冨山和彦のレビュー一覧
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コーポレートガバナンスのあり姿についての提言がまとめられた本。日本企業の経営はムラ社会(調和的)の影響が色濃く、空気を読むがあまり経営に求められる「あれかこれか」を決断する能力とスピードに欠けると筆者は指摘。そこで取締役会のモニタリング機能を高めるべく、会社TOP人事(=企業の最高権力)を社外取締役を中心とする指名委員会を発足させ、実質的なコーポレートガバンス、つまり、リスクヘッジだけでなくリスクテイクも後押しするような取締役体制を築くべきと助言。更なる具体論としては、①100%子会社であっても社外取締役を入れるべき、②取締役会は1議題20分はかけて、3-4テーマを議論するのが理想、③経営の現地化を進める上ではまずは起業理念・信条を組織に行き渡らせることが大事、等、商社の関係会社管理にも通じる点多く、「関係会社管理」のあり姿について考えを深めるきっかけになった。
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冨山さんの話を聞く機会があり、色々と修羅場をくぐっているだけあってその話には大変惹きつけられた。そのときにも経営者は数字が大事、ということも言われていたこともあり、であればと手に取ってみた。
まず会計による経営分析には限界があるということ。財務諸表を読むことができることは当然必須のことではあるが、その数字の意味するところを理解するためには、その企業の成り立ちや競争環境を理解する必要があるということである。至極当然であるが、そのためにはセンスと経験がいるということなのかもしれない。
大きな危機にあるときには、細かいところではなくて、インパクトの大きなところだけに注目しないといけない、規模の経済が利くか否かは当然ながら条件に依存する、合併によるシナジー効果が自動的に出ることはめったにない、密度の経済やネットワーク効果が重要、などといった言葉が並ぶ。
結局は、人間心理であり、人間音痴では、正しい経営分析はできない、と言われると場数を踏まないとなと思うのである。 -
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しょせん当たらない予測に時間とカネを使うことよりも、予測不可能なイノベーションがもたらす変化に迅速かつ鮮烈に対応できる組織能力、経営能力、すなわちwhen,how,whoに関わるもっと根源的な戦闘能力を高めておくことのほうが、革命期においては重要な意味をもつ
過度の焦燥感や無用な悲観論に流された情緒的な経営判断の誤りは、確実に「負ける」原因、「稼げなくなる」理由になるのだ
イノベーションを起こすのは自社以外である確率であることが圧倒的に高い
事業ポートフォリオ、機能ポートフォリオの入れ替えを常態的かつ臨機応変におこなえない企業は、非常にヤバイ状況に追い込まれる
人間の苦手のところから置き換わるのが道具の基本原則
超優秀はエンジニアに働いてもらうには
人材のシェアリングエコノミー
人を雇い入れるとしても、ライフタイムxフルタイムで囲い込むことは最初から諦める。このテーマで5年間やってください。場合によっては副業もOKですよ。という形にすればいい
世界選抜のリーグ戦 会社組織モデルと相性がよくない
チーム単位で動く トヨタの人工知能研究所TRIがギルプラットを採用すると彼の仲間がごそっりついてくる
超優秀は人材が楽しんで働ける環境を用意する
プロフェッショナル型組織とサラリーマン型組織
日本的経営とは、同質性、連続性、すり合わせ、ボトムアップ、コンセンサスの経営、「あれも、これも」の経営。
「あれか、これか」の選択のための経営リーダーシップ、トップダウン的要素を適時、的確に作用させるしかない
スマイルカーブ現象
大胆にすてる経営が求められる
不確実なものは不確実なものとして経営すること、これが私たちが賢者となるための「歴史からの学び」なのである
従来型のネットビジネスの活路は、「ライブ」x「タイムゾーン」戦略にあり
ローカル経済園を構成する産業の多くは対面型で、サービスを提供する人間がリアルかつリアルタイムでそこにいなくてはならない同時同場型のビジネスなので、グローバル化が進んでも空洞化しにくい。ユーロ安、低い法人税率、労働市場改革で製造業絶好調に見えるドイツでさえ、ほぼ日本と同じで、約8割の労働者はローカルな産業で働いている
