あらすじ
気に入った手袋が見つからなくて、風邪をひくまでやせ我慢を通した22歳の冬以来、"いまだに何かを探している"……(「手袋をさがす」)。凛として自己主張を貫いてきた半生を率直に語り、人々のありふれた人生を優しい眼差しで掬いあげる 名エッセイの数々。突然の死の後も読者を魅了してやまない著者最後のエッセイ集。文字が大きく読みやすく、カバーの絵も美しくなった新装版。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
定期的に読みたくなる向田作品。
没後もう40数年も経ってしまったのかと
ふと思い出した。
こちらの本を購入していなかった事を
思い出し購入後直ぐに一気読みした
毎回の事だけど向田さんの作品は
読み始めるといつもノンストップ。
止まらないと言うより止められない。
今回も同じくで、新装版を読んだのですが
太田光さんの後書きを読み、芸人としては
あまり好きじゃない(ごめんなさい)のだけど
生粋の向田邦子ファンなのを知って
見方が変わりましたし何故か涙が出ました。
いや、かっこいい。
そこから派生して、太田さんが書いた
「向田邦子の陽射し」も読む事になりそうです
これだから読者はやめられませんね。
Posted by ブクログ
向田邦子さん最後の随筆集。どうしてこんな文章を書けるんだろうという衝撃に打ちのめされながら読んだ。自分のこだわりを貫き、納得した物に囲まれて生活しながらも、いまだに何にも満足できずどこかあの時の手袋を探している向田さんの話。人間の感情の機微、明るさの中に憂いを纏った文章、全て人間をよく捉え、昇華させる事ができる故の幼少期からの感性の賜物だと思った。何度も読み返したい大切な一冊になった。
編集
Posted by ブクログ
p79だけでいいから読んで欲しい。
ーーことばのお洒落は、(中略)無料で手に入る最高のアクセサリーである。ーー
読書好き、読書を始めたい、そんな方に絶対に刺さるエッセイが、たったの1ページに凝縮されています。
その他、背筋がしゃんと伸びることばの数々が詰まったエッセイです。
読書好きの友人にもプレゼントした、私の相棒の一冊。
Posted by ブクログ
向田邦子の最後の随筆集。
あちらこちらに、古き良き日本の息遣いを感じ、忘れかけていた男の優しさとは何かを再確認してしまいます。
言葉遣い、人間描写が巧みであり、間違いなく、向田邦子さんの本は、何回も読み返す事になるのでしょう。
向田さんは、だったひとつ私の財産といえるのは、いまだに手袋を探しているということと、かいておられます。ドンキホーテの歯車のように、運命の神様にゴマを剃らず、すこしばかりけんか腰で、欲しいものを探し歩く生き方を誇りに思っているとのこと。そんな向田邦子さんを愛し、憧れを抱きます。
Posted by ブクログ
何度読んでも好きな本のひとつ.
この本が好きな人とは、気が合うと確信している。実際
好きな友達はこれが好き。
丁寧な生活
私欲への感謝など、親しみやすい.徳な昭和な人たちにとっては!ら
Posted by ブクログ
「手袋をさがす」にとても共感をしました。
納得いかないことが色々あります。妥協できない欲深い自分を反省するのはやめて、それが自分だと潔く認めて生きていこうという清々しさをかんじました。
Posted by ブクログ
感動したんですよ。好きで書き留めた言葉がいくつもありました。
今、Pairsのプロフィールに書いているのが「七分が粋で、三分が野暮」です。すみません、実際の俺は「七分が野暮で、三分が粋。いや、それ以下か」なのに。
この装丁と相まって、ほんと永遠に残したい一冊ですね。
そうしみじみと読み終えようとしたところ、解説が太田光さんでした!私は太田さんが大好きなのですーーー。
確かに、太田さんが向田邦子さんファンというのは、何かで見たことがありました。でもね、もう自分が向田さんのエッセイで感動していた矢先に、自分が好きな太田さんが子どもの頃から温め続けている向田さんへの思いを綴った解説を読むとね。もう二度おいしいというか、もう昇天してしまうわけです。
なんだろう。人と、しかも好きな人と、感動を分かち合えることの喜び!!!
Posted by ブクログ
〇木を書かなかったのではなく、書けなかったのだ。(p15)
☆育っていくものを朝晩眺める視線が暮らしになかったと書いている。見ていないものは書けない訳だ。この本にもだが、向田邦子さんのエッセイの中には食べ物の話がよく出てくる。暮らしに根付いているものが書ける。
〇女学生と呼ばれた五年間をふりかえって、まず思い浮かぶのは、スカートの寝押しをしている自分の姿である。(p555)
☆思い出した。そんなことをしていた時期があったな。スカートの襞なんて本当どうでもいいのに(と今の私は思う)そういう細かいところが全てだと、思ってしまう年代。
〇「無料(タダ)ですよ」(p78)
☆渋谷駅で「渋谷一枚!」と叫んだ向田さんに対応した駅員さんの話。こういうお洒落な言葉がつかえるようになりたい。
〇「食らわんか」(p124)
☆一番面白かった。
おいしいものは、面白い。
塩味をつけた卵を支那鍋で、胡麻油を使ってごく大きめの中華風入り卵にする。食べたい。
のりごはんもいい。
ごはん+かつおぶしを醤油でしめらせたもの+のり
を3回繰り返す。
これに向田さんは肉の生姜煮と塩焼き卵をつけるらしい。最高ではないか。
〇点は、つまり部分は線の全体を当てることがあるのだ。(p225)
☆だから、細部まで気をつか。
相手のどこを見るか、というのもあるだろう。
今日の私はどうだっただろうか。
〇私は子供の頃から、ぜいたくで虚栄心の強い子供でした。(p257)
☆自分のことをこんな風に言えるってすごい。
自分はどうだろうか。全く、全くもって、言えない。
ぐじぐじしていて、感じの悪い子だったような気がしている。なんであんなだったのだろう。で、今も。
良い人であろうとしているところがそもそも嫌だ。そして、そうなれないところも。
〇私は、どちらかといえば負け犬が好きです。(p277)
☆3年、5年を無駄にしたとしても、60年、70年の人生にとってひっかき傷ほどにもなりません、と言えると同時に、自分にとって濃い時間の使い方をしたいと最近切に願う。
そして、それは、どうすると濃くなるのかは、人によって違う。充実してそうに見える人のライフスタイルを真似しても、むなしくなることが最近ようやくわかってきた。人と比べない。自分の中との反芻、そして、日常を生きることが、今の私にとっての充実と言えるのかもしれない。
周りで起こっている出来事を大切に受け止めたい。
SNSに惑わされない。
ラインにつきっきりにならない。
合理的をやめる。
今までが合理的すぎたのだ。
Posted by ブクログ
向田邦子の長女らしい感覚が好きで、小説エッセイ、ほぼ読破したなかで、一番好きなのが、この夜中の薔薇に収められた「手袋をさがす」。
まるで自分のことを言われているようでハッした。そしてまだ、私は手袋をさがし続けている。
Posted by ブクログ
自分の事をいつも客観的に眺めている作者ならではの鋭くでも温かくもある文章は引き込まれる。
気に入る手袋を見つけるまでは手袋をしないという
全てにおいての凛としたこだわりは憧れる。
そして人生は失敗と寄り道こそが醍醐味と気付かされる。
Posted by ブクログ
私はこの人の感性が好きだ。1929年生まれ。和暦だと昭和4年生まれ。今生きていれば95歳。私の亡くなった祖母と同世代。当時キャリアウーマン(すでに死語か?)として女一人で生計を立てるというのはかなり珍しくて新しい生き方だったと思う。少なくとも私の周りにはいなかった。
この本の中で性差による「らしさ」についてたびたび語られている。今どきの人は嫌悪感を示すのだろうかと思いながら読んだ。ジェンダーレスが叫ばれ「男らしさ」とか「女らしさ」とかいう言葉さえ使うことが憚られる世の中になってしまった。
私自身は、性別によって権利とか機会を奪ったり差別したりすることは間違っていると思うが、男らしさとか女らしさとかは、そもそも男女は生物学的に構造や役割が違うのだから、あって当然だと思う。そして良いとされる「らしさ」は歴史や文化によって考え方が違うと思う。(LGBTはまた別の話)。
そういう意味でもこの人の文章は受け入れやすい。日本で戦前に教育を受けた人の考え方であるが、スッと入ってくる。男だからそんなこと言えるんだと思われてしまうかもしれないが、女性の向田さんが言っているのだから心強い。
Posted by ブクログ
短編のエッセイ集、私にとって初めての向田邦子作品です。言葉ひとつひとつが正直で分かりやすく、尚且つとてもおしゃれで、他の作品も読みたくなりました。
爆笑問題・太田光さんの解説もとても良かったです。定期的に読みたい本に出会えました。
Posted by ブクログ
戦時中のエピソードから思わずいい匂いのしてきそうなご飯のお話まで、盛りだくさんのエッセイ。
芯のある美しい文章で、また読み返したいなと思います。
Posted by ブクログ
手袋をさがす。ないものねだりかもしれない、けれど好奇心を持って周りを探し続ける。満足できなくて常に不満を持っているかもしれないけど、探し続ける自分に誇りを持っていいんだと思えた。
時計なんか怖くない。時間を合理的に使うことは、時計の奴隷になっているだけではないのか。人生の大きな時計で計れば、若い時の時間を無駄にしてしまったという絶望も、ほんの短いステキな時間ではないか。一生懸命生きていればどんな時間も無駄ではない。そう思えるように生きていきたいな。
Posted by ブクログ
エッセイを久しぶりに読んだ。
昔エッセイストになりたいと思ってたことを思い出した。エッセイはその人がそのまま出る。
我ながら畏れ多いことを考えてたものだ。
著者のドラマは、細かな描写、心の内側が現れる仕草などが、繊細で物凄いものがあるな、と昔観て思っていたけど、このエッセイを読んでなるほどと納得した。
Posted by ブクログ
1981年8月22日に飛行機事故で亡くなられて、今年で没後40年の向田邦子さん。
今作は編集の途中でお亡くなりになった向田さんへの、編集者たちからの追悼の気持ちの込められたエッセイ集とのこと。
家の冷蔵庫にビールを欠かさない程の酒豪。
打ち合わせ等でご自宅は常に来客が絶えない。
向田家の手料理・海苔弁、葱雑炊、麻布の卵、枝豆の醤油煮等も食べたくなるものばかり。
向田家の台所がTVドラマを観ているように、目の前に浮かんでくる。
特に印象深かったのは『手袋をさがす』。
向田さんの若い頃から培った信念がよく分かった。
妥協しない潔さ。
熟考に熟考を重ねて、でも結論はさっぱりと。
向田さんの自分に嘘のない生き方に共感しきりだった。
そして『時計なんか恐くない』。
どんな毎日にも生きている限り無駄はない。焦りも後悔も貴重な栄養。
向田さんのどこまでも前向きな考え方を改めて知り、泣きそうになった。合掌。
Posted by ブクログ
エッセイにハマるきっかけになった本です。
実体験をもとに著者の絶妙な視点からコメントが入る。
頭の中でその情景が想像でき、感じることがとてつもなくたくさんありました。
日常に生きる上で大切なことがたくさん潜んでいる、そんなことを教えてくれる本でした。
Posted by ブクログ
木製のまな板と、菜切り包丁がぶつかり合う音で目を覚まし、
顔を洗ってるときにはかつお節の匂いがする。
なんてことない、けどそれが一番の幸せだと、大人になってから気づく。誰かにそんな想いをしてもらえるような暮らしがしたい。
爆笑問題・太田光のコメントがよかった。
Posted by ブクログ
言葉は怖ろしい。私も言葉で人を傷つけては反省する。詫びる事なく時間が過ぎ去るのを待っている姑息な面も懐中に潜ませている。そして言葉は時折喜びや感動を享受する。だから言葉は愛おしく、人を傷つけず言葉と共に生活を過ごす日常へと勤しむ。それが著者・向田邦子の享年と並ぶ歳となった私の憧れ。
Posted by ブクログ
古さを感じさせず、読みやすい。
時代を先取りしていた、はっきりとした女性だと思った。
「手袋をさがす」で書かれた向田邦子二十二歳の転機が良かった。
Posted by ブクログ
向田邦子さんの執筆中の事、旅行、業界の方々の話。興味ひかれる語りが沢山詰まった一冊です。人の描写が面白くてつい読み進めてしまいます。何より、向田さんの料理の話が凄く美味しそうでレシピを思わずメモしました。簡単で美味しそう!
Posted by ブクログ
手袋をさがすだけ授業で読んだ。彼女と考えは近いけど、理解されないながらも徹底した楽天主義を貫けるというのが素晴らしい。こうなりたいなあと思う。
Posted by ブクログ
私は向田邦子さんの脚本を知らない世代だ。どんな方だったのかなと知りたくて読んでみた。
第一印象はクセが強そう。
第二印象は丁寧に生活してそう。
意外だったのが、やりたくて脚本書いてる訳じゃないという点。爪を噛みながら苦しみながら傑作を生み出してきたのかな。
途中から料理の描写が多かった。同じ内容のものもあったりして、読み比べてみたり。
書くことに悩んだら料理のネタというのは、昔から変わらないのかも。