向田邦子のレビュー一覧
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『第1回親子で読んでほしい絵本大賞、大賞受賞作』
この絵本は、向田邦子さんの、「字のない葉書」(『眠る盃』所収、1979年、講談社)を原作としており、文を書かれた角田光代さんも語っているように、原作が戦争時代の向田さんの家族との思い出を綴ったエッセイということは、日常生活で起こった現実の話ということになる。
また、原作があるものを絵本にした意義として、普段活字をあまり読まない方や、まだ読むことに慣れていない方といった、より広い層の人達に手に取っていただけることと、絵本の利点の一つである、無駄のない必要最小限かつ明瞭な文体と、それを補填してくれる絵が合わさることで、絵本ならではのジワジワと伝わってくる感動を教えてくれることだと思う。
そして、西加奈子さんの描かれた絵は、最初、版画のようにも思われたが、表紙の題字の「い」の字に、凹凸感のある紙に書いたような形跡が見られることから、ボール紙に描いたものと見受けられ、そこから感じさせられたのは、一見簡潔そうでありながらも、そこに存在するものが語りかける声が、私には聞こえてくる気がしてしまい、それは、彼女のインタビュー記事の中の、世の中に存在するものたちが、いつかは朽ちてしまうことの尊さを知っていることからも肯けるものがあると共に、ここで語られる向田さんの家族の人生そのものなのであり、そんな儚いものであることを皆知っているから、少しでも納得出来る生き方をしたいのであり、それは、現代も戦争時代も全く変わることのない、全ての人達に与えられた正当な権利だと、私は思う。
また、西さんの描き方で印象的だったのが、その殆どが物による表現法によるもので、特筆すべきなのが、玄関の上がり框の前に置かれた『草履』だけで人物描写をしていることであり、この同じ視点による描写が全部で三回あるが、特に最後のそれを踏まえてからの、その次の見開きの、草履を履いた足と裸足のままの足との対比には、思わず涙を誘われるものがあり、ここに来て、初めて読み手は、何故お父さんが「ちいさないもうと」に、『げんきな日は、はがきに まるをかいて、まいにち いちまいずつ ポストにいれなさい』と言ったのかが、身に染みて痛感させられることになるのである。
表紙の印象的なたんぽぽの絵は、「ちいさないもうと」を象徴しており、それは、見返し一面と本編にも描かれているように、その存在がどれだけ大切なものであるのかが、よく分かると共に、人を花に擬えることが、その人にとって、どれだけかけがえのない愛情を込めているのか、深く感じ入るものがあって、その同一視は、人の存在や生き様も、花同様に美しいものであることを言っているようであるのが、また身に染みる愛おしさを感じさせるが、そんな愛おしく尊い存在である、花も人間も全て破壊し、無くしてしまうのが戦争であることを、私達は決して忘れてはいけない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ向田邦子さんの小説は「あうん」以来です。登場人物のキャラが濃い、話が面白いのはもちろんなんですが、特に、この小説はストーリーの組み立て方が際立っているなと思いました。
細かいところは間違ってるかもですが、分かりやすくそう感じた箇所を具体的に書くと、、、
国立の実家で三女の滝子とその恋人である勝又が、四姉妹の長女・綱子と次女・巻子を迎えて会話をするシーン。滝子が勝又のダメ男ぶりを姉達に話す。冒頭、勝又の話しが下手で順序がまるでなってない!と滝子は勝又の愚痴をこぼし始める。もともと口下手な勝又は所在なげな顔、「彼氏を立てなさいよ」と諌める綱子と巻子の姉達。
そこへ、浮気の調査を行う興信所に勤めている勝又が姉達に相談を持ちかける。その内容は、まず、ここに二つの封筒がある。片方は5万円の入った封筒、旦那の浮気調査を頼まれた女性からの報酬。もう片方は10万円の入った封筒、その浮気をしている旦那から口止め料。勝又は自分がどちらを受け取るべきだろうか、と言う。その答えとして、長女の綱子は、浮気なんてダメよ!と言って5万円の方にしなさい、とたしなめる。
それからあーでもないこーでもないと皆で議論した後、最期の最期に勝又の口から、その浮気している旦那が枡川という料亭の主人であることを告げられる。つまり、この旦那の不倫相手は綱子である。それを聞くや否や、綱子は態度を豹変させる。「10万円を選びなさい!」と、綱子の不倫を知らない一同は、その一連の綱子の慌てっぷりに怪訝な表情を浮かべ、巻子は綱子の浮気への疑念を深めていく。
ズブの素人ですが私は思わず唸ってしまいました。滝子の「勝又の話す順番がおかしい」から展開して、それ庇う綱子が早速そのせいで迷惑を被るというストーリーは、漫才のようにフリオチがあって読んでいて「おお!」と膝を打ちましたし、巻子だけが綱子の不倫をじっと観察していて滝子は気づかない、気づかせないという構図は見事に後々のストーリーの展開に生かされ繋がっていきます。この阿修羅のごとくからは、こういった組み立ての巧みさ、上手さが随所に感じられます。
このような良さに加えて「あうん」でも感じた向田邦子さんの描く"人間"の描写力はこの本でも健在で、理屈は分かりませんが登場人物が本当に動画のように動いて見えます。本当に面白いですし、本書はご本人が執筆された脚本をどなたかが小説に起こしたものだそうなのですが、そこに対する違和感は全くありませんでした。
咲子と貞治の妻・豊子がかわいそうに感じ後味が少し悪い部分もありつつ、全体的にまとまった印象でとても面白い小説でした。 -
Posted by ブクログ
先日舞台を観た作品
この舞台があるときいて
行きたいと思い
行く前に読んでおきたいと
思って手に取った作品
向田邦子さんといえば
わたしのなかでは寺内貫太郎一家、だいこんの花かなぁ。どちらも小学生の時に見ていたドラマ。なかでも寺内貫太郎一家は印象に残りすぎ。
どれも家族がテーマ。
阿修羅もこの時代だから当たり前のように読める作品だが。
この時代にしたら内容はちょっと刺激すぎるのでは
と思ったぐらい
それは違うかな。
自分が大人も大人。おばさんになったからかな(笑)
娘たちの家族の場面場面の展開が後半になるほど早く
情景がサッサッと変わって映像をみてるような気分になりました。
四姉妹。みんなの性格があるから喧嘩もする。いざこざがある。でもやっぱり同じ親から産まれた子供。納得いく結末でした
そう思うと先日の舞台は
同じ舞台に四姉妹の家の
ことが同時進行で進んで
それが電話などのやりとりで繋がっているのが
今さらながらすごいと思いました