冨山和彦のレビュー一覧
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ネタバレ変革のリーダー、今必要とされているリーダーとはどのようなリーダーなのかについて、語られた本。
グロービスで学ぶOBHの内容とも整合しており、非常に学びが多く、良い方向性を示してくれる良著。
<メモ>
・現場に近い情報は課長クラスが圧倒的に持っている。上部構造では決められない難しい問題ほど、現場レベルで決められる場合が多い。
・差を生むのはマインドセットの違い。
・北欧は福祉に厚い半面、自助の精神を持つことを子供の頃から教え込まれるのが普通。公助は厚いが共助が縮小し、人々の孤独は高まっている状態。共助が厚い日本とは根本的に異なる。
・ミドルは事業のマイナス面をボディブローのように撃ち続けること -
Posted by ブクログ
経済政策を考える上で、過去にとらわれて実態に合っていないという指摘を読み、個人的には非常にすっきりした思いです。
マスコミで流れる企業のイメージはあまりに画一化しすぎていて、どうも実態と合っていないのでは、というのは何となく思っていましたが、理論的にとても整理されていました。
経済の考え方として、グローバルとローカルを分けて考える必要があります。
・Gの世界:製造業やIT産業が中心になる世界
基本的に「モノ」(製造業なら車などの有形物、ITんら情報などの無形物)を扱い、規模の経済性が効く、資本の集約性
・Lの世界:非製造業が中心、本質的に「コト」の価値(観るコト、運ぶコトなど)を顧客に -
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グローバル経済に注目しがちだが、実際はグローバル企業は例外的で、分散型のローカル企業が多く占める。
グローバル経済への対抗としては、里山資本主義は面白いがそのような条件がそろう事例は限定的だ。
ローカル企業が地域に還元することでローカル経済は循環する。
少子高齢化が進むなか、ローカル経済は人手不足状態だ。ローカル企業の労働生産性を向上させる。
ローカル企業を選別し、みこみのない企業には退出してもらう。
ローカル企業が効率化、集中することでローカル経済は活性化するとしている。
退出のめやすのひとつとして担保中心の融資から、銀行員の目利きに基づく融資に戻すという提案には非常に納得できた。 -
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201607/
(事業計画とは)事業という無形物をリアリティのある「物語」として有形化する手段である/
戦うための計画書である以上、冷静な頭で客観的に状況を分析し、論理的に考え、組み立てる必要がある。しかし、最後の最後、計画策定に関わる人々が、それぞれの人生に関わる切実さ、真摯さ、そして熱さを共有できるか否かが、ビジネスの世界におけるリアルな戦争計画の質を大きく規定する。魂の入っていない事業計画には、現実の成功はついてこないからだ。/
事業計画作成は、大きく以下の流れで完成までのステップを踏むことになる。
a目的(何のために・誰のために)を明確にする
b①作成すべき資料を明確にする
b② -
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ネタバレ筆者は、ボストンコンサルティングや産業再生機構で豊富な実務経験をお持ちの冨山和彦氏。著者自身、本書の中で「経営と事業のリアルな本質を語れるものは企業価値や資本政策を語るべからず」と述べられており、実際の現場経験をベースに書き綴っている内容にとても説得力を感じます。
組織を動かしていく上で、筆者が重視する視点の一つとして、「人間の弱さ」が挙げられている。人間は物事を認識する際、「見たい現実を見る」生き物とのこと。「性弱説」に立って人間を理解すれば、社会、組織の多くの現象が理解可能になる。そして、そのような現実にこそ、経営や組織がとんでもない過ちや腐敗を起こす根源があると述べています。
「現場に -
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201604/
労働生産性(投入される総労働時間を分母として、付加価値額を分子として計算)とその推移を計算している企業は、その重要性の割りにとても少ないので、「どこが儲かっていて、どこが儲かっていないのか」を探す「見える化」に加えて、ぜひ労働生産性も試算してほしい。いろいろな改善切り口が見えてくるに違いない。/
選択捨象マトリックス:
・コア事業かノンコア事業か
・GOOD事業かBAD事業か
多くのローカル企業にとってコア事業とは、「もっともマネジメントの自信がある事業はどれか(自社内の相対評価)」、さらには「他社のトップに経営させるよりも、自分達が経営したほうが、事業の長期的な価値が向上す -
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全国896の自治体は消滅の危険性があると、
それに対する処方策をとく。
■大学進学率50%を超えた状況にあるなら、グローバル大学(G型大学)とローカル大学(L型大学)に分けて、G型大学の役割をグローバルで通用する極めて高度なプロフェッショナルな人材の輩出するのに対して、L型大学の役割を生産性向上に資するスキル(簿記等)保持者の輩出(職業訓練)しとした。
■「若者が地方に残れるようにするには、生産性を上げること・・・中略・・・地方の生産性は現に低いぶん改善の余地も大きいが、生産性を上げるためには、『強きを助け、弱きは退出促進』することが必要。これには痛みを伴うが、今や地方は人手不足で、退出企業の -
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この本の著者の富山和彦さんは「産業再生機構」設立時、COO(最高業務執行者)という要職にいた方で、現在は経営共創基盤(IGPI)CEOである。
富山さんがこの本で言いたいのは、企業にはG(グローバル)会社とL(ローカル)会社があり、G会社では今までのやり方をドラスティックに変えなければダメだ、という事である。
その為にはまずあなたの会社で、事業、機能そして人材の新陳代謝が起きるのは当たり前ですか?と問う。
具体的には「大会社に入り、ずっとその会社で勤め上げることは、サラリーマンとしてまっとうな人生である。」という考えは即座に捨てるべきだという。
例えばM&Aで自分の所属する部門が他社に -
Posted by ブクログ
読み終わって、爽やかさが残る本であり、歩んできた人生を基礎に、従来の価値観・慣習に囚われない、リベラル・アーツを実現していくための実践論が書かれていた。
私の尊敬する司馬遼太郎の一節、「東大は西欧文明の配電盤」が引用されていたり、また、岩井克人氏の考え方、会社は人でありモノであるという考え方が書かれていた。
自分が感じている当たり前のことが、著者がきちんと論理的・経験的に整理して本になっている。
こんな楽しい読書はありません。
経営トップにひつような「合理」と「情理」。
なにも経営トップでない人生ですが、雇われ所長としてもとっても参考になるくだりでした(笑)。