萩尾望都のレビュー一覧
-
購入済み
懐かしい・・・
まだ『BL』という言葉が無く『少年愛』というカテゴリーだった70年代のマンガ。あぁなつかしい・・・
萩尾望都先生の作品は紙の本で揃えたのですが、本作だけ持ってなかったので電子で購入しちゃいました!
自分は70~80年代の作品が一番好きです。
同じ寄宿学校ものでは、『トーマの心臓』という名作がありますよね。
トーマに瓜二つのエーリクとオスカーは登場するけど続きという訳ではなく、全くの別物の話ですが。
すごく深い内容で、でもラストはあったかい気持ちになれる素敵な作品。こちらもおすすめです。
超有名な『ポーの一族』も言うまでもなく素晴らしい作品ですが、
個人的には『11人いる!』『スター・レッド』『メッシュ』『銀の三角』が好きです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ" でも竹宮先生が一度だけ、萩尾先生がいない時に「モーサマが怖い」って言ってた覚えがあります。萩尾先生は、例えば棚とかカップとか、見たものをぱっと覚えてすぐに絵にできるんですよ。特技というか才能、ですね。見たらすぐにそれを漫画に落とし込んで描ける。" p.343
" 例えば竹宮先生は「本当は構造的にこの階段はこうは見えないんだけど、漫画としてはったりがほしいから、このように描いてほしい」とか、そんな風です。かたや萩尾先生の場合、どんぶらこっこと川を流れる桃を描くとなり、「桃の点を打って」と、まだ来たばかりのほとんど素人のようなアシスタントに指示を出した時があったんですね。アシスタントが桃に点々を打って出したら、先生が「いや、石じゃない、桃の点を打って」と。アシスタントが「え? 桃の点はどうやったら打てるんですか?」って聞いたら「桃、桃と思いながら打つ」って(笑)。ダメでしょう、そんな教え方じゃ。" p.345
竹宮惠子著『少年の名はジルベール』に対する、萩尾望都のアンサー。萩尾望都は同書を読んでいないというけれど、せざるを得なかったアンサー。
体調を崩すほどに思い悩み、「冷凍庫に閉じ込め、鍵をなくした」と自ら表現する過去をほじくり返そうとするやつばらに、よかろう、そこまでいうのなら見せてやろうと、たっぷり呪詛を込めて解き放たれたパンドラの箱。
タイトルの時点でネガティブな内容であろうと察していたが、これほどとは。菅原道真の呪い節ってこんなんだったんかね。
竹宮惠子のことは『地球へ…』でしか知らず、萩尾望都のことは『ポーの一族』を含む幾つかの作品しか知らない。前者は合わないと感じ、後者は一時期にせよのめりこんだ。両者とも著者の人となりは作品を通じてしか知らない。
縁遠い部外者が観測できたのは、いじめた側は、懐かしい過去を美化して記憶し、叶うならば旧交を温めたいと願っていること。いじめられた側は、手ひどい仕打ちを受けた忘れたい過去でしかないということ。秋の木漏れ日と絶対零度くらいの温度差がある。双方とも、意図してかせずしてか、相手を傷つけたという自覚はあるようだ。
この視点は、作品に触れた頻度ゆえの親近感という点で萩尾望都よりであることには自覚がある。
竹宮惠子とそのブレインである増山法恵はBLの祖と言われているようだ。BLではなく少年愛と呼ばれていた時代、二人はそれにものすごく熱中したという。一方、同居していた萩尾望都は当時はまったくピンと来なかったという。え? 萩尾望都だって美少年のペアを描いてるじゃん?という反論が脊髄反射的に発生したが、言われてみれば腐描写はなかったように思う。『残酷な神が支配する』は読んでいないのである。
その、ピンと来なかった萩尾望都のBL分析が、その界隈が往々にして見せる狭量さの理由として腑に落ちた。それは愛だという。愛は時として独占欲を伴う。作品のファンならば「同担拒否」などという片腹痛いことは言うまい。きらきらひかる宝物――わたしだけのカプ――を独占したい欲と考えれば、とてもよくわかる。心に秘めて思うのは自由だ。しかし、一般公開されている作品に対して公然と抱ける感覚では、到底ありえない。
竹宮惠子も萩尾望都も、ともに才能も研鑽も人並ではなかったであろうという前提の上で。竹宮惠子は努力型の才人であり、萩尾望都は天然の才人であったのだと感じられた。写真記憶とか、努力したって身につかんよね。
いずれの著書においても、著者周辺にさんざめいていた幾多の才能のまばゆい輝きが感じられる。巻末に一文を寄せた萩尾望都のマネージャー城章子は、現在漫画家としては活動しておられないというが、文章からだけでもその観察眼には表現者としての冴えが感じられる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ萩尾望都作品を読むのは2作目。
面白かった。
2999年世紀末の地球の話。複雑そうに見えて、わりと分かりやすいストーリー。
