【感想・ネタバレ】思い出トランプのレビュー

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Posted by ブクログ 2023年07月04日

初の向田邦子作品
すごい、すごすぎる。数ページの短編の中で、人生の光の部分と仄暗い部分を描き出している
読み方によって、ユーモラスで人間味がある話とも、人間の闇がフォーカスされた不気味な話とも捉えられるのが面白い

説明的な表現は最低限に抑えられていて、日常の些細の描写から、過去の出来事や登場人物の...続きを読む性格や心情が炙り出されるのがすごい

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Posted by ブクログ 2023年06月01日

ここ最近、向田邦子さんに係る本を読み漁っているがハズレがなく、その全てを面白く感じている。

その印象は本書を読み終えた今も続いている。思い出トランプは短編集で、全部で13話収録されているが、その全てが個性的な魅力にあふれている。それも、これは明るい話あれは暗い話、と宝石のようにシンプルに形容しやす...続きを読むい魅力ではなく、見方によって暗くも明るくも、沈んでいるようにも輝いているようにも見える不思議な魅力。石は石でもパワーストーンのような感じで、向田さんの文章は自分にとって他の人とはどこか明確に違うと再確認した。

話は逸れるが、私は数ヶ月前に「あうん」で初めて向田邦子さんの小説を読んだ。その一冊の持つ衝撃は凄まじく、これを皮切りに、ネットで向田邦子作品を内容も見ずに片っ端から購入していった。そんな経緯もあって、今思えばこんな間抜けな話があるかとも思うが、本書の最初に収録されている「かわうそ」を読み終えるまで思い出トランプが短編集であることを知らなかった。

正確には次話の「だらだら坂」の途中で「短編集かよ!」と気付き、「かわうそ」の不穏な終わり方にドキドキしながら続きを知りたい思いでページをめくった私の期待と興奮は見事に打ち砕かれたのだが、読み終える頃にはテンポの良い多種多様な短編に満足し、そんなガッカリ感はどうでも良くなっていた。

向田さんの持つ文章の上手さ、楽しさは個人的に他のレビューで散々書いてしまったので、もう語ることも今更ないけれど、その上手さはこの本でも健在で、本書では特に「かわうそ」「三枚肉」「りんごの皮」「酸っぱい家族」がお気に入り。

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Posted by ブクログ 2023年05月12日

昭和の雰囲気がとても心地よい。
現代においても昭和においても、人の悩み、葛藤、嫉妬、疑惑といった複雑な感情は変わらずにあって、そういった意味では古さを感じさせない。
日常生活のちょっとした出来事から様々な感情を描き出す物語に没頭してしまいました。



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Posted by ブクログ 2023年02月08日

★5つでは足りない足りない。ドラマ(阿修羅のごとく)にしびれエッセイにしびれ、ここに来て短編小説に度肝を抜かれた、恐れ慄いた、本当に身震いした。

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Posted by ブクログ 2022年12月24日

第83回直木賞(昭和55年/1980年上期)作品、「花の名前」「かわうそ」「犬小屋」を含み、13の短編が収録されている。

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Posted by ブクログ 2022年10月22日

短編だが、映画を見ていたかのように惹き込まれる。「かわうそ」の獺祭図のインパクトが強すぎる。水上勉さんが『主人公のたんなる思い出からぬけて、いま生きている「今日の闇」につながり、何気ない台所を這う空気の色調が厚ぬりに変る』と表現されているが、正にその通りである。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年07月17日

なんという面白さ。

確かに出てくるもの、風景は古いが、全体的に古さを感じない。文章の美しさ、心の抉り方、人と人との関係。どれもが素晴らしい。

好きな話は全部。

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Posted by ブクログ 2022年07月02日

「向田邦子」の短篇小説集『思い出トランプ』を読みました。

「向田邦子」作品は、昨年12月に読んだ『寺内貫太郎一家』以来ですね。

-----story-------------
浮気の相手であった部下の結婚式に、妻と出席する男。
おきゃんで、かわうそのような残忍さを持つ人妻。
毒牙を心に抱くエリー...続きを読むトサラリーマン。
やむを得ない事故で、子どもの指を切ってしまった母親など――日常生活の中で、誰もがひとつやふたつは持っている弱さや、狡さ、後ろめたさを、人間の愛しさとして捉えた13編。
直木賞受賞作『花の名前』 『犬小屋』 『かわうそ』を収録。
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20年くらい前に読んだことがあるのですが、再度、読みたくなった作品、、、

