あらすじ
傲慢な舅と夫、生さぬ仲の二人の息子に仕えて十三年、家族の心に先妻が入りこんでいることを知った後妻は……。向田ドラマの傑作
幼い男の子二人、そのうえ厳しい舅姑までいる黒沼家の後妻に入った朋子は、十三年にわたって主婦になりきろうと努力してきた。しかし、夫の謙造と次男が前妻恒子と密かに会っていると知り、衝動的に家を飛び出してしまう。家族の愛憎とエゴを通して、様々な家のあり方を描き続けた著者による一つの家庭の崩壊と再生の物語。
文庫版 2000年7月 文春文庫刊
この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
13年前に家を出た前妻。その前妻の口利きで仕事を落札し、重役昇進した夫。一方、その後、家に嫁いだ人妻は、残された男の2人は育て上げていた。収賄容疑で会社を追われる夫、13年前に家を出でた前妻の本当の理由とは。
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ドラマの感想として
もう向田邦子さんに感動できないかもしれないという少しの不安を抱きながら見始めたドラマ。
でも、一夜で14話全部見尽くした。面白くて止まらない。
やはり、セリフ、キャラクターの吐くセリフ!
素晴らしいなー
ナレーションの入れ方も勉強になる。
Posted by ブクログ
再読。崩壊の予感が漂う家族が何とか危ういバランスを保っていたのについに崩壊してしまう。そして新しい形で再生する。崩壊へのおどろおどろしさと再生へのすがすがしさ。それを無理なくつなげる見事さ。昭和という時代の家族だから成立する物語なのか、時代を超えてもあり得るストーリーなのか。向田さんが長生きしていたらどんなホームドラマを書いたのだろうと、仕方のないことをついつい考えてしまう。
Posted by ブクログ
テンポ良く場面が変わって
すぐに引き込まれる。
読みはじめたらどんどん読み進めてしまう。
向田邦子は文章が上手だなと思った。
家族なんてそんなもん、
毎日顔突き合わせていれば...
とあってから
それでも血の繋がりは濃いのだと。
そして同時に
血のつながりなどなくても
強いなと。
女の狂気
男のわがまま
愛とは醜く哀れなものだな
Posted by ブクログ
母親という地位は、産みの親か育ての親か。
重く歪な内容に見えて物語の進行は、ドラマを見ているようにトントン拍子に進む。
13年間血の繋がらない子供2人を育てた朋子。
そして子供を産んで家を出た垣子。
この2人の母親や女としてのプライドをかけた水面下の争いを描きつつ、家族の在り方を説いている物語。
物語で様々なことが起こる。
まさに「一難去ってまた一難」の言葉がピッタリだ。
その中で織り成す愛憎劇やスレ違いから起こる誤解や真実、登場人物たちの心模様やテンポ良い会話など、ドラマを見ているようで楽しく読めた物語。
この物語を読んで感じたことは、家族という1つの形を継続していくためには、みな一人一人が良い意味で犠牲にならなくてはならない。ということ。
全員が全員、我を通してばかりでは家族というものは成立しない。協力しなくてはならない。
読みながら切にそう感じてしまった。
Posted by ブクログ
「向田邦子」の脚本で1970年台後半にテレビドラマ化された、、、
『家族熱』の文庫本を読みました。
愛憎とエゴをむき出しにした心理描写はお見事。
「向田邦子」って人は、人の心を見透かしていたんじゃないか… と感じさせるような描写です。(読みながらココロに痛みを感じちゃいます)
読んでいると、少しずつ感情移入してしまい、リアルな心理描写に不快感を感じるのですが、、、
先を読みたい欲求を抑えられない… って、感じの作品でしたね。
男女間、家族間の人間模様の描写は、背筋が冷たくなるような… ホントに文書に迫力を感じましたね。
エンディングは、好みの分かれるところですけど。
ちなみに、、、
ドロドロした人間模様の描写が好みでない方は、不快感を感じるだけなので、オススメしません。
Posted by ブクログ
先妻の登場により、家族がだんだん壊れていくさまが描かれてる。先妻が精神病になり長男が最後引取り暮らしていく。最初、最終的には朋子と血のつながってない長男の杉男が男と女の関係になるのかなぁ〜と思ったけど、そのような3流映画のような結末にならなくてよかった。