冨山和彦のレビュー一覧
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ずばずばと辛口のガバナンス経営論。
確かに経営者人事権を握るか握らないかが、ガバナンス(モニタリング機能)の中核。ガバナンスを権力作用と捉え、コーポレートガバナンス・コードを参照しながら、その本質をストーリー形式で語る。
社外取締役や企業再生など関与先企業での経験が盛り込まれているので、現実に遭遇しうるケースになっている。監査の視点からみても、モニタリング機能を補完するために、実態把握面で大きく貢献できる余地があると思えた1冊。
冨山さんの本はこれで2冊目。
本もいいけど、ガバナンスコードの有識者会議での提出資料や議事録、これも面白い。 -
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会社を大企業、中小企業ではなく、戦う市場の違いとして、グローバル(G)とローカル(L)で分け、それぞれが全く違った特性で、それぞれから日本は復活していくという内容。
製造業の大企業を中心としたGの話は、よく聞くが、実は、労働人口の65%が非製造業の中小企業であること、近年起きているサービス業での人手不足から、Lの重要性と可能性を語っている。
L領域での経営の戦略としては、地域との密着度・占領率と、生産性の向上だという。アメリカに比べて製造業は生産性が120%だが、非勢製造業は50%とかなりの改善の余地があるという話は初めて知った。生産性については、地域が分かれれば競合にならないため、地域横断 -
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今、どこの本屋さんでもこの本が売れている新書の上位に居続けています。みんな、そんなに地方の問題に着目しているのか!と少々たじろぎます。しかし、「地方消滅」の増田&「なぜローカル経済から日本は甦るのか」の冨山という最強コンビ、地方創生ロードウォリアーズなので、どんどんハイスパートで議論が白熱していきます。それぞれのコンパクトシティ、G型経済、L型経済という基本技をベースにG型大学、L型大学という新技も繰り出して、普通の文系大学やph.Dにダメージを与えまくります。見た目は派手ですがキーワードは「生産性」であり、これはじわじわ効く超ベーシック技だったりします。「生産性」の前に地方も大学も根本から変
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「選択と集中」を実行するためには、何かを「捨てる」ことが不可欠だが、伝統的な企業ほど、「捨てる」ことができずにいる。数々の企業再生案件に携わってきた著者が企業再生の要諦とともに、日本の産業全体が抱える課題の解決に向けた教育や地方創生のあり方を示した提言書。
本来は「事業」を行うための道具に過ぎない「会社」を”残す”ことが自己目的化した結果、外部環境の変化に対応できず、経営が行き詰まったカネボウやダイエー、JALなど”かつての名門企業の成れの果て”を目の当たりにした著者は、「残すべきは会社ではなく事業である」との信念の下、一切にしがらみを排して合理的に事業の価値を評価し、残すべき事業を 適 -
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ソニーをやり玉にかつて栄華を極めた日本企業が没落した理由をグローバル化とデジタル化への対応を中心に説き、病んでいる日本企業への処方箋をサラリーマンのメンタリティや人事を重点的に提示する。今も元気な日本企業として、KOMTRAXでIoTの先駆けとして知られているコマツを挙げていて、ERPををほぼ標準のまま導入したとのこと、やはり他の日本企業とは一味違うようです。少し前にネットでも盛り上がったグローバル大学、ローカル大学構想の片鱗も述べられている。復帰後のジョブズからアップルへの出資依頼をソニーが断った話があって驚いたけど、本当の話なんでしょうか?
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以下のことを意識しながた企業分析を行い、
その会社の裏にある構造的な経済性を知ることで本当の姿が見えてくる。
コスト面での分析は自社の共有コストに着目し、
事業モデルのうちで規模の経済、範囲の経済、密度の経済の
どれが大きいのかを掴む。
市場分析では顧客サイドの経済性を探る。
顧客の行動様式や価値増大の要因(例えばネットワークの外部性)、スイッチングコストの高め方などからも分析してみる。
そして産業全体の中でその企業がどの位置にいるのかも分析する(インダストリー・バリューチェーン)。
リアルタイムのポジショニング的な面と、将来のシナリオに応じた位置付けなどを見る。 -
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いい人のリーダは、会社全体の未来の為には、創業の同志、社員、OBからの憎悪を一身に受けてもかまわないという覚悟がない。だから、情に流されて決断のタイミングを逃す。その結果、倒産に至り、より多くの人の人生を壊すはめになる
学校の試験では、正解は基本的に一つだ。そして、それ以外の答えはすべてXになる。それが高ずると、あらゆる問題には唯一絶対の正解が一つあり、それ以外はすべて間違いなのだという意識が芽生えてしまうのだ。インテリほど罹患率が高く、しかも本人にはその自覚がない
城山三郎 広田弘毅 風車、風が吹くまで昼寝かな
最低限飯が食えて、夜露がしのげる場所があれば、人間は基本的に行きていける。い -
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著者は日本的経営が通用しなくなった理由は「グローバル化」と「デジタル革命」の2点と述べている。
グロ-バル化については他の書籍でも語られることが多いが「デジタル革命」がもたらした構造的変化は、
なぜ、株式会社日本の華形だったエレクトロニクス企業が駆逐されたかを明快に示している。
まず、「グローバル化」について
日本企業が「フル・グローバル化」対応に遅れた背景は加工貿易モデルの成功にある。
日本は日・米向けの加工貿易モデルが成功し過ぎたため、生産拠点としてしか新興国を捉えることができなかった。
(1990年において、日・米の世界GDPシェアは43%もあったため)
一方、欧米企業はかつて日本企業 -
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「結果を出すリーダーはみな非情である」冨山和彦
リーダー論。特になし。
産業再生機構でJALやカネボウの再建に携わった著者の、2000年代以降の日本社会リーダー論。
主に、ミドルリーダー層≡現場の部課長クラスを対象にして書いています。
僕にはまだ早い、などと言っててはいけなくて、将来使えるリーダーになるためには、早いうちから論理的思考力や日本的コミュニケーション能力を鍛えていかないといけない。
表題どおり、組織の中で決断を担う役割になったときに合理的な判断をするためには、「情理」を捨てて「道理」を通さないといけないことがあるでしょう。
それを実際に実行するためには何が必要か。
著者の考える