【感想・ネタバレ】一度きりの大泉の話のレビュー

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Posted by ブクログ 2022年04月07日

登場する関係者の作品をほとんど読んでいないため、本書を読むことを躊躇していた。
読んでみたら、人間と人間の生の関係性が痛々しいほど綴られていた。しかも半世紀も黙っていたことを。
「他人が何を考えているか分からない」「内気で自分からはうまく言えない」と悩んでいるなら、もしかしたら共感できる内容だと思う...続きを読む

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Posted by ブクログ 2022年03月21日

24年組の信者としてはかなりショッキングな本でしたが、ただ受け止めるばかりです。
良いも悪いもない、「そうなんだ…」という言葉しかないです。一度きりの、というタイトルがまた胸が痛くなります。

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Posted by ブクログ 2022年06月06日

高校時代と思うが手塚治虫の「火の鳥」に夢中になっていた頃、「ポーの一族」と言う素晴らしい作品があるという事を知って萩尾望都作品集を購入して夢中になった、ついでに竹宮恵子作品集も購読したが記憶に残るほどの作品はなかった。その後大島弓子、山岸凉子と少女漫画にどっぷりと浸かり少年漫画なんて程度が低くて読め...続きを読むなくなってしまった。花の24年組大泉サロンのことも雑誌「ぱふ」等で知ったが、竹宮恵子のイケズそうな顔を知って大丈夫なのかなと思っていたら、こう言う事が起こっていたのだ。私は誰が何と言おうと萩尾望都を支持します。

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Posted by ブクログ 2022年06月02日

 1970〜1972年、著者の萩尾望都さんは、上京して大泉にある二階建ての借家で暮らし始めた。同居人は竹宮惠子さん。
 後に『大泉サロン』と呼ばれるようになる若手新鋭少女漫画家達の集まりである。

 萩尾さんたちが暮らす家には多くの駆け出しの漫画家が集まってきた。二人の漫画家のアシスタントとしてだっ...続きを読むたり、遊びに来て漫画について語ったり。
24時間、いつだって漫画について語れる楽しい場所だった。はずなのに。

 ◇

 この本には、萩尾望都さんの立場で、同居していた頃のことが書かれています。

 この本を読む限り、萩尾さんの気持ちを考えると辛いです。
 大泉の家に次々と若手の少女漫画家が集まって、沢山の作品を生み出し、様々な交流があって、萩尾さんも楽しい日々だったと回想していらっしゃいます。
 貴重だった大泉での時間。その後上井草に引っ越して、さらに竹宮惠子さんから言われたことがきっかけで上井草も離れて、埼玉の緑深い田舎に引っ越したこと。

 「個性のある創作家が二人、同じ家に住んではだめなのよ」
 木原敏江さんのこの一言が全てではないのかなと思っています。

 萩尾さんと竹宮さんの対立構図のように表面的に見えるけれど、お互い漫画家としてのリスペクトはあるのだと感じます。
 そして道が離れてしまったことも、宿命であったのかもしれません。

 萩尾さんの、もうそっとしておいてほしい、今は今で静かに過ごしたいという気持ちがなんとも……。

 非常に難しいものだなあと辛くなりました。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年02月11日

これは、ある意味どんな漫画より萩尾望都がわかる本である。
そして、「アマデウス」をモーツァルト側から書いた本だなと思った。
竹宮さんも優れた才能の持ち主である。
しかし、萩尾望都は天才であって、その能力を誰よりもわかっていたのも竹宮さんではなかったか。
そして、増山さんという漫画のミューズのような人...続きを読むがいて、二人に影響を与え、そのため二人が似た題材で描くことになった。もちろんパクったとかパクられたとかいうことはない。それは竹宮さんもわかっているだろう。作家として持っているものが全く違うので同じヨーロッパの寄宿舎の少年たちを描いても、全く違う作品なのは読めば明らかなのだが、(同じ情報を得た芸術家がそれをどう自分のものにして表現するか、比較するのも興味深いと思う)パッと見似ているのは否定できない。
そして、努力の秀才である竹宮さんが、これ以上一緒にいたら、似た題材で萩尾さんが自分より明らかに優れた作品を描く可能性があることに、言いしれぬ恐怖を感じたことは想像に難くない。竹宮さんの本を読んでいないので想像だけど、それは「嫉妬」以上のものであったと思う。
凡人としてはどちらかといえば竹宮さんの心情の方が理解できるのである。

しかし、こちらはモーツァルトがいかに苦しんだかが語られている。そこが、衝撃だった。

天才でも努力しているし、作品への思い入れだってある。プライドもある。ただこのモーツァルトは、悪気は欠片もなく、とてつもなく繊細で、正直で、優しい人なのである。(そこが作品の魅力にもなっているのだが。)自分の才能を信じて人がなんと言おうと意に介せず生きていける人なら、これ程苦しまなかっただろう。

これはどちらが悪いというわけでなく、同じ分野に才能のある、ほぼ同じ年齢の人たちが、同時期に同じ場所にいたことで起こってしまった悲劇である。
もし、時代や年齢や場所がずれていたら、起こらなかっただろう。

萩尾さんは、竹宮さんと別れてから彼女の作品は全く読まず、噂さえ耳に入れることを恐れ、会う可能性を徹底的に排除し(それは貴重な体験や出会いを諦めることでもあった)生きてきた。萩尾さんほどの才能のある方がそんな苦しみを持ち続けていたことにショックを受ける。
しかし、竹宮さんは萩尾さんの作品を一つ残らず読んだんじゃないか。そんな気がする。
そして、老境にさしかかった今、自分と萩尾さんの持っているものの違いについてより冷静に判断できるようになり、萩尾さんの才能も認め、もう一度会えたらと願っているのではないかと思う。
けれども、萩尾さんの傷ついた心は癒えることはなく、おそらくこのまま会うことはないだろう。
それは、もう、仕方ない。こんなことがあったと残っただけでも、ファンとしては喜ばないと。

それにしても、深い教養と優れたインスピレーションを持ちながら、漫画家になることなく、原作者として名前を残すこともなく消えていった増山さんという人、皆を冷静に見ていた城さん、辛辣な佐藤史生、山岸凉子、木原敏江ら漫画史に名を残す作家、役者が揃いすぎていて、ドラマにしたくなるのはよくわかる。

本書には未公開の萩尾さんのスケッチも多数あり、とても貴重な本。
昔少女漫画を熱心に読んだ人なら、見ただけで作品を思い出す懐かしい名前がたくさんでてくる。

山岸凉子と大島弓子についても、是非その生い立ちから人柄、エピソード、作品などについて、近しい方が記録を残しておいて欲しいと思う。

萩尾さんの作品が素晴らしいのは、この感性があるからで、「何十年も経ってるのにこんなこと書くな」なんて言う人は作品をちゃんと読んだことのない人なので、気にしないで欲しい。これが読めて本当によかった、書いてくださってありがとうございます、という気持ち。

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Posted by ブクログ 2022年01月22日

「ポーの一族」や「トーマの心臓」他、多数の名作を生みだしたレジェンド漫画家の半生記、交遊録、そして悲痛な心の叫びを記した衝撃の一冊。

読む前は、著者が若いころを過ごした東京都練馬区大泉時代の懐かしく、楽しい時代の、「トキワ荘」タイプのエッセイだろうと思っていたら、全く正反対のものだった。

197...続きを読む0年代前半に同居までしていた竹宮恵子とは、現在に至るまで絶縁状態(!!)であること、著者自身はBLには興味がなく(!!)、ただ少年をキャラクターにした方が、少女を使うよりも話を進めやすいから使っているだけのことだとか、触れてほしくない大泉時代の話を最近やたら聞かれたり、ドラマ化したい等のオファーが絶えず、日常生活に支障きたし始めたので本書を出すことでその回答としたい、等々驚嘆する内容が満載。

寡聞にして、両巨頭の関係がそのようなことになっていたとは本書を読むまで全く知らなかったため、ただただ驚いたのと、悲しい気持ちになった。

なぜ、そのような断絶状態になったかは本書をご覧いただくとして、お二人の関係がいつか修復され、できれば共作の発表等があることを強く祈るばかりである。

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Posted by ブクログ 2021年12月26日

少女漫画はほとんど読まないが名前は知ってる萩尾望都と竹宮惠子。1970年から練馬の大泉で共同生活を送っていたが、1973年にバラバラになる。以降萩尾は竹宮と一切連絡をしていない。理由について一切語っていなかったが、最近大泉時代について質問されたり、ドラマ化したいという話が多くあるので、ここでそれを説...続きを読む明する。プラスそれ以前以後の漫画家としての自伝。

うーむ。人と人の齟齬は色々あるけれど、その中でもかなりエグいモノを見せてもらった。興味深く読んだ。漫画家生活の話も面白かった。「ポーの一族」読んでみたい。

こんな一節が気になった。

「私は何か言われて、不快でも反論せずに黙ってしまう癖があります。それは不快という艦上と共に、強い怒りが伴うので、自分で自分の感情のコントロールができなくなってしまうのです。感情は熱を持ち、一気に暴走列車のようになり、自分で持て余してしまいます。この感情はきっと大事故を起こす。怖くなって、押さえ込み、黙ってしまう方を取ります。冷静に反論する練習をすればよいのでしょうが、なかなかうまくいきません」

黙ってしまうという人の気持ちが少し分かった気がする。

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Posted by ブクログ 2021年11月28日

こんな本を書かなきゃいけないくらいプライベートが荒らされて、しんどかったんだろうな。

竹宮惠子サイドはどう書いてるのか気になるので読まなければいけないと思った。

萩尾望都は小さい頃から読んでいて大好きなので、これから心穏やかに生活できることを心から願うばかり。そしてこれからもいい作品を生み出して...続きを読むください。

小学生の時に読んだものばかりなので萩尾望都の作品を少年愛と思ったことはなかったが、知識を持ったいま、読み直した時に少年愛と思わずに読もうと思う。

なんというか、やった人たちは忘れるけれどもやられた人は一生忘れないと、そういうことだね。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年11月18日

萩尾望都さん大好き。
「小鳥の巣」はすごく大好きで少女時代に何度も読み返したお話。トーマの心臓もポーの一族も、私を形成した本です。何度も読んで何度も泣きました。
この素晴らしいお話を書いている時期にこんなことがあったなんて。そんなつらい状況で、素晴らしい話を描き出せていたなんて、想像できていませんで...続きを読むした。

萩尾望都さんは一般的な感性とは違う少し変わったところがある方なんだろう、だからこんなすごい話を書けるのだろうと思っていましたが、思い悩み、自分が悪いのだろうと責め、思いつめるあまり体に不調をきたしてしまう。私と変わらない、普通の人なんだ。
それでも原稿は書いてしまう。そこは超人。
萩尾望都さんほどの人であっても、なんらかの人間関係のトラブルはあって、ずっと記憶の底に沈めながら、苦しみながら生きているんだ。
何も産み出さない凡人の自分にも、封印している過去の記憶やトラブルになった人間関係などいろいろあって苦しんでいるが、萩尾望都さんほどの人でもあるのだから私にもあって良いんだ。という気持ちにもなった。

萩尾望都さんはまだ名作を産み続けている最中だ。この話が大きくなり、彼女を苦しめ、創作の気力を失わせないように、もうこれで終わりにして、心の奥底に封印して静かにしておいてあげたい。そしてまた元気に漫画をたくさん描いて欲しい。

蛇足だが私は雑誌連載をリアルタイムで読んでいたわけではなく、後から単行本で読んでいた者です。そのせいなのか、竹宮惠子さんの作品は全く読んだことがなく、後に映画化された作品もありましたがそれも見てなく。竹宮さんの読んでおいたほうが良いのかな。時々作品についての記述があるので、その辺は想像で読んでしまいました。
蛇足2。たくさんの漫画家さん達の名前が出てきて楽しかった。木原敏江さん。萩尾望都さんを支えた方なんだなとか、大島弓子さん!大好きなんですが!とか。それから物語を作る上で影響を受けた名作本、たくさん出てきて、私はほぼ読んでいないか内容を忘れ去っているので、時間あるときに読まねば…と思いました。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年11月10日

シガー&シュガーさんによる手厚い感想に完全同意するので、あまりくだくだしく書かないようにするが。

本書刊行で界隈は俄かに熱くなり、その余波によるラジオやレビューなどでいわゆる「ネタバレ」をチラ見しつつも、可能な限り萩尾全作品祭りを行ったあとで読もう、と自制していた。
のを、祭り終盤を迎えたこのたび...続きを読む、読んだ。
もちろん竹宮惠子「少年の名はジルベール」は予習済み。
ところで萩尾祭りの最中に増山法恵さんご逝去の報せを竹宮惠子ブログで知り、その後に「変奏曲」を読めたのは、云い方は悪いがタイミングがよかったという他ない。

本書、感想を一言で言うなら「凄い」。
何が凄いかといえば二方向ある。
まずは証言そのものの鮮烈さ。
次に、この本で開陳された証言によって関係者・読者・ファンに齎された磁場の強烈さ。
磁石実験を図示したときのように、ぐにゃりと歪み、言論が次々投げ込まれる……。

折りしもなのか、萩尾望都の戦略なのか、城章子や編集者の策略なのか、知らないが、竹宮惠子が「扉はひらく いくたびもー時代の証言者」(2021.03.20)という本を刊行した直後に本書が登場(2021.04.21)。
皮肉にも「いくたびも? いや一度きり! バタンッッ!!」という凄まじい音響を残して、「扉」は一切動かなくなった、のではないか。
下種の勘繰りだが、萩尾望都が主に描いている小学館で「少年の名はジルベール」が出版され(裏切られた感)、「扉はひらく いくたびも」は中央公論新社、本書は河出書房新社、と、両者の手を引っ張る編集者の「真っ黒い手」を幻視してしまう。

本書を読み始めたとき、
萩尾age、竹宮増山sage、と見做したり、
萩尾=天才=モーツァルト=現役=正義、竹宮=秀才=サリエリ=学長=悪、増山=ワナビー、とキャラ付けしたり、
「天才を前にした竹宮先生の気持ちのほうが判る」といった安易な連想や感想を抱いてしまったりした自分は、
正直、いる。
が、それだけではないだろう、そんな安直なものではないだろう、軽々しく整理してはいけない、と自戒しながら読み進めた。

全然関係ない連想だけど、太宰治が「冬の花火」で「劇界、文学界に原子バクダンを投ずる意気込み」と書いていたのを思い出した。
発表は1946年だから、直後にバクダンと書いたときの、上擦った口調を想像できる。
じゃあ萩尾望都も、ジル本やマスコミからの取材にビビッドに反応して、投げますATOMIC BOMB!! と炸裂させたのかと言ったら、決してそうではなさそう。
むしろ、徐々に、静かに、沸々と湧き上がってきた怒りが、ブクブクブク……ついに沸点! という本なのだと思う。
しかも怒りをあからさまには開陳せず、極力押し込めて提出する……今まで大泉やら24年組といったフレーズを取材者が出してきたときに、やんわりと応対していた大人な延長線に態度を置いて、大変クレバー。
もちろん「お付き合いがありません」「知りませんが」、「あちら」「OSマンションのほう」、といった突き放した言葉づかいをすることで、冷たい怒りといったものを実現する、言語センスの高さ。
また言語センスといえば、後半でドドド……と披露される「死体」「永久凍土」「排他的独占愛」といったフレーズの、ポエジーと的確さの両立。
で、本書刊行の理由はただ一言、「無用な取材は今後一切受けません」という機能的な宣言。
……いや凄い本だ。
凡人が書けば嫌味や拒絶一色になりかねないところを、詩的言語を用いてやんわりと、しかし絶妙かつ端的に、相手を刺す!

一言で表した「凄い」は「怖い」でもある。
本書終盤で萩尾望都は、
「考えの足りない人間だからこそ、不用意に人を傷つけるようなことをしないようにと用心します。
私は人を傷つけたくない優しい人間なのではありません。
意識的に人を傷つけることもできます。
意識的な時は、覚悟を決めて傷つけます」
と、言う。
この怖さ。
これをそのまま「宣戦布告!」と見做すのは早計だが、「私を物語の登場人物として消費しないで!」という鮮烈な訴えで、本書は成り立っていると思う。
竹宮惠子が「少年の名はジルベール」においてたった一行で済ませた記述を、引っ繰り返すため。
そして全体を通して、花の24年組、大泉サロン、少女漫画版トキワ荘、少女漫画革命、などなどなどの神話化=歴史化=物語化に、圧倒的な「ノン」を突き付ける、強烈さ。
このノンの一言で、50年付いてきた読者(萩尾も好きだし竹宮も好きだし)が、どんなふうに戸惑っても、半世紀続いてきた夢うつつの幸福がどれほどズタズタになろうと、どうでもいい、私は私の漫画を描く、という強烈な宣言でもある、と思う。
私は傀儡じゃない、傀儡の操り手を信じて私を犯さないで! と、新参者として物語に参入してしまった者への強烈な平手打ちを、喰らわせる。……やはり怖い。

そして本書が凄いのは、遥か上空で繰り広げられる神々の遊びだと、別世界のように思えない、対人関係に懊悩した経験のある人なら全員感じ入るものがある記述に満ちているということでもある、と思う。
コンセプチュアルでエッジの効いた証言こそが、対人関係の真実を浮き彫りにする、という、やはりATOMIC BOMB!! のような本。
こんな本、あまりない。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年11月08日

先に読んでいた竹宮惠子著の「少年の名はジルベール」には、萩尾と竹宮の二人が袂をわかったのは、竹宮側から「距離を置きましょう」と提案したと述べてあるだけで、詳細は語られていなかった。この著作には、実際にあったことが詳細に述べられていてかなりショッキングな内容だった。少女漫画版トキワ荘とも目された「大泉...続きを読むサロン」の神格化を許さず、自分を守るために記憶の底に閉じ込めていたものを今回解凍するに至らざるを得なかった苦しみも述べられている。再封印して、気兼ねなく新たな作品で読者を喜ばせ続けてほしい。

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Posted by ブクログ 2021年10月03日

こんなに痛々しく、こんなに強靭な想いに満ち溢れた本には出合ったことないかもしれません。それもメディアに対して大泉時代の話は今後一切受け付けない、という意思表明のメッセージを発信するための、作者が現在必要としている機能を果たすべく生まれた本です。そういう意味では、一度きりの「大泉の話」であると同時に、...続きを読む「一度きりの大泉」の話でもあるのです。手塚治虫がマンガに持ち込んだドラマツルギーを萩尾望都や竹宮恵子の団塊の世代の女性作家たちが少女マンガに持ち込んだ…的なフレームワーク的な分析がいかに平面的で定型的か、ということを思い知らされました。創作はいつだってひとりひとり個人的な熱情の発露なのですね。もちろん、作者自身が改めて整理しているようにあちら側の竹宮恵子や増山法恵(今回、初めて知った人)は大きなパースペクティブで「少女漫画革命」を志向していたのかも知れませんが、萩尾望都はそういう運動論でクリエーションしていたのではない、その違いは大きいのだと知りました。それが京都芸術精華大学の学長になる才能と、クリエイターであり続ける後年の人生の違いなのかもしれません。天才、秀才という分け方も紋切型かもしれないけど、そういう単語も感じました。もしかしたら、竹宮恵子は才能のありすぎるサリエリだったのかもしれませんね。彼女の本も読まなくてはなりません。排他的独占愛、という萩尾望都が長い時間をかけてたどり着いた大泉時代の終わりを理解のためのキーワードも、もしかしたら創作のエネルギーとして必要なことかもしれません。「お付き合いがありません」この圧倒的拒絶により自分のワールドを守ろうとする萩尾望都のピュアさのエネルギーもものすごいですが…ユーミンが歌う「♪時はいつの日にも親切な友だち、過ぎていく昨日を物語に変える♪」ではない現在進行形の痛切な叫びが本書でした。嫉妬と拒絶、これがあるから少女マンガが少女たちの心をとらえた、というこれまたステレオタイプの思いも浮かびますが、もしろ少年マンガの夢の砦であるトキワ荘も部活的意味合いだけでなく、もっと個人的物語に再解体しなくてはならないのかも、とも思いました。

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Posted by ブクログ 2021年09月25日

伝説の大泉サロン、その当事者である萩尾望都が語る彼女から見た真実。事実関係は、もう一方の当事者である竹宮恵子の「少年の名はジルベール」を重ねて読むと良く分かる。萩尾は天才で、見たものすべてをマンガにできる画力と卓抜なアイデアを併せ持つ。いわば、周りをすべてなぎ倒して進む巨人だ。しかし、本人にその自覚...続きを読むはなく、売れない巻末作家、と卑下する。身近にいたからこそ萩尾の天才をよく分かり、飲み込まれることを恐れたのが竹宮だった。竹宮もまた才能にあふれていたから、自分を守りたかったのだ。結局、才能のある人同士の同居は、お互いを傷つけあうことで終わった。二人の出会いの火花から、日本マンガ史に残る作品が生まれたことに慰めを見出そう。「たとふれば独楽のはぢける如くなり」虚子。

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購入済み

一度きりの大泉の話

2021年09月23日

萩尾先生から見た大泉の話が語られています。
口語らしい文章だなと思ったらインタビューから文字を書き起こしたようです。
ご本人が仰るように萩尾先生は人間関係の苦しい部分(嫉妬など)について少し鈍感なんだと思いました。素直で器用ではないけれど天才肌で、周りからしたら脅威に思われたのかもしれません。萩尾先...続きを読む生が傷つく結果(互いに傷つけあう結果)になったのは心が痛いです。
萩尾先生も竹宮先生も偉大な漫画家ですが、どこか対極にいるような性質で、面白かったです。おそらく竹宮先生はこの本を読むのだろうと思うと、今後の動向が気になります。

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ネタバレ購入済み

交流がない事を知ってはいたが

2021年05月15日

小学生の頃からお二方の作品を読み、中高生時代は肩までどっぷりでした。
2台巨頭といいますか、圧倒的な実力を持ったお二人でした。私は萩尾望都先生の方が好きでした。萩尾望都先生の昔の作品の端っこに落書きがあって、竹宮先生あてのメッセージ?だったようです。でも、後の作品や雑誌の近況などにもお二人の共通点は...続きを読むありません。
年齢も同じなのに。
でもこの実力派二人は、近くにいられないだろう、と思ったのです。私も趣味ながら絵を描いて、話を作っていましたから。
繊細な心を描く萩尾先生と、煌くような躍動する魂を描く竹宮先生では、根っこが異なるのです。離れるしかないでしょう。
でも、読み進めてるうちに、本当に萩尾望都先生は、《作品通り》の痛みやすい心の持ち主なんですね。それに蓋をして、漫画に没頭されてこられたのですね。
どうか、萩尾望都先生が静かな環境でこれからも作品を描き続けられますように。

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Posted by ブクログ 2022年09月02日

日本少女漫画界の大巨星・萩尾望都御大の自叙伝が出ると聞いて、
喜び勇んで予約したものの、
発売を待つ間に何やら不穏な気配を感じた。
読み始めてじきに、嫌な予感が的中したのを察した。
新人時代の慌ただしくも楽しかった青春の日々――
といった話ではなく
(もちろん愉快なエピソードも回顧されてはいるが)、...続きを読む
反芻すればするほど苦くて辛い出来事の記録なのだった。

これから読もうとする人のために、細かい点には触れないが、
オモー様の価値観、物事の捉え方・考え方、また、
それらに基づく反応の仕方に強く共感した。
例えば p.265、

> 私は何か言われて、不快でも反論せずに
> 黙ってしまう癖があります。
> それは不快という感情と共に、強い怒りが伴うので、
> 自分で自分の感情のコントロールが
> できなくなってしまうのです。
> 感情は熱を持ち、一気に暴走列車のようになり、
> 自分で持て余してしまいます。
> この感情はきっと大事故を起こす。
> 怖くなって、押さえ込み、黙ってしまう方を取ります。
> 冷静に反論する練習をすればいいのでしょうが、
> なかなかうまくいきません。

ああ、わかるなぁ。

芸術家と呼ばれる人たちの中に、
多弁・能弁でセルフブランディングが得意な人物と、
不得手な人物がいるとすれば、
私は後者に好感を抱くし、応援したいと思う次第。

それから、本書を通読して、
何故自分が(自慢できるほどちゃんとした読者ではないけれども)
萩尾作品が好きなのか、理由の一部を再確認した。
勝者の物語にほとんど興味がなく、
悩める人々が自らの苦悩とある程度折り合いをつけながらも、
やはり悩み続けて生きていくストーリーに
共鳴するからなのだ――と。

未読の初期作品にもアタックしようかな。

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Posted by ブクログ 2023年11月18日

内容を知らず読み始めました
姉の漫画本を読んでいたので同時代を体験していますが、結構崖っぷち漫画家だったというのは意外でした
あの漫画家とも繋がっていたのかと驚きがありますが、つちだよしこが出てこないのはそりゃそうだというか残念

竹宮惠子との成り行きを説明する事がこの本の主題でしたが、萩尾望都の態...続きを読む度は私は理解できる

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年08月11日

萩尾望都さんの文章、エピソードを聞くと現代で言うところのASDのグレーゾーン味を感じる。

などと書いてしまうとあるいは「無礼な(それはそうです。不躾で申し訳ない)」「これこれこうは当てはまらないので違います」などと思われてしまうかもしれない。発達障害についてここで詳しく解説はしませんが、私は発達障...続きを読む害をマイナスなものとは捉えていないし、何かにカテゴライズしてジャッジしようという話ではないのです。

ただ萩尾望都さんのお話する様子を動画などで拝見すると分かる異常な頭の回転の早さ、記憶力、「パッと見た物を記憶してすぐ描けてしまう」という才能。一方で、発言を額面通りに捉えてしまう(忘れてください、と言われたことを本当に忘れるべきだと思い込む)、逆に言語化されていない空気・感情・反応が読み取りづらい(一部自覚がある、各エピソードで物理的な事象意外の言及がない)、0か100かで判断してしまう極端な思考(一コマの批判を全てが否定されたと捉えてしまう)、など、「あ、この方はASD傾向の人だったのかしら?」と思ったら腑に落ちました。
漫画家や芸術家のようにずば抜けた才能を求められる職業に、極めて高い才能を待つ発達障害の人が見出されるのは珍しいことではないと思います。最近は、発達障害は「ギフテッド」とも呼ばれますね。
(萩尾さんの親の方がもっと強いASD傾向のようなので、後天的にそういう思考パターンになっている可能性もあるものの、やはりこれだけの才能。天才でしかありえないと思ってしまうのです)

という視点でこの本を読むと、この情報の少ない時代に、萩尾望都という天才に、世の中には生物学的に天才としての素養を持って生まれる人間が事実いる、ということも知らず、真っ向から接して「嫉妬した」という竹宮さんと、人一倍人間の悪意に敏感で繊細な性質を持つのに、何らかの形で悪意に当てられて心身をひどく痛めてしまった萩尾望都さんのくだりは、たいへん心が痛みました。どちらも気の毒なことです。
萩尾望都さんが、その後も、現在も、作家として素晴らしい作品を生み出し続けてくださっていること、あらためてありがたいことだと心に沁みました。

答え合わせに、竹宮さんの方のエッセイも、そのうち読んでみようと思います。

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Posted by ブクログ 2022年10月07日

天才ゆえのナイーブな葛藤。

が、存分にわかる自伝。

信じていた相手によってもたらされた傷は、
何年経っても幾つになっても、
古痕となり消える事はない。

例え、相手が嫉妬ゆえの行為だとしても。
傷つけた相手の葛藤も苦しみもわかるけどね。

やっぱり、人間関係って難しい。
それが天才同士だとなおさ...続きを読むらに。

『少年の名はジルベール』
併せて読まれる事をオススメします。

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Posted by ブクログ 2022年09月18日

もっとノスタルジックな内容かと思ったら、全然違った・・・
なんかもう、いろいろビックリだし悲しい。萩尾望都がこんなに自身を卑下してるのかとか(巻末作家!? 私、多分、生まれて初めて読んだ少女漫画は萩尾望都の作品だと思う。だからこんな風に自分を評しているのはとても悲しい)、少女漫画界二大巨頭といっても...続きを読む差し支えないと思う二人の間にこんなことがあったのかとか。『小鳥の巣』は確かポーの一族の中で最初に読んだお話しで、一連の中では一番好きなんだけど、その裏にこんなエピソードがあったとは・・・!
間に入って取り持ってくれるような人がいないのも悲しい。
これってどちらの作家のファンかで受け取り方分かるんだろうなあ。

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Posted by ブクログ 2022年04月17日

先に竹宮恵子さんの本を読んだので、想定外で驚きました。コミュニケーションとは本当に難しい。
本にするの辛かっただろうな。

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Posted by ブクログ 2022年04月13日

モーツァルトとサリエリを思い起こさせる関係。
むしろ周囲の空気を読まない無神経、無防備、無邪気で、無欲な自己肯定感の極めて低い天才の側にいる常識人な同業者竹宮センセの悲哀を痛感し同情した。天才側に悪意も自覚も無いのが尚更辛いわ。
「トーマの心臓」は特に、作品の裏話は幻滅もあったけれど意外な事実にメウ...続きを読むロコでスッキリした。
なんと言っても次々と登場する当時の漫画家さんたちの名前には興奮した。

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Posted by ブクログ 2022年03月27日

 萩尾望都と竹宮惠子。かつて大泉にともに暮らし、別れた二人。竹宮惠子の書いた「少年の名はジルベール」を読んだものの、では萩尾望都から見た別れとは何だったのかのアンサー。

 読むとその抑制された情報制御の鋭さに驚く。
 過去を思い出して誰かに話すとき、さらにそれが後悔や痛みを伴うとき、自分にとって不...続きを読む利なことは言いたくないし、どうしても「そんなつもりではなかった」と後から振り返った観点をその場の回想の際に口にしがちだ。
 当時のことは、日記代わりのクロッキー帳をもとに淡々と記し、後から振り返った謎解きというか、萩尾望都なりの回答を最後にまとめる。創作ですら視点ブレがあるというのに、自分のことを突き放して整理して見せてくる所が凄い。

 それから、竹宮惠子との別れ後に、思い出しても辛いし、今後に関わり合うことはないと決めた。過去のことだ。この本を書いたまた忘れる。
 それからの「一度きりの大泉の話」といタイトルの秀逸さよ。ミステリか!と言わんばかりの構成力である。

 あとがきを読むと、語りおろしのようにも思えるが、膨大なフィルムを編集したノンフィクションのような気もする。

 そこに居ると辛い、触れるとつらい。でも、それに情もあるし想い出もあると、なかなか離れづらい。
 困難には立ちむかい、障害は乗り越えてこそ成長する。例え誰かに傷を負わされたとしても、その相手が反省し許しを請えばそれを認め、和解することが美しいとされる世の中であると思う。それは正しいのかもしれないけど、つらいはつらい。
 でも、自分の身を守るために離れる、考えないと言うことが選択できるし、選択していい。
 作品の中では、心に楔をぎりぎりと食い込ませてくる描写の、萩尾望都ですら、己の身を守ることを選択したことは、救いのように思えた。
 面白かったと言っていいのかわからないけれど。大きな物語を読んだような気持ち。

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Posted by ブクログ 2022年03月14日

萩尾さんの漫画は 昔々リアルタイムで読んでいた。あの頃はいろんな系統の漫画がたくさんうまれてきていて、面白かったことを覚えている。
その萩尾さんの、あの頃のことが書かれた本ということで楽しみにしていたのだけれど、、なかなかどうして、予想を裏切ってのなかなか、ヘビーな内容だった。

やっぱり、人間関係...続きを読むは難しい。
自分を守ることも必要だし、その方法は人それぞれ。

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Posted by ブクログ 2022年01月23日

これを発表しなければならないほど追い込まれた萩尾望都先生、どれほど苦しかったことかと胸が痛む。

当事者同士いろいろあるのは人間誰しもで、何を感じどう振る舞うかも本人の選択。
周りが知ったように助言したり、仲を取り持とうとしたり、首を突っ込んだりすることは、本当に余計なお世話だ。

この先、萩尾先生...続きを読むも竹宮先生も心穏やかに過ごせることを祈ります。

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Posted by ブクログ 2021年12月08日

一言で言えば、「人間て、本当に難しい」に尽きる。つらいなあ。50年これを抱えていたのもつらいし、今書かねばならないのもつらい。
出てくる漫画家の半分くらいは知っている名前で、キラキラとした輝きも覚えている。少女たちを魅了し、少女漫画の歴史を作ってきた漫画家たちにも読者からは見えない舞台裏があり、そこ...続きを読むには綺麗なものだけでなく、割り切れないものやドロドロした黒いものだってあったのは当然と言えば当然。そしてそれは漫画家に限ったことではない。
嫉妬や排他的な独占愛は普遍的なんだなあ。なくはならないのだなあとやや重い。

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Posted by ブクログ 2021年11月22日

「トーマの心臓」や「ポーの一族」等の名作を産んだ裏でこんなご苦労があったとは。
この本を執筆するのも相当、ストレスだったのじゃないかな。
封印した過去、できれば墓場まで持っていきたかったんだろな。
でも、スルーしてもしきれない現実があり、あちらは萩尾望都先生がよければ、ドラマ化も対談もOKな感じ。
...続きを読むこのままだんまりを続けられないと思い、断腸の思いで記憶を呼び戻したんだと思う。
確かに、増山法恵氏(映画、文学全般に恐ろしいほど博識だったらしい)の存在がなければ、(ヘッセの小説やドイツのギムナジウム等の影響は多々あったのだろうし、)
あの名作は違ったものになったかもしれない。
その増山氏を同居していた竹宮惠子に会わせ、ふたりがソウルメイトになり、そこから少年愛を描く道すじができていったんであろう。
増山氏の存在が間違いなくふたりの天才漫画家をインスパイアし、作品が生まれた。
多少のコンテンツは似てたかもしれない。
そして、ふたりに呼び出されて、遠回しに近づくなと言われた。
(少年、ギムナジウム、川、温室が盗作されたと勘違いされた?)
見に覚えのない著者は混乱し、自分の性格がふたりを不快にさせてしまったのだと落ち込み目が痛くて開かないほどの心的ストレスを抱えて田舎(埼玉)に引っ越すことになる。
そして、ずっと後に気づく。ふたりで作り上げた世界を自分が壊したと思われあの日の発言になったと思い至ったこと。
すごく抑制された言葉で書いてあったけど、どんなにか辛かったろうな、悔しかっただろうな。
それ以降、あちらの方の漫画は一切読まないようにしたこと。
また似てると言われることが怖かったんだと思う。
相当、トラウマになってたんだと思う。
でも、城さんという味方(マネージャー)がいてほんと良かった。すべての事情を知ってくれてる人の存在は大きいよね。(あれは多分、あちらの方の焦りからくる嫉妬だったのではないかと城氏は語る)
トキワ荘のような大泉サロン物語のドラマが観られないのは残念だけど、この本を読めば納得せざるおえない。

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Posted by ブクログ 2021年10月21日

軽く読み進める萩尾望都先生のお話かと思えば
生々しい心の傷が、この本の中に痛々しく
今も先生のかさぶたから血が滲み出ているのが
分かり、私の好きな小鳥の巣がこの竹宮恵子
先生との辛い思いの中で描かれた物だと思うと
ファンとしては心が痛い。
萩尾望都先生も竹宮恵子先生も、どちらも素晴らしい作品で私達フ...続きを読むァンを素敵な世界へと
誘ってくれた。
萩尾先生の青春時代の辛い思いを切々と語るこの本を読み、少女漫画界を支えた大泉は改めて
色々なレジェンドの先生方に影響をおよぼしたのは
間違い無いだろう。
萩尾望都先生のポーの一族の新作は今の私の一番の
楽しみです。
そして竹宮先生のファラオの墓は今も大好きです。

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Posted by ブクログ 2024年02月13日

竹宮氏の自伝と併せて読みました。
お別れした当時のことは、御本人方しかわからない部分があるでしょうから、それぞれそういう想いがあったんだ…と納得しながら読みました。

しかし、竹宮氏がなぜこの時期自伝を出し、のみならず、それに付随する様々な事を起こそうとしたのかが疑問でした。
竹宮氏御本人というより...続きを読むはその周辺の方というべきでしょうか?非常にきな臭く感じました。
「トキワ荘」に対抗し、「大泉サロン」という象徴を残そうとしてるのか…。

また、最近有名漫画家さんがご自身の作品の扱いについて傷つき、生命を絶たれた事件とリンクするような作品を創り出すことへの苦しみを萩尾氏も述べられております。

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Posted by ブクログ 2022年07月02日

期待して手にしただけにガッカリ。「人間関係失敗談です」とあらかじめ断りがあったが、それでも何十年前の話をイジイジと。大御所なんだから盗作疑惑の噂なんて笑い飛ばせばいいだろうに。愚痴本でなく「交友失敗自伝本」だって?ふー。

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Posted by ブクログ 2022年01月13日

望都さんが好きで読んだのだけれど・・・
インタビューの形から本に仕立てたそうで、読みやすい。
竹宮恵子さんとの間の微妙な関係。
そんなことがあったなんて、週刊誌ネタじゃあるまいし、こんなしっかりした本で読むか!
と思いながら・・・
望都さんの繊細で傷つきやすいもろさはよくわかった。
あの素晴らしい「...続きを読むポーの一族」の評価がそんなに良くなかったことにびっくりした。
まあ、この本に関係なく、望都さんの漫画は好きです。

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Posted by ブクログ 2021年09月20日

萩尾望都先生はこの本が沢山の方に読まれることに、どのような思いを抱くのだろうかと思いました。
いろいろな人に大泉時代の話を訊かれ、困った望都先生が“一度きり”と当時のことを思い出しながら綴った本です。竹宮恵子先生と増山さんという方と同居されていた大泉時代。最初の頃はさぞ楽しかったことだと思います。あ...続きを読むる日突然、思ってもいなかったことを言われるまでは。
望都先生は厳しいご家庭で育ち、我を出して表現することに不器用な気がします。その分、作品に思いが表現されているのかもしれませんが。
だから、思いがけないことを言われて、咄嗟に言葉が出てこなかったのかもしれません。後からああ言えば良かったと思っても、切っ掛けがなければそれを伝えることも出来ません。竹宮先生が言いたかったことはご本人しかわからないですし、それをどのように受け取るかは受け手の気持ちによって変わるものだと思います。望都先生が誤解しないよう、もっと上手な伝え方があったかもしれませんし、逆に望都先生に誤解されてもどう思われても(竹宮先生が)言いたかったということなのかもしれません。

読んでいて楽しい気持ちになるものではありませんでした。
ただ、〖トキワ荘〗のようなストーリーを大泉サロンに求められ、困ってしまった望都先生が仕方なく本著を書くことになってしまったのなら、新人漫画家が切磋琢磨しながら大成していくという美談を求めてしまう世間の一人として考えさせられました。


知っている漫画家さんの名前が沢山出てきて、それは懐かしく思いました。

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