あらすじ
気に入った手袋が見つからなくて、風邪をひくまでやせ我慢を通した22歳の冬以来、"いまだに何かを探している"……(「手袋をさがす」)。凛として自己主張を貫いてきた半生を率直に語り、人々のありふれた人生を優しい眼差しで掬いあげる 名エッセイの数々。突然の死の後も読者を魅了してやまない著者最後のエッセイ集。文字が大きく読みやすく、カバーの絵も美しくなった新装版。
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Posted by ブクログ
1981年8月22日に飛行機事故で亡くなられて、今年で没後40年の向田邦子さん。
今作は編集の途中でお亡くなりになった向田さんへの、編集者たちからの追悼の気持ちの込められたエッセイ集とのこと。
家の冷蔵庫にビールを欠かさない程の酒豪。
打ち合わせ等でご自宅は常に来客が絶えない。
向田家の手料理・海苔弁、葱雑炊、麻布の卵、枝豆の醤油煮等も食べたくなるものばかり。
向田家の台所がTVドラマを観ているように、目の前に浮かんでくる。
特に印象深かったのは『手袋をさがす』。
向田さんの若い頃から培った信念がよく分かった。
妥協しない潔さ。
熟考に熟考を重ねて、でも結論はさっぱりと。
向田さんの自分に嘘のない生き方に共感しきりだった。
そして『時計なんか恐くない』。
どんな毎日にも生きている限り無駄はない。焦りも後悔も貴重な栄養。
向田さんのどこまでも前向きな考え方を改めて知り、泣きそうになった。合掌。
Posted by ブクログ
ほのかに体温が感じられるようなエッセイ集だった。言葉選びに人柄が出ている気がして、ふとした時に品と色気が漂ってくる。
時代が時代なので仕方のないことだとは思うけれど、偏った男性観・女性観のようなものが見え隠れする部分は、読んでいて疲れた。
インタビューした誰かのことを書いている文章よりも、ご自身の日々のことや子ども時代のこと、家族のことなどを書いた文章のほうがおもしろかった。
見知らぬ人からもどんどんご自宅に電話がかかってきているのが、今なら考えられない。律儀に対応しているところも人間味があって好ましい。
食へのこだわりは、こちらもお腹が空いてきてしまって困った。
もっと長く生きて、書き続けてほしかったなと思う。