向田邦子のレビュー一覧

  • 父の詫び状

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    幾つかの違う記憶がタイトルに収束され、最後の数行で一つの作品として立ちあがる様が、ホントに素晴らしい。記憶にどっぷりと浸かりたくなる。自分自身の忘れているささやかな記憶を、なんとか思い出して愛でたくなる。

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    2020年03月10日
  • 新装版 夜中の薔薇

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    〇木を書かなかったのではなく、書けなかったのだ。(p15)
    ☆育っていくものを朝晩眺める視線が暮らしになかったと書いている。見ていないものは書けない訳だ。この本にもだが、向田邦子さんのエッセイの中には食べ物の話がよく出てくる。暮らしに根付いているものが書ける。

    〇女学生と呼ばれた五年間をふりかえって、まず思い浮かぶのは、スカートの寝押しをしている自分の姿である。(p555)
    ☆思い出した。そんなことをしていた時期があったな。スカートの襞なんて本当どうでもいいのに(と今の私は思う)そういう細かいところが全てだと、思ってしまう年代。

    〇「無料(タダ)ですよ」(p78)
    ☆渋谷駅で「渋谷一枚!」

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    2020年02月10日
  • 字のないはがき

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    「字のないはがき」、向田邦子さんのエッセイ「眠る盃:1979年」で既読ですが、本書は直木賞作家3人のコラボの絵本です。向田邦子(1929~1981)原作、角田光代(1967~)文、西加奈子(1977~)絵です。豪華です。戦時中、田舎に疎開した一番下のまだ字が書けなかった妹の和子さんへの家族5人の思い、特に厳格だったお父さんの優しさが胸を打ちます!

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    2020年02月08日
  • 男どき女どき

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    ネタバレ

     向田邦子 著「男どき女どき」、1985.5発行(文庫)。小説4編とエッセイ21篇、向田さんの最後のメッセージともいえる作品ではないでしょうか! 小説では「鮒」と「ビリケン」、エッセイでは「若々しい女(ひと)について」「独りを慎む」「ゆでたまご」「反芻旅行」「壊れたと壊したは違う」、特に秀逸と感じました。
     向田邦子さんのラストメッセージとも言える「男どき女どき」、1982.8刊行、1985.5文庫化。21編のエッセイと4つの短編小説が収録。たった3ページのエッセイ「ゆでたまご」が映像的に心に迫ってきます。著者が小学4年生の時の出来事から「愛」を紡いだエッセイです。片足、片目が不自由で疎んじら

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    2023年04月30日
  • 新装版 眠る盃

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    ネタバレ

     電話は固定してるのが当たり前であった時代、平成という時代も、携帯もパソコンも見ることはなかった向田邦子さん(1929~1981)の「父の詫び状」に続く二冊目のエッセイです。「眠る盃」、2016.1発行。一人暮らしで猫と一緒に暮らす粋で上品な独身女性の生き方を楽しく拝見しました。眠る盃、噛み癖、夜の体操、字のない葉書、抽出しの中、恩人、鹿児島感傷旅行など、とても面白かったです。
     向田邦子 著「眠る盃 新装版」、2016.1発行。第1部のエッセイはお馴染みのエッセイ集ですが、第2部の男性鑑賞法や第3部については、感心が薄いのでさらっと流しました。やはり、眠る盃、噛み癖、字のない葉書、Bの二号さ

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    2021年01月30日
  • 桃から生まれた桃太郎

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    「桃から生まれた桃太郎」(1999.8、文庫)、面白かったです。向田邦子の放送台本を、中野玲子が小説化したものだそうです。早く妻を亡くした獣医の川田竜造は娘の桃子と二人暮らし。善意からおこる父と娘の行き違いをユーモラスに描いた作品。素晴らしいです。ドラマになってるんでしょうね。見てはいないけど。読後、源氏鶏太の小説の世界に通じてる感じがしました。登場人物がみんな「いい人」です!

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    2019年12月04日
  • 男どき女どき

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    記憶には甘い辛いという味覚が舌ではなく心の内に誘ってくれる。辛い記憶は時を経て美味しく頂けるし、昔の甘い記憶に蓋をしてしまうこともあるある。人の心は摩訶不思議、この書籍の読後感。

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    2019年10月03日
  • 阿修羅のごとく

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    始まりはファミリードラマのようでこんなワイワイがどこまで続くのかといささか食傷気味でしたが、読み進めるうちにどんどんスピードアップして、真ん中以降はものすごいスピードで読んでいました。
    高校生の頃、滅多に本なんか読まないガールフレンドが電車の中で珍しく文庫を読んでいるのに出くわし、「何読んでるの?」と聞くとそれが向田邦子さんでした。その頃は司馬さんにハマっていたワタシはちょっと彼女を軽蔑したものですが、女と男の心の様子を性的な描写抜きでしっかり描けていて、会話も軽妙で、本当に楽しく読むことができました。

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    2019年06月22日
  • 男どき女どき

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    向田さんの作品を読むと、見透かされているような気がしていつも心がザワザワする。本当に怖い文章を書く人。
    男性には絶対に書けない。

    後半のエッセイは特に心に留めておきたい。一人暮らしを始めて早四年、「独りを慎しむ」は苦虫を噛み潰したような思いで読んだ。ひとりでいるときもきちんとしているって、難しいんだよなあ。まったく出来ていないなあ。

    「反芻旅行」「無口な手紙」「黄色い服」、何度も読み返して、ずっと忘れずに日々の生活を送っていきたい。

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    2019年02月08日
  • 新装版 眠る盃

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    なんでもないような日常の一コマや、記憶の片隅に残っていたことを丁寧に掬い上げて、細部まで観察し、優しい視点とユーモアで包みながら、鮮やかに書き(描き)きる軽妙な筆致。スゴい。

    もっと若い頃に読んでおきたかった。
    読めて良かった。

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    2017年09月30日
  • 新装版 夜中の薔薇

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    『手袋をさがす』が読みたくて。
    人生に影響を与えそうな、ある意味キケンな内容。
    その他も面白い。
    食べ物の話も楽しい。
    のり弁が食べたい。

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    2017年05月03日
  • 男どき女どき

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    「鮒」「三角波」の二編がどこかの小説講座で紹介されていたのを思い出して、それらが収録されている本書を手に取った。面白かった。
    上の二編以外にも「ビリケン」「嘘つき卵」とエッセイが収録されている。こちらも面白かった。
    いやあ、でも、「三角波」は別にサインでもコサインでもないが、この話をオマージュしたマンガに思いがけず出会いたい。

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    2017年03月20日
  • 新装版 夜中の薔薇

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    向田邦子の長女らしい感覚が好きで、小説エッセイ、ほぼ読破したなかで、一番好きなのが、この夜中の薔薇に収められた「手袋をさがす」。
    まるで自分のことを言われているようでハッした。そしてまだ、私は手袋をさがし続けている。

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    2017年03月19日
  • 寺内貫太郎一家

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    軽妙で洒脱な言葉が気持ちよく身体に響き 読みながら 泣いたり笑ったり照れたり・・・
    僅かにテレビで見た記憶があり ジュリ~~~って 思わず吹き出していた
    最近では自主規制なのか使ってはいけない言葉も 堂々と並んでいて それもまた物語の風景が心に飛び込んでくる大事な要素だった

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    2017年02月05日
  • 女の人差し指

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    現代には向田邦子エッセイが足りない。テレビドラマ脚本家として名を挙げ、独身生活を美食や旅行で謳歌。有名人との華麗な交友など、と成功版たられば娘というか、なんとも数十年早く生まれた人だなあ、と思う。とはいえ、やはり初期の素朴なのとか父親ネタの方が好みで、旅行ネタはそこまでかなあ…

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    2015年11月25日
  • 阿修羅のごとく

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    母に勧められて読んだもの。
    母曰く、食べ物の描写が素晴らしいとのことだったけど、本当にぜんぶ美味しそうだった。
    残念ながら、ドラマは見たことがないけれどリメイクされた映画では八千草薫が母親役を演じていたところに興奮した。

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    2015年03月07日
  • 桃から生まれた桃太郎

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    向田邦子の脚本を小説化した物で、
    向田邦子らしい 愛情あふれる家庭の物語。
    言葉が 実に いきている。

    桃子 もとい 桃太郎が 何とも言えず すくすくと育っている。
    大柄で オンナらしさが 微塵も感じられないと
    父親 竜造は おもっていた。
    それが 結婚する相手があり、
    その相手が なんとなく 気に喰わない。

    その過程で起こる 
    さまざまな 勘違い 早とちり 誤解が 笑いを誘う。

    みつ子 初江 それぞれが 健気にいきている。
    はっきりと言うタイプと 内にこもるタイプの二つに
    別れている。

    『なかなかいえない』というもどかしさが
    上手く表現されて 物語の運びかたが うまく
    気配りされた 

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    2014年05月30日
  • 父の詫び状

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    「エッセイ」という言葉よりも「随筆」という言葉の方がよく似合う名作。一篇一篇が珠玉と言える名品集だ。
    最近のエッセイ(まがい)で、このような文章が読めないのが淋しい。

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    2014年01月19日
  • 父の詫び状

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    昭和っぽいけど、でも他人事じゃない感じ、、、
    家族それぞれの人間味。あったかい。小さいころあんなことあったなぁ、大人に囲まれて育ったあの頃、あの人は何かんがえてたんだろう、
    怒られたり、一緒にいたり。あの会話の時には?あの帰り道では?
    あの人は何を考えて、一緒にいてくれたんだろう?私に接してくれてたんだろう?

    家族への思いが増す。今思い返すと、子供のころに見えなかったいろんなことが、子供のころの自分の目の記憶を通して見えるような、そんな本です。

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    2014年01月18日
  • 完本 寺内貫太郎一家

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    ネタバレ

    各章が全部、名作!
    鼻の奥がつーんと、あたたかい感動に包まれる。
    澤地久枝さんも言ってたように、向田邦子の作品には翳りが必ずあるんだよねぇ。
    それにしても、テレビドラマのキャストの完璧なこと !

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    2013年09月05日