「向田邦子」の初めての小説集… そのうち3篇が直木賞を受賞した作品(『花の名前』 『犬小屋』 『かわうそ』)で、以下の13篇で構成されています。

 ■かわうそ
 ■だらだら坂
 ■はめ殺し窓
 ■三枚肉
 ■マンハッタン
 ■犬小屋
 ■男眉
 ■大根の月
 ■りんごの皮
 ■酸っぱい家族
 ■耳(原題:綿ごみ)
 ■花の名前
 ■ダウト

 ■向田さんの芸 水上 勉
  カット 風間 完

昭和55年から昭和56年にかけて『小説新潮』に連載された作品だそうです。

「向田邦子」作品を読んだあとに、いつも感じることですが、、、

小道具の使い方や、ちょっとした比喩の使い方が抜群に巧く、男女の心の機微の捉え方がとても素晴らしいんですよねぇ… 上手く説明できないんですが、男女の抑えきれない気持ちが巧く表現してある珠玉の作品群ですね。

いつの間にか登場人物に感情移入してしまう作品ばかりでした。



特に印象的な作品を紹介しておきます。

『かわうそ』、、、

無意識(潜在的な意識による行動でしょうけど… )のうちに包丁を握っている夫、その姿を見て「包丁持てるようになったのねえ。もう一息だわ」と安心する妻… そのギャップに恐怖を感じるエンディングが忘れられませんね。


『だらだら坂』、、、

縁が切れることに対する安堵感… わかるなぁ って感じです。

やっぱり正直に生きたいですもんね。


『マンハッタン』、、、

結局、親子って、同じような行動を選択するもんなんでしょうねぇ… 嬉しいような、哀しいような、そんな気持ちが芽生えました。


『犬小屋』、、、

若い頃のキュンとする思い出や、ドキドキした体験… その相手がどうなっているのか、知りたいような、知りたくないような微妙な気持ちですよね。


『大根の月』、、、

息子の指を誤って切断させてしまったというショッキングな事件… それを許せない夫や姑。

息子までも自分から離れてしまい… という、家族の崩壊という悲しい出来事から、エンディングでの家族の再生を感じさせる展開が、なかなか心地良かったですね。

ドキッとさせておいて、ホッとさせる展開が好きです。


『酸っぱい家族』、、、

飼い猫が獲ってきた鸚鵡を、なかなか捨てることができない… そこから、過去に捨ててきた人や人生のことを回想し、もう一つ(一人?)を捨てようと発想するシーンでエンディングを迎える物語。

そんなに簡単に捨てれるモンなんですかねぇ。


『花の名前』、、、

男(夫)と女(妻)の駆け引きが、あっけらかんと書かれていますが… これって、実は怖いですよねぇ。

でも、男と女って、理屈じゃない、離れられない何かがあるんでしょうね。



感想をまとめていると、「向田邦子」作品って、タイトルの付け方も秀逸だなぁ… と思いました。

もっと、多くの作品を遺して欲しかったなぁ。

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Posted by ブクログ 2022年01月04日

NHKラジオの聴き逃しを聴きながら原作も同時に読み始めた、朗読を聞くとうっかりと読み飛ばしたところも気づかせてくれるので非常に良かった、13の短編だが内容はかなり淫靡なものが多く、とても男性作家では書けないものだと感じた、男性作家はミステリーか不条理小説しか書けないのじゃないかと思うほど、最近の男性...続きを読む作家の作品は文学性が欠けている。ドラマはほとんど見ないので著者の作品はあまり知らないのだが、以前WOWOWで「春が来た」がドラマ化されたが脚色が酷すぎた、時代はラジオの時代に戻ってきているのじゃないかな。

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Posted by ブクログ 2023年10月21日

初 向田邦子。落ち着いた文章で頭にスッと入ってきた。
数年前に弟からもらった本。

人の裏側、黒さ、性など、人間らしさがとても良かった。

『かわうそ』がお気に入り。

向田邦子ワールドが好きだなぁ!

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Posted by ブクログ 2023年10月12日

ウン十年ぶりの再読です。ちょうど私が学生の頃、直木賞をとった作品として話題になり手に取ったのでした。そして、ウン十年後の今、読み返してみるとどう感じるのか?試してみたくなったのです。13作品の短編集です。

当時の日本の一般的な家庭の風景。ごく普通に流れていく家族の生活。夫婦、親子を通した日常。一見...続きを読む何もおかしな所はないのだけれど、その中の個々人の心の中には様々な思い、記憶、経験。嬉しいこと悲しいこと、憎らしいこと。様々な思い、感情が表面には出てこないけれど内面に渦巻いている。そういった内面を掴み取り、暴き出して端正な言葉と文章で鋭く描写している。