インダストリー4.0とは、トヨタが系列内でやっていることを、欧米のよりオープンな環境でもできるかという問なのだ
AIが人間に勝ったこと自体は驚くに値しない。あえていえば、この勝利はAI開発者が棋士に勝ったというのが正しい
コマツ 競争領域と協調領域のメリハリをはっきりつけ、かつ産業構造の変化を先取り
ハードウエアのメカニズムの部分、中でも生産技術で圧倒的なノウハウをもっており、そこが自分たちの唯一無二の強みだと知っているから、コアになるダントツコンポーネントは国内のマザー工場で徹底的に作り込み、その核心部分はだれにも明かさない。しかし勘定系猫舞はもちろん、生産管理でさえ協調領域と位置づけ、ERP(統合基幹業務システムソフト)の標準ベストプラクティスを徹底的の取り入れる。
その一方で、稼働状況のモニタリングを通じた市場動向の早期把握、盗難対策、販売与信やメンテナンス、さらには無人運動サービスといった、付加的だが、産業のサービス可(スマイルカーブ化)が進めば、競争上、決定的な意味をもつサービスについてh,自分たちに強みがないことがわかっているから、どんどん外部の技術を取り入れて、自前のハード技術にGPSやAIといってデジタル技術を連動させて、サービスを先行的に展開する
オープンイノベーションといいながら、またぞろそのためのAIを自分たちで開発しようとする傾向が見て取れる。すでに有効な技術があるのだから、それをパクればいいのに、自力で画期的なAIを作ると言い出すのは、日本企業の悪い癖だ
スマイルカーブ ある製品のバリューチェーン全体を見た時に、川上(企画、設計、部品)と川下(販売、メンテナンス)側の利幅が厚くなる一方、真ん中の製造工程(組み立て)はほとんど利幅がとれなくなる現象 口角を上げた口の形にみえることからそう呼ばれる
ドイツは2面作戦 従来型 ダイムラー、BMW
モジュラー型 フォルクスワーゲン、ボッシュ、コンチネンタル
コンチネンタルはマイナーなタイヤメーカーだった。いつのまにか買収でモジュラーメーカとなる
日本ならデンソー
メカトロニクスの分野は、見える化しにくいアナログ的なノウハウがたくさん詰まっている。製品を分解したからと言って、量産ベースで同じものが作れるわけでないというところが、メカトロニクスの産業障壁になっている
中国はドローン止まり
日本企業にトワえるのは、割り切れるかどうか、捨てるべきものを捨てられるかどうか、日本企業がもっとも苦手としてきた捨てる経営ができるかどうかなのである
よそから持ってきて済むものは、自社開発をやめて外部から調達すると割り切れるかどうか。ライセンスを買ってきたり、人材を引き抜いたり、そうした技術を取り入れたりやり方は様々だ
自前主義との戦いは人間本性との戦い
コマツ コムトラックス ロシアのベンチャーの技術 自動運転ダンプ、地形そ測定するドローン 米国のベンチャーの技術
コマツはおそらく、ソフトウエアやアルゴリズムの世界には自社固有の優位性がないとわかっているから、どんどん外部から買ってくればいいと考えているのではないか
M&Aがうまくいかないのは、買収した企業に対する社内ん反発ややっかみを抑えきれず、自分たちと同じ土俵に載せようとするからだ
社内のやっかみをうまないために特区は海外にあったほうが安全だ
向こうのテック系ベンチャーに日本式の整理整頓を強要するな
ソフトウエアアルゴリズムの世界はスピード勝負なので、いかに高速に失敗できるかにかかっている
ローカル型産業こそがリアルで、シリアスな世界のビジネスの極地 小売、飲食、宿泊、運輸、物流、建設、医療、介護、農業といった地域密着型の産業群は、まさにリアルな人間がリアルな現場において対面型で財やサービスを提供する、最もリアルなビジネスばかり
デジタル革命の波が押し寄せても、生身の人間や現物で構成されるリアルな世界はどこまで行ってもリアルだ
個別企業の戦略としても、お互いに思いっきり差別化していかないと、共倒れの危険がある。個別企業としてもレッドオーシャンでの消耗戦を回避できるという意味で正しい。「稼ぐ力」をもっとも減殺するのは、何と言っても競争、特に過当競争状況なのだ
ゲゼルシャフト的 機能的組織、利益集団
ゲマインシャフト的 共同体的組織、ムラ社会
日本人が変わるときは諦めた時
我慢して、我慢して、我慢しきれなくなったら、一斉に変わる
ダサい日本の企業を受けに行くのはイマイチな東大生が多い
テキストベースでAIに最初に置き換わるのは報道だ
