あらすじ
浮気の相手であった部下の結婚式に、妻と出席する男。おきゃんで、かわうそのような残忍さを持つ人妻。毒牙を心に抱くエリートサラリーマン。やむを得ない事故で、子どもの指を切ってしまった母親など――日常生活の中で、誰もがひとつやふたつは持っている弱さや、狡さ、後ろめたさを、人間の愛しさとして捉えた13編。直木賞受賞作「花の名前」「犬小屋」「かわうそ」を収録。
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Posted by ブクログ
短編集、どれもはっきりした結末はない。
他の方のレビュー通り、とてつもない昭和感、こんな時代もあったな…今はハラスメントを恐れるあまり何も口に出せなくなってることを感じた。
どれも展開が読めず最初のかわうそ、ユーモアがありかわいい妻は、脳卒中で不自由になってきた夫の知らないところで何を企んでいるのか、そんなことを考え中、妻が外から戻り同時に
『写真器のシャッターが下りるように庭が急に闇になった』これを51歳で亡くなるまでの間に執筆したとは驚く。
りんごの皮の入場券の話、全く分からず調べた。
Posted by ブクログ
旅先で手に取って読み始めた本。向田邦子の作品は初めて読みました。
家族、夫婦、身近な人の人間性や感情の機微が繊細に描かれていると感じました。「大根の月」が、自分の中では一番忘れられない作品です。健太を怪我させてしまう場面は、情景が生々しく伝わってきて、心が苦しくなりました。冒頭の指の文字を英子が追ってしまうところは、辛く忘れられない出来事やトラウマに対して、人がどうなるのか、どう向き合っているのかを的確に描いていると思いました。
直木賞を受賞した「かわうそ」、「犬小屋」など、ホラーや怪談、ミステリーでは味わえない独特の怖さを感じて、背筋がぞっとしました。