向田邦子のレビュー一覧
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この時代、そうそうこんな感じだったんだろうとかろうじて想像できる。親の世代よりは若くて、でも自分からみるともう少し上の世代…?
ただ、近い世代だとしても私が育ってきた周りではあまりお目にかかる人たちではなかった。
4人姉妹には憧れるし、それぞれの家族もいい感じでゆるくつながってるし、何より自分の親や実家をいつも念頭に置いた生活をしているのが羨ましい。
でも、同じ娘としてまた妻として、結婚とか子供の成長とか親の世話とか、ちょっと変化するだけで人生が変わってしまう立場から言うと、姉妹が多いのも面倒だなと…などなど思いつつ、しっかり本の世界に入ってしまった。
向田邦子さんの作品はまだなかなか読めてないので、これから少し読んでみたいと思えたのはこの作品のおかげだと思う。 -
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向田邦子といえば、ワタシにとっては、やっぱり「寺内貫太郎一家」
幸か不幸か、リアルタイムで観てる。水曜劇場。
まあ、懐かしい。面白かったね。
ジュリー〜〜!
樹木希林、もとい当時は悠木千帆さん。これが受けた受けた。
あと、なぜか横尾(忠則)さんなんかも出てる。
久世(光彦)さんと組んで、思い切ったことをやられたのでしょうね。
貫太郎一家のあとは、ほとんど観ていない。
名作の誉高い「阿修羅のごとく」とかも拝見していない。
でも、向田さんの飛行機事故のニュースはよく覚えている。
その向田邦子が直木賞を受賞したのが、この思い出トランプ
((作品紹介))
日常生活の中で、誰もがひとつやふたつは持っている弱さや、狡さ、後ろめたさを、人間の愛しさとして捉えた13編。直木賞受賞作「花の名前」「犬小屋」「かわうそ」を収録
びっくり。思い出トランプなんて題名だから、もうちっとホンワカムードもある短篇集かと思ってた。
全く、あにはからんや、違ってた。
全編シニカルな筆致。登場人物たちは、皆こころの空漠を抱えたひとたちばかり。
そのひとたちが、各々苦い思い出を回想していく...
なんとも、現在の自分にも、登場人物たちの心象が突き刺さる。
冒頭の短篇「かわうそ」
脳卒中で倒れ、身体の自由が効かない中年の男。その男が、九つ年下の妻厚子への想いを綴っている。
〜「なんじゃ」
わざと時代劇のことば使いで、ひょいとおどけて振り向いた厚子を見て、宅次は、あ、と声を立てそうになった。
なにかに似ていると思ったのは、かわうそだった。〜
これ、なんじゃ、なんておどけて返してくれる女性なんか、ワタシは可愛いらしいと思う。
が、それを"かわうそ"と形容するとは....