半沢直樹は権力闘争をしているだけ、「住友銀行秘史」「バブル」を読んでも、出てくるのは本質的な改革を先送りするためのダーティ・ワークと権力闘争で、これだけ優秀な人たちが収益と関係ないことばかりやっていれば、日本経済が衰退するのも、あるいみ当然なのかもしれない
ソフトバンク 3兆円でARM買収 生産設備はまったく持たず、設計に特化した開始 人的資本が企業価値の大半をしめる つまり、アームというブランドらライセンスに価値があるのではなく、それを生み出す3000人のエンジニアに価値があるのであって、個人的には、純粋に人的資本の会社をあれだけ大枚をはたいて買う意味がわからない。
それだけお金があるのであれば、優秀なエンジニアを全員引き抜けばいいのだ
人に投資するのであれば、企業買収よりも引き抜きのほうが効果的 -
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デジタル革命の主戦場はバーチャル・サイバーからリアルフィジカル、G(グローバル)からL(ローカル)、C(カジュアル)からS(シリアス)に遷りつつある。すなわちfacebookのようなバーチャルだけで成立していて世界を巻き込む潮流を起こす娯楽性の高いITではなく、現実社会でローカルな市場でのビジネスをデジタルツインにするITが日本の発展に繋がると語る。AIやIoTをどのように活用するかということについて、テクノロジーの問題というより経営課題として日本型経営の良いところ(連続的かつ集合知的な技術の蓄積など)を生かしつつ、悪いところ(何でも独自、自前主義など)を改めてクローズドとオープンのハイブリット経営でいかに儲けるかを指南します。
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「GとL」という形でグローバリゼーションとローカライゼーションを、競争ルールや戦い方が全く異なる社会であるということを明示して見せた著者が、AI・IoT・ビッグデータ時代における日本の競争戦略についての考えを示した一冊。
私なりに要約すると、著者の主張は以下のようになっていると思われる。
・これまでのデジタル革命(Digitalization)は、垂直統合から水平分業への産業構造のシフトにより、顧客フロントを握ったPFer(Google、Apple等)や、標準化/デファクト化されたキーコンポーネントを持つ企業(Intel、Qualcomm)といった一部の水平レイヤーに大きな収益が集中する格差を生み出した。具体的には「第1期:コンピュータ業界(IBMからウィンテル)」や「第2期:BtoCのエレクトロニクス/情報通信・メディア業界」が該当する
・来るべきデジタル革命の第3期は、これまでとは異なり、「リアル」で「シリアス」な世界、つまり自動車や医療、重電のような業界が対象となる。これらの業界の特徴は人々の生命や安全に直結する業界が多く、かつソフトとハードをすり合わせる必要があり、ハードの運用保守も必要になるなど、第2期におけるtoC事業を主体するweb系企業がそのままでは参入しにくい特徴を持つ
・むしろtoC主体の第2期では負けたものの、自動車・製造業など「リアル」で「シリアス」な世界に強い日本にとって、第3期は十分主役に躍り出れるポテンシャルを有している。そのためには、グローバルで活躍する天才技術者を特別な人事設計の元で囲い込み、大学との産学連携で技術や人を育てるなど、これまでとは異なる競争戦略を急ぎ取るべきである
第2期と第3期でプレーヤーの様相が変わるはず、という指摘は私としても非常に強く同意するところである。例えば、バーチャルかつtoCが主体の第2期の世界で戦ってきたDeNAは、第3期を代表する自動車産業に自動運転技術の開発という形で参入しているものの、個人的に上手くいくとは思えない。「welq」の騒動を思い起こすまでもなく、webの世界とリアルな世界ではそこで求められる安全性や信頼性が桁2つ・3つは違うという点を、彼らはどこまで真摯に考えていることか。
最後に、タイトルは編集者が決めたのではないかと思うが、偏差値40レベルの頭の悪いタイトルであり、本書の内容と完全にずれている点が残念。 -
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ネタバレいきなり革命的な本の題名で驚いた方も多いのではないか、しかし本書は正鵠を得ている。
