向田邦子のレビュー一覧
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面白かったり泣けたり。
昭和の家庭では、当然のように父親が一番強くて、特別だった。
怖くて、時に理不尽な存在だった。
先生に叩かれることだって、あった。
それでも、そこにはしっかりと愛情が通っていた。
そんな風景が広がる本。
しかし、よくこんなにいろんなエピソードを持っているなあ、と感心する。
物事をしっかりと感じて捉えて生きてきた人なんだなあ、と、そのさっぱりとした文体から垣間見える人柄に魅かれる。
2006.11.25
私は本を読むのが遅いので、なかなか読み進まなかった。が、それはこの本が面白くなかったということではない。エッセイを読むと、その人の人生に同化するような気がする。経験を共有する、というか。ものを違った角度で見ることができる、というか。向田さんの人柄がにじみ出ているのであろう。とても愉快で、温かい本だった。いばる父と、その父をあたたかく支える母とおばあちゃん。その生活が見えた気がした。 -
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ネタバレ故・向田邦子さんのエッセイを、角田光代さんと西加奈子さんの二人が現代に甦らせた一冊。
西加奈子さんの描く絵は生き生きとしていて、いつも見る者に訴えかけるパワーがある。特に西さんの創る力強い色彩に今回も惹きつけられた。
家族全員が大切に育んだ"ちいさないもうと"への慈しみが愛おしい。
玄関に並ぶ家族全員のぞうり。言葉はなくても家族みんなの気持ちを、ぞうりの並び方が代弁していてとても印象的だった。さすが西さん、上手い。
いつもは厳しいお父さんの「げんきな日には、はがきにまるをかいて、まいにちいちまいずつポストにいれなさい」に感心した。お父さん賢い。
けれど赤い大きな"まる"から始まって、徐々に"まる"が小さくなり、とうとう…"ばつ"?
この✕には正直ドキッとした。
ちいさないもうとの書いた、気持ちのこもった"字のないはがき"。お父さんが大切にずっと持っているといいな。 -
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「向田邦子」のエッセイ集『女の人差し指』を読みました。
『思い出トランプ』に続き「向田邦子」作品です。
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没後30年。
達人の絶筆エッセイ。
絶筆となった週刊文春連載他、放送作家として関わったテレビのこと、生前、関心のあった食べもの・旅などを纏めた達人のエッセイ集。
ドラマ脚本家デビューのきっかけを綴った話、妹と営んだ小料理屋「ままや」の開店模様、人間町からアフリカまで各地の旅の思い出、急逝により『週刊文春』連載最後の作品となった『クラシック』等、名エッセイの数々を収録。
日々の暮しを愛し、好奇心旺盛に生きた著者の溢れるような思いが紡がれた作品集。
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「向田邦子」のエッセイは約3年前に読んだ『夜中の薔薇』以来ですが、いつもながら、構成力や表現力、そしてネーミングの秀逸さに感心してしまいますね。
以下の4つのカテゴリで構成されています。
■女の人差し指
・チャンバラ
・蜘蛛の巣
・昆布石鹸
・動物ベル ほか
■テレビドラマ
・ライター泣かせ
・ホームドラマの嘘
・テレビドラマの茶の間
・名附け親 ほか
■食べもの
・板前志願
・思いもうけて……
・こまやかな野草の味
・「ままや」繁昌記 ほか
■旅
・二十八日間世界食いしんぼ旅行
・わたしのアフリカ初体験
・人形町に江戸の名残を訪れて
・でこ書きするな ほか
■解説 北川信
「向田邦子」のエッセイって、何とも言えない魅力があり、夢中になって読んじゃいましたね。
印象に残った内容を少し記しておきます。
『セーラー服』は「学生服は陸軍、セーラー服は海軍の服である。学生に軍服を着せる習慣は、いつ頃、どうして生まれたのだろうか。」という言葉で終わっているのですが、、、
ホント、そうですよねぇ… 最近はブレザーの学校も増えましたが、元々は軍隊式の制服だったんですよね。
新たな気付きでした。
『ホームドラマの嘘』での「大きな嘘のつける人は政治家におなりなさい。小さな嘘のうまい人はホームドラマをお書きなさい。」という言葉、、、