最初に「マザ」とかいうなかなかグロいシステムを見せてくるので、最後はどう片を付けてくるのかと興味津々で読んだ。最後は超能力の力技という感じもあるが、納得(無理やり感はあるがOK)。センザイ・マスターが生きていて良かった。
ディストピアものは個人的に好きで、でも結末に希望はあってほしいので、満足した。地球の人間の命と運命がたった一人の権力者の「気分」で変わるという、希望のなかの皮肉が好き。全体を通しての、冷淡と無垢のバランスも良かった。
個人的に好きだったキャラ、グリンジャ、ジューシー。
この作品を構想から練って世界を作り上げて、絵にも表現できてすごい。(尊敬) -
Posted by ブクログ
萩尾望都先生の作品が大好きで読んでみました。当時の少女漫画家の立場や時代がとても細かく描かれていました。そして大泉時代の話がこんなに知れるなんて…!とファンとしての喜びはありつつ、ひとりの人間として辛い期間を過ごされていたのだなと感じると、少し自分と重なる部分もあり(烏滸がましいですが)涙が出る部分がありました。
萩尾先生の漫画からずっと言語化が素敵な人だなと思っていましたが、やはり温かみのある文章とクスっと笑えるようなユーモアを持ち合わせている素敵な方だと改めて感じました。萩尾先生のファンはぜひ読んでほしいですし、昭和時代の少女漫画家についても知れるのでかなり読み応えがあります! -
Posted by ブクログ
ネタバレこのご時世に、ネタバレを今まで踏まずにいれた名作というのは貴重なもので、初見です。
宇宙船という密室に、なんせ二転三転と困難が襲ってくる。試験官たちの目論見どおり、「11人いる!」ことが発端and起爆剤の物語ではあるけれど、それどころじゃない状況に陥って、ヒトコワというよりSFサスペンスですごくよかった。
しかしフロルの可愛らしさと気持ちの良さが最高ですね……。やっぱり理想のヒロインって、中性的な友達兼婚約者なのかも。甘えん坊でわがままだけど人を想う気持ちはまっすぐな。
みんな気持ちのいい若者だったから、続編で割れてしまったのは悲しかった。短編でキャラクターみんなを好きになってしまう力がありました。11人もいる、のに。 -
Posted by ブクログ
☆5.0
コミックス版 全17巻。文庫版 全10巻。
重くて暗くて痛いんだけど、傑作だと思う。
前半は義父に性的虐待を受けるジェルミの葛藤と苦悩が描かれてる。
どんどん転げ落ちるように負の連鎖が。
それもキツいんだけど、後半の性的虐待を受けた子供(&殺人)が、簡単には立ち上がれず男娼になったり薬に頼ったりと苦しむ姿が描かれる。
父を信じていた長男イアンの無理解、イアンが父の本性に気づき苦しむ姿、それからジェルミと一緒に泥沼に沈むように2人で混乱していく姿もまた、とても苦しいのに読んでしまう・・・。
でも、とても繊細で激しくて、面白い(興味深い、かな?)漫画。
イアンとジェルミの物語ではあるんだけど、根っこにあるのはやっぱり親子関係かな。
いろんな形のいびつな親子の関係性。
親も完璧ではない、ただの利己的な人である。
大人になるとわかるけど、子供のうちは親は唯一絶対で、ジェルミは年齢的にもそこから抜け出せていない。
作中で少しずつそれがジェルミ自身もわかってきてて。ほんと幸せになってくれー。
ところで、本作、中学生くらいの時に親が持ってたのをうっかり読んでしまって。自分の性癖を捻じ曲げてくれた1つなんよな・・・。
初めて触れたSMでBL(BLは他にも同時期に触れたけど)だった。
今でも時々イースターエッグを見るとフラッシュバックするので、多感な時には読まないことを勧めたい。
-
Posted by ブクログ
ネタバレいよいよマージナル最終巻。
作り込まれた世界観に壮大なストーリー、どう畳んでゆく?グリンジャとキラは再会する?地球はどうなる?イワンはいったい何を研究していた?仕掛けだらけ、伏線だらけの本作、すべて納得のゆくところへ収束してゆきます。
最終巻では少しずつ、アチラコチラに散らばっていた登場人物やエピソードが、シティのセンターに集結してくる。そこで、新しいマザ、センターが人工的に作り暗示をかけたマザが、再び民衆の目の前で死ぬ。大混乱の中、テロを企てたアシジンの一派の手により、都市の水を司る7つの塔が爆破され、大洪水が起きる。
シティは滅びるのか?キラはどこにいるのか?
子宮が思考するとは…?
ラスト、この物語の悪役を一手に引き受けていたセンターの長官、マルグレーヴことメイヤードの、切ない背景が明らかになる…そういう設定だったのかお主…
汚染されている地球とプロジェクトを終わりにするつもりのカンパニー。なにも決着はついておらず解決もしていないけれど、イワンが生み出したキラに、汚染された地球でも子供を産める新人類の要素が見つかりわずかな希望が残る…
そして、グリンジャとアシジンとキラ(正確には違う)が砂漠で再会し、再び3人の生活が始まろうとする力強く救いのあるエンディング…最高のSF大叙事詩でした…。