私は向田さんの家族愛に基づいたキレキレの描写が好きなのだけれど、人間の心の闇に切り込んでくるところも流石だな!と思ってしまいます。

例えば今回再読していて、「獺祭」という言葉の意味を改めて認識しました。今の私には「美味しい日本酒」というイメージしか頭の中になかったのだけれど、「かわうそ」という作品の中で、妻である一人の女性のシタタカな一面を見せつけられた様な気がしました。「獺祭」という言葉を通じて、、、少し怖かった。

やはり、家族や人の心象が向田さん独自の多彩な輪郭で描かれている。場面展開の素早さも心地いい。途中で止められなくなります。

ウン十年前に読んだ時は「何だか不気味な作品集」というイメージを持っていたのだけれど、今回再読して過去とは異なる印象を持つことができました。

もちろん背景はウン十年前の昭和の情景です。しかし、人の心の有り様というのは変わらないものですね。

向田さんの作品は歳をとりません。

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Posted by ブクログ 2023年07月09日

人間の生活の中の嫌な部分を巧みな文章で拾う向田邦子の表現力が素晴らしすぎる。
どの話も嫌な余韻を引き摺るのにどんどん読み進めてしまう。
でも考えてみたら小学生?の時に初めて読んだ「字のないはがき」もなんか嫌な気持ちになったのを思い出した。

私は一番最初の「かわうそ」が面白怖すぎて電車の中で悲鳴を上...続きを読むげそうでした。
この話だけは未だに思い出してしまう。
でもどの話も漏れなく嫌な気持ちになるので梅雨時期に読んでたら気が滅入り過ぎて倒れただろうな。

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Posted by ブクログ 2022年11月13日

祖母が持っていた文庫。
文体の切れ味がよく、場面が次々にきりかわるのにも翻弄されて、常に何か起きそうな緊張感があり、次を読みたくなる。

人の感情は白黒どちらかに割り切れてるわけではなく、またある出来事はよかったとか悪かったとかはっきり判断できるわけではなく、その狭間にある感情のありようがリアルに書...続きを読むかれているように思った。




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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年10月25日

男女間や家庭の話がほとんどなはずなのに、どれ一つとして似たものがないのが凄い。それだけ一つ一つの話が個性的だったしイメージは鮮烈だ。
話が流れるように展開するのが不思議。どんな風に繋がってくるんだろうとワクワク待ち構えている自分がいる。コロコロと変わる話題に意味があるのか無いのか分からないまま読んで...続きを読むいると、それらがスッと繋がる瞬間がやってくる。これがまるで実話のようで恐ろしい。「大根の月」では特にそう思った。実家のこと、夫婦間のこと、息子のこと、姑のこと、順序立てて語られるエピソードに真実味があって、これがフィクションだなんて思えなくなってくる。カットに失敗したハムを口に入れ事故が起きる瞬間なんか、ここに繋がってくるんだと思ってゾッとした。
自分の裏の顔や本質は、日頃一緒にいる家族が一番よく知っているということに思い当たってまたゾッとした。近ければ近いほど丁寧に接していかなければならないのではないかと考えたりもした。

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Posted by ブクログ 2022年09月28日

直木賞受賞作を含む13篇の短編小説。穏やかで平穏な日常に潜む人の心の負や暗部を描く。人間の狂気とは異なる誰もが抱える残忍さや矛盾や悲哀を巧みに表現している。ちょっとした出来事や物を通じて描く心の機微の描写は優しく柔らかくゆえに魚の骨の如く異物感を持って刺さる不思議な感覚。どれも面白かったが、収録作の...続きを読むなかでは「だらだら坂」「犬小屋」「花の名前」あたりが個人的に好み。

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Posted by ブクログ 2022年08月28日

向田邦子さんのエッセイは読んだことがあるけれど、小説家は初めて読みました。
漂う雰囲気が、’’ザ昭和"という感じがしました。
なんとなく小説の雰囲気からその当時の人達の生活がどんなものか伝わってくる感じがありました。
短編集なので読みやすかったし、引き込まれてあっという間に読み終わりました...続きを読む
どの話も少しの"こわさ“があって、ヒヤッとしました。

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Posted by ブクログ 2022年08月08日

哀愁漂う13の作品が収められています。
大人になればそれなりに、苦い思い出、できれば思い出したくないことがあると思いますが、ふとした瞬間にそれが思い出される。
そんな気分でした。

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Posted by ブクログ 2022年08月01日

十三話の短編からの思い出トランプ。最後の作品は「ダウト」。洒落ている。
何処にでもあるような、普通の家庭の中にある不穏な空気感。家族への疑惑、疑心、不安、不満。それらを飲み込みながら、家族としての在り所を探していくのでしょうか。
現在の価値観では、納得できない世代もあると思う家庭や夫婦の表現かもしれ...続きを読むませんが、狡さとか背信をも受けとめて、愛情と諦めの混雑が実情だった時代です。男女それぞれの感情が響く素敵な作品です。

