向田邦子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
小説というよりは、ト書きが地の文になった台本みたいな感じ。
台詞がテンポ良く行き交い、地の文にもほとんど接続詞がつかず、じっくり味わって読むというよりも文章に引っ張られて読んだ感じ。
ドラマを見ていたわけではない私でも、なんとなく人物の動きが目に浮かぶのは、やはり脚本家としての力なのだろう。
しかし、寺内貫太郎一家って、昭和のいつ頃が舞台なのだろう?
私は昭和40年代くらいかと思っていたのだけど、そうすると、日常的に着物を着ている女性の多さや、お手伝いさんのいる生活っていうのがちょっとピンとこない。
私が知らなかっただけで、普通だったのかしら?
私が子どもの頃、友達のお母さんたちは洋服だったよなあ。私の母も。
両親と祖母、23歳の娘と20歳の息子。
料理は母が、買い物は姉娘が行っている家庭で、お手伝いさんは何をやるんだろう?
中途半端に近い時代なので、逆に変なところがいろいろ気になってしまったのは残念。
でも、時代とは関係なく、寺内貫太郎はいい男だ。
家族を殴るのはよくないけど、不器用で生真面目で人の心の機微に長けていて、何より奥さんに惚れていて。
お手伝いのミヨちゃんが思いのほかトラブルメーカーで、貫太郎に腹を立ててハンストをしたり、気を使って親の命日を内緒にしたばっかりに、堪えきれなくて家を飛び出す羽目になったり。
家族が互いに互いを思いやる姿が、温かくていいのだね。
ミヨちゃんも家族なのよ。
娘の恋人の連れ子も、面と向かっては認めないけど、心の奥では家族になっちゃってるのね。
いい男だなぁ。 -
Posted by ブクログ
昭和に放送されたドラマの原作。その読みやすさとセリフ回し主体の構成は「原作?ノベライズでないの?」と思うくらい情景が浮かぶ。最初の登場人物紹介はまるでオープニングテーマが頭に浮かぶようだ。
下町人情物語だがこの平成の世の中では、またいい感じに熟成されて内容を堪能することができる。高度経済成長で移り変わる価値観の中で翻弄される一家。職人気質で頑固な寺内貫太郎だが、娘、息子が新しい価値観を家庭に持ち込み騒動を起こす、というプロットは現代でも描かれる親と子のコミュニケーションの物語だ。
しかし、今の時代から見てこの時代の家庭のなんと盤石で温かいことか。昭和ではトラブルと問題だらけのような家庭でも今の世の中から見れば温かさに満ちあふれている。現代にこのような光景は残っているのだろうか。 -
Posted by ブクログ
表題作の『隣りの女』。
この文庫の初版は1984年。
時代は変わっていると思うけれど、作中の場面設定をちょこちょこ現代に置き換えるだけで、
今でも十分起こり得るような内容なのかもしれないと思いました。
人間って四半世紀やそこらじゃ大きく変わらないのかもしれないです。
『胡桃の部屋』は、「女としての本当の気持ちを封じ込め、身も心も固く鎧ってすごした」主人公桃子のお話。「女だてらに父親気取りで、部隊長みたいな顔をして、号令かけて-」「うちのため、母や妹弟のため」「着たいものも着ず、恋も諦めて」頑張ってきたのに、家族は・・・。
この桃子ほどではなくても、
責任感持って頑張らなきゃ、頼りにされてるから期待を裏切れない。
とひとり思いこんで頑張ってしまっていたことを思い出しました。
桃子の先のことは描かれていませんが、頼れる相手を見つけて穏やかに過ごしてほしいと願わずにはいられません。 -
Posted by ブクログ
昔この方の父の詫び状を読んだことがあります。面白くて懐かしくてどこか切ない。そんなことを思った記憶があります。良く聞く作品だし読んで見ようかな、と古本屋で購入。う~ん。出だしに役者さんの配役を書いていただいても時代が違うので(その前にテレビをあまり見ないので)俳優さんがわからない… その中で岸本加世子さんはかろうじて分かるのですが… 今の年齢で考えてしまうので18歳の彼女のイメージではなく…
コレは良し悪し、だなあ、と思いました。
自分なんか周囲の男性陣を見ておりますと男性って実は女性と居るよりも気の合う男性と居た方が楽しいんじゃないかな、なんて思うことが時々あります。若い女の子をからかって楽しんで、でも実は真面目な話とか仕事の話とか人生の話とかは男友達と語っていて女性にはあまり込み入った話をしてくれない、と言うか。まあちょっとしたやっかみなのかもしれないのですが。
自分の経験だと女友達はどちらかと言うとマメにコンタクトを取らないといつの間にか忘れ去られていて○年か後に会ったときもとの友達づきあいに戻ることが出来なかったり、出来ても苦労したりするのですが男性はその辺りあっけらかんとしていて興味が違えば友人も代わる。状況が変われば又友達になれる、と言うようなイメージが強いのです。まあ自分は男性ではないので本当のところは分かりませんけれど。
コレは男女が反対では無理なんだろうなあ。面白かったです。確かに続きが見たかったなあ、と思うのです。 -
Posted by ブクログ
あまり人にはお勧めできない話だなと思った。それはこの本が面白くないからじゃなくて、あまりにも読み終わったあと切なくて悲しい気持ちになったからだ。こんな恋なら知らないほうがいいんじゃないか。そうとさえ思うのだが、そんな恋もここでは大切なものとして描かれている。本音を押し殺す女と、本心の見えない男。そんな男女が織り成す恋はどれもほろ苦くて危うい。
向田邦子のエッセイのユーモアあふれる潔い感じが好きで読み始めた本作だったが、あのユーモアと潔さの影には笑って自分をはげましたい、桃子のプライドのようなものがあったのかなと思った。そのプライドは胸が苦しくなるほど孤独で純粋で綺麗だなと思う。