冨山和彦のレビュー一覧
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非常に読み応えのある一冊。ライターの人がまとめているんだろうなぁ、というのは途中からよくわかってしまったんですが(職業病ですね)、それにしてもここまで濃い内容を一冊にわたって綴れるというのは、それだけ濃密な経験をなされている証拠。
企業再生というテーマは自分の中でもずっと携わってみたいものでもあるので、濃密な本でありながら最初から最後まで熱く読み解くことができました。
こういう本を読むと、本当に企業の経営者って、それがサラリーマン社長だとしても社員とその家族の人生という重すぎる十字架を背負っていて、毎日仕事しているんだろうなぁと思う。そして自分には人数によらずその十字架を背負える覚悟がないとい -
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産業再生機構でカネボウやダイエーの経営再建に携わった冨山和彦さんの本。タイトルのとおり、近いタイミングで重大な局面を迎えるであろう日本経済に対して、今の30代がイニシアティブを持って社会変革を起こすべしという指南の書となっている。
物心がついた頃にバブル崩壊、就職は氷河期に突入し、非正規雇用と正規雇用の格差の問題、正規雇用でもワーキングプア続出と、まったく報われない時代を突き進むフロントランナーである30代。消費税増税、年金負担額増額、医療費の拡大といった高齢化社会の課題に対して、今こそ声を挙げるべきであろう。
日本の課題とは、脱原発でもTPPでもなく、統治構造である。先送り、短期視点での -
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コンサルタント向けに書かれているので、コンサルタントと縁が無いとイマイチしっくりこないところもある。
ただ、仕事に対する取り組み方には共通する部分もあり、参考にしたい点もある。
一番印象に残ったのは、以前のコンサルティングと言えば、「大きな戦略を提示しておしまい、実践はクライアントで考えてね」で十分に稼げていたのだが、今は戦略自体を思いつくだけではクライアントは納得せず、具体的に現場を動かす「執行力」というものまでコンサルには求められている、というところ。
プランを提示すること以上に、人を動かす、モチベートする、という活動の重要性が高まっているようだ。 -
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日本のトップコンサルタントといえる、波頭さん、冨山さんの対談本。
「本当にプロのコンサルタントになるには」というのがベース。
しかし、話が経営全般、会社の本質などにおよび、そしてここの内容が深い。コンサルを目指さない人でも参考になる。
<めも>
◆経営
意思決定の力×実行の力=経営の力
◆会社
会社は、組織の本能と資本の本能の2重螺旋
資本の本能=バリュー創出で利潤を得る
組織の本質=自己増殖と変化の排除
◆知識、能力
業界紙2年分を読み込めば業界の仕組みと構造が見えてくる
基本的には知識と論理思考力。情理は、ちょっと到達していれば20代は合格。
論理的思考は、スキルでなく筋力 -
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p58 経済政策=「強きを助け、弱きをくじく」→優勝劣敗
社会福祉政策=「弱きを助ける」→救済原理
p72 組み立てメーカー=「労働集約」「資本集約」「知識集約」→これからはキー・コンポーネント→圧倒的なシェア→膨大な利益
p75 系列下請け構造=上のメーカーが利益を吸い上げ⇄継続的な商売を保証(…これって終身雇用と似てるね。)→水平分業型への移行
p79 ドミナントモデル≒価格実現力の世界⇄総括原価方式≒系列取引→緩やかな統制経済モデル
P93 財政の基本=恒常的な支出には恒常的な歳入を、一時的な支出には一時的な歳入を→一時的な支出に対して、恒常的な増税をするなんてナンセ -
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著者は「人はインセンティブと性格の奴隷である」と説き、個々人のインセンティブを理解するよう努め、方向付けることで企業の繁栄がもたらされると主張している。企業再生という重要な局面に立たされた時、人々は各々のインセンティブと性格に正直にしか行動できないという現実を直視した著者は、動機付けと性格の奴隷となる「弱さ」にこそ人間性の本質があるとする指摘は鋭い。
以下、印象に残ったフレーズ。
・人間は物事を認識するに際しても「見たい現実を見る」生き物である
・個々のインセンティブ(情の論理)を洞察し、理解することがすべてが始まる
・市場や競争の理解より、基本的な経済構造の理解のほうが、はるかに重要 -
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良書。
個人的におススメ。
自己啓発本として、新書ではもったいないほどのクオリティだと思います。
基本的には、若いうちに多くの挫折を経験することで、打たれ強く、忍耐強く、そして人を動かすことができるようになれるので、たくさん失敗経験をしておけということを本人の経験をベースに書かれている。
各章ともよくまとまっており、内容も示唆に富んでいる。
産業再生機構設立時のCOOという修羅場の経験に裏打ちされた内容には重みがある。
私自身、30半ばで大きな挫折を経験したが、それまで挫折が少なかった分打たれ弱かったと感じている。
やはり、挫折経験は貴重だ。 -
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波頭亮と富山和彦(こちらの方は存じ上げませんでしたが)、二人のプロフェッショナルコンサルタントが、日本企業の過去の戦いを振り返り現在から未来へ向けての戦いを展望します。そして、そこで活躍すべきコンサルタント像について意見を戦わせます。
重要なのは徹底した事実の掘り下げとロジカルに考え尽くすこととそのロジカルな表現とし、更に行動経済学で論ずる人間の機微、情理を見逃してはならないと説く。
会社を資本主義のシステムとしての、利潤追求と、人の集団、組織としての自己増殖と変化の排除の二つの本能があり、それらが二重螺旋ののように絡んで動いているとのこと、こう考えると論理と情理せめぎ合いがよく理