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表題のエッセイを「週刊文春」で連載中に、台湾上空で航空機事故に遭い、還らぬ人となった向田邦子。連載最後のエッセイとなった「クラシック」をはじめ、テレビドラマ脚本家デビューのきっかけを綴った話、妹と営んだ小料理屋「ままや」のてんやわんやの開店模様、大好きだった旅の思い出(ケニヤ、モロッコ、沖縄)など、未刊行の名エッセイをすべて収録した。日々の暮しを愛し、好奇心旺盛に生きた著者の溢れるような思いが、溌剌とした文章で紡がれている。
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Posted by ブクログ
エッセイ集。エッセイ集を何冊か読みにつれ、向田邦子という人のものの見方や感じ方が、少しずつ伝わってくる。
現代には向田邦子エッセイが足りない。テレビドラマ脚本家として名を挙げ、独身生活を美食や旅行で謳歌。有名人との華麗な交友など、と成功版たられば娘というか、なんとも数十年早く生まれた人だなあ、と思う。とはいえ、やはり初期の素朴なのとか父親ネタの方が好みで、旅行ネタはそこまでかなあ…
うまい。面白い。さすが。今読んでも全く古臭くなく、感性豊かでウィットに富んでいる。自分のことをちょっと蔑んで、それを楽しんでいる感じがとっても素敵。
エッセイなんだけど、短編小説を読んでいるような感覚。 小説でもそうだけど、背景の匂いが漂ってきそうで…聞いたことの無い向田邦子さんの笑い声とか聞こえてきそう。
テレビドラマの章は脚本家としての仕事の話が主で興味深く読んだ。特に「ホームドラマの嘘」は書いている時なにか思う所が余程あったのかなと想像するぐらい。脚本家として頭を抱えることや、視聴者に切実に訴える話が主で思わず笑ってしまった。驚いたのはこの時代でもテレビで使用してはいけない不適切な言葉があったこと...続きを読むだ。なんでもおおらかで済ませる時代だと思っていたが、今がもっと厳しいのか。時代の流れによる言葉の難しさをこの時すでに話していたのが驚き。
2024.08.02 私の直感ですが、向田先生と阿川佐和子先生のエッセイの調子って似通ったところないですかねえ。両方とも良い意味で食いしん坊だからそう感じるだけで文体とかは違うのかなあ。
「霊長類」を先に読んでしまったからなのか、ほんの少し刺激が少なく感じたけれど、それでも若い金魚を水面真上から見ているような楽しい文章ばかり。 「骨」の中で名前こそ出さないが三島由紀夫について語った箇所が印象的。4つ年上の彼のことを彼女は可哀想だと憐んでいたのか、空回りの演技が気に入らなかったのか、は...続きを読むて憐憫か嫌悪か嫉妬か。
「向田邦子」のエッセイ集『女の人差し指』を読みました。 『思い出トランプ』に続き「向田邦子」作品です。 -----story------------- 没後30年。 達人の絶筆エッセイ。 絶筆となった週刊文春連載他、放送作家として関わったテレビのこと、生前、関心のあった食べもの・旅などを纏めた...続きを読む達人のエッセイ集。 ドラマ脚本家デビューのきっかけを綴った話、妹と営んだ小料理屋「ままや」の開店模様、人間町からアフリカまで各地の旅の思い出、急逝により『週刊文春』連載最後の作品となった『クラシック』等、名エッセイの数々を収録。 日々の暮しを愛し、好奇心旺盛に生きた著者の溢れるような思いが紡がれた作品集。 ----------------------- 「向田邦子」のエッセイは約3年前に読んだ『夜中の薔薇』以来ですが、いつもながら、構成力や表現力、そしてネーミングの秀逸さに感心してしまいますね。 以下の4つのカテゴリで構成されています。 ■女の人差し指 ・チャンバラ ・蜘蛛の巣 ・昆布石鹸 ・動物ベル ほか ■テレビドラマ ・ライター泣かせ ・ホームドラマの嘘 ・テレビドラマの茶の間 ・名附け親 ほか ■食べもの ・板前志願 ・思いもうけて…… ・こまやかな野草の味 ・「ままや」繁昌記 ほか ■旅 ・二十八日間世界食いしんぼ旅行 ・わたしのアフリカ初体験 ・人形町に江戸の名残を訪れて ・でこ書きするな ほか ■解説 北川信 「向田邦子」のエッセイって、何とも言えない魅力があり、夢中になって読んじゃいましたね。 印象に残った内容を少し記しておきます。 『セーラー服』は「学生服は陸軍、セーラー服は海軍の服である。学生に軍服を着せる習慣は、いつ頃、どうして生まれたのだろうか。」という言葉で終わっているのですが、、、 ホント、そうですよねぇ… 最近はブレザーの学校も増えましたが、元々は軍隊式の制服だったんですよね。 新たな気付きでした。 『ホームドラマの嘘』での「大きな嘘のつける人は政治家におなりなさい。小さな嘘のうまい人はホームドラマをお書きなさい。」という言葉、、、 政治家の不祥事が報道されるたびに思い出しそうな言葉です。 『家族熱』での電話での聞き間違い、、、 『遺伝の東』≠『エデンの東』 『ゼームス・デン』≠『ジェームス・ディーン』 『悪党部落』≠『アクト・オブ・ラブ』 思わず笑いっちゃいました。 『モンロー・安保・スーダラ節』で紹介される編集部デスクからのアドバイス「ビジュアル(視覚的)な文章を書いて下さい。」という言葉、、、 まさに「向田邦子」作品を評価するに相応しい言葉… 「向田邦子」作品は、この言葉を実現しちゃっていますよね。 『食べもの』に収録されているエッセイを読んでいると涎が出そうになるし、 『旅』に収録されているエッセイを読んでいるとその土地へ行ってみたくなりますもんねぇ。 愉しく読めました。
爆笑問題の太田さんが、「向田邦子のエッセイは面白い」と言ってたので購入。 ちょうど没後30年記念で新装版が出た所みたい。 そんなに昔の人とは知らなかったが、読んでいても全然文体が古くない。 他の本も読んでみよう。
向田さんの作品は好きで何冊か読んでいるが、 久しぶりに読んでみて、文章のリズムというか、言葉の旋律というか、 これ見よがしでもなくサラッと書かれているけど、 ものすごく上手だなぁ、 それこそ名人芸、落語のようだと改めて感じ入った次第。 文章を読んでいると、書き手の性格や人情が見えてくるように思うこ...続きを読むとがある。 確かめようもないから、それが当たっているのか思い過ごしなのかは分からないが、 向田さんの文章を読んでいると、 ヤンチャで負けん気の強い、しかし従順で臆病なところもある。 賢くて、正義感があり、おっちょこちょいだけど、人に甘えるのが苦手。 そんな愛らしい女性像が見えてきて、さらに好きになる。 何年か前、テレビで『向田邦子の恋文』(だったかな?)というドラマをやっていた。 しがない男と半同棲みたいな感じだったような気がするが、 そういう生活もありながら、そういうところをまったくださない文章の 男気のようなものも感じる。
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