事実、この国を支配しているのは「老人」である。
若いサラリーマンに新橋辺りで経済番組がインタビューした時、彼らは「僕たちの老後には年金なんてないと思ってますよ~」自虐的に答えていたのが印象的だった。
政治家も選挙になるとまず、老人の原宿である「巣鴨」で演説する。亀井静香さんなんかが「支持率ゼロパーセントの国民新党ですが~」とか言い出すのだ。
ちょっと待って、政治家の皆さんと有権者の方々、余りにも自分たちの既得権益を守ろうとしていませんか?と富山さんは問う。それは違うだろう?と。
富山さんいわく、労働生産性は35歳位でピークに達し、それからは徐々に減っていくという。だから、「終身雇用年功序列賃金はおかしい」とのことだ。
それは私も実感したことがある。銀行員(といっても第二地銀だが)の時、役員店舗で一番働いていたのが、32~38歳くらいの「支店長代理や次長」であった。それより上の副支店長や支店長は明らかに、彼らにおんぶに抱っこだった。いわゆる「ご苦労さんポスト」であった。
富山さんは、このような事は社会全体で起きていると説く。年金制度や後期高齢者医療制度等、明らかに「老人の為の制度」であると。
それを打破するのは、30代の諸君の改革が必要であるそうだ。源平時代の武士階級と公家階級の争い、明治維新の士族階級の解体等様々な「革命」がこの日本を救ってきたと説く。
その革命のための処方箋が本書で書かれているのだが、それらが随分興味深い。詳しくは本書を読んでもらいたいが、2、3紹介すると大学は職業訓練校にしろ。即ち、簿記やCAD/CAMを教えたり、入学試験の英語はTOEICやTOEFLにするべきと等、とにかく本書は「革命的」な事が多く載っているのだ。42歳で産業革新機構(政府系企業再生ファンド)のCOOという、難職を拝命した日本でも指折りのベンチャー・キャピタリストの富山さんだから、含蓄のある意見がこれでもかと言うばかり掲載されている。
そんな親分肌の富山さんは30代の諸君に革命を起こす際のテクニックを本書で記載している。例えば、まず「親子間コミュニケーションから始めろ」とか「元小泉純一郎総理のようなやり方で行け(詳しくは本書で)」や「上の世代からの甘言による、抱き込みに巻かれるな」とかとにかく30代でこれからの日本に憂いている諸君にとって、バイブルとなる書籍である。
多少、強引な面は否めないが富山さんの経験がそうさせているのかもしれない。
「俺たちの将来は真っ暗で選挙なんて行ったって、どうせジジィ・ババァの言うことしか聞いてくれないんだろう」と言う方には是非本書を読んで「革命」の参考にして欲しい。
日本はもうすぐ「超・高齢化社会」に入る。そのような社会の解決策の一里塚に本書がなるかもしれない。特に30代以下の世代にとって。そう40代真ん中の私は思いましたよ。私は頑張っている若者の国に日本をしたいし、それを手助けしたいです。そのように同意する日本人にとって本書はよい参考書になると思います。この本も面白かったな~富山さん、さすが冴えています。 -
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ともすれば、すべての企業がグローバル経済で生き残るため、
そして成功するための経営が求められているように感じられるものです。
本書では、グローバル経済圏とローカル経済圏を、
それぞれGのものとLのものとして区別し、
GとLは連関の薄いものだという前提で論を進めていきます。
つまり、どれだけグローバル企業ががんばって儲けても、
いわゆるトリクルダウンと呼ばれる、
グローバル企業からほかのサービス業の人びと、
もっと言えば、格差の下のところにいる人々への潤いは
ほとんどもたらされないものだという見抜きがあるんです。
よって、グローバル企業はグローバル企業で、
ローカル企業はローカル企業で、
というフィールドと性格の違いを
しっかり考えていくのがこの本のねらいです。
ちなみに、あまりスポットライトのあたらない、
サービス業(医療、介護、飲食、交通など)に従事する
労働人口は、総労働人口の7~8割だそうです。
そして、この分野では、グローバル企業のひとのように、
「自分を変革して、世界に飛躍していこう」
という世界観、人生観で労働者を語るのには無理がある。
別個の、質の違う世界観があるということです。
たとえば、看護師や介護士のような職に就くひとたちに、
どんどんキャリアアップして儲けていこうと説くのは、
一部のひとには共鳴をうむかもしれませんが、
