由があるのだ。
霞ヶ関文学というのだったか、呼び方忘れてしまったが官僚がわかりにくい文章を書く理由と同じだろう。
定義をぼかすことで
データを示さないことで
何かがあるのだ。
著者にはもう少しこのあたりを突っ込んでほしかったなぁ。と言う点が残念だ。
この本は著者の一つの考え方を示したわかりやすい本だろう。
全く知らなかった人はこれを土台に新たに考えてほしいし
知っていた人は、もっといろいろ考えてほしい。
考えるのを止めなければ人間は成長し続けることが出来るだろうから。
Posted by ブクログ
デフレ脱却のためには、お金を刷って日銀に国債を引き受けさせるのがいいというのが著者の主張。インフレターゲットの導入を行っていないのは先進国では日本だけということです。また、財務省が増税を煽る理由、日銀がインフレターゲットの導入を拒み、また国債の引き受けを拒む理由も述べられている。
この著者と同様の主張をしている浜田宏一氏、岩田規久男氏の本も読んでみたいと思いました。
Posted by ブクログ
理系経済学者の高橋洋一氏の著書。
文系経済学者や文系コメンテーター、財務省、政治家、官僚、格付け会社、日銀へのクリティカルな記述が面白い。
破綻の定義、暴落の定義が曖昧だと云う指摘は正しいと思うし、彼の主張からは多くの日本人はマスコミ(政治家、官僚、財務省)からの扇動に流されてるのかとも考えられる。
ただ、This Time Is Differenceから引用し過ぎ(笑)
Posted by ブクログ
全体的に面白かった。だが、著者の主張に「?」的なところもある。
もっと国債について知りたい人は「国家は破産する(THIS TIME IS DIFFERENT)も読むべき。