あらすじ
向田邦子2冊目の随筆集。「荒城の月」の「めぐる盃かげさして」の一節を「眠る盃」と覚えてしまった少女時代の回想に、戦前のサラリーマン家庭の暮らしをいきいきと甦らせる表題作をはじめ、なにげない日常から鮮やかな人生を切りとる珠玉の随筆集。知的なユーモアと鋭い感性、美意識を内に包んだ温かで魅力的な人柄が偲ばれるファン必読の書。文字が大きく読みやすくなった新組版。
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向田邦子さんの魅力が溢れんばかりの随筆集。この人柄からこの文章ありという感じで、とにかく面白くて、しかも文章表現が巧みで飽きがこない。ありきたりでない比喩表現は天下一品。読んだ後に余韻を感じ、また読みたくなってしまう。その理由は、美しい日本語の使い手であるからだと思いました。文章の素晴らしさもさることながら、映像を見ているかのような錯覚に落ちいる自分もいました。テレビドラマ脚本家であった向田さんの実力であると、合わせて思ったしだいです。
谷川俊太郎さんが登場する随筆があるのですが、その登場の仕方の描き方は、上手い!としか言いようがなかったです。男性鑑賞法と題しての随筆では、登場した男性の皆さん、こんな風に文章で表現されたら、恥ずかしいやら嬉しいやらで、天にも昇る気持ちになったのではないかと思われます。最高級の賛辞でした。
以前、黒柳徹子さんの著書で、お2人がお友達関係であったことを知りました。両者共に天才的なユニークさをお持ちです。仲が良くなるはずだと合点がいきました。
たくさんの随筆を読み進める中で、少し前の私自身のことを言い当てられているような文に出会い、ちょっとドキッとしました。
「人は一生の間にどれくらいの本を読むものか知りませんが、どうも女は、自分の好みのごく狭い枠の中で、似たようなものを読んでいるように思います。たまには思い切って、全く別の世界のものにとりついてみたらどうでしょうか。」
「一冊の辞書はスリ切れるまで一生使う。そして、あとは、ベストセラーばかり追いかけずに、なるべく人の読まない本、むずかしくてサッパリわからない本を読むのも、頭脳の細胞活性化のためにいいのではないかと思います。」
向田邦子さんの有難いお言葉、しかと心に刻みました。
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向田邦子の何がすごいかというと、つかみの文章がうまいというのもあるけれど、この人間観察力と独特な自己分析だろう。
普段小説などはあまり読まないが、読んだとしてもSFか歴史小説が多いので、こういう人の心の機微をとらえた文章をたまに読むと新鮮だ。
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向田邦子さん、改めて素敵な女性であると認識しました。リズム感のある文章だから、さらっと読めてしまうのだけど、はっとすることが随所にありました。
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大好きな向田邦子さんの「眠る盃」を久しぶりに手に取る。
冒頭に「潰れた鶴」という話がある。ずいぶん若い頃に初めて読んで以降、頭の片隅にずっと残っている。仕事中ふと蘇っては、自分のことだと戒めになるのだ。
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電話は固定してるのが当たり前であった時代、平成という時代も、携帯もパソコンも見ることはなかった向田邦子さん(1929~1981)の「父の詫び状」に続く二冊目のエッセイです。「眠る盃」、2016.1発行。一人暮らしで猫と一緒に暮らす粋で上品な独身女性の生き方を楽しく拝見しました。眠る盃、噛み癖、夜の体操、字のない葉書、抽出しの中、恩人、鹿児島感傷旅行など、とても面白かったです。
向田邦子 著「眠る盃 新装版」、2016.1発行。第1部のエッセイはお馴染みのエッセイ集ですが、第2部の男性鑑賞法や第3部については、感心が薄いのでさらっと流しました。やはり、眠る盃、噛み癖、字のない葉書、Bの二号さん、抽出しの中、恩人、うしろ姿、鹿児島感傷旅行など、読んでて、さすが向田さんのエッセイだと感じます。
独り暮らしで猫と一緒の独身女性だった向田邦子さん(1929~1981 享年51、没後40年)、2冊目の随筆集「眠る盃」、1979.10刊行、2016.1新装版、再読です。眠る盃、噛み癖、字のない葉書、猫自慢、鹿児島感傷旅行・・・、何度読んでも素晴らしいです。
♪~春高楼の花の宴 めぐる盃かげさして 千代の松が枝わけ出でし むかしの光いまいずこ~♪ 24歳で早逝した天才滝廉太郎(1879~1903)の名曲「荒城の月」、大好きな曲です。電話は固定されたものが当たり前、携帯はなく、パソコンも普及していなかった時代をさっそうと生き抜けた向田邦子さんの名調子、「父の詫び状」に続くエッセイ、「眠る盃」2016.1発行。知的ユーモアと鋭い感性、温かで魅力的な人柄が詰まった55編のエッセイです。「向田邦子は突然あらわれて、ほとんど名人である」(山本夏彦)よくわかります!
向田邦子さんの「眠る盃」(2016.1)、何度か再読しています。著者の2冊目の随筆集。今回、私のベスト10を選びました。(ページ順に:)潰れた鶴、眠る盃、夜の体操、字のない葉書、能州の景、Bの二号さん、猫自慢、抽出しの中、恩人、鹿児島感傷旅行。
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なんでもないような日常の一コマや、記憶の片隅に残っていたことを丁寧に掬い上げて、細部まで観察し、優しい視点とユーモアで包みながら、鮮やかに書き(描き)きる軽妙な筆致。スゴい。
もっと若い頃に読んでおきたかった。
読めて良かった。
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読みやすくて面白くてあっという間に読めてしまった。向田邦子さんの文章は無理なく親しみやすい印象があって好みだ。
愛情深い人だなと感じるのはやはり動物に対する描写のせいかな。湿っぽくないギリギリのところで感情を表すのがうまい。
昭和ってこういう時代だったのだと伝わってくる。時代が変わっても人間は変わっていないと感じる部分もあり、それが温かい。
芸術の話や食レポだって面白いし、二年間住んだだけという鹿児島の思い出なんかは何年分の厚みがあるか。読めばみんな好きになってしまうんじゃないかな。
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向田邦子エッセイ集。今読んでいても全然色あせることがない。向田邦子さんの人となりも、すけてみえてきて、ますます向田邦子ファンになってしまいます。
今の日本人は変わってしまったのだろうか。この一冊の中には、よく言われる古き良き日本人が詰まっています。
なつかしい!
学生時代に向田邦子さんの作品を楽しんでいました。この短編集の中のあるエピソードが気になって、この度久々に再読しました。向田さんって、ほんとにユニークな人なんだな、と再確認しました。短編集なので、暇なときにパラパラと気に入ったエピソードを読むことができます。
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とても、面白かった〜!
時々、難しい表現や漢字(自分の勉強不足ですが)があったりしますが。
真っ当な感覚をもちながら、思いがけない出来事をユーモアたっぷりに捉えることのできる素敵な方だなぁと思いました。
その対比がとても面白かったです。
「今」のエッセイがよみたかったなぁと心から思いました。
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絵本『字のないはがき』がどうも私の中でしっくり来なくて、あらためて向田邦子さんの原作が読みたくなり購入した本です。
なにげない日常が文章によってかけがえのない日常になっている気がしました。
祖父のことを書いた文章の最後の一文が、祖父の名前で締めくくられているところが好き。
他にもたくさん好きな部分があって、思わず書き留めたものも。
以前読んだ『父の詫び状』でも、この本でも飛行機についての記述があることに少しドキリとしてしまう。
全て私が生まれる前に書かれた文章。
ちょっと時代を感じる表現はあるけれど、古くさくない感性、ユーモア、そして謙虚な姿勢。
うまく言えないけど、読んで良かった。そう思える一冊。
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『父の詫び状』に続く、二冊目のエッセイ集。
非の打ちどころのない名作エッセイ集である『父の詫び状』に比べると、古い文章や雑誌向けに書かれた男性批評シリーズみたいのも載っており、クオリティはいささか落ちる。
しかしそれでも研ぎ澄まされた文章と、あくまで謙虚な姿勢で自分の経験を鮮やかに語る語り口は見事である。
Posted by ブクログ
ちょっと前に読んだ
なんだかんだ初っ端の「潰れた鶴」が一番刺さったしすきだな
そして今さらだけど「字のない葉書」は実体験だったのか…かつて教科書で読み、数年越しにTwitterで再び目にして、自分の中に確かに眠ってた記憶が呼び起こされて、ここまで来た 辿り着けてよかったな
Posted by ブクログ
随筆とかエッセーの類は大体が詰まらないものと相場が決まっている。でも偶に買う。長編小説を読み終わった後のお口直しかの様に。
向田邦子ととは匕首が合うというのか?愉快だった。「字のない葉書」は泣いちゃった。そして「国語辞典」にこんな事が書いてある『人の読まない本を読め』と書いてある。
そだね!今度そうしよう。カーリング、銅メダルおめでとう