冨山和彦のレビュー一覧
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ネタバレ富山節が炸裂した、AIによる日本の可能性と取り組む道、考え方についてしるされた良著。
<メモ>
・革命的なイノベーションの波に飲み込まれた業界においてビジネスの世界での勝ち負けはあくまでも急速に変化する環境の中で、構造的持続的に稼ぐことのできるビジネスモデル、競争モデルを先に構築できたかどうか。
・確率論としてはイノベーションを起こすのは自社以外である確率の方が圧倒的に高い。
・新鮮なリアル性を持たなければマネタイズが難しい時代になってきている。日本のライブイベントは唯一無二の競争障壁ともいうべきタイムゾーンの優位性を持っている。
・世界中の多様な投資機会をポートフォリオ的に捉え、投資管理す -
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コーポレートガバナンスのあり姿についての提言がまとめられた本。日本企業の経営はムラ社会(調和的)の影響が色濃く、空気を読むがあまり経営に求められる「あれかこれか」を決断する能力とスピードに欠けると筆者は指摘。そこで取締役会のモニタリング機能を高めるべく、会社TOP人事(=企業の最高権力)を社外取締役を中心とする指名委員会を発足させ、実質的なコーポレートガバンス、つまり、リスクヘッジだけでなくリスクテイクも後押しするような取締役体制を築くべきと助言。更なる具体論としては、①100%子会社であっても社外取締役を入れるべき、②取締役会は1議題20分はかけて、3-4テーマを議論するのが理想、
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冨山さんの話を聞く機会があり、色々と修羅場をくぐっているだけあってその話には大変惹きつけられた。そのときにも経営者は数字が大事、ということも言われていたこともあり、であればと手に取ってみた。
まず会計による経営分析には限界があるということ。財務諸表を読むことができることは当然必須のことではあるが、その数字の意味するところを理解するためには、その企業の成り立ちや競争環境を理解する必要があるということである。至極当然であるが、そのためにはセンスと経験がいるということなのかもしれない。
大きな危機にあるときには、細かいところではなくて、インパクトの大きなところだけに注目しないといけない、規模の経 -
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しょせん当たらない予測に時間とカネを使うことよりも、予測不可能なイノベーションがもたらす変化に迅速かつ鮮烈に対応できる組織能力、経営能力、すなわちwhen,how,whoに関わるもっと根源的な戦闘能力を高めておくことのほうが、革命期においては重要な意味をもつ
過度の焦燥感や無用な悲観論に流された情緒的な経営判断の誤りは、確実に「負ける」原因、「稼げなくなる」理由になるのだ
イノベーションを起こすのは自社以外である確率であることが圧倒的に高い
事業ポートフォリオ、機能ポートフォリオの入れ替えを常態的かつ臨機応変におこなえない企業は、非常にヤバイ状況に追い込まれる
人間の苦手のところから置 -
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デジタル革命の主戦場はバーチャル・サイバーからリアルフィジカル、G(グローバル)からL(ローカル)、C(カジュアル)からS(シリアス)に遷りつつある。すなわちfacebookのようなバーチャルだけで成立していて世界を巻き込む潮流を起こす娯楽性の高いITではなく、現実社会でローカルな市場でのビジネスをデジタルツインにするITが日本の発展に繋がると語る。AIやIoTをどのように活用するかということについて、テクノロジーの問題というより経営課題として日本型経営の良いところ(連続的かつ集合知的な技術の蓄積など)を生かしつつ、悪いところ(何でも独自、自前主義など)を改めてクローズドとオープンのハイブリッ
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「GとL」という形でグローバリゼーションとローカライゼーションを、競争ルールや戦い方が全く異なる社会であるということを明示して見せた著者が、AI・IoT・ビッグデータ時代における日本の競争戦略についての考えを示した一冊。
私なりに要約すると、著者の主張は以下のようになっていると思われる。
・これまでのデジタル革命(Digitalization)は、垂直統合から水平分業への産業構造のシフトにより、顧客フロントを握ったPFer(Google、Apple等)や、標準化/デファクト化されたキーコンポーネントを持つ企業(Intel、Qualcomm)といった一部の水平レイヤーに大きな収益が集中する格 -
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ネタバレいきなり革命的な本の題名で驚いた方も多いのではないか、しかし本書は正鵠を得ている。
事実、この国を支配しているのは「老人」である。
若いサラリーマンに新橋辺りで経済番組がインタビューした時、彼らは「僕たちの老後には年金なんてないと思ってますよ~」自虐的に答えていたのが印象的だった。
政治家も選挙になるとまず、老人の原宿である「巣鴨」で演説する。亀井静香さんなんかが「支持率ゼロパーセントの国民新党ですが~」とか言い出すのだ。
ちょっと待って、政治家の皆さんと有権者の方々、余りにも自分たちの既得権益を守ろうとしていませんか?と富山さんは問う。それは違うだろう?と。
富山さんいわく、労働生産 -
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ともすれば、すべての企業がグローバル経済で生き残るため、
そして成功するための経営が求められているように感じられるものです。
本書では、グローバル経済圏とローカル経済圏を、
それぞれGのものとLのものとして区別し、
GとLは連関の薄いものだという前提で論を進めていきます。
つまり、どれだけグローバル企業ががんばって儲けても、
いわゆるトリクルダウンと呼ばれる、
グローバル企業からほかのサービス業の人びと、
もっと言えば、格差の下のところにいる人々への潤いは
ほとんどもたらされないものだという見抜きがあるんです。
よって、グローバル企業はグローバル企業で、
ローカル企業はローカル企業で、
と -
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ネタバレ富山先生のご著書を拝見すると、とてもドライな方だという印象を受ける。しかし、富山さんが産業再生機構(政府系の再生ファンドね)のCOOに就任された時、高給を蹴って富山さんの下に馳せ参じた方が少なからず居たという。
本書も「俺って仕事は余り。。。」って方には、将にハル・ノート的なご著書だと思う。何せタイトル通り「非情にやれ」ということであるからだ。
富山さんは言う。情緒に流れた選択が日本をダメにしたというのだ。例えば上記のハル・ノート。これは皆さんもご存知の通り、米国から「我が国と和平条約を結びたかったら、中国から完全撤退しろ」というものだった。
このハル・ノートによるサンクコスト(埋没費用