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Posted by ブクログ 2022年07月10日

夏の新潮プレミアムカバーが良い色だったので。
ぐいぐいと引き込まれる圧倒的な筆力には言葉もない。
どの話も胸がじんわり苦しくなる。

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Posted by ブクログ 2022年05月13日

人間の心の機微を捉えて文章に変える技術に感心しきりだった。あーこういう絶妙にもの苦しい雰囲気あるよねぇぇ...こういう苦々しい記憶がふと断片的に蘇る瞬間あるわぁぁ...っていう感じ。
どの章も素晴らしい。向田邦子の技術を堪能する作品。ストーリー自体は短編集らしい軽快な内容。

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Posted by ブクログ 2024年01月27日

2024.01.27
なかなか難しい一冊。1970年生まれの私にはピンとくるも若い世代には伝わらない要素も多いかなあと思う。

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Posted by ブクログ 2023年08月05日

どんなに優しくほがらかであっても、どんなに「出来た人」と呼ばれるエリートであっても、人は誰でも少なからず暗い部分をもっている。
女のずるがしこさをぞっと思う反面で、私にも同じような面があるのかもしれないと思ったり思わなかったり。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年07月25日

「思い出トランプ 向田邦子さん」昭和のエッセンスてんこ盛りの珠玉エッセイ集。男と女、親と子…今も昔も変わらぬ人間模様を凝縮。天性の天然ボケで夫を翻弄する妻。母親の浮気性の隔世遺伝を心配する父親。不注意で息子の指に一生モノの怪我を負わせた母親…結末には泣けた!

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Posted by ブクログ 2023年05月06日

それぞれの題名がどう関わってくるんだろう、そんなことを思いながら読むのが楽しかった。日常の少し憂鬱な感情が記されていてどこか共感できる話が多かった。
短編だから電車で読みやすいのもよかった。

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Posted by ブクログ 2022年12月26日

短編集。トランプがどう絡んでいるのか汲み取れなかったんだけれど。男も女も、自分が賢い生き物だと思っているんだけれど、互いの立場から見ると愚かな一面もあって、それを見過ごしているのは優しさか億劫さか。若い頃は潔癖だったり、正義感で許せないこともあったが、年をとるとずるさが賢さだったり、正論が必ずしも正...続きを読むしいとは限らないと知って、こうぐっと飲み込む思いがあって、そういうのがこの短編集の中には散りばめられていた。十年後読んだ時にどの話にぐっとくるのかが楽しみに思う。

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Posted by ブクログ 2022年08月14日

何でしょう?
日常の少し嫌な、モヤモヤすることの集合体のような短編集でした。読後感は正直あまり良くはない。
ともすれば、日常に埋もれて流れていってしまうささくれのような出来事をこんなに拾って詳らかにできることがすごいと思う。
普段の生活にどれだけ気を配って生きていた方なのだろうと感じました。

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Posted by ブクログ 2022年07月24日

書店で、綺麗な赤の装丁の『プレミアムカバー』として売っていた。他に並んでいたのは、梶井基次郎の『檸檬』ほか、錚々たる作品ばかりなのに、向田邦子作品の代表作であろう本作の名前も知らなかったので、思い立って読んだ。

各作品とも、二十頁にも満たないのに、切れ味鋭く、大人の作品という感じ。

13作(なの...続きを読むでトランプ)のうち、一番印象が強いのは、『かわうそ』。奥さんの「獺祭ぶり」が怖い。

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Posted by ブクログ 2022年05月04日

何かしらのうしろめたさを持ったような人物を描いた短編集。あまり印象に残らない話が多い。そして雰囲気が暗い。
男がスナック通いをしたり浮気をしたりという描写が非常に時代を感じる。向田邦子も古くなったのだなあ。
ちょっとした発言が感情に及ぼす波紋、みたいな表現はうまいと思う。

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Posted by ブクログ 2022年02月18日

小説は「起承転結」で物語の抑揚をつけて、最後はスッキリ終わるのが多いですが、
向田邦子さんの小説は「起承転k」ぐらいで終わる
10段階で言えば7.5とか
それを不完全燃焼と思わせないのがすごい
あとは読者の想像にお任せします、みたいな
細かい描写から丁寧に説明してくれる小説はあるが、ここまで説明しな...続きを読むいのも面白い
説明し過ぎて、読者の感想なども説明してるお節介な小説も多いのに
空白の多い小説というか、余韻を残す小説というか。

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Posted by ブクログ 2022年01月12日

サクッとよめる分量の文章だが、ひとつひとつに重みがある。
なにかが起こるわけではいのに、ズシッとくる。身近なものという感じ。

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