あらすじ
世の中には、ウソや誤解から生まれた論説がはびこっている。
虚構まがいの論説を世間に振りまく人も、
それを信じ込んでしまう人も、じつのところ陥っているところは同じだ。
こういう人たちには、その場その場で主観的、感覚的にモノを考えるクセがある。
揺るぎないロジックに従って考えれば単純明快なことを、
わざわざ自分の頭の中でこねくり回し、
一貫性にも整合性にも乏しい、めちゃくちゃなことを言い出す。
なぜ、そうなってしまうのか。
要するに、社会を正しく見るための「フレームワーク」が欠けているのだ。
そんなフレームワークとして役立つものが、
本書で解説する経済理論である。
■目次
●プロローグ 経済理論を学ぶと、何がいいのか
・経済理論の役割とは?
・「丸暗記」は本当の知識とはいえない
・経済理論は経済制作における「フレームワーク」
●1章 まず知っておきたい2大理論
・なぜ国は成功を目指すべきなのか―――「オークンの法則」
・まず、簡単な計算をしてみよう
・統計学の真っ当な分析から得られた「オークンの法則」
・「くたばれGDP」は「上がれ失業率」と同じこと
・なぜ中国の経済統計は信用できないか
・成長は「社会みんな」のもの
・経済学者がオークンの法則を知らない「日本独特の事情」
●2章 経済政策がスッキリわかる2大理論
●3章 「公平な社会」は、こうして作られる
●4章 シンプルなロジックで「バカ」を一撃で倒す
●エピローグ 物事を本質的に理解し、自分の頭で考えるために
■著者高橋洋一
1955年東京都生まれ。都立小石川高校(現・都立小石川中等教育学校)を経て、
東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。
1980年に大蔵省(現・財務省)入省。大蔵省理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、
内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、内閣参事官(首相官邸)等を歴任。
小泉内閣・第一次安倍内閣ではブレーンとして活躍し、「霞が関埋蔵金」の
公表や「ふるさと納税」「ねんきん定期便」など数々の政策提案・実現をしてきた。
また、戦後の日本で経済の最重要問題ともいえる、バブル崩壊後の「不良債権処理」の陣頭指揮をとり、
不良債権償却の「大魔王」のあだ名を頂戴した。2008年退官。
現在、嘉悦大学ビジネス創造学部教授、株式会社政策工房代表取締役会長。第17回山本七平賞を受賞した
『さらば財務省!官僚すべてを敵にした男の告白』(講談社)など、ベスト・ロングセラー多数
(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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Posted by ブクログ
非常に読みやすく経済学の基礎的な理論の一部を、数学が苦手な人でも理解ができるように解説した一冊です。非常に分かりやすく、初心者向けです。中でも、「政策割り当て定理」は、このコロナ禍でよく理解できていないネットの人たちを数多く見かけるので、最低でも覚えておきたい定理だと思います。
Posted by ブクログ
政府や日銀の経済政策の中身や目的が分かる本。著者は一貫して増税に反対しており、その理由なんかもわかりやすく語られている。
『父が娘に語る~経済の話。』の著者も言っていたが、経済学者の多くは占い師と変わらないという憤りが凄い。”不勉強な”一般人含めて強めに批判しているので、本を読んで怒って怒りのレビューを書くタイプの人にはおすすめしない。
内容は非常にわかりやすく、経済ニュースの解像度が上がる。
Posted by ブクログ
2025/09/13 2025年12冊目。経済学士だが、ちゃんと理解出来てないところあったなぁ…恥ずかしい。氏のYouTubeチャンネル好きなので、セールになっていたら他の著作も読んでみよう。
Posted by ブクログ
経済の理論についてざっくり知りたくて読みました。なんというか骨子は分かりやすく、信念を感じる本でしたが、極端に政府寄りの思想がちょくちょくにじみ出ていて、与党支持の自分もちょっと引きました。あまり人に勧めにくい本です。
・経済成長率が上がると失業率は下がる(オークンの法則)。経済政策によって失業者を減らし、経済成長を促す。国にできるのはここまで。賃金上昇はそのあとについてくる。なお、名目賃金の上昇と実質賃金の上昇の間には物価の上昇があるので、実質賃金は一時的に下がる。
・物価が上がれば、失業率は下がる(フィリップス曲線)。ただし失業率には下限がある(NAIRUという)。インフレ目標とは、この失業率が下限に達するときの物価上昇率(の推計値)のこと。
・実質GDPが上がると、物価が上がって失業率が下がる。このような経済成長を促す政策が打たれると、市場が即座に反応してまず株価が上がる。
・インフレとは、カネが増えて、モノの価値が上がった状態。世の中に存在する財が1つだけで、お金が1000円だけあったら、その財の価格は1000円(他に買うものがないので)。
・GDPを増やす経済政策は「金融緩和」「財政出動」がセット。財政出動は国債を発行して公共投資で仕事を作ること。国債を発行すると、資金が政府に流れ、民間に融資する資金が少なくなるため、金利は通常上がる。金利が上がると投資と輸出が減る。そこで金融緩和を行い、カネを新たに刷って増やす。
・GDP=消費+投資+政府需要+輸出ー輸入
・経済政策の評価で見るべきは「財政政策と金融政策で成長率と失業率がどうなったか」という2点だけ。
・国債は災害などの対応の負担を世代を超えて平等化するもの。ふるさと納税は地域間の富の再配分の仕組み。
・行政は国がやるべきか、地方自治体がやるべきかを考える。待機児童問題や台風対策は地方自治体が取り組むべき問題。
・政府と中央銀行の財政状況は連結させて「バランスシート(貸借対照表)」として見る。国債は負債(右側)だが、それを元手に事業を行うことに何もおかしなことはない。それ以上に資産(左側)があるので、財政は安泰といえる。
・消費税は一般財源であり、応益税である。国の課題である社会保障費の穴埋めに使うのはおかしい。目的税の性格のある社会保険料と、応能税である所得税を財源とするべき。
・国民年金は「自分が長生きしたときのための保険(月収2.5割保証)」。厚生年金は「(月収5割保証の)長生き保険」。ちゃんと計算されて運用されているから受け取れる。それより経済成長を重視するべき。