向田邦子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレやっぱりムシが知らせたんだねと思ってしまうっていう話。
何となくの読まず嫌いで触れずにきた向田邦子作品だったけど、初めて読んでみて天才だと思った。
他のエッセイはもちろん、エッセイ以外の作品も読みたい。
p. 213このところ出たり入ったりが多く、一週間に一度は飛行機のお世話になっていながら、まだ気を許してはいない。散らかった部屋や抽斗のなかを片づけてから乗ろうかと思うのだが、いやいやあまり綺麗にすると、万一のことがあったとき、「やっぱりムシが知らせたんだね」
などと言われそうで、ここは縁起をかついでそのままにしておこうと、わざと活ないままで旅行に出たりしている。
p. 293あの頃は、先生というのは、本当に偉く見えた。
短気ですぐ手を上げる先生もいたし、えこひいきをする先生もいた。鼻をたらした少し頭の弱い生徒に意地の悪い先生もいた。
だが、私たちは先生を尊敬していた。
先生は何でも知っている人であり、教えてくれる人だったからであろう。
今は、先生よりもっと知っている人がたくさんいる。
昔は塾もなく、家庭教師も、テレビもなかった。親も今ほど物知りでなく、掃除洗濯に追われて不勉強だったから、ひたすら先生を立てていた。すこしぐらい先生が間違えても、文句を言わなかった。
先生を偉いと思い、電話口で被りものを取って正座するのは、私たちの世代でお仕舞いなのであろう。 -
Posted by ブクログ
40年以上前が舞台なので価値観や男女観は当時のままなのだが、嫌味な押し付け感やジャッジがない。昔の男性文豪の小説を読むときに感じる嫌ったらしさがない。女性の描く女性と男性の描く女性ってやっぱり違うなあとしみじみ。
そして向田邦子が凄いのは、古くなっていないところ。時代の流れで移り行く価値観よりももっと深いところにある家族の愛憎が、淡々としたなかにもしっかりと描かれていて沁みた。何気ない会話に味があって本当によかったなあ。
Netflixのドラマも1話観てみたけれど如何にも演技している演出が原作のイメージとあってなくて残念だった。本の方がおすすめ。 -
Posted by ブクログ
向田邦子さん……良かったなぁ!!
今から40年以上前の作品にもかかわらず、全然、
色褪せてなくて、多少の昭和感があっても、逆にエモい感じが堪んないっ❤️
短編小説とエッセイで構成されているのですが…
エッセイが素晴らしいのです。
もちろん短編も素敵です。
ハンディキャップを持った同級生とその母親とのエピソードが語られる『ゆでたまご』。
旅も恋も、そのときもたのしいが、反芻はもっとたのしい…という『反芻旅行』。
妹さんの疎開先から送られてくる『無口な手紙』。
ひとり暮らしをはじめて「お行儀」が悪くなってしまったことに気づいてしまった『独りを慎しむ』。……と素敵なエッセイばかりです。
「お行儀良くしなさい」はわたしも祖母によく言われたなぁ。お行儀よくしなくっちゃね!
素敵な向田邦子さん。
「男どき女どき」の再読はもちろん、これからもどんどん読んでいきたいと思いました。