萩尾望都のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレこれは、ある意味どんな漫画より萩尾望都がわかる本である。
そして、「アマデウス」をモーツァルト側から書いた本だなと思った。
竹宮さんも優れた才能の持ち主である。
しかし、萩尾望都は天才であって、その能力を誰よりもわかっていたのも竹宮さんではなかったか。
そして、増山さんという漫画のミューズのような人がいて、二人に影響を与え、そのため二人が似た題材で描くことになった。もちろんパクったとかパクられたとかいうことはない。それは竹宮さんもわかっているだろう。作家として持っているものが全く違うので同じヨーロッパの寄宿舎の少年たちを描いても、全く違う作品なのは読めば明らかなのだが、(同じ情報を得た芸術家がそれをどう自分のものにして表現するか、比較するのも興味深いと思う)パッと見似ているのは否定できない。
そして、努力の秀才である竹宮さんが、これ以上一緒にいたら、似た題材で萩尾さんが自分より明らかに優れた作品を描く可能性があることに、言いしれぬ恐怖を感じたことは想像に難くない。竹宮さんの本を読んでいないので想像だけど、それは「嫉妬」以上のものであったと思う。
凡人としてはどちらかといえば竹宮さんの心情の方が理解できるのである。
しかし、こちらはモーツァルトがいかに苦しんだかが語られている。そこが、衝撃だった。
天才でも努力しているし、作品への思い入れだってある。プライドもある。ただこのモーツァルトは、悪気は欠片もなく、とてつもなく繊細で、正直で、優しい人なのである。(そこが作品の魅力にもなっているのだが。)自分の才能を信じて人がなんと言おうと意に介せず生きていける人なら、これ程苦しまなかっただろう。
これはどちらが悪いというわけでなく、同じ分野に才能のある、ほぼ同じ年齢の人たちが、同時期に同じ場所にいたことで起こってしまった悲劇である。
もし、時代や年齢や場所がずれていたら、起こらなかっただろう。
萩尾さんは、竹宮さんと別れてから彼女の作品は全く読まず、噂さえ耳に入れることを恐れ、会う可能性を徹底的に排除し(それは貴重な体験や出会いを諦めることでもあった)生きてきた。萩尾さんほどの才能のある方がそんな苦しみを持ち続けていたことにショックを受ける。
しかし、竹宮さんは萩尾さんの作品を一つ残らず読んだんじゃないか。そんな気がする。
そして、老境にさしかかった今、自分と萩尾さんの持っているものの違いについてより冷静に判断できるようになり、萩尾さんの才能も認め、もう一度会えたらと願っているのではないかと思う。
けれども、萩尾さんの傷ついた心は癒えることはなく、おそらくこのまま会うことはないだろう。
それは、もう、仕方ない。こんなことがあったと残っただけでも、ファンとしては喜ばないと。
それにしても、深い教養と優れたインスピレーションを持ちながら、漫画家になることなく、原作者として名前を残すこともなく消えていった増山さんという人、皆を冷静に見ていた城さん、辛辣な佐藤史生、山岸凉子、木原敏江ら漫画史に名を残す作家、役者が揃いすぎていて、ドラマにしたくなるのはよくわかる。
本書には未公開の萩尾さんのスケッチも多数あり、とても貴重な本。
昔少女漫画を熱心に読んだ人なら、見ただけで作品を思い出す懐かしい名前がたくさんでてくる。
山岸凉子と大島弓子についても、是非その生い立ちから人柄、エピソード、作品などについて、近しい方が記録を残しておいて欲しいと思う。
萩尾さんの作品が素晴らしいのは、この感性があるからで、「何十年も経ってるのにこんなこと書くな」なんて言う人は作品をちゃんと読んだことのない人なので、気にしないで欲しい。これが読めて本当によかった、書いてくださってありがとうございます、という気持ち。 -
Posted by ブクログ
「ポーの一族」や「トーマの心臓」他、多数の名作を生みだしたレジェンド漫画家の半生記、交遊録、そして悲痛な心の叫びを記した衝撃の一冊。
読む前は、著者が若いころを過ごした東京都練馬区大泉時代の懐かしく、楽しい時代の、「トキワ荘」タイプのエッセイだろうと思っていたら、全く正反対のものだった。
1970年代前半に同居までしていた竹宮恵子とは、現在に至るまで絶縁状態(!!)であること、著者自身はBLには興味がなく(!!)、ただ少年をキャラクターにした方が、少女を使うよりも話を進めやすいから使っているだけのことだとか、触れてほしくない大泉時代の話を最近やたら聞かれたり、ドラマ化したい等のオファーが絶えず、日常生活に支障きたし始めたので本書を出すことでその回答としたい、等々驚嘆する内容が満載。
寡聞にして、両巨頭の関係がそのようなことになっていたとは本書を読むまで全く知らなかったため、ただただ驚いたのと、悲しい気持ちになった。
なぜ、そのような断絶状態になったかは本書をご覧いただくとして、お二人の関係がいつか修復され、できれば共作の発表等があることを強く祈るばかりである。 -
購入済み
凄い作品です
美少年であったが為に、サディスティックな少年愛嗜好を隠し持った母親のフィアンセのターゲットにされてしまった少年の話
決してBLなんて描写ではなく、少年ジェルミに深い心の傷を負わせ、どの様に影響し成長するか…と言う話です
気持ちが落ち込んでる時は読んではいけません
私は新卒の会社で父親より年上の人にセクハラターゲットにされた事を思い出してしまいます
触られたところがおぞましくて、汚く感じ、その部分を取って捨てたいと思いました
この話は少年が性被害に遭いますが、女性はみんな必ず、何かしらの同意なき性被害のターゲットにされた経験があると思います
なので、女性の読者には深く突き刺さる物があるでしょう -
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グレンスミスの日記
名作中の名作ですが、中でも「グレンスミスの日記」が最高です。
「ポーの村」に出てきたグレンスミス・ロングバード男爵の娘のエリザベスが男爵の日記を見つけたところから始まり、エリザベスの一生を描いています。
ダイジェストのように進むのになぜこんなに心に残るのか。
エリザベスの「生きていくってことは~」というセリフが沁みます。 -
購入済み
納得の名作
名作と言われ人気が高い本なので読んでみようかなと軽い気持ちで読み始めた。一冊で完結のようだしすぐ読み終わるかと思ったらすごいボリューム。内容も濃い。ボーイズ・ラブには興味がなかったが、人々がBLを尊いという気持ちがわかったかもしれない。
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購入済み
モー様ありがとうございます
どんな昔にあっても人の思いは悲しみと苦しみに彩られて。バンパイアの苦悩を思うと、限りある命は楽ちんでいいなと思うアラカンでした。