冨山和彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
事業計画とはお金の計画を練ること。計画ゆえに時間軸があり、単年収支のみならず、減価償却やストックを含む。財務諸表で語れ。何か施作を行なった結果は財務諸表に表れる。本書の主張は明快であり、すべては財務諸表で語れということだ。
差別化の本質的な意味。
1.顧客視点で購入のトリガーとなること、
2.競争視点では他社が容易に追随できないこと。
この2つでもって「差別化」となる。顧客が製品から感じ取る「違い」を差別化と見る人が多い。差別化でもって、他社とのコスト競争を回避できる。
ー以下、メモー
本書を読んで思ったのは、ビジネスっぽいなということ。技術をやっていると、バリュー以上に技術のことに意識が向いてしまう。
現代のIT業界の競争では財務諸表に表れない財産もある。データである。これをどう読むのだろうか。 -
Posted by ブクログ
IGPI冨山さんの著作。AI・デジタル革命において、日本企業が真に見極めるべきは何かを伝えている。
AI革命による大波は、デジタル革命から遠かった医療介護現場や建設現場など、労働集約産業、さらには第一次産業にまで到達している。この波を梃子にして、飛躍的に生産性の高い産業に生まれ変わる現場も出てくる。
IoTはビジネスプロセスのオープンプラットフォーム化を促す技術なので稼ぐための差別化領域にはならず、出遅れていても経営論的に致命傷にはならない。しかしながら、世の標準に乗り遅れる可能性があることを危惧しなければならない。
デジタル革命で起きる、ほぼ確実なことと不確実なこと。ビジネスサイクルの短命化、製品サービス機能の標準化・モジュール化、スマイルカーブ現象、小さいことや若いことの優位性の向上、トップの経営力の時代。
ネットビジネスの世界では、スイッチングコストが低く、参入障壁を作りにくいため、完全競争に近い状況になる。パクるのが容易であるゆえ、ウーバーのようなイノベーターでさえ、容易に苦戦を強いられる。
ITスタートアップやアメリカ大手ITのリアル進出はうまくいかない見通しが立ってきている。日系メーカーのハードウェア設計では安全性、耐久性、信頼性を強く志向する一方で、IT企業は快適性や利便性を前面に押し出す。人命に関わる機器になると、IT企業では太刀打ちできない。また市場ストックはメーカーにプラスに働くため、メーカーの牙城を崩すのは容易ではない。
ー以下、メモー
メーカーの安全性を追求する姿勢が、IT企業の侵入を防ぐことになろうとは予想だにしなかった。本書はメーカーのコア領域とは何かを考えさせる。設計・生産の技術はもちろんのことだが、目に見えないところに差別化要因があるように思う。地域の販売サービスネットワークしかり、安全性に配慮した設計プロセスしかり。
AIビッグデータの領域で真にカネになる技術・アイデアは希少。国内IT企業が様々AIプロジェクトを立ち上げているが、どれもうまく行っていないように映る。業務効率化の域を出ない技術が多く、夢のないコスパの悪いプロジェクトが量産されている。自社の将来像を描き、新しい顧客体験を生みださなければ生き残っていけない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ経済学的には、好景気だから人手不足、不景気だから人余り、なのに景気停滞の今人手不足…
少子高齢化時代の今、従来と異なる経済環境を経験している。団塊の世代の大量退職から、あと20年間は続くであろう極端な少子高齢化とこの人手不足の問題にどう対処するか?まもなく日本と同じ少子高齢化問題を迎える他国のお手本となる対処法を構築できるか?日本の腕が試される。対処法の糸口として、大企業と中小企業ではなく、グローバル企業とローカル企業に分けて考えることを推奨した本。モノを生産するグローバル企業に見られるのは資本集約型であり、サービスを提供するローカル企業に見られるのは労働集約型であることを考えると、国の支援の仕方は後者を軸にしたほうが効果的だと思われる。国を支える労働力をサポートするには、ローカル企業が健全に経営できる環境を整えることが大切だと改めて思う。 -