多くのひとたちはそんなことよりも、
誇りだとか社会的な意味合いのほうを重視して働いている。
そして、そのような、生きがいの持ち方が、
サービス業、ひいてはローカル経済圏でのやり方のゴールになると、
著者は述べていました。
一方で、
グローバル企業のほうでは、
弱者は切り捨てていくという厳しい世界にしなきゃいけない、
ということです。
弱者の救済なんてやってると余計なコストがかかるという考え方。
どんどん、世界でやっていけない企業は退場していってくださいという
考え方なんですね。
また、さっきのトリクルダウンがおこらない説明になりますが、
グローバルな製造業にぶらさがる中小企業はいまや少なく、
サービス業中心の世の中なために、
グローバル企業から利潤が下のほうへ流れないのだそうな。
格差が縮まらないのはそのためだと。
連関が薄いのです。
ローカルな経済圏のサービス業などは、
平均的な能力をもってされるもので、
高度な仕事は与えられない労働になっているとされるけれども、
そのぶん賃金の上昇は鈍い。
ただ、サービス業では、
生産性の低い会社も高い会社もごちゃまぜになっていて、
生産性の低い会社がのうのうとやっていることが、
生産性の高い会社の足を引っ張る構図にもなっているようです。
日本は特にそうだと。
サービス業の最低賃金をあげていって、
それで苦しくなるような生産性の低い会社は淘汰されるべき、と。
考え方として、最低賃金を上げていって、
労働者の労働の質も上げていくのが理想のようです。
3人でやっていた仕事を、2人でこなせるようにしていく。
そうやると、賃金が50%上がってもいいくらい。
そういうふうに、個人の仕事の効率性をあげていくのが
今後、ローカル経済圏では大事になるということでした。
ローカルにも、高級品の製造や生産があり、
それらがグローバルで戦えるものだったりもします。
混ざり合っているわけですね、グローバル経済圏とローカル経済圏は。
それらを峻別して考えてみて、やり方の違いを理解して、
かつ、それぞれの選び方も考えていくのが大事になっていく。
それでいて、それぞれの行き来についても
考えていくのが必要なのではないかと思いました。
どうですか、7~8割のひとびとが、
グローバルで戦うための啓蒙的言説とは関係がないのです。
そういうところをはっきりさせてくれたのは、
本書の大きな手柄のひとつでしょう。
いまって、労働者の7~8割という多くのひとたちに
陽があたっていないように感じました。
とはいえ、グローバルに活躍する企業が経済を引っ張るのは確かです。
こちらが下火になるようではいけないですし、
いつの世にも、そんな世界でやっていこうとする気概のひとや、
ばしばしやっていける能力をもつひとがいるものです。
そういうスター性のあるひとはグローバル経済圏でやっていってほしい。
と、まあ、こんな調子の本なのです。
こうなっていくのも、グローバル化、少子高齢化、
団塊の世代の大量退職、などの背景があるからです。
きっちりと、自分がいるポジションがどういう経済圏か、
という把握ができていると、
いまよりも戦略が立てやすくなるかもしれないです。
コンパクトシティについての言及も数ページにわたっていて、
このあたりのイメージを深めるものでもありました。
ぼくがここで書いたことよりも、もっと詳しく広いことが
本書には書いてありました。
ちょっと雑だなと思った箇所もありましたが(第六次産業の扱いなど)、
それでもそういうところは行間を拾うように読むと、
内容の深さが増します。
予備知識が必要なところもありますが、
ネットで調べながら読めば大丈夫だと思います。
今の日本の経済のありかたの大局をつかむのに役立つ本でした。 -
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ネタバレ富山先生のご著書を拝見すると、とてもドライな方だという印象を受ける。しかし、富山さんが産業再生機構(政府系の再生ファンドね)のCOOに就任された時、高給を蹴って富山さんの下に馳せ参じた方が少なからず居たという。
本書も「俺って仕事は余り。。。」って方には、将にハル・ノート的なご著書だと思う。何せタイトル通り「非情にやれ」ということであるからだ。
富山さんは言う。情緒に流れた選択が日本をダメにしたというのだ。例えば上記のハル・ノート。これは皆さんもご存知の通り、米国から「我が国と和平条約を結びたかったら、中国から完全撤退しろ」というものだった。
