向田邦子のレビュー一覧
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〇木を書かなかったのではなく、書けなかったのだ。(p15)
☆育っていくものを朝晩眺める視線が暮らしになかったと書いている。見ていないものは書けない訳だ。この本にもだが、向田邦子さんのエッセイの中には食べ物の話がよく出てくる。暮らしに根付いているものが書ける。
〇女学生と呼ばれた五年間をふりかえって、まず思い浮かぶのは、スカートの寝押しをしている自分の姿である。(p555)
☆思い出した。そんなことをしていた時期があったな。スカートの襞なんて本当どうでもいいのに(と今の私は思う)そういう細かいところが全てだと、思ってしまう年代。
〇「無料(タダ)ですよ」(p78)
☆渋谷駅で「渋谷一枚!」 -
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ネタバレ向田邦子 著「男どき女どき」、1985.5発行(文庫)。小説4編とエッセイ21篇、向田さんの最後のメッセージともいえる作品ではないでしょうか! 小説では「鮒」と「ビリケン」、エッセイでは「若々しい女(ひと)について」「独りを慎む」「ゆでたまご」「反芻旅行」「壊れたと壊したは違う」、特に秀逸と感じました。
向田邦子さんのラストメッセージとも言える「男どき女どき」、1982.8刊行、1985.5文庫化。21編のエッセイと4つの短編小説が収録。たった3ページのエッセイ「ゆでたまご」が映像的に心に迫ってきます。著者が小学4年生の時の出来事から「愛」を紡いだエッセイです。片足、片目が不自由で疎んじら -
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ネタバレ電話は固定してるのが当たり前であった時代、平成という時代も、携帯もパソコンも見ることはなかった向田邦子さん(1929~1981)の「父の詫び状」に続く二冊目のエッセイです。「眠る盃」、2016.1発行。一人暮らしで猫と一緒に暮らす粋で上品な独身女性の生き方を楽しく拝見しました。眠る盃、噛み癖、夜の体操、字のない葉書、抽出しの中、恩人、鹿児島感傷旅行など、とても面白かったです。
向田邦子 著「眠る盃 新装版」、2016.1発行。第1部のエッセイはお馴染みのエッセイ集ですが、第2部の男性鑑賞法や第3部については、感心が薄いのでさらっと流しました。やはり、眠る盃、噛み癖、字のない葉書、Bの二号さ -
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向田邦子の脚本を小説化した物で、
向田邦子らしい 愛情あふれる家庭の物語。
言葉が 実に いきている。
桃子 もとい 桃太郎が 何とも言えず すくすくと育っている。
大柄で オンナらしさが 微塵も感じられないと
父親 竜造は おもっていた。
それが 結婚する相手があり、
その相手が なんとなく 気に喰わない。
その過程で起こる
さまざまな 勘違い 早とちり 誤解が 笑いを誘う。
みつ子 初江 それぞれが 健気にいきている。
はっきりと言うタイプと 内にこもるタイプの二つに
別れている。
『なかなかいえない』というもどかしさが
上手く表現されて 物語の運びかたが うまく
気配りされた