あらすじ
2025年、是枝裕和監督により再ドラマ化。Netflixにて配信!
年老いた父に愛人がいた――。
四人の娘は対策に大わらわ。
だが、彼女たちもそれぞれ問題を抱えていた。
未亡人の長女は不倫中、次女は夫の浮気を疑い、
三女は独身の寂しさに心がすさみ、
四女はボクサーの卵と同棲、そして母は……。
肉親のエゴと愛憎を赤裸々に描き、家族の在り方を追求してきた著者の
到達点ともいうべき傑作。
向田邦子の放送台本を小説化したロングセラー!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ネトフリのドラマの復習のような気持ちで読んだ。四姉妹ならではの台詞回しは本だとなかなか分かりづらくて、本当にドラマのためのお話だと実感。そして、改めて展開もそれぞれの台詞も本当に秀逸。
この小説で、ふじさんや恒太郎さんが改めて興味深い存在だと思った。國村隼さんは、原作の恒太郎そのままで、台詞少ないキャラなのに台詞に無い部分もしっかり表現されてたと思った。
向田邦子さんは男の目線も女の目線もしっかり盛り込んで、浮気や不倫を加害・被害というだけでないものとして、描いていた。
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70を過ぎた父の浮気に気づいた4姉妹。夫の浮気を知ってか知らずか淡々としている母。そして4姉妹も其々が心の裡に誰にも言えない葛藤を抱えていた。印象的なシーンの連続。まさにホームドラマの金字塔。
Posted by ブクログ
Netflixのドラマを見てから原作を読んだ。原作の方が父の心情だったり、当時と現代の不倫に対する考え、娘より息子という意識の違いが分かる。鷹男さんと勝又さんが良いキャラ。
Posted by ブクログ
不倫はいけないことなのはもちろんなんだけど、人ってそんなに清廉潔白に生きられるほど賢くなくて。誰しもひとつやふたつ後ろめたいところがあるからこそ、どこか滑稽で、愚かしくて。そんな滑稽で愚かしい相手に諦観に近い感情を持っていて。ロボットのように、正しい行いだけをして、正解だけの人生を歩めない。愚かしい人のサガというか業というか、そういうのを愛をもって描くから、向田邦子や有吉佐和子の作品って深く沁みるのかも。
向田邦子の描く長女はしっかりしているようで、甘え下手ゆえに一番大切なところで選択ミスをしている。そこが人間臭くて切ない。
Posted by ブクログ
40年以上前が舞台なので価値観や男女観は当時のままなのだが、嫌味な押し付け感やジャッジがない。昔の男性文豪の小説を読むときに感じる嫌ったらしさがない。女性の描く女性と男性の描く女性ってやっぱり違うなあとしみじみ。
そして向田邦子が凄いのは、古くなっていないところ。時代の流れで移り行く価値観よりももっと深いところにある家族の愛憎が、淡々としたなかにもしっかりと描かれていて沁みた。何気ない会話に味があって本当によかったなあ。
Netflixのドラマも1話観てみたけれど如何にも演技している演出が原作のイメージとあってなくて残念だった。本の方がおすすめ。
Posted by ブクログ
個人的には昭和に書かれたとは思えないぐらい読みやすかった。ドラマの脚本から文庫になったのも読み終わってから知った。70歳の父親が不倫していることを知って母親の気持ちなどを含め話し合う四姉妹の話だけど、四姉妹もそれぞれ事情を抱えていてそれぞれの視点で話が進んでいくのが面白かった。
Posted by ブクログ
向田邦子さんの小説は「あうん」以来です。登場人物のキャラが濃い、話が面白いのはもちろんなんですが、特に、この小説はストーリーの組み立て方が際立っているなと思いました。
細かいところは間違ってるかもですが、分かりやすくそう感じた箇所を具体的に書くと、、、
国立の実家で三女の滝子とその恋人である勝又が、四姉妹の長女・綱子と次女・巻子を迎えて会話をするシーン。滝子が勝又のダメ男ぶりを姉達に話す。冒頭、勝又の話しが下手で順序がまるでなってない!と滝子は勝又の愚痴をこぼし始める。もともと口下手な勝又は所在なげな顔、「彼氏を立てなさいよ」と諌める綱子と巻子の姉達。
そこへ、浮気の調査を行う興信所に勤めている勝又が姉達に相談を持ちかける。その内容は、まず、ここに二つの封筒がある。片方は5万円の入った封筒、旦那の浮気調査を頼まれた女性からの報酬。もう片方は10万円の入った封筒、その浮気をしている旦那から口止め料。勝又は自分がどちらを受け取るべきだろうか、と言う。その答えとして、長女の綱子は、浮気なんてダメよ!と言って5万円の方にしなさい、とたしなめる。
それからあーでもないこーでもないと皆で議論した後、最期の最期に勝又の口から、その浮気している旦那が枡川という料亭の主人であることを告げられる。つまり、この旦那の不倫相手は綱子である。それを聞くや否や、綱子は態度を豹変させる。「10万円を選びなさい!」と、綱子の不倫を知らない一同は、その一連の綱子の慌てっぷりに怪訝な表情を浮かべ、巻子は綱子の浮気への疑念を深めていく。
ズブの素人ですが私は思わず唸ってしまいました。滝子の「勝又の話す順番がおかしい」から展開して、それ庇う綱子が早速そのせいで迷惑を被るというストーリーは、漫才のようにフリオチがあって読んでいて「おお!」と膝を打ちましたし、巻子だけが綱子の不倫をじっと観察していて滝子は気づかない、気づかせないという構図は見事に後々のストーリーの展開に生かされ繋がっていきます。この阿修羅のごとくからは、こういった組み立ての巧みさ、上手さが随所に感じられます。
このような良さに加えて「あうん」でも感じた向田邦子さんの描く"人間"の描写力はこの本でも健在で、理屈は分かりませんが登場人物が本当に動画のように動いて見えます。本当に面白いですし、本書はご本人が執筆された脚本をどなたかが小説に起こしたものだそうなのですが、そこに対する違和感は全くありませんでした。
咲子と貞治の妻・豊子がかわいそうに感じ後味が少し悪い部分もありつつ、全体的にまとまった印象でとても面白い小説でした。
Posted by ブクログ
1979年と1980年にNHKで放映されたドラマを小説化したもの。子どもながら、このドラマのテーマ音楽は強烈に印象に残っているが、ストーリーは記憶にない。最近、NHK BSで一挙再放送されたのを録画して観て、この本も読んでみた。当たり前のことながら、TVドラマの通りのストーリー。現在の家族像を、向田邦子なら、どう描いたのであろうか・・・。
Posted by ブクログ
先日舞台を観た作品
この舞台があるときいて
行きたいと思い
行く前に読んでおきたいと
思って手に取った作品
向田邦子さんといえば
わたしのなかでは寺内貫太郎一家、だいこんの花かなぁ。どちらも小学生の時に見ていたドラマ。なかでも寺内貫太郎一家は印象に残りすぎ。
どれも家族がテーマ。
阿修羅もこの時代だから当たり前のように読める作品だが。
この時代にしたら内容はちょっと刺激すぎるのでは
と思ったぐらい
それは違うかな。
自分が大人も大人。おばさんになったからかな(笑)
娘たちの家族の場面場面の展開が後半になるほど早く
情景がサッサッと変わって映像をみてるような気分になりました。
四姉妹。みんなの性格があるから喧嘩もする。いざこざがある。でもやっぱり同じ親から産まれた子供。納得いく結末でした
そう思うと先日の舞台は
同じ舞台に四姉妹の家の
ことが同時進行で進んで
それが電話などのやりとりで繋がっているのが
今さらながらすごいと思いました
Posted by ブクログ
始まりはファミリードラマのようでこんなワイワイがどこまで続くのかといささか食傷気味でしたが、読み進めるうちにどんどんスピードアップして、真ん中以降はものすごいスピードで読んでいました。
高校生の頃、滅多に本なんか読まないガールフレンドが電車の中で珍しく文庫を読んでいるのに出くわし、「何読んでるの?」と聞くとそれが向田邦子さんでした。その頃は司馬さんにハマっていたワタシはちょっと彼女を軽蔑したものですが、女と男の心の様子を性的な描写抜きでしっかり描けていて、会話も軽妙で、本当に楽しく読むことができました。
Posted by ブクログ
この時代、そうそうこんな感じだったんだろうとかろうじて想像できる。親の世代よりは若くて、でも自分からみるともう少し上の世代…?
ただ、近い世代だとしても私が育ってきた周りではあまりお目にかかる人たちではなかった。
4人姉妹には憧れるし、それぞれの家族もいい感じでゆるくつながってるし、何より自分の親や実家をいつも念頭に置いた生活をしているのが羨ましい。
でも、同じ娘としてまた妻として、結婚とか子供の成長とか親の世話とか、ちょっと変化するだけで人生が変わってしまう立場から言うと、姉妹が多いのも面倒だなと…などなど思いつつ、しっかり本の世界に入ってしまった。
向田邦子さんの作品はまだなかなか読めてないので、これから少し読んでみたいと思えたのはこの作品のおかげだと思う。
Posted by ブクログ
先日読んだ若草物語に続き四姉妹小説。
ドラマは見てない。
年老いた父に愛人発見、長女不倫中、次女の夫に浮気疑惑、三女独身で心が荒む、四女同棲相手とのゆくえやいかに…。これは波乱の予感しかない。
何とかして父に愛人がいるということを母に隠そうとする四姉妹。その中でそれぞれが自分自身の問題にぶつかり、姉妹に八つ当たりし、でもなんだかんだ姉妹の絆は強いということを実感するお話。
男女関係の問題が山ほど出てくるけど、常にわちゃわちゃしている会話劇で4人それぞれのシーンがテンポよく進んでいくので、ドロドロしている印象はあまりなかった。
家族だから遠慮ないし、みんなありのままをさらけ出していて面白い。
「水気絞ったら絶対網子姉さんの方が多いわよ」
「大根おろしじゃあるまいし…」
向田さんのエッセーは読んだことあったけど、小説も人間味溢れ出ていて面白いな。結構好き。
Posted by ブクログ
初めての向田邦子作品。
4姉妹と母ふじ、彼女らのパートナーの男たちの言動が面白かった。
男は働き女は家を守る…という時代だったのだと思う。男尊女卑が当たり前の時代にこうも女は魅力的に生きていたのだな、と感心してしまった。
私がうら若き乙女だった高校時代、箸が転げてもおかしくて、通学の電車やバスでいつでも友達とおしゃべりして笑っていたのを思い出す。恋バナもあれば学校の先生の話もあればテレビの話も…たいていはしょうもない話だった。
そして今も職場でも休日でも、とりとめなくしょうもない話で花を咲かせている。
あ、女ってこういう生き物なのか。
向田作品を読んで我が身を振り返り悟った。
面白かった!
Posted by ブクログ
ドラマの再放送を見て、この本を読んだ。
ドラマも本も両方面白い。
人物描写、人の感情の機微など感心する。この作家が飛行機事故で亡くなった事が本当に惜しまれる
Posted by ブクログ
今から半世紀程前の放送台本を小説化された本作。
向田邦子さんと言えば、やはり昭和を代表するホームドラマの脚本家というイメージが強くて、読んでいる最中でも登場人物が躍動しているような賑やかさを感じた。
昭和の作品だけあって、現代と明らかに異なるのが、男女の恋愛模様や結婚観。ジェンダーバイアスなんて言葉が聞かれる程、ジェンダー問題が叫ばれる昨今の感覚からは、あまりにかけ離れているので違和感を通り越して愉快に感じる。時の流れで人の感覚って、確実に変わり続けているんだなぁと妙に感心してしまった。
是枝裕和さんによるNetflix版『阿修羅のごとく』が公開されるのをキッカケに読んだが、イメージが固定されない様に本作を読み終わるまで、Netflix版のキャストは見ないように我慢・・・笑
そして読後にキャストを確認して、ひとりニマニマ。
いやぁ〜流石にキャスト選ぶの上手いなぁ。
でもね、小説も負けてはいないんですよ。
なんてったって、解説は、な、なんと!
女優の南田洋子さんですからね!!
うーん、現代っ子だと通じないかも。長門裕之さんとおしどり夫婦の南田さんですよ。って、無理か。笑
昭和の色濃い賑やかな作品。
四姉妹それぞれの悩みや葛藤、そしてこの時代の男達の不器用で愛らしいこと。たっぷり堪能させていただきました。
Posted by ブクログ
両親と4姉妹が行き来できる距離に住めば様々なことが起きますよね。年老いた父の浮気疑惑から話が始まり…。
「姉妹って、へんなもんね。ねたみ、そねみも、すごく強いの。そのくせ、姉妹が不幸になると、やっぱり、たまんない」@滝子。相手の奥さんに怒鳴り込まれても不倫を続ける度胸に驚くし、浮気相手への間違い電話を聴くなんて想像しただけでも恐ろしい。
Posted by ブクログ
昔も今も女性の可愛らしさって変わらないなと。旦那さんに対する「愛」。女性は強い、強くなった!って言われるけど、もともと強い。だけど、つつましいところがあり伝えられるない女心を感じ微笑ましくもあった。
Posted by ブクログ
好きな本。四姉妹もの。
長女 綱子(45)
未亡人。お花の先生。
既婚男性と交際中。
次女 巻子(41)
夫と一男一女を儲ける。おっとりした性格。
夫の不倫を疑っている。相手は秘書?
三女 滝子(30)
未婚。交際歴なし。司書。
融通が利かず素直に甘えられない性格。
四女 咲子(25)
小さい時におみそにされた事を根に持ってる。
デビュー前?のボクサーと同棲中。
父 恒太郎(68)
母 ふじ(65)
物語は父親の不倫現場を三女が目撃してしまったところから始まります。母親に気付かれないように、どうにか収めたい四姉妹だけど、それぞれも問題を抱えていて、、、。
昭和54年のドラマの脚本を書籍化されたようです。(多分)。次女と三女の間が11年空いてるのはお父さんが出征されてたからのようです。昭和54年頃の生活も覗けて面白かったです。豆腐屋さんがラッパ吹いて売り歩いてたり、電話はアパートの管理人室にあって呼び出しだったり。
今から45年近く前の話なので、結婚観とか色々違う。45年で大きく変化したのか、少ししか変化出来てないのか。女の人が働いて1人で生きていくのも、離婚も珍しい時代だったろうから、夫に依存せざるを得なくて、、、グッと堪えて耐え忍ぶ女性陣。そりゃ阿修羅にもなるよね。
姉妹同士でたくさんケンカするけど、他所の人が姉妹の誰かに危害を加えようとすると味方になる感じは、昔の私と妹の関係に似てるな。
Posted by ブクログ
女はアシュラだよ。アシュラってのは、外っ側は仁義礼智信を標榜してるんだが、気が強くて、人の悪口言うのが好きで、怒りやシンボルだそうだ。
勝ち目ないよ、男は。
名台詞である。この点に関しては、昔も今も変わらないと見える。
向田邦子作品は、やはり素晴らしい。人間描写、セリフ、全て。
植物人間となっている男の足の裏に、へのへのもへじなんて、テレビ的でもあり、悲しみ、寂しさ、開き直りとか、色々表現されていて、さすがだと思います?
Posted by ブクログ
高校生の時に読んで以来の再読。
向田邦子による放送台本を中野玲子(諸田玲子)が小説の形にしたものだけど、向田邦子自らによるノベライズだと勘違いして手に取った人もいただろうと思われる。それぞれの人物の関係性とそれに伴う空気感というか、生活感というか、そういったものが特に四姉妹の台詞に宿っており、この「」の中の会話は完全にそこに存在しているというか、生き物から発せられていると感じる。からかって敬語で皮肉を言ったりするところの自然な感じなんかもまったく「創作の会話・家族」という雰囲気がない。
先日「夜中の薔薇」を読んでからというもの、向田邦子にとても興味がわいてきた。来年は没後40年とのこと。いい機会なので主なところをちゃんと読んでおきたいと思う。
Posted by ブクログ
再読。四姉妹の名作といえば、『若草物語』『細雪』などがあるが、これも四姉妹。当然四姉妹にはそれぞれの悩みがあるのに、年老いた父に愛人が発覚。母に隠し通せるか。これだけの設定をまとめあげるのは大変だ。タイトル通り皆「阿修羅」です。誰もが阿修羅を心の中に隠し平気なふりをし、相手の阿修羅を見て見ぬふりをする。四姉妹で致命的に対立しないのは、阿修羅のおかげなのだろうか。
Posted by ブクログ
20年も前にこれを書いたという向田邦子がすごい。
今でも十分に通用する。今の家庭にもある情景。
綱子、巻子、滝子、咲子の4姉妹の問題がもつれている。
ふじの母としての姿が立派。
悲しさ。責任感。女だからこそ阿修羅になる。
途中で飽きちゃうと思っていたけれど、
全然そんなことなかった。
Posted by ブクログ
口語体に時代を感じてなかなか読みづらく、馴染むのに時間がかかった。
今の時代の本も、未来の人が読めば同じ感覚に陥るのだろうと思うと、おもしろい。
価値観も大分変わっているように思う。ただ、当人たちにしたら大事で、なんとかして丸く収めようと画策する日々のものごとも、まとめれば至極シンプルに済むのにと、無駄が多く滑稽にみえる。他人からはそう思える。
人間、それは時代を経ても変わらないのかもしれない。
Posted by ブクログ
面白かった、面白かったけど読むのに時間がかかった。なんでだろう。自分より前の世代のリアルな茶の間が舞台になってるから没入しづらかったんだろうか。
いわゆるお茶の間劇場というのはもう何昔も前の世代のスタンダードで刺激が足りない?いや、今でも日常系と言われる作品群はあるのだからそんな事もないかしら。
そして何だか展開があり過ぎて思考がキョロキョロしちゃって落ち着かないのかもしれない。
ある時期の作品の金字塔として読む価値はあったかなー。向田邦子さんのシナリオの方を読んでみるとまた少し印象も変わりそうなもんだ。