政治家の不祥事が報道されるたびに思い出しそうな言葉です。
『家族熱』での電話での聞き間違い、、、
『遺伝の東』≠『エデンの東』
『ゼームス・デン』≠『ジェームス・ディーン』
『悪党部落』≠『アクト・オブ・ラブ』
思わず笑いっちゃいました。
『モンロー・安保・スーダラ節』で紹介される編集部デスクからのアドバイス「ビジュアル(視覚的)な文章を書いて下さい。」という言葉、、、
まさに「向田邦子」作品を評価するに相応しい言葉… 「向田邦子」作品は、この言葉を実現しちゃっていますよね。
『食べもの』に収録されているエッセイを読んでいると涎が出そうになるし、
『旅』に収録されているエッセイを読んでいるとその土地へ行ってみたくなりますもんねぇ。
愉しく読めました。 -
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「向田邦子」の処女長篇小説『寺内貫太郎一家』を読みました。
「小林竜雄」が「向田邦子」の奇跡を辿った作品『向田邦子ワールドの進化 ― 没後20年を迎え、今初めて明かされるドラマと小説の謎』を読んで、久しぶりに「向田邦子」作品を読みたくなったんですよね。
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「貫太郎」のモデルは、私の父「向田敏雄」である。
よくどなり、よく殴り、5年前に亡くなった。
お線香代りに、ちょっぴり「立派な男」に仕立て直してお目にかけた……。
口下手で怒りっぽいくせに涙もろい、日本の愛すべき“お父さん"とその家族をユーモアとペーソスで捉え、きめ細かな筆致で下町の人情を刻み、東京・谷中に暮す庶民の真情溢れる生活を描いた幻の処女長編小説。
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『寺内貫太郎一家』は1974年にTBS系列の水曜劇場枠で放送された人気テレビドラマ(平均視聴率31.3%を記録)だったので、子どもの頃に何気なく見ていたことを断片的に記憶しています。
本書は、そのノベライズ版で「向田邦子」の処女長篇小説として発表された作品で、以下の12篇で構成されています。
■1=身上調査
■2=石頭
■3=びっこの犬
■4=EGG(エッグ)
■5=ネズミの一日
■6=蛍の光
■7=ビー玉
■8=親知らず
■9=いたずら
■10=祭りばやし
■11=梅雨の客
■12=初恋
昨年読んだ『せい子・宙太郎』と同じく、笑いあり、涙ありの、心温まる下町人情ドラマで、特に『EGG(エッグ)』と『祭りばやし』は、読んでいて思わずウルッ… となっちゃいましたね。
『EGG(エッグ)』は、「石貫」の職人「タメさん」が風邪をひき「寺内」家で看病してもらうことになり、ひとつ屋根の下で暮らすことで、家族の温かさを再認識する物語、、、
熱が下がったのに、まだ熱があるように見せかけて長居しようとしたり、
「周平」の我侭が許せず親子喧嘩に飛入りしたり、
そして、アパートに戻ってから、同居しているベテラン職人「岩さん」に居心地はどうだったかと問われ「いや、うるせいのなんの。ああ箸の上げ下ろしに文句いわれちゃとてもいられねえな。ハハ。みんなよく我慢してるよ」と強がりを言ったり、
その気持ち、よくわかるなぁ… と思いました。
『祭りばやし』は、お手伝いの「ミヨ子」が夏祭りの手伝いを頼まれるが、その日は母親の命日だったので素直に手伝うことができない、、、
事情を知っている読者は、拗ねた「ミヨ子」の態度に共感できるのですが、登場人物たちは「ミヨ子」の我侭な行動と思い込み、「ミヨ子」を責める… その理由がわかったあとの「貫太郎」の行動は素早かったですね。
巧く感情移入できるような構成になっていますねぇ… 良い作品でした。
登場人物の一人ひとりが個性的でキチンと性格付けされており、とても魅力的に描かれていますね… 読んでいると気付かないうちに感情移入してしまっていました。
心の機微が巧く描かれている物語… 大好きですねぇ。
タイトルの付け方も秀逸… 見習いたいものです。
「向田邦子」は、こんな良い作品を、もっともっとたくさん書いて欲しかったですねぇ。
以下、テレビドラマの主な出演者です。
「寺内貫太郎:小林亜星」
主人公。
50歳。
寺内家の主人・頑固親父。
「寺内里子:加藤治子」
貫太郎の妻。
48歳。