この男にしかわからない、妻に対する複雑な、愛憎が内まぜになった感情。そのこころの吐露が、このかわうそに表れているんだろうな。
いきなり、この一篇で、読者のこころ鷲掴み。
あとは、もう読み進めること、あっという間。
どれも心に残る短篇ばかり。
向田さんの描写が、また結構辛辣
「三枚肉」における"安いお雛様"とか、
「男眉」の"男眉に生まれついた人間は、(中略)女は亭主運のよくない相"とか。。。
また、書かれている言い回しで、もう私達にはわからないものが多い。
"お前は曲(きょく)がない"
"時分どき"
"御座(おざ)に出せない"
"節約(しまつ)なたちで"
"葬壇の前で夜伽(よとぎ)をしながら" etc
とにかく、小説の面白味が満載。
キョンキョンの帯が欲しい、という邪な気持ちから買い求めた、思い出トランプ。
結果、向田さんの小説の虜になった。
他の作品も読みたくなった。 -
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【347冊目】脚本家向田邦子さんのエッセイ集。妙齢の女性視点×昭和の家庭生活×戦争中の記憶×一流の表現者=最強のエッセイ爆誕!という感じ。
ひとつの作品に複数のエピソードが詰め込まれており、それぞれの連関は必ずしも明らかでないのですが、なぜかスッキリ読めてしまう。それは文章力の問題だけではなく、生活者・労働者としての視点が現代を生きる私たちとそう離れていないからなのでしょう。海外旅行やら深夜残業やら、多くは現代と地続きの生活風景です。
他方で、東京大空襲の日のエピソードがあったり、トイレに行くことを「ご不浄に行く」と表現したり、昭和の前半の香りがそこかしこに散りばめられているところも読み応えのひとつ。
この現代っぽさとレトロ感の絶妙なミックスが、作品のとても良い味になっており、唯一無二の作品に仕立てあげています。
そして、ここに「家族の物語」という芯がぶっ刺さっていることで、なぜだかぐっと我々読者の心に詰め寄ってくる感じが生まれるんですよね。「父の詫び状」なんてタイトル、どうやったら思いつくんでしょう。これだけで、「あぁ、昭和の頑固な父親が何か失敗したんだな。でも、素直に謝れないから手紙にしたんだろうな。どんな失敗したんだろ?本当に素直に謝れたのかな?どれどれ、最初の一編だけでも読んでみるか…」と、思ってしまいます。
一度開いたらもうおしまい。最後まで時にくすっと、時に深くうなずき、時に胸にツンッと、と色んな感情を味わいながら向田邦子ワールドに引き込まれていきます。 -
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比喩が絶妙(「行ったことのある国はそこだけ地図に色がつき、人肌にあたたかくなっているような気がする」p.112鉛筆、「旅も恋も、そのときもたのしいが、反芻はもっとたのしいのである」p.150反芻旅行)。これは女性は抽象的なものが苦手だという自意識から培われたものかもしれない(「女は、身に覚えのあるもの、目に見えるものしかおかしくないのだ」p.165笑いと嗤い、「女は具体的な動物です」p.186甘くはない友情・愛情)。
4つの短編小説は、1981年に飛行機事故で亡くなる直前の遺作。『三角波』(p.55〜)は、現代ならともかく、この時代にこのドンデン返しとは、と非常に印象的だった。 -
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先日読んだ若草物語に続き四姉妹小説。
ドラマは見てない。
年老いた父に愛人発見、長女不倫中、次女の夫に浮気疑惑、三女独身で心が荒む、四女同棲相手とのゆくえやいかに…。これは波乱の予感しかない。
何とかして父に愛人がいるということを母に隠そうとする四姉妹。その中でそれぞれが自分自身の問題にぶつかり、姉妹に八つ当たりし、でもなんだかんだ姉妹の絆は強いということを実感するお話。
男女関係の問題が山ほど出てくるけど、常にわちゃわちゃしている会話劇で4人それぞれのシーンがテンポよく進んでいくので、ドロドロしている印象はあまりなかった。
家族だから遠慮ないし、みんなありのままをさらけ出していて面白い。
「水気絞ったら絶対網子姉さんの方が多いわよ」
「大根おろしじゃあるまいし…」
向田さんのエッセーは読んだことあったけど、小説も人間味溢れ出ていて面白いな。結構好き。 -
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初めての向田邦子作品。
4姉妹と母ふじ、彼女らのパートナーの男たちの言動が面白かった。
男は働き女は家を守る…という時代だったのだと思う。男尊女卑が当たり前の時代にこうも女は魅力的に生きていたのだな、と感心してしまった。
私がうら若き乙女だった高校時代、箸が転げてもおかしくて、通学の電車やバスでいつでも友達とおしゃべりして笑っていたのを思い出す。恋バナもあれば学校の先生の話もあればテレビの話も…たいていはしょうもない話だった。
そして今も職場でも休日でも、とりとめなくしょうもない話で花を咲かせている。
あ、女ってこういう生き物なのか。
向田作品を読んで我が身を振り返り悟った。
面白かった!