このハル・ノートによるサンクコスト(埋没費用)は英霊20万人。当時の軍部は「英霊20万人を無駄にするのか~?」ということで、日米開戦を行い、結局日本は敗戦の憂き目に遭い、都合300万人の命を落としたということである。
このように現在某電機業界の数社も本書によると、明らかに致命的な時間的・サンクコスト(ご著書ではサンクタイムと仰っている)をもったいがって現在の悲惨な現状に喘いでいると断ずる。
このような憂き目に遭ったのは、やはり日本的なエリートが経営幹部を占めることになったからだ、と富山先生は分析する。
彼らは、いい大学を出て、一流企業に入社し、日本的な情緒的な意思決定を行い、合理的かつ論理的な判断が出来ない輩が多いとまで断ずる。
因みに富山さんは、東大法学部を出て、司法試験に受かり、当時は珍しかった外資系のコンサルタント会社に就職し、多くの苦労をしつつ、スタンフォードのMBAを30歳で取得し、それからのご活躍はご存知の通り。
そんなパーフェクトな経歴を持つ富山さんは、日本的な経営手法に疑問を呈する。ミドルクラスの課長連中は本当に会社の事を思って日ごろから仕事をしているのか?富山さんが再生を手掛けた、カネボウ・JAL共に改革を推し進めたのは、危機感を持った優秀な課長クラスのミドル・マネジャーだったという。
具体的に言うと、論理的な発想で経営の目線を伴って日ごろから、職務を随行しているか?会社が危機の時、部下に「君は要らない人材」だと合理的に説明して、会社の再建の力になれるのか?
JALの場合、そのような中間管理職達が派遣社員・スチューワデスが年収300万円で働いていることを、JALのOBに説明し、彼らに年金額のカットを求めてJALを再生に導いたことなどである。それはどの会社でも革新的な意識を持つミドル・マネジャーであるという。
そうなるためには、と書きたいところだが、詳しくは本書を読んでほしい。特に「俺はこんなに頑張ってるのに、会社は全然体質が旧態依然としているんだよな~」とかいう人にはうってつけ。
私の前職の支店長代理(今は部長職を拝命しているらしい)も城南信用金庫の「懸賞付き定期預金」という金融商品を聞いて「ウチの経営陣もしっかりして欲しいな~俺たちこんなに頑張っているのに~」と零してた。Y部長あなたの事ですよ!
という訳で、富山さんの凄さを少しも出さない、私のブログ。富山さんの部下だったら、真っ先にFiredである。おしまい。 -
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ずばずばと辛口のガバナンス経営論。
確かに経営者人事権を握るか握らないかが、ガバナンス(モニタリング機能)の中核。ガバナンスを権力作用と捉え、コーポレートガバナンス・コードを参照しながら、その本質をストーリー形式で語る。
社外取締役や企業再生など関与先企業での経験が盛り込まれているので、現実に遭遇しうるケースになっている。監査の視点からみても、モニタリング機能を補完するために、実態把握面で大きく貢献できる余地があると思えた1冊。
冨山さんの本はこれで2冊目。
本もいいけど、ガバナンスコードの有識者会議での提出資料や議事録、これも面白い。 -
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会社を大企業、中小企業ではなく、戦う市場の違いとして、グローバル(G)とローカル(L)で分け、それぞれが全く違った特性で、それぞれから日本は復活していくという内容。
製造業の大企業を中心としたGの話は、よく聞くが、実は、労働人口の65%が非製造業の中小企業であること、近年起きているサービス業での人手不足から、Lの重要性と可能性を語っている。
L領域での経営の戦略としては、地域との密着度・占領率と、生産性の向上だという。アメリカに比べて製造業は生産性が120%だが、非勢製造業は50%とかなりの改善の余地があるという話は初めて知った。生産性については、地域が分かれれば競合にならないため、地域横断での企業グループの場合、ナレッジの共有がもっと効くというのもうなづける。
Lの市場で、需要も低下するが、それよりも供給がさらに低下するため、ビジネスとしてのニーズは高まるという話だが、生産性を上げて、低下した需要でもコンパクトに収益を上げられるようになるかどうかがポイントと感じた。
今まで、地域でのローカル事業ということを考えたことがなかったので、非常に発見が多い1冊でした。