和服姿でいつもてきぱき働いている。
「寺内周平:西城秀樹」
寺内家の長男。
19歳。
浪人中で父と激しく喧嘩する。
原作では西城秀樹に似ていると書かれている。
「寺内きん:悠木千帆(樹木希林)」
貫太郎の実母。
70歳。
沢田研二の大ファン。
「相馬ミヨコ、相馬美代子:浅田美代子」
寺内家のお手伝い。
17歳。
新潟からやってきた。
高校3年の5月に母を亡くして親戚に引き取られたが、その親戚の家の金銭事情を察して高校を中退している。
「倉島岩次郎(岩さん):伴淳三郎」
「石貫」の職人で、職人暦50年のベテラン。
山形出身で大阪に息子夫婦がいる。
若い頃、きんに想いを寄せて求婚したこともあった。
「榊原為光(タメさん):左とん平」
「石貫」の職人。
29歳。
貫太郎に啖呵を切っては、毎回必ず痛い目に遭う。
独身でアパートに一人暮らしをしており、家族の温かさに憧れたこともあった。
「ウス:三浦寛二」
「石貫」の職人で、花くまの知り合い。
第18話より登場。
「花くま:由利徹」
「石貫」の向かいにある花屋「花くま」の主人。
独身。
「寺内静江:梶芽衣子」
寺内家の長女。
24歳。
4歳の頃の事故で左足が不自由。
「上条裕也:藤竜也」
静江の恋人。
子持ちでバツイチ。
「上条マモル:芦沢竜介」
上条の連れ子。
フィンガー5のメンバー・玉元妙子のファン。
「秋本幸子:吉行和子」
上条と別れた元妻。
上条とは嫁姑問題のもつれから離婚、姑の希望から、マモルとは引き離された。
その後姑が他界したこともあり、上条やマモルには未練を抱いている。
しゃぶしゃぶ屋で働いている。
ひと月に一度、マモルと会えることになっているが、我が子恋しさから上条の留守に約束を破ってさつき荘を訪れ、静江を困惑させたこともあった。
「寺内貫次郎:谷啓」
貫太郎の腹違いの弟。
豆腐屋を営んでいる。
第26話で豆腐屋が火事となり登場。
「ふみ子:浅茅しのぶ」
貫次郎の妻。
第26話より登場。
「京子:市地洋子」
貫次郎の長女。
第26話より登場。
「和夫:白石浩司」
貫次郎の長男。
第26話より登場。
「お涼:篠ヒロコ」
居酒屋「霧雨」のおかみ。
「倉田:横尾忠則」
居酒屋「霧雨」の常連客。
岩さん、タメなどからは「だんまり兄さん」と呼ばれている。
「諏訪チエコ:加茂さくら」
居酒屋「霧雨」の常連客。
「毛利:毛利久」
居酒屋「霧雨」の常連客。
洋服屋を営む。
「マユミ:いけだももこ」
周平の恋人。
「きみ子:藤園貴巳子」
居酒屋「霧雨」の従業員。
「雄さん:伊藤高」
「金子みさ:野村昭子」
さつき荘(上条の住むアパート)の管理人。
上条と静江の仲を応援してはいるが、付き合いの長さから幸子との付き合いのほうに重点を置いている。
甘いもの好きで、ポケットには常に菓子が入っている。
もう一度、観てみたいなぁ… -
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昭和の高度成長期も一段落しバブル期になる前の当時の状況がリアル。中流階級の家庭の様子や、生活費が苦しい主婦の内職、若い女子社員の当然のお茶汲みに30歳が見える様になるとハイミスと言われるような社会、愛人や隠し子と言った言葉が普通に登場する事に昭和生まれの自分を棚に上げてもなお苦笑。でも当時はこれが『今』だったのだし、放映されていたドラマはこう言う暗い影の部分を題材にしたものがたくさんあったと思う。
しかし、心の微妙な表現や移り変わり、人間の感情の機微といったような表現はやっぱり流石で、心にずんと重いものが残る読後感に向田邦子さんの凄さを感じる。
向田さんの本を読んだ後には必ず思うことですが、あのような事故がなければ、向田さんが今をどんな風に描くのだろうとつくづく残念に思わずにいられない。 -
Posted by ブクログ
向田さんの出会った人のことが書かれているエッセイ集。
面白かったのは「転向」というタイトルのお話。
凝り性の友人がいて、一つのものに凝りだすとそれ以外は絶対に認めず周りにも強要する。でも何かの折にその欠点を認めるとあっさりとまた次のものに転向して凝り出す。あ〜こんな人、私の周りにもいるなと可笑しくなった。まあ人間、少なからず誰しもこう言った所は持ち合わせているでしょうが。
時代を感じるのは「お取替え」という話な中で、35歳くらいの女性を中年と表現していること。
今なら35歳なんてまだ若いお姉さんに近いが、この当時だと中年だったんだなあと驚いた。