Posted by ブクログ
AIと銘打ってはいるが、本書はモノづくりについての本、とも言える。
まずもって、数多の関連本が出版される中、AI革命=大自動化革命、とシンプルに言い切った人は私の知る限り今までいなかった。
AIがもたらす新しい自動化を考える上で著者が提示するのは、「Sの世界」という概念。Sは「シリアス」。ネットに対するリアル、そのさらに内数として「間違いが許されない」レベルの精度が要求されるリアル領域、と私は理解した。典型例としては自動運転や介護。
ネットの世界でGlobal giantになるには多少の不具合をものともしない推進力が必須だったが(例えばFacebook)、Sの領域ではハードとソフトとのすり合わせに最高レベルの技術が必要になる、と。これは日本企業の得意分野でもある。
とは言え、ではソフトもハードも内製化しようというのが正しいのかというと、結局は状況次第、といういつもの話になる。この点、著者の八艘飛び的議論を勝手に咀嚼するならば、AI時代に日本企業がめざすべき(あくまで)ひとつのモデルは以下のようなものだ。
すなわち、基礎R&Dは無理に抱え込まずにグローバルトップの大学にアウトソースし、あるいはシーズ段階では世界のトップ技術者たちを破格の条件で単発雇用し、作って売るにあたっては(まさにRealization?)M&Aも含め自社内に築き上げたピカピカのリアルアセットで臨もう、と。で、そうした柔軟な経営をするにはDNAレベルから会社を変革する必要があるね、と。
総じて、頭のいい人が興に乗ってしゃべくり倒しているときのドライブ感が心地よい。
「自動運転でドイツメーカーのほうが先行しているのは、フォルクスワーゲンを中心にモジュラー化の進展ペースが早いからだ。コンチネンタルもボッシュも企業規模が大きいので、投資額が半端ない」(P.84)。
「半端ない」って(笑)。どこまでも堅苦しく書ける部分でこの調子。あえてそのままにしておく編集姿勢もナイス。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ富山節が炸裂した、AIによる日本の可能性と取り組む道、考え方についてしるされた良著。
<メモ>
・革命的なイノベーションの波に飲み込まれた業界においてビジネスの世界での勝ち負けはあくまでも急速に変化する環境の中で、構造的持続的に稼ぐことのできるビジネスモデル、競争モデルを先に構築できたかどうか。
・確率論としてはイノベーションを起こすのは自社以外である確率の方が圧倒的に高い。
・新鮮なリアル性を持たなければマネタイズが難しい時代になってきている。日本のライブイベントは唯一無二の競争障壁ともいうべきタイムゾーンの優位性を持っている。
・世界中の多様な投資機会をポートフォリオ的に捉え、投資管理する能力を競う世界。
・社内のやっかみを生まないために特区は海外にあった方が安全。いかに必要最小限の的確なガバナンスを効かせられるか。いかに優秀な人を白けさせないか。ケイパビリティをいかに高めるか。
・地域の領域は、いかに地域や顧客との関係で密着度と密度を高めるかが重要。密度の経済性をいかに高めるか。地域の覇者、商圏の覇者になることが重要。拡大時は先に密度を高め、確固たるポジションを確立してから隣接地域に滲み出して、新たな地域ドミナントを築いていくこと。
・物流も電話もラストワンマイルは基地局設置などベタな商売なのでグローバル化することにシナジーがほとんどない。コストの大半がローカルで生じていて、国際的な共有コストがあまりないからグローバル化するメリットがない。
・エコシステムとして経済社会全体を捉え、G型企業とL型企業の共存・相互補完モデルはもちろん、デジタル革命の中でさらに多様化し、流動化するビジネスモデルや経営モデルが全体として国民経済の持続的発展に資するよう機能させることが重要。
・世界中で集約産業化が進んでおり、高い生産性、高い賃金を実現し、高い企業価値を作っていこうと思えば、大量生産モデルを頭から排除しなければならない。