「正式魔」「キャデラック煎餅」「女子運動用黒布襞入裁着袴」「臆病ライオン」「眠る机」「青い目脂」…昭和のにおいがするタイトルの数々。愚痴をこぼす代りに真赤になるまでおみおつけに唐辛子をかけ、すすっていた祖父。届いたお歳暮をすぐ開けたくて青筋をたてた父。包み紙を破らないよう丁寧に開けていた母。一度でいいからメロンをまるまる一個食べてみたかった自分。戦前・戦後の平凡な家庭の暮らしをみずみずしく描く、忘れがたいエッセイ集。
Posted by ブクログ 2021年10月19日
悲しみや苦しみはその時耐えきれないほど傷ついたり忘れたくなるほど忌みはばかる。そんな辛い記憶も時を経て振り返ると、おかしみを感じてしまうのはなぜだろう。人間の喜怒哀楽は全て滑稽であり愛おしく、快活な筆者の言葉が私たちの生活に人情という調味料を注いでくれる。時に度が過ぎても美味になってしまう件を肴にま...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年10月03日
向田さんの出会った人のことが書かれているエッセイ集。
面白かったのは「転向」というタイトルのお話。
凝り性の友人がいて、一つのものに凝りだすとそれ以外は絶対に認めず周りにも強要する。でも何かの折にその欠点を認めるとあっさりとまた次のものに転向して凝り出す。あ〜こんな人、私の周りにもいるなと可笑しくな...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年10月02日
向田邦子 著「無名仮名人名簿」、2015.12発行。解説の篠崎絵里子(脚本家)の言:向田さんの作品を読み返し感じたのは、向田さんという人の潔さ、懐の深さ、多面性、そして目線の限りない優しさである。彼女の物語が愛されるのは、向田さん自身が愛される人だったからのように思う。全く同感です!お弁当、縦の会、...続きを読む
Posted by ブクログ 2016年07月04日
向田さんのホームドラマは見たことがない世代なのですが、大好きな作家さんの1人です。
家族の話題は人の数だけあって、その人なりに悩んだり救われたりしていてるんだなぁと、読むたびに気付かされます。
個人的には「思い出トランプ」が一番好きです。
戦中戦後を生きた向田さんは、視野が広く、とても頭の切れる優し...続きを読む