【感想・ネタバレ】無名仮名人名簿のレビュー

あらすじ

「正式魔」「キャデラック煎餅」「女子運動用黒布襞入裁着袴」「臆病ライオン」「眠る机」「青い目脂」…昭和のにおいがするタイトルの数々。愚痴をこぼす代りに真赤になるまでおみおつけに唐辛子をかけ、すすっていた祖父。届いたお歳暮をすぐ開けたくて青筋をたてた父。包み紙を破らないよう丁寧に開けていた母。一度でいいからメロンをまるまる一個食べてみたかった自分。戦前・戦後の平凡な家庭の暮らしをみずみずしく描く、忘れがたいエッセイ集。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

小説の文庫本は、シナリオをもとに他の作家が小説化したものが多いが、この本に収録されているエッセイは、手を加えられていない向田邦子の文章ゆえ、人柄、豪快な性格にして繊細な観察眼がしのばれる。

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2023年02月07日

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向田邦子エッセイ集。
昔の言葉遣いをさりげなく盛り込んであります。時代の匂い、人間臭さや、息遣いを感じられます。日本語とは素晴らしいものであると感じさせられます。
付箋をつけながら、何回も読み返し、生き方、考えかたに感心させられます。

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2022年09月12日

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悲しみや苦しみはその時耐えきれないほど傷ついたり忘れたくなるほど忌みはばかる。そんな辛い記憶も時を経て振り返ると、おかしみを感じてしまうのはなぜだろう。人間の喜怒哀楽は全て滑稽であり愛おしく、快活な筆者の言葉が私たちの生活に人情という調味料を注いでくれる。時に度が過ぎても美味になってしまう件を肴にまずは一献。

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2021年10月19日

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向田さんの出会った人のことが書かれているエッセイ集。
面白かったのは「転向」というタイトルのお話。
凝り性の友人がいて、一つのものに凝りだすとそれ以外は絶対に認めず周りにも強要する。でも何かの折にその欠点を認めるとあっさりとまた次のものに転向して凝り出す。あ〜こんな人、私の周りにもいるなと可笑しくなった。まあ人間、少なからず誰しもこう言った所は持ち合わせているでしょうが。
時代を感じるのは「お取替え」という話な中で、35歳くらいの女性を中年と表現していること。
今なら35歳なんてまだ若いお姉さんに近いが、この当時だと中年だったんだなあと驚いた。

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2021年10月03日

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向田邦子 著「無名仮名人名簿」、2015.12発行。解説の篠崎絵里子(脚本家)の言:向田さんの作品を読み返し感じたのは、向田さんという人の潔さ、懐の深さ、多面性、そして目線の限りない優しさである。彼女の物語が愛されるのは、向田さん自身が愛される人だったからのように思う。全く同感です!お弁当、縦の会、普通の人、特別、拾う人、白か黒か、席とり、パセリ・・・。こんな小気味よいキレのあるエッセイ、もうお目にかかれないような気がします。

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2020年10月02日

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名エッセイ言われるだけあり、時代を超越した品のあるユーモア、ペーソス。冷めた目線のようで、慈しみにあふれ。
機微というんですか。
こんな文章かけるようになりたいと思う文章。

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2016年05月17日

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20160409 観察力の凄さとそれを表現できる文章力。それが記憶に残る作家になっている理由だと思う。笑わずに冗談を言われて、後になって気付く、そんな感じ。

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2016年04月09日

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 昭和55年刊行された本の文庫版であるから、現在の時点で読むと時代を感じてしまうものもある、例えば、いかにも家父長的な父の存在であったり、男らしさ女らしさについての考え方など。
 それでも、向田さんは、ちょっとしたこと、つい見逃してしまうことについての観察眼が鋭く、着眼点が秀逸だ。それをまたちょっぴりの皮肉とふわりとしたユーモアで包んでいる。「そうそう、こういうことある」と共感したり、フッと笑わされたりして、楽しく読めた。

 

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2024年09月17日

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ネタバレ

再読。エッセイ集。何気ない文章に向田さんの飾らない人柄があふれ出ている。もっと長生きしていたら、どんなおばあちゃんになって、どんな風にこの世界を切り取ってくれたのだろうかと想像してみるのだが、うまく想像できない。あとがきはやはり向田さんを偲んでいる。

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2020年03月14日

Posted by ブクログ

向田さんのホームドラマは見たことがない世代なのですが、大好きな作家さんの1人です。
家族の話題は人の数だけあって、その人なりに悩んだり救われたりしていてるんだなぁと、読むたびに気付かされます。
個人的には「思い出トランプ」が一番好きです。
戦中戦後を生きた向田さんは、視野が広く、とても頭の切れる優しい人だったのでしょうね。
不完全でほころびのある人を見つけては、自分と同じだ、自分の方がもっと抜けてると温かな目線で描く文章にほっとします。
赤い公衆電話や、道端に落ちているガーゼのマスク、土間にあるストーブなど、向田さんが放送作家として生きた昭和50年代の東京の様子が新鮮で、想像しながら過去に憧れる自分がいました。
向田さんの生きた時代に、一度でいいから行ってみたいものです。

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2016年07月04日

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