向田邦子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
口下手で怒りっぽく、涙もろい。
そんな古き良き日本のお父さん・寺内貫太郎と、家族の日常を描いた物語です。
時代を超えても物語が面白く新鮮に感じられるのは、登場人物の一人一人に魅力があるからだと思います。
例えば、思いやりに溢れて時にはきちんと叱ってくれるお父さんは、読者に「こんなお父さんがいるといいなあ」という憧れの気持ちを持たせます。
同時に「うちのお父さんとも似たところがあるなあ」という共通点や親しみやすさを抱かせます。
憧れと共通点を兼ね備えてこそ、人間味があり、魅力的な登場人物が出来上がるのです。
向田邦子は、作中の人物にそのような魅力を持たせることがとても上手だと思います。 -
Posted by ブクログ
喧嘩早くて涙もろい、石屋の親方貫太郎を柱に、くせのある家族のてんやわんやを人情味豊かに描くホームドラマ。貫太郎一家の日常が展開されていくんだけれど、その日常がとにかく騒々しい。口より先に手が出るタチの父、貫太郎は、ことある毎に家族を張り倒す。妻、息子娘はもちろん、お手伝いの少女や他人の子供ですらちぎっては投げの奮闘振り。殴られた方も食って掛かるので、家族の団欒、夕食の席は決まって乱闘騒ぎである。しかし父の鉄拳は、家族への隅まで行き届いた心遣いから出るもの。「貫太郎は好きな人間しか殴らない」とは彼の母の言葉。家族ひとりひとりが抱える悩みを、不器用ながらも体当たりで向かっていく貫太郎の温かさ、大き