高橋洋一のレビュー一覧
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「日銀が民間金融機関から国債を買いお金を刷ることで,より多くのお金が世の中に出回ることになるのだ。」(p.36) のキモチは分かるのだけど,この金融緩和は,景気回復の十分条件ではないと思いました。アベノミクスの最初の矢が金融緩和でしたが,国民は政府のやり口から「増税が待ち受けている」ということを刷り込まれているので(要するに政府の経済政策への懐疑),お金は出回らなかった。GDPと連動していたのは,マネタリーベースではなく政府支出だった。つまり,適切な財政政策こそ景気回復の本丸だということを意味していると思われます。
この本はそのあたりは書いていないようで,国債の正体がテーマであることや,著者 -
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持論が強めだが、しかし、名言というか名キーワードが光る。ただ、動画の切り抜きのようで、体系的というよりテーマごとに見せ場を作りながら書かれた雑記という印象。何より、プーチンショックをどこまで含めるかは分からないが、ウクライナ紛争はまだ続いている話だ。
SWIFT排除は金融核兵器。非核5原則、言わず、考えず、も加えるべき。しかし、核兵器シェアリングという考え方は重要。失業率が下がらないと賃上げは難しい。公的年金とは、生き残った人が死んだ人の掛け金を山分けする性質のもの、などなど。
新冷戦におけるアメリカの地位は相対的に落ちている。しかし現在の中国には有力な同盟国があまり見当たらない。上海協力 -
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国債とは何かという基本の説明から始まり、「国債が増えると国民の負担になる」「日本は財政破綻が近い」などの誤った認識を正そうとする本。政府と日本銀行の統合バランスシートで考えれば現在の国債に問題はないことや、財務省は天下り先を確保するために増税派として財政問題があるかのように振る舞っている、ということを主張している。「日本銀行は金融機関から買い取った国債の利子収入を、国庫納付金として政府に納める」という事実はこの本を通じて初めて知ったので、よい勉強になった。
国債の仕組みについて学びたい人には持って来いだが、「負債」「償還」「利回り」などの用語が頻出するため、説明がついているとはいえ、金融につ -
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統合政府で考えれば、日本の財政は健全と主張する高橋先生。それは、日銀が買い取った国債を「銀行券」で金融機関に支払っているという前提だから。しかし、これは実際とは異なる。実際には、日銀は買い取った国債代金を、銀行券(紙幣)ではなく、金融機関の日銀当座預金口座に支払っている。紙幣に金利はつかないが、日銀当座預金には、金利がつく。
公定歩合なき現在において、日銀は日銀当座預金の金利で政策金利をコントロールしている。高橋先生は、インフレ目標に到達するまで金融緩和してもよいと言う。しかし、インフレ目標ほぼ達成の2023年においても、緩和をやめられない。その理由は、日銀当座預金の金利を上げたら、その金利 -
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この低金利時代には、銀行の定期預金なんかに預けるくらいなら銀行で個人向け国債の口座を作って国債を買う方がよっぽど良いということが分かる一冊でした。日本国債が暴落するようなときはその前に銀行自体が破綻しているのだから。
日本国債という「借金」が実際のところどのように売られたり買われているのか。金融の世界でどのように使われているのか。と言うことが本書では分かりやすく説明されている。個人で考えれば月収では買えないマイホームを買うための住宅ローンのようなものと思えば良いかもしれない。信用があってローンを組めるうちは問題ないし、マイホームという資産があるのだから投資のための借金である、と言うこと。
日 -
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確か平成元年頃に理系学部を卒業したはずですが、就職後10年ほど研究をした後は、業務関係の仕事をしたり自発的に勉強した内容は文系のものなので、この本の著者の高橋氏に言わせると私も文系に分類されると思います。
高橋氏の本は明確なデータをベースに議論されているので、今でも参考にさせてもらっています、この本においても今話題になっている内容は本当はどうなのかが私に理解できる形で書かれていました。
難しい内容を難しい言葉を使って説明することは誰でもできる、理解している人は難しい内容を平易な言葉で表現できる、とかつて何かの本で読んだことがありましたが、今回読んだ内容もまさしくそうでした